青い日記帳 

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「田渕俊夫展」

日本橋高島屋8階ホールで開催されていた
「智積院講堂襖絵完成記念 田渕俊夫展」に行って来ました。



智積院と聞けばまず真っ先に頭に浮かぶのが長谷川等伯一門によって描かれた絢爛豪華な障壁画(「楓図」「桜図」「松と葵の図」「松に秋草図」)です。

画像入りの記事はこちら↓
- 弐代目・青い日記帳 | 智積院 国宝障壁画

この障壁画が、かつて飾られていた大書院からは「利休好みの庭」と伝えられる庭園を目の前に眺めることができ、京博へ行った際にはかなりの高確率でここのお寺に立ち寄ることがパターン化しています。


2007年「狩野永徳展」の帰りに立ち寄った際に撮影。

このように、長谷川等伯や池が書院の縁の下に入り込んでいる庭園など智積院に対しては結構(かなり)派手なイメージを持っていたのですが、今回このお寺の講堂の60面に及ぶ襖絵を田渕俊夫が、墨の濃淡のみで描きあげた作品が奉納されたと知り躊躇いに似た驚きが。

ところが、会場内に入るやいなや待っていたのは、全く違う次元の驚き。


不二の間「夕陽」

和紙に直接、墨で描き込んでいくそうです。一般的には隅がにじむのを防ぐため「にじみ止め」を用いるそうですが、田渕はそれを敢えて用いず、墨のにじみを逆に生かし植物たちの陰影を墨の濃淡で巧みに描き分けています。

作品によってはフラクタルな印象を鑑賞者に与えるものも。出口付近の紹介ビデオで制作途中の映像が流されていたのを見てそれも納得。

コピー機やオバーヘッドプロジェクターなど「科学の力」を用いつつも、自然の草木が持つ本来の姿を長年地道に積み上げてきた膨大なデッサン、何より自然を見つめる田淵本人の眼差しにより、描きあげられた襖絵。あたかも目の前にその風景が現出したかのような錯覚に陥るのもまさに自然なことかと。


大悲の間「冬」(雪山)

僧侶たちの修行の場である行動の襖絵として、これ以上ないと思えるほど精神性の高い作品。平成7年の再建以来真白だった襖絵に代わり今年の6月から5年の歳月を費やして田淵が描いた襖絵が。

一般の人が目を向けない、見落としてしまう雑草などに美を感じるという田淵。作品全体から決して厚かましくないのですが、湧き出るような優しさはそんなことにも起因するのかもしれません。

晴れて講堂に収められた暁には、京博のついでではなく、智積院をメインにし訪れてみたいと思います。(また楽しみが一つ増えた幸せ)

きっと修行するお坊さんたちもこれまで以上のもの得られようかと。
深く目を閉じ心の奥底で田渕の作品を感じ取れる!何と言う幸せ!!

真言宗智山派 総本山智積院

智積院講堂と大書院の間にある「総門」(七条通り東端)
・JR京都駅よりバス10分、東山七条下車
・京阪七条駅より徒歩約10分


智積院講堂襖絵完成記念 田渕俊夫展
日本橋高島屋:2009年1月14日〜1月27日
大阪眦膕亜2月4日〜2月9日
横浜眦膕亜2月18日〜3月2日
ジェイアール名古屋タカシマヤ:3月11日〜3月16日
京都眦膕亜3月25日〜4月6日
今治市大三島美術館:4月11日〜5月10日

最後に「今日の一枚


黄金の間「夏」(けやき)

智積院と言えばやはり、何と言っても長谷川等伯「国宝 楓図」等伯へのオマージュを込め、平成の世に墨の濃淡だけで田渕俊夫が描いた「けやき」。およそ400年という時代の隔たり、変遷に想いを馳せるのもこれまた一興。


いつの日か智積院で並べて展示されること願います。

必見!
とらさんがお作りになられた「智積院講堂の見取り図と襖の位置を示したマップ」これは凄い!(これを拝見してから高島屋行ったので横着しメモも取らず)大変な力作です。

日本橋三越で開催された「画業40年 東京藝術大学退任記念 田渕俊夫展」

なでしこさん、チケットありがとうございました!!

