青い日記帳 

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「浮世絵の中の源氏絵」展

太田記念美術館で開催中の
源氏物語誕生1000年記念「浮世絵の中の源氏絵」展に行って来ました。



源氏物語千年紀のイベントも都に比べ、東国ではちらほらとためーに目にするかスルーされてしまう程度。悲しいかなまったくもって盛りあがっていません。

そんな孤立無援の中にあって、太田記念美術館で開催中のこの展覧会は、獅子奮迅の活躍ぶりを見せています。そして切り口もありふれているようでありながら、実は大変斬新。

元来、貴族を中心としたハイソな人たちの読み物だった「源氏物語」と庶民の代名詞でもあるような「浮世絵」。江戸の町に生きた人々にどのようにして「源氏物語」が受容されていったのか意外や意外、面白い側面も見え隠れする展覧会です。

展覧会の構成を見ると「なるほど〜」と頷かれる方多いのでは。

1階
・古典文学の世界を描いた肉筆画
・浮世絵師たちが描く王朝世界
・背後に隠された源氏絵「見立て」「やつし」

2階
・これが源氏絵?大ベストセラー小説『偐紫田舎源氏』の世界
・さまざまな絵師による『偐紫田舎源氏』
・『偐紫田舎源氏』さまざまなヴァリエーション
・源氏香ーファッションになった源氏物語ー
・絵本に見る「源氏絵」


浮世絵に源氏絵が登場したとしても「見立て」や「やつし」として。それよりも江戸時代に「源氏」と言えば専ら「偐紫田舎源氏」(足利将軍の一子、光源氏ならぬ光氏が、謀反を未然に防がんと、色好みの浮き名に隠れて繰り広げる敵対勢力との暗闘。恋あり陰謀あり、室町は花の御所を舞台に艶麗な浮世絵が映し出す、歌舞伎仕立ての「源氏物語」)

展覧会の半分以上はこの「偐紫田舎源氏」を絵画化した作品が中心。そういった意味では、千葉市美術館での「八犬伝の世界」展に似たテイストの展覧会となっています。

それでも1階での展示は、かろうじて「源氏物語」を題材とした浮世絵が。

歌川広重「近江八景之内 石山秋月

紫式部が「源氏物語」を書きあげたとされる石山寺周辺を描いた一枚。この作品を観てどれだけの人が「源氏物語」を想起すること出来たのでしょうか?また現代ではどうでしょう?極端に少なそう…


月岡芳年「月百姿 石山月

こちらは石山寺での紫式部の姿を描いた一枚。筆が止まってしまったのでしょうか。物思いにふけるかのように頬に手をあて、遠くの景色を眺めています。紫式部を描いた作品他にも多く残っていますが、この「角度」から描いたのは他にないのでは?月岡芳年らしい一枚です。

こちらは「源氏物語」の登場人物に「見立て」た作品。

歌川広重「江戸むらさき名所源氏 見立浮ふね 隅田

浮舟 (源氏物語)どのシーンを描いたものでしょう。

そうそう、酒井抱一の「源氏物語図」なんてものもありました。扇子絵です。源氏の花宴のワンシーンが描かれていました。花宴って他にも結構描かれていました。取り扱いやすいテーマなのかな〜(チラシの絵も北斎による花宴)

抱一の作品は二階へあがる階段の踊り場から見るのもまた一興。

さて、2階の展示室はほとんど全て小説『偐紫田舎源氏』を基にして描かれた浮世絵。その親分的な存在だったのが、歌川国貞(三代目歌川豊国)その人。当然弟子の国芳や芳年らにも大きな影響を与えたこと伺い知ることできます。


三代歌川豊国「源氏見立八景之内 夕霧落雁 輝氏

興味深かったのは、源氏絵でもなく『偐紫田舎源氏』を基にして描かれた浮世絵でもない作品の中に「源氏物語」のエッセンスがさりげなく描き込まれている作品群が15点以上展示されいました(・源氏香ーファッションになった源氏物語ー

