弐代目・青い日記帳 

  
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「文字の力・書のチカラ」
出光美術館で開催中の
「文字の力・書のチカラ −古典と現代の対話−」展に行って来ました。



絵画をただ素人目線で眺めるのがやっとの自分に書の世界など分かるはずもないのですが、折角、出光美術館の会員となっているからには行かないと勿体ないという、ケチくさい気持ちに駆られ拝見して来た展覧会。

得てして消極的な気持ちで出かけた展覧会は当たりが多いもの。ご多分に洩れず「文字の力・書のチカラ」展も観に行って大正解。何がどう上手くその文字が国宝や重要文化財に指定されているかなどといった評価は全く気にかけることなくとも一向に問題なく楽しめます。


本阿弥光悦「蓮下絵百人一首和歌巻断簡」江戸時代

全く分からないこともないのがこの展覧会の良い点。今でこそ本阿弥光悦、琳派を代表する人物として崇め奉られていますが、書かれた当初はきっと最先端の書だったはず。「全く最近の若いもんの書はなってない」なんて当時の「大人」たちから眉を顰められたことでしょう。

見方変えたり、想像力膨らませながら拝見すると慣れない書でも、自分なりの愉しさ持つこと出来ます。絵のように下手な知識が無い分、好き勝手に想像の世界で遊ぶこと可能。

また絵画のようにぱっと見だけで美しいものも。


伝藤原公任「石山切『伊勢集』断簡」 平安時代

また意外と興味深かったのが「般若心経」を書いた空海(平安時代)仙がい義梵、池大雅(江戸時代)小杉放菴(昭和時代)など時代をまたいだ書が並べて展示されているスペース。同じ『般若経』の内容を書で表しても、書く人によってこれだけ違いが出るものかと感心。

伏見天皇「筑後切」鎌倉時代、後陽成天皇「和歌色紙」桃山時代。など天皇の書もまとめて展示してあるのも観やすく親切。加えてそれぞれのキャプションが素人にも分かりやすく面白味があるからたまらない。

因みに以下は「出光美術館アート・ニュース(第144号)」からの引用。
鎌倉時代の能書として知られる伏見天皇(1265〜1317)の書は、平安時代を代表する二人の能書、すなわち小野道風と藤原行成の様式を規範としたものと評されているが、これは彼の漢字書についての解釈である。彼の仮名書の特徴については今一つ明確でないものの、この筑後切に代表される、比較的大きな文字の扱いで、大らかな表情かつ伸びやかな運筆の仮名書が、これ以降における天皇の仮名書風を象徴するものとなっているだろう。つづく南北朝時代には、彼の第六皇子である尊円親王が能書の第一として認識されるに至り、天皇・親王による書風の具体像が概念化したと考えてよいだろう。そして後世には、「宸翰様」の名で区別されるグループを形成した。大枠では、後陽成天皇(1571〜1617)もまたこの流れを汲んだ一人と位置づけてよい。明るく澄んだ表情を見せる仮名書は、ゆったりとした運筆に安定感のある筆法が映えて、実に雅な印象を与えている。室町時代後期には、三条西家、中院家ら和歌の世界で活躍した面々の書風にまで広がりを見せていた書風群であり、中世以降の仮名書の模範的書法とみなせよう。

実は今回の展覧会を観に行く前にこちらの漫画を読んでから行ったことも、書に対するイメージを和らげ、ひいては展覧会の印象を好くした大きな要因。


とめはねっ! 鈴里高校書道部
廃部寸前の書道部の救世主は、まったくのド素人!?書道初心者のボク(大江縁)と、運動神経抜群の彼女(望月結希)が筆と墨に青春を捧げます!!

現在4巻まで出ていますが、まとめ買いして一気読み。

漢字の「一」が書けるようになった書道初心者の美少女キャラ望月結希が次に挑戦したのが漢字の「十」。ところがこれが思うように書けません。そこで鈴里高校書道部部長の日野ひろみがこんなセリフを。

「『一』も字には違いないけど、ここでは字の部分(パーツ)だったの。『十』になって初めて字になったのよ。字になるとはね、『余白』が大切なの。『十』の字が一番美しく見えるためには、適度なバランスの『余白』を残さなくてはいけないのね。書かれていない白いスペースも字の一部なの。」


日野部長の言葉に唖然とする望月結希。


こちらは主人公の大江縁(ガチャピン似の帰国子女)が書道部顧問の影山先生から「篆刻」についてのレクチャーを受けている場面。(第3巻)

今まで書を習いたいなどと一度も口にしたこと無かった、かみさんがこの漫画を読んで「私も今すぐ習いたい!」と言いだしたくらい書道の魅力を身近に感じることのできる作品。かなりお勧め。漫画といえども馬鹿に出来ません。


