青い日記帳 

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「ランドスケープ 柴田敏雄展」

東京都写真美術館で開催中の
「ランドスケープ 柴田敏雄展」に行って来ました。



現在、東京都写真美術館では、3つの企画展を開催中。写真や映像の世界には疎い自分が恵比寿駅から連なる長い動く歩道でここの美術館へ出向っても、ガッカリさせられることしばしば。昨年拝見した「オン・ユア・ボディ」展などその典型。帰り道が長く感じること半端じゃありません。

東京都写真美術館は展示室が3フロアあり、基本的にそれぞれ違った展覧会を同時に開催しています。(現在は地上2階が「ランドスケープ 柴田敏雄展」3階が「甦る中山岩太:モダニズムの光と影」そして地下1階が「映像をめぐる冒険vol.1イマジネーション 視覚と知覚を超える旅」)

東京都写真美術館

料金体系も別々なので、3つ合わせると約2000円ほど。絵画展であれば3つ観てそれなら格安感ありますが、如何せん苦手な写真やわけの分からない映像作品見せられてそれだと勉強代金とはいえ、イマイチ納得いかないもの。

しかーーし。2009年の写真美術館はどうやら様子がこれまでと違います。

絵的に例えると、今の写美はまさにこんな状態!!


そう!地下1階から地上3階までの3つの展覧会がそれぞれ良い!
まさに奇跡のjackpot状態。

とりわけ、中心的な役割を担っている展覧会がこの柴田敏雄展です。
ギャンブルやらないので詳しいこと分からないのですが、パチンコでもスロットでも最後に「」が揃うのって真ん中ですよね?「柴田敏雄展」写美の真ん中2階で開催しているのもその奇跡の一端。

でも、柴田敏雄なんて写真家知らないし……

そうなんです、私も恥ずかしながら存じ上げておりませんでした。
【柴田敏雄氏略歴】
1949年 東京に生まれる
1974年 東京芸術大学大学院美術研究科絵画専門課程油画専攻(修士課程)修了。
1975年 ベルギー文部省より奨学金をうける。同ゲント市、王立アカデミー写真科入学、写真を始める。
1979年 帰国
1992年 第17回木村伊兵衛写真賞受賞
海外での評価は非常に高いにも関わらず、これまで日本国内の美術館で柴田氏の作品を扱った展覧会が開催されてこなかったそうです。どうも杉本博司さんといいこの柴田敏雄さんといい高い実力を持ったフォトグラファーが、国内では一部の人にしか知られていないのに対し逆に、海外では非常に高い評価を受けているという構図ここのところ目の当たりにする機会多いように思えます。

蜷川実花のような写真家が、美術手帖の表紙にもなり、若い人から多くの方にその名や作品を知られているのとは非常に対照的です。

断言できます。オペラシティーに行列ができるほどの盛況ぶりだった「蜷川実花展 地上の花、天上の色」よりも500倍は素晴らしい写真展がこの「ランドスケープ 柴田敏雄展」です。

色鮮やかな金魚の写真や能天気な芸能人の写真は勿論一切無し。「ランドスケープ展」にあるのは、「にぶく重苦しい痛み」と一見相反する「美麗」な側面を合わせ持つ“自然”の姿です。

「埼玉県秩父市」

「今度の連休どこに行こうか?」

「都会は疲れるから自然に触れたいな〜」

「それなら車で山までドライブに行こう!」

「いいね、いいね思いきり自然を満喫して癒された〜い」


大人は知っています。車でいくら遠くへ行こうとも
山の奥へ車を進めようとも「自然」なんてないことに。

あるのは「人の手の入った自然」だけなのだと。

山道で車を走らせ窓から入る風に「やっぱり自然はいいな〜」と一言。でも、それは「人の手の入った自然」今、走行しているアスファルトの道路が良い例。

どなたかが著書でこんな類のこと書いていらしたこと覚えています。
現代人にとっては、都市こそ自然なのだと。

これが正しいならドライブにでかけた二人は「非自然」な場所へ向かったことになります。そのことがまんざら嘘ではないことを、嫌と言うほど「ランドスケープ 柴田敏雄展」では見せつけられます。「人の手の入った自然」の姿を。カラー写真のしかも飲み込まれそうなほど大きなサイズで。

「愛媛県今治市」

コンクリートで固められた痛々しい山肌や、山の中に大量のコンクリートを注ぎこみ作られたダム、伐採されたみじめな山々、搾取し尽くした足尾銅山の廃墟など、柴田の写すべき対象はみな共通したものが感じ取れます。

これと同じ視線でコンクリートで護岸工事は施された段々畑の中を流れる小川を写した↑の一枚には心底参りました。人はここまで手を加えないと気が済まないのかという思いがひとつ。

それと近年とみにその美しさと珍しさで、絶好の写真の対象となっている「棚田」と、逆になるべく写らない方がよいであろう「コンクリート川」が一枚の作品の中にぴたりと納まっているではないですか!当然ながら美しい「棚田」もまた「醜い小川」同様、「人間が作りし自然」です。なんて人は我儘なのでしょう。