描かれている人物の着物の模様や提灯に「源氏香」が描かれていたりします。
「源氏香」で思い出すのは虎屋さんで開催された「源氏物語と和菓子」展

細々とながら、関東でも源氏千年紀お祝いしているようです。

「浮世絵の中の源氏絵」展は12月21日までです。

おまけ:
源氏物語千年紀委員会のサイトで、クリスマスカードデザインの無料ダウンロードサービスを行っています。源氏とChristmasって…何でもありですね。

年賀状はないのかな〜

今日の一冊
私の学生時代の悪友が書いた本。古典が嫌い!苦手!!という方に是非。
かみさん曰く「こういう授業だったら高校時代寝なかったのに〜」
男が女を盗む話―紫の上は「幸せ」だったのか (中公新書)
男が女を盗む話―紫の上は「幸せ」だったのか (中公新書)
立石 和弘

それでは最後に「今日の美味


「デザート盛り合わせ」
今日は忘年会を兼ねた同僚の送別会でした。

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現代でもさまざまな形で読み継がれる不朽の名作、源氏物語。今年は、源氏物語の存在が記録として確認されてから、ちょうど1000年という節目の年を迎え、日本各地でそれを祝うイベントや記念事業、展覧会などが行われています。
もちろん江戸時代の人々にも源氏物語は広く知られていました。そして、庶民向けに作られた浮世絵においても、源氏物語の世界を絵画化した作品、あるいは、源氏物語から発想を得た作品が生み出されました。その中には一見、源氏物語とは関わりがないように見える作品まであります。
本展覧会では、浮世絵における「源氏絵」というジャンルを通して、江戸時代の庶民たちがどのように源氏物語の世界に接していたのかを紹介します。
展覧会 | permalink | comments(5) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

Takさん、こんにちは。
こちらのブログへいらしていただいて、ありがとうございます。
Takさんの了解が出たので、リンクさせていただきます。
紹介文もブログへ載せるつもりなので、またそのときは連絡しますね。

美術の世界をこれからも教えてください。
宜しくお願いします。
Oka | 2008/12/19 1:25 PM
@Okaさん
こんばんは。

有難うございます。

たいした記事書いていませんが
毎日アップすることだけを
目標にしています。
今後とも宜しく
お付き合いのほど
お願い申し上げます。
Tak管理人 | 2008/12/19 10:48 PM
こんばんは
この展覧会は行けそうにないのでこちらで楽しませていただきました♪
>東国ではちらほらと
ああやはりそうでしたか。わりと関西では色んな展覧会やイベントが多かったです。石山寺も気合入ってましたよ。
今でもやっぱりこのお寺は「源氏の寺」と「西国三十三ヶ所」ということで、ニンキとヒトケがあります。
ゆるキャラ大津ヒカルくんも活躍中です。

九曜文庫所蔵の國貞えがく(鏡花の小説のタイトルですね)源氏や田舎源氏の錦絵も、京都の展覧会ではかなりウケてました。
こういう展覧会、好悪が分かれるのでしょうか。
遊行七恵 | 2008/12/19 11:33 PM
わたしも行ってきました。
源氏物語絵と源氏絵の差は天と地、この展覧会の品格は、上品と中品と下品。人生いろいろ、浮世絵いろいろですね。
とら | 2008/12/22 9:07 AM
@遊行七恵さん
こんにちは。

体調良ければもっと画像あつられたのですが…
ご勘弁あれ。

田舎源氏に焦点をあてた展覧会というのも
面白そうですね。カウンターとして。

先日、京都へ行った際もあちこちで
千年紀に関連する催しものや商品を
見かけました。こうした企画では
何百年経っても都には太刀打ちできません。

@とらさん
こんにちは。

源氏物語がどれくらい江戸庶民に読まれ
知られていたのかが気になります。
田舎源氏をきちんと読み返したくなりました。
Tak管理人 | 2008/12/22 12:27 PM
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