とめはねっ! 鈴里高校書道部 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏

閑話休題。出光美術館の「文字の力・書のチカラ展」

展覧会の構成は以下の通り。
1.書を説く・書で説く
2.書との語らいー響きと表現
3.古典との対話ー移ろう時と書のカタチ
4.文字の世界


所謂「書道」の展覧会ではなく、文字の持つ美しさを発見できる展覧会。

イラク(またはシリア)で10世紀頃書かれた「クーファ書体コーラン片」中近東文化センター附属博物館蔵や、紀元前20世紀頃の「銘文付粘土釘」、はたまた中国・殷時代の「牛肩胛骨片」等など世界各国の「文字」も紹介されています。

そうそう、酒井抱一「糸桜図扇面」や白隠の書も。

最後に「今日の一書


一休宗純「七沸通戒偈」室町時代 

スピード感あふれる筆致。頭の回転だけでなく書も素速く尚且つバランスよく書き上げることができたのですね。一休さん。この「善」という字だけでもお手本として習得したいものです。私も書道習おうかな〜

「文字の力・書のチカラ」展は2月15日までです。

出光美術館
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階
谷口吉郎氏設計による皇居のお濠に面した帝劇ビルの9階にある美術館。ロビーからは皇居を一望。2006年の改装に和のイメージを残しつつスタイリッシュな雰囲気に。無料でお茶のサービスが受けられ、空気の乾燥した美術館内での喉の渇き潤してくれます。

ロビーでぼんやりその景色眺めていたら、とんとん・にっきのtontonさんにお声かけられビックリ!呆けた顔見られてしまった…

とめはねっ! 4 (4) (ヤングサンデーコミックス)
とめはねっ! 4 (4) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏

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おまけ

栃木県立美術館で「「出光コレクションの至宝 茶の湯の美 茶道具との出会い・語らい」展を開催中(3月15日まで)

 「芸術とは創作、努力、美である」と語った出光美術館の創立者、出光佐三は、本県出身の画家小杉放菴や竹工芸家飯塚琅斎とも親交ががあった実業家でした。彼は自ら使って楽しむために、唐津焼などの茶道具を求めていました。
 本展は、財団法人出光美術館の貴重なコレクションから、野々村仁清「色絵芥子文茶壺」ほか重要文化財3点を含む、鎌倉から近代までの茶道具と書画の名品約80点をご紹介するものです。


それでは最後に「今日の美味


ガトー・ド・ボワイヤージュ横浜馬車道本店」の「フィユタージュ
Yさんありがとう!カンガルーのステーキの味レポート楽しみにしています!

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http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1654

JUGEMテーマ:アート・デザイン


パソコンの普及によって、文字は書くものから打つものへと変わりつつある中、書の世界は、いま静かなブームを迎えています。
古来わが国では、漢字と仮名の両方を用いながら、独自の世界観を形成してきました。漢詩文や和歌など貴族社会の文芸を中心に発展してきた中、江戸期には町衆や庶民層に至るまで、文字を書くことが浸透してゆきました。今なお、わたしたちは日々の暮らしの中で文字に親しみ、書くこと、綴ることによって、自らの意志をどのように表現し、伝えようかと工夫しつづけています。
人の語ることばが、文字により造形(カタチ)を成した瞬間から、そのことばの中に潜む魅力は、人を離れて広がりはじめます。そしてここに書の表現力が加わることで、ことばの調子や印象は、より大きなものへと膨らんでゆきます。筆を用い、白い紙の上に墨で書き記されるだけで、同じことばでも、様々な表情が生まれ出すのです。
本展では、3つのテーマに沿って、「文字性」と「表現性」とから多様な書の魅力に迫ります。古典の名跡より、それを継承した近世そして現代までの作品約60件を厳選し、現代に生きる私たちの眼で、書の魅力との対話を試みます。



| 展覧会 | 23:49 | comments(11) | trackbacks(5) |
こちらのブログに「とめはねっ!」が出てくるとは。
「とめはねっ!」読んでます。
(私の行っていた高校のあたりが舞台なんです)
って展覧会の方には何もコメントしませんが。
| KIN | 2009/02/04 1:31 PM |

学芸員さんが解説してくれる日に行ってきました。
「黒白相変」(第1室)は、
最初は警視庁の所有だったが、
その後、東博の所有になった、という話にニヤリ。
警視庁が「黒白相変」・・・。意味深だわ。
仙がい「般若心経」、
これまでは部分しか展示されていなかったのが、
ようやく全編見られたのがよかった!
| 菊花 | 2009/02/04 8:45 PM |

こんばんは。
何を血迷ったのか、行ってきました。絵をみるような気でみて、なかなかに楽しめました。

>キャプションが素人にも分かりやすく面白味がある
まさに書を見慣れない僕のようなものにも親切でよかったです。
それと、絵で親しんでいる名前が何人もあって、意外に身近に感じられましたね。般若心経を見比べて愉しめるとは思いもしませんでした。
| キリル | 2009/02/04 9:19 PM |

私も書はよくわからないですが見にいきました。
キャプションを読んでふむふむと思っておりました。
で、もう一度最初に戻ると
「パッと見て わかった気分の 書の姿 読んだとたんに 消える印象」
の川柳が目に飛びこんできて、一人にやにやしておりました。
| ともみすと | 2009/02/04 10:23 PM |