でも、柴田氏の作品は、決してその我儘で傍若無人ぶりを前面に押し出すことはないところも魅力のひとつ。あるがままの風景を彼独自の感覚でしか探せない場所から撮影した「自然」

エコなんて安っぽい言葉の入り込む隙は1ミリもありません。

すみません。蜷川実花なんかと比べる方が失礼でした。
こういう優れた写真家さんの展覧会に、もっともっともっと多くの方が観に来て下さればいいのにな〜

最後に「今日の一枚


「神奈川県鮎沢パーキングエリア」

展覧会にはご紹介した「自然」を写したものの他に「夜景」が15点ほど展示されていました。その中の一枚。東名高速道路のパーキングエリアに停車中のトラックの荷台を撮影したものだそうです。滅茶苦茶人工物であるトラックがこれほどまでに美しいとは驚きです。夜だからそこ、パーキングエリアの強い照明が当たる場所だからそこ撮影できた一枚。綺麗だ〜

で、荷台に積まれものをこれから山へ運び新たな「自然」でも作るのでしょうか?


「ランドスケープ 柴田敏雄展」は2月8日まで。急いで!!

ogawamaさんlysanderさんが昨年ご覧になりそれぞれ年間ベスト10に入れていらっしゃるだけのことあります。観に行ってそれが良く分かりました。

恵比寿ガーデンプレイス内にある東京写真美術館にまだ行ったことない方、足が遠のいていらっしゃる方、今がチャンスです。スルーセブン状態の今こそ!

VISIONS of JAPAN SHIBATA Toshio (Visions of Japan)
VISIONS of JAPAN SHIBATA Toshio (Visions of Japan)
柴田 敏雄,伊藤 俊治

杉本博司同様、「Toshio Shibata」で検索した方が、多くの記事や画像目にすることできます。Toshio Shibata on artnet

【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | 「石内都:mother's」展
- 弐代目・青い日記帳 | 「建築の記憶」展
- 弐代目・青い日記帳 | 「地球の旅人展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「光と影展」
- 弐代目・青い日記帳 | 今森光彦写真展「昆虫 4億年の旅」
- 弐代目・青い日記帳 | 「液晶絵画」展
- 弐代目・青い日記帳 | 「パラレル・ニッポン 現代日本建築展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「オン・ユア・ボディ」


それでは最後に「今日の美味


ガーデンプレイス内にあるスムージー専門店「smooch
ちょっと今の時季は寒かったかな。。。

おまけ
講談社「週刊 世界の美術館」今週号はモロー美術館!

特集、画家の生涯も当然、ギュスターヴ・モロー.
lapisさん本屋さんへgo!!

でも、オルセー美術館と合本にしなくていいのにな〜

お勧め
いよいよ1月10日から始まる内海さんの展覧会!



・展覧会名:十方視野
・出展作家:内海聖史
・会期:2009年1月10日(土)-2月14日(土)
※日月祝日休廊 
☆オープニングパーティー:初日18:00〜
・営業時間:11:00-19:00
・会場:ラディウムーレントゲンヴェルケ
・住所:東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
・tel/fax:03-3662-2666
・URL:http://www.roentgenwerke.com

行きますよーー初日!

限定300部でカタログも販売されるそうです!
何と全てに内海さんの直筆サイン入り!
お値段、、、たったの1000円!いいのかーーそれで。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1627

JUGEMテーマ:アート・デザイン


柴田敏雄は東京芸術大学・同大学院修士課程終了後、ベルギーの王立アカデミー写真学科入学。留学を機に写真を撮り始め、帰国後の1980年代後半に、ダムやコンクリートに覆われた造成地など人工的に変容された風景を独特の視点で捉えた写真で注目されました。
'92年、その年に写真界に一番影響を与えた新人に贈られる木村伊兵衛写真賞を受賞。大型の8×10カメラを使い、克明に表現された柴田の写真は、客観的に普遍的な風景を捉えているように思われます。しかしその中に日本ならではの風土や社会問題を想起させ、見るものに強い印象を与えてきました。静謐で抑制された写真から、まず自然の中に組込まれている人工物の美しさに目を奪われ、その後に自然に対する警鐘を感じ取ることができます。
'90年代後半からはアメリカ各地のダムも撮影しており、その対象は日本国内だけではなく拡がりを見せています。特に地名などがすぐに分かるようなものは一切写り込んでいないにもかかわらず、それぞれの国や地域の微細な差異が、あたかもそれぞれの土地の抱える問題として、凝視すればするほど浮き出てくるように感じられるでしょう。
国内だけではなく海外の多くの美術館にも作品が収蔵されているなど評価が高いにもかかわらず、これまで国内の美術館においてその軌跡を辿ることができる機会はありませんでした。今回は東京都写真美術館と作家が収蔵している作品を中心とし、近作のカラー作品の展示も併せて行い、現時点での柴田の活動を振り返ります。


展覧会 | permalink | comments(12) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

