弐代目・青い日記帳 

  
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ルーヴル−DNPミュージアムラボ(ファン・ホーホストラーテン「部屋履き」)
五反田DNPビルにて開催されているルーヴル−DNPミュージアムラボ(Louvre - DNP Museum Lab)第5回展 ファン・ホーホストラーテン「部屋履き」〜問い直された観る人の立場〜に行って来ました。



今回で5回目となるルーヴル−DNPミュージアムラボ。絵画ではフランス・ロマン派のジェリコー「銃騎兵」、イタリア・ヴェネツィア派のティツィアーノ「うさぎの聖母」に続く3枚目の作品です。

サミュエル・ファン・ホーホストラーテン Samuel van Hoogstraten (1627-1678)は、これまでの二人に比べ、知名度こそ決して高くありませんが、レンブラント(1606-1669)やフェルメール(1632-1675)らと同じ所謂「17世紀オランダ絵画の黄金時代」を代表する画家さんです。

オランダ、ドルトレヒト出身のホーホストラーテンは、若くしてアムステルにてレンブラントに師事。その後ウィーン、ローマ、ロンドンと活躍の場を広げたそうです。(この点は、ほとんど同時期に活躍しながらも、生れ故郷デルフトから出ることなく作品制作にあたったフェルメールとは対照的です。)


ホーホストラーテンは、遠近法、騙し絵の名手でもあり今回ミュージアムラボで公開されている「部屋履き」や↑の作品など、二次元の世界に三次元的視覚作用を「実験的」且つ積極的に取り組んだ画家さんです。まさに「Louvre-DNP Museum Lab」にうってつけの作家さん。そしてこちらの作品。↓


サミュエル・ファン・ホーホストラーテン(ドルトレヒト、1627-1678)
室内の情景」もしくは「部屋履き」 1654-1662年 パリ、ルーヴル美術館蔵

17世紀オランダ絵画、しかも風俗画を描いた作品のイメージからすると、まずその大きさに驚かされます。描かれて間もなく箒の下の部分からキャンバスごと折り曲げられサイズダウンされていたことが研究から分かっているそうです。

手などでこの絵の下、五分の一(手前の市松模様の床の部分)を隠してみると、かなり違った印象を受けるのではないでしょうか。

「次の部屋」は右に大きな窓があるのでしょうか。オランダらしくない強い光が差し込んでいます。そしてその床には「障害物」が。脱ぎ捨てられた木靴がそこに。人の気配を感じさせます。そのまま目線を上げるとドアには鍵が掛けられたままになっています。随分と大きく「存在感」のある鍵です。

果たして奥の白黒市松模様の部屋には誰かいるのでしょうか?

突き当りの壁には鏡と画中画の一部が比較的はっきりと描かれています。
画中画は同じくオランダ出身の画家、ヘラルト・テル・ボルフ(1617-1681)によって描かれたものでしょうか。類似している作品を探してみました。

Gallant Conversation

他にも突き当りの部屋に気になる物が。それはテーブルの上に置かれた蝋燭。火はついていません。使用した後ははっきりと分かります。また蝋燭の隣には、本が置かれています。

蝋燭と本は先ほど紹介したテル・ボルフの「Gallant Conversation」中にも登場しています!パーツパーツで観て行ってもこうしてかなり楽しめます。


今回ルーブルDNPミュージアムラボでは、このロウソクや本、画中画、鏡、鍵、靴などこの作品に描かれている小物から「作品の意味を考える」と題されたコーナーが用意されています。これはとても勉強になりました!
65インチ液晶スクリーン上に表示した≪部屋履き≫の画像から、 象徴的な意味が含まれているといわれるいくつかのモチーフを、来館者が指でなぞりながら探し出すと、そのモチーフの秘められた意味を解説します。さらに、≪部屋履き≫にも同じ意味を読み解くべきなのかを問いかけます。
因みにこれと同じような技術が、2009年2月28日より上野国立西洋美術館他で開催される「ルーブル美術館展ー17世紀ヨーロッパ絵画ー」に登場するそうです。

これは楽しみ!!

この他にも「ホワイエ」と呼ばれる情報スペースでは「絵の中に入る」「画家と出会う」「画家の技術を体験する」「印象を分かち合う」など様々なコンテンツが今回もまた用意されています。

驚いたことに、ロンドン・ナショナル・ギャラリーにあるようなホーホストラーテンが作った「遠近箱」(レプリカ)が置いてあったこと!