東京展(日本橋三越):12月27日〜1月18日
名古屋展(名古屋栄三越):2月17日〜2月23日
福岡展(福岡三越):3月20日〜3月26日

田渕俊夫 京都を描く―感動を表現する日本画の技法
田渕俊夫 京都を描く―感動を表現する日本画の技法
田渕 俊夫

おまけ
仏教総合博物館「龍谷ミュージアム」
2011年春、西本願寺前(京都市下京区)に開館予定。

西本願寺前の「本願寺会館」と「本願寺同朋センター」に建築予定。
 龍谷大(京都市伏見区)は11日、仏教の歴史や日本への伝来が分かる仏教総合博物館「龍谷ミュージアム」の建設計画を発表した。下京区の西本願寺前に2011年4月に開館予定で、龍大所蔵の国宝などの文化財、大谷探検隊の収集品のほか、最先端のデジタル技術で復元した原寸大の壁画も展示し、仏教研究の一大拠点を目指す。
 龍大の創立370周年記念事業の一環。親鸞の750回大遠忌(2011年)にも合わせ、西本願寺の東側にある本願寺会館と本願寺同朋センターの跡地に建設する。
 地上3階地下1階の延べ約4400平方メートルの建物に、約1000平方メートルの展示スペースを設ける。龍大所蔵の国宝「類聚古集(るいじゅこしゅう)」や、中央アジアやインド、中国に派遣された大谷探検隊が収集した仏像や文書約9000点、本願寺の歴代宗主の蔵書「写字台文庫」約3万点など膨大な資料の一部を現物展示し、インドで生まれた仏教が日本に伝来する軌跡を分かりやすく紹介する。
 最先端技術も駆使し中国トルファンの「ベゼクリク石窟寺院」の仏教壁画の大回廊を原寸大で復元展示する。(京都新聞)
詳細は龍谷大学サイト内
仏教総合博物館「龍谷ミュージアム」 についてーを参照。

おまけついでに、西本願寺の国宝 飛雲閣(ひうんかく)の写真でも。


【関連エントリー】
- 弐代目・青い日記帳 | 「大絵巻展」
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- 弐代目・青い日記帳 | 国立博物館観覧料改定
- 弐代目・青い日記帳 | 京博「若冲を愉しむ」
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- 弐代目・青い日記帳 | 「藤原道長展」
- 弐代目・青い日記帳 | 「若冲を愉しむ」その2
- 弐代目・青い日記帳 | 「憧れのヨーロッパ陶磁」展

それでは最後に「今日の美味


鈴懸(すずかけ)」の「苺大福
表面に透けて見えるあんこの作りだす陰影が田渕の作品のよう。と言ったら言い過ぎかな。でも味はピカイチ。鈴懸のお菓子全部食べてみたい!

この記事のURL
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京都にある智積院は、成田山新勝寺、川崎大師平間寺、高尾山藥王院をはじめ全国に約3,000あまりの末寺を有する、真言宗智山派の総本山。桃山時代に長谷川等伯一門により描かれた障壁画や、千利休好みといわれる美しい庭園でも知られる名刹です。
平成20年10月、僧侶の修行道場である講堂に、東京藝術大学副学長の田渕画伯が5年の歳月をかけて描いた襖絵が奉納されました。
不二の間、胎蔵の間、金剛の間、大悲の間、智慧の間を仕切る襖絵60面は、四季をテーマにした墨絵。描き直しのきかない墨一色で、春夏秋冬の時の流れと空間の広がりが見事に表現されています。
40余年にわたる画業の集大成、と自ら語る渾身の作を、一般公開に先駆けてご紹介いたします。
展覧会 | permalink | comments(8) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

こんばんは。

memeさんととらさんの賞賛記事を拝見して行きましたが、
失礼ながらも思いもよらぬほど惹かれて長居してしまいました。
雑草へ目を留める、作家さんの人となりも感じさせるような優しい作品でしたね。

智積院でも是非見たいものです。
はろるど | 2009/01/28 12:56 AM
三越のも 高島屋のもみたのですが とってもいいですね。

智積院の庭はすばらしかったと記憶しているのですが あそこに 田渕の作品がはいるというのはうれしいことです。

墨絵でえがかれた作品をみると本当に心がやすまります。
うずしお | 2009/01/28 11:55 PM
@はろるどさん
こんにちは。

私も先人達から凄いよ!と伺ってから
出向きましたが、高島屋の空間が一変。
驚きのモノトーンの濃淡世界。

京都行く楽しみがまた増えました。

@うずしおさん
こんにちは。

ですね。
三越がカラフルな世界なら
高島屋は白黒の精神世界。
圧巻でした。心落ち着きます。

修行の場にはもってこいの作品ですね。
田渕を選んだ智積院に拍手。
Tak管理人 | 2009/01/29 7:40 AM
先日『新日曜美術館』で、
制作の過程を放送してたんですよねー。

実際に自分の目で見たい!と思ってたんですが、
東京は終わっちゃったんですね。
大阪の次にまた横浜って、移動距離が大変ですねw
でも、横浜に戻ってきたらぜひ見に行きたいですっ。
あきこ | 2009/01/30 12:17 AM
@あきこさん
こんにちは。

番組見逃してしまいましたが
会場内のビデオで拝見しました。
ハイテク?を駆使し描くのですね。
あれには驚きました。

横浜も会期短いので
カレンダーや手帳にしっかり
チェックしておかないと!
実物は吸い込まれてしまいそうですよ。
Tak管理人 | 2009/01/30 7:50 AM
こんにちは。
メモをもとにワードで作った見取り図。
錆びついた脳にはブレーン・ストーミングでした。
紹介していただいて汗顔です。

とら | 2009/01/30 9:52 AM
初めまして。玲と申します。
大悲の間「冬」(雪山)の襖絵は、
冷たい空気がこちらにも伝わってくる絵ですね。
関西で2ヵ所、どちらかに足を運びたいです。

玲 | 2009/01/30 11:26 AM
@とらさん
こんばんは。

ワードでよくぞあそこまで。
メモとるのも億劫がっていた自分と
とらさんでは、その辺が違います。
越えられない壁があります。

@玲さん
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

実際に目の前に立つと
ありきたりですが
言葉が出て来なくなります。
語彙力が未熟なせいもありますが
その作品の魅力は言葉にできません。
Tak管理人 | 2009/01/30 11:02 PM
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