TBとコメント有難うございます。
777スロット画像が出た時、爆笑しました。
最高の表現です!
柴田展だけでなく、大穴の地下1階もかなり
良かったのですがいかがでした?
meme | 2009/01/07 11:33 PM
さすがTakさん、煽るのがお上手〜。
柴田さんに見とれて中山さんとイマジネーション展は未見です。
また恵比寿に行くのが楽しみ〜♪
ogawama | 2009/01/07 11:50 PM
全く知らなかった方ですが、面白そうな展覧会ですね。
こういう風景写真、もっと見たいです。
Takさんの文章を読んでいるうちにわくわくしてきました。
これはぜひ行かなくちゃと思います。
また良い情報を教えていただき、ありがとうございます!
大の | 2009/01/08 1:01 AM
以前お邪魔していた、あきこです。
最近またブログを再開しました。
またちょくちょくお邪魔しますので、
どうぞよろしくです♪

柴田さんは、私が2000年にイギリスに行ったとき、
あちらでは既に評価を得ていました。
杉本さんも、畠山さんもそうです。

写真に関して言えば、
日本と欧米の価値観はかなり違います。
日本人にとって、
写真はまだまだ「記録するための画像」といった域を
出ていないように思います。
なのでニナミカとか、女子に人気なんです。

昨年は原美術館で、米田知子さんの展示がありました。
ニナミカよりよっぽど素晴らしかった、
ちゃんと「写真をみた!」って感じでした。
ちょっとずつ、現状が変わっていけばいいなぁ。

柴田さん、私も行かねば!
あきこ | 2009/01/08 7:54 AM
@memeさん
こんばんは。

良かった〜喜んでもらえて。
あの画像探すの結構苦労したんです。
これだ!!というのが中々なくて。
(何やってんだか)

柴田展のほかもビンゴ!!でした。

@ogawamaさん
こんばんは。

良かった時は軽やかに記事書けますね。
不思議と。
逆の時はキーが重い重い。。。
他の展覧会も良かったですよー

@大のさん
こんばんは。

こういった写真家さんの作品なら
観ていても「価値」あろうかと思います。
何かしら観る者に考えさせるものが
ないといけませんよね。
いやーーそれにしても
素晴らしい展覧会でした。
是非お勧めです。

@あきこさん
こんばんは。
お久しぶりでございます。
コメントありがとうございます。

既にその頃からきちんと
あちらでは評価が定まっていらしたのですね。
どうして今まで日本で展覧会が
開かれなかったのか不思議でなりません。

写真の世界って思った以上に
閉鎖的なのでしょうか。

蜷川さんは・・・
やめておきます。

そうなんですよーー
米田さんの写真展行こうと思いつつ
結局行けずじまいでした。
悔やまれます。
深い社会性に切り込んだ写真撮られる方ですよね。

またこれからも宜しくお願い致します!
Tak管理人 | 2009/01/08 11:47 PM
花鳥風月を愛し、わびさびを好み、
モダンデザインの建築に研ぎ澄まされた美を感じる・・・
ところが、この写真家の写真には、そのような素材は
ありません。
琳派のきらめくような「美」に酔った人には、この写真展は、「醜」に感じるかもしれません。
私は、この展覧会を見て、改めて「美」とは何かと
考えさせられました。
一村雨 | 2009/01/09 5:33 AM
Takさん
こんばんは

> エコなんて安っぽい言葉の入り込む隙は1ミリもありません。
そうなんですよね。
本物の写真を見せつけられた気がしました。
圧倒的です。
lysander | 2009/01/10 1:41 AM
@一村雨さん
こんにちは。

とても強く惹かれました。
もう一度恵比寿まで行っても
いいかなーーと思わせる内容。

美しさや醜さなどという
基準がいかに恣意的で感情的なものか
そしてそれらが表裏一体であるのか
強く感じさせる展覧会でした。

@lysanderさん
こんにちは。

あのサイズもこの写真にあっていますね。
何から何まで緻密に計算されているようです。
同じく圧倒されました。
Tak管理人 | 2009/01/10 10:19 AM
Takさん、こんにちは。

アマチュアでは辿り着けないプロの仕事ですよね。
このような作品群を見せられると、圧倒され、そして呆然です。

柴田敏雄のこれからの仕事が益々楽しみですね。
mako(雑感ノート) | 2009/01/11 10:31 AM
@makoさん
こんにちは。

写真はプロアマの差がないなんて
聞いたりしますが、こういった作品を
見せられるとそれが嘘だと分かります。

もう圧倒的でした何から何まで。
Tak管理人 | 2009/01/11 4:25 PM
行ってきました!

見ても見ても、見飽きませんでした。
これぞ写真、です。
ニナミカは画像です・・・w

TBさせていただきます〜
あきこ | 2009/01/23 11:08 AM
@あきこさん
こんにちは。
TBありがとうございます。

圧倒的ですよね。
色んな意味で。
これ行かないと後悔する系の展覧会。
いやーーー満足。
Tak管理人 | 2009/01/24 12:38 PM
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