ロンドンNGではケースの中に入っているので首を突っ込んで部屋の中を体感すること出来ません。しかし五反田でそれが今、可能なのです。

最新鋭のデジタル機器を駆使したミュージアム・ラボにあって、唯一アナログな空間。ありきたりの表現ですが癒されます。「遠近箱」。

またホーホストラーテンが著した『絵画芸術の高等画派入門』も紹介されているなど、かなり本格的な情報まで「ホワイエ」にて得ることができます。


「画家の技術を体験する」コーナーでは、画中の蝋燭に火を灯したり、窓から差し込む光を遮断してみたりなど様々なバリエーションをタッチパネルで簡単に表すことが出来ます。他にも視点の位置を変化せてみたり、遠近法による画面構成を学んだりと何しろ至れり尽くせりです。


更に「観覧チケット」に画面を記憶させ、帰りにプリントまでしてくれるサービスぶりには毎度のことながら頭下がります。ほんとタダでこれだけして頂いて申し訳ないです。。。

今回からガイダンス端末も小型化され首から長時間提げても苦痛ではなくなりました。(まだ反応はイマイチよろしくないようですが、まぁ「ラボ」ですから)

また小型モバイルパソコンを使用した「ARルートガイド端末」も今回から新登場。2種類から予約の際に選べるようです。(ただし新型は数が少ない為、予約すぐいっぱいに)ちょっと拝見させて頂いた感じでは、これまでのガイダンス端末で十分のように思えました。でも次にお邪魔する時は新型にしてみよう。

『ルーヴル‒DNP ミュージアムラボ』 第5回展「ファン・ホーホストラーテン≪部屋履き≫ 問い直された観る人の立場」は、これまで同様完全事前予約制です。webか電話で予約出来ます。まだ始まったばかりです。空いているうちに予約予約!

電話:03-5435-0880
サイト:museumlab.jp


フェルメールの「恋文」にも影響を及ぼしたのではないかと推測できるホーホストラーテンの傑作を日本で、しかも無料で観るチャンスです。是非!


サミュエル・ファン・ホーホストラーテン(ドルトレヒト、1627-1678)
室内の情景」もしくは「部屋履き」 1654-1662年 パリ、ルーヴル美術館蔵


ヨハネス・フェルメール(デルフト、1632-1675)
恋文」1669-1671年 アムステルダム国立美術館蔵



:展示室(「印象を分かち合う」投票場所)
:シアター「17世紀のオランダを知る」
:ホワイエ


書き忘れましたが「シアター」も驚くほどポイント高かったです。
【17世紀のオランダを知る】
「黄金時代」と呼ばれる17世紀のオランダは、経済的にも大きく成長し、芸術面でも豊かな才能が集いました。展示作品が制作されたそうした時代的背景を超高精彩静止画番組で紹介します。
最後に鑑賞時間の目安でも。私は17:00に受付をし、DNPのビルと後にしたのが19:00。たっぷり2時間居たことになります。実はそのあと用事があり急いでいたのでこの時間に出ましたが、余裕があればあと1時間は居られたかも。

ルーヴル−DNPミュージアムラボ(ファン・ホーホストラーテン「部屋履き」)は2009年5月16日までです。(前述しましたが2009年2月28日〜6月14日まで国立西洋美術館で「ルーブル美術館展ー17世紀ヨーロッパ絵画」が開催されます。混雑する今のうちに!)

期間:12/6(土)〜2009/5/16(土)
時間:17:00〜19:00(月・火・木)、
    17:00〜20:30(水・金)、
    11:00〜17:30(土)
休日:日・祝日
住所:品川区西五反田3-5-20 DNP五反田ビル1F
電話:03-5435-0880
サイト:museumlab.jp
観覧は無料です。(完全事前予約制)

おまけ:
この絵の中にホーホストラーテンが!さてどの人でしょう?

正解はこの記事の一番下で。

【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | ルーヴル-DNPミュージアムラボ(「うさぎの聖母」)
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【ルーヴル-DNP ミュージアムラボについて】
ルーヴル-DNP ミュージアムラボは、ルーヴル美術館とDNPによる美術作品の新しい鑑賞方法を提案する共同プロジェクトです。 各展示のために特別に開発した鑑賞システムを活用することによって、美術館の来館者と美術作品とをつなぐアプローチの革新を試みています。ミュージアムラボの展示は、ルーヴル美術館が培った研究成果と文化財普及のノウハウから発想し、DNP の情報加工技術と開発力によって具体化しています。当プロジェクトは、DNP 五反田ビルにおいて、2006〜2009 年の3 年間にわたり半年ごとに6 回の展示を行ないます。また、各回の展示に関連した講演会や映画上映も行っています。さらに、会場での体験は、プロジェクトのウェブサイト( museumlab.jp )にも連動し、来館後も継続した体験となっています。ウェブサイト上には、ルーヴル-DNP ミュージアムラボの見学の予約の他、さまざまな関連情報を引き出すことができます。来館後は、来館時に発行されるチケットの番号を入力し、ご自宅で自分の見学内容を再度確認することができます。



ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画
国立西洋美術館:2009年2月28日〜6月14日
京都市美術館:6月30日〜9月27日

もうひとつのルーブル美術館展

ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち
東京・国立新美術館:2009年3月25日〜6月1日
大阪・国立国際美術館:2009年6月23日〜9月23日

2009年、東京で2つの「ルーヴル美術館展」開催

レンブラント、フェルメールの時代の女性たち―女性像から読み解くオランダ風俗画の魅力 (小学館の美術書)
レンブラント、フェルメールの時代の女性たち―女性像から読み解くオランダ風俗画の魅力 (小学館の美術書)
尾崎 彰宏

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1600

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ルーヴル - DNPミュージアムラボ第5回展は、ルーヴルのオランダ絵画コレクションの中でも、最も優れた作品のひとつに数えられる、サミュエル・ファン・ホーホストラーテンの≪部屋履き≫が登場します。ファン・ホーホストラーテンは、レンブラントに学び、フェルメールと同じ時代を生きた17世紀オランダ絵画の黄金時代を代表する画家です。特別な空間への関心から生まれたこの作品は、オランダ風俗画の典型的な「室内」を舞台にしながら、極めて珍しい人物のいない作品となっています。手前から奥へと続く無人の部屋に描かれる、箒、部屋履き、鍵、ロウソク、画中画。静けさの支配する空間は、視線を進めるにつれ、意味合いを増すかのように見る人をその中に捕えていきます。今回のラボの体験では、観客は自ら作品を分析、解釈しながら、画家が周到に作品に仕込んだ演出を見つけ出していきます。


正解:
私がサミュエル・ファン・ホーホストラーテンです。

メダルをさりげなく自慢しているのがカワイイ…
| 展覧会 | 07:29 | comments(5) | trackbacks(1) |
DNPのホーホストラーテン
紹介して下さるとずっと期待していました♪
詳細...が楽しみ。
| panda | 2008/12/11 9:54 AM |

知りませんでした.ぜひ行かねば.

そのうち,当館のホーホストラーテン作品も観にお越しください.
| toshi | 2008/12/11 7:20 PM |

@pandaさん
こんにちは。

伝えきれない!
とにかく盛り沢山のコンテンツ。
いま一度チャレンジして来ようかと。

@toshiさん
こんにちは。

ご専門分野というか
ど真ん中ストレートですよね!

>当館のホーホストラーテン作品も観にお越しください.
勿論、伺います!!
| Tak管理人 | 2008/12/12 9:55 AM |

こんばんは。

頼み込んで、ARルートガイド端末を使わせてもらいました。
機能の割には、使い勝手はイマイチでした。
特にあの重さには閉口しました。

でもあの不思議な作品を持ってこれたのは上出来でした。
| とら | 2008/12/23 7:13 PM |

@とらさん
こんにちは。

あれノートパソコンくらいの大きさですよね。
毎回毎回、作品だけでなく
ああいった機械も新しいものを
取り入れて「実験」に余念ないようですね。

ホーホストラーデンは大正解です!
| Tak管理人 | 2008/12/25 10:48 AM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/1600
ホーホストラーテン《部屋履き》 @ルーヴル−DNPミュージアムラボ
 これはルーヴル−DNPミュージアムラボの第5弾。以前のの記事は→第1弾、第3段、第4弾  今回は、前回使えなかったAR(拡張現実、オーギュメンテッド・リアリティ)を使用できたので、以下にそれに沿ったご案内を・・・。  まずスタート地点に立つ。大きく
| Art & Bell by Tora | 2008/12/23 7:13 PM |
編集・執筆を務めた『カフェのある美術館 素敵な時間を楽しむ』(世界文化社)好評発売中です。


青い日記帳(編集)『美術展の手帖』小学館より発売中です。


青い日記帳「出前ブログ」連載中


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「展覧会に出かける前に準備しておきたい5つのこと。」

「展覧会を何十倍も楽しむために心がけたい5つの秘訣。」

フェルメールへの招待
國學院大學文学部教授の小池寿子先生監修。不肖私(Tak)が編集と一部執筆しました。詳細はこちら

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