今日の日経夕刊で、グラフィックデザイナー杉浦康平氏が紹介されていました。新著が『文字の美・文字の力』。
文字そのものの持つ力を追求している、とのことです☆
| さくら | 2009/02/04 11:17 PM |

@KINさん
こんにちは。

なんでもアリのブログですので。
とめはねっ!も当然!!
鎌倉なんてしばらく行っていません。
江ノ電乗りに行きたいな〜(神社仏閣も)

@菊花さん
こんにちは。

学芸員さんの生解説があれば
更に理解度増しますね。
いいなーー

「黒白相変」にそんな経歴が
あったとは!
パトカーと一緒ですね。
益々興味深く拝見できますね。
良い日に行かれたようで羨ましいです。

@キリルさん
こんにちは。

私も会員ではないなら
行っていなかったでしょう。

行けば行ったで必ず収穫はあるものですよね。
今回もついでで行ったにも関わらず
本件以上の楽しさ得ることができました。
丁寧に親しんでもらおうという美術館サイドの
態度がそこかしこに出ていました。

@ともみすとさん
こんにちは。

あの川柳もう一度最後に見てみると良いのですね。
なるほど〜それは気づかなかったです。
無限ループのような構成ですね。
「すきま」のように思えた展覧会ですが
なになに全くそんなことありませんでした。

@さくらさん
こんにちは。

情報ありがとうございます。
早速探して見てみます。
絵画よりも奥深さ感じられます。
| Tak管理人 | 2009/02/05 7:51 AM |

私もご縁あってか一休さんや江月さんに袖を引かれたようで、
足が痛いという母を座っていいからと騙しだまし^^;
ふらりと立ち寄ってみたら…雷に打たれたように痺れました!
皆さんの感想を拝見していると、また感動が蘇ります。

「とめはねっ!」面白そうだな〜と気になっていました。
Takさんもお薦めでしたら、読んでみようかな♪
10代で止めてしまっていた書の稽古も再開したいと思っています。

TBお送りしま〜す☆宜しくお願いします。
| 山桜 | 2009/02/09 9:18 AM |

@山桜さん
こんにちは。

小学校の低学年の頃
たまたま書のコンクールで
入賞してしまい、いい気になり
ろくに練習もせずに成長。

今ではあの時、謙虚に
きちんと習っておけばと後悔しきり。

私もかみさんと一緒に習おうかな〜
| Tak管理人 | 2009/02/10 7:46 AM |

イランカラプテ!
いま、貴ブログを愉しく拝見しています。内容充実 見やすくて 良いサイトですね。これからも楽しみです、どうぞよろしく。

山桜さんのブログ「天地(あめつち)に遊ぶ」から寄り道しました。日本の書跡、古筆手鑑「見努世友」(国宝)も一度は拝見したいものです。
| 美幌音楽人 | 2009/02/10 9:54 PM |

@美幌音楽人さん
こんにちは。
はじめまして。
コメントありがとうございます。

手鑑「見努世友」(国宝)は一度
全ての頁をずらーーと
展示していただきたいです。
壮観でしょうね。

これからも宜しくお願い致します。
| Tak管理人 | 2009/02/12 7:56 AM |

文字の一部が絵画になった作品もあって、書画の一体感がいい!普段、絵を見たり描いたりしない人も、文章を読んだり書いたり、兎に角日常生活で身近なのが文字なので、本当は絵画より、敷居が低いのだろう。でも、現代書道展となると抽象絵画のように取っ付き難い気がするもの。本展示は、解説もあって、そういう分かり難さを取り払えような要素があった。コミック等も興味を惹くなら有効ですね。
| PineWood | 2016/02/13 1:26 AM |










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| アトリエ・リュス | 2009/02/04 9:33 PM |
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先日の稽古で「一休・澤庵・江月・江雪」の画賛を学んだ所為か 次は書をもう一度習いに行こうかと密かに思っていたこともあって、 銀座に出たついでに、それほど心積もりしていなかったのに 「文字の力・書のチカラ」展(出光美術館)に立ち寄ることになった。
| 天地(あめつち)に遊ぶ | 2009/02/09 9:20 AM |
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出光美術館で開催中の「文字の力・書のチカラ」に行って来ました。 こちらの展覧会の報告は、日頃お世話になっているブロガーの方々が素...
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不肖・私がフェルメール30作品の解説執筆と全体の編集に携わった一冊です。オールカラーB5版。96ページから成る、これまでにないフェルメールパーフェクトガイドです。主に「フェルメール初心者」に向け丁寧に噛み砕いた表現で綴られているので、美術の専門用語を知らずともフェルメール作品について一通りの知識を得ることが出来ます。

お手に取って頂ければ幸甚です。よろしくお願い致します。
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レニー ソールズベリー,アリー スジョ
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日高 薫
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日本美術鑑賞の際に、よく出てくる言葉を満載。絵画、彫刻、工芸品などの具体的な写真をふんだんに使い紹介
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