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「甦る中山岩太展」

東京都写真美術館で開催中の
「甦る中山岩太:モダニズムの光と影」展に行って来ました。



ランドスケープ 柴田敏雄展」(2階)と一緒に観て来た写真展。
↑こちらが容赦なく現実の世界を鑑賞者に示す写真であるのに対し、同じ美術館の3階で展示されている「甦る中山岩太:モダニズムの光と影展」は、とても幻想的な写真の世界が展開されています。


」・「静物(ひまわり)」・「デモンの祭典

目の前に広がる景色や人物等を写し撮るのが写真だと仮に定義するなら、中山の写し出すそれは写真とは呼べないものとなってしまいます。

中山の写真は、今日我々が何の疑いもなく抱いている「写真=リアリズム写真」という「常識」に大きな揺さぶりをかけて来るものばかりです。

尤も、さして長くない「写真の歴史」をきちんと学んでいる方にとっては、ノスタルジックな感覚を中山の作品から受けるのではないでしょうか。

いずれにせよ、近年の写真展では味わったことのない特殊な、今まであまり触れたことのない別世界の写真を拝見することが出来たのは大きな収穫でした。

因みに現代の写真の流れに関しては、こちらのサイトがとても参考になります。
「現代の写真」−日本のフォト・ドキュメンタリ−


福助足袋」、「・・・」、「イーブ

現実には存在しない幻想世界を中山は写真によって視覚化。

この一文の中に言語矛盾を感じてしまうほど、写真はリアルな現実を写すものだという狭義の認識が頭の中を覆い尽くしてしまっています。

中山の写真作品の中には、絵画作品のようなものが多く見受けられました。それはマン・レイ的であり、マグリット的(シュールリアリズム的)であり、またコラージュ風な作品も。1918(大正7)年、東京美術学校(現・東京藝術大学)の臨時写真科を第1期生として卒業しアメリカ、パリを渡り歩いてきただけのことはあります。

時代を象徴するかのような、モダーンな作品のオンパレード。
しかしそれも第二次世界大戦まで。終戦後は一転して時代遅れの写真へと。


長い髪の女」1933年

それでも自分のスタイルを貫き通した点に強く惹かれました。
孤高の画家ならぬ、孤高の写真家。

そして今、再び俄かに注目を浴びるようになってきた中山の写真。政治も経済も益々行き詰まりの感が色濃くなってきた現在。幻想的で幻視的な中山の作品にスポットが当てられるのも納得がいくところ。現状を打開する為に揺さぶりをかけんとするかのような「写真」にどこか映画「ALWAYS 三丁目の夕日」的な印象を抱いたのもあながち間違いではなかったかも。

阪神・淡路大震災によって中山の遺したガラス乾板、フィルムのネガが被害を受けたことが、中山再評価のきっかけとなったのも皮肉なこと。しかしそれもまた「揺さぶり」の一環なのかもしれないと思うと、時代の要請を感じずにはいられませんでした。

「甦る中山岩太:モダニズムの光と影」
このタイトル付けた人、凄いね。
これだけで写真展の全て言い表わしています。天才!

最後に「今日の一枚


ポートレート(藤田嗣治)」1926-27年

藤田ってそのままフツーに写しても、「モダニズムの感性にあふれた『新興写真』」のように見えます。現実が幻視を超越する逆転現象たまに起こり得ることこの「写真」が物語っています。

上海からきた女」1936年
「甦る中山岩太:モダニズムの光と影」展は2月8日までです。

どうでもいいことですが、この写真観て瞬時に昔、親父がカラオケで唄っていた「上海帰りのリル」をイメージ。幼い頃聴いた(聴かされた)歌って妙に頭の片隅で忘れずに残っているものです。


東京都写真美術館
〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
tel:03-3280-0099
開館時間:10:00-18:00(木、金は20:00まで)

増補 都市の視線 日本の写真 1920─30年代 (平凡社ライブラリー)
増補 都市の視線 日本の写真 1920─30年代 (平凡社ライブラリー)
飯沢 耕太郎

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それでは最後に「今日の美味


マリアージュ フレール(MARIAGES FRERES)」の「TB911 エロス ÉROS
「ハイビスカスとモーブのやさしい香り。」全くクセがない!この紅茶だったら何杯でも飲めます。ガーデンプレイス内に店舗あります。

おまけ

講談社「週刊 世界の美術館」最新号は「大英博物館[2](イギリス)」


発掘物語 流砂の中から現れた秘宝
イギリスの探検家オーレル・スタインが発見した?敦煌遺跡について実に4ページに渡る特集が組まれれています。これは必見。必読。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1655

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中山岩太(1895〜1949)は、1918年に東京美術学校(現・東京藝術大学)臨時写真科を卒業し、農商務省の海外実業練習生として渡米しました。
'21年、ニューヨークに写真スタジオを開業後パリに渡り、「フェミナ」誌で嘱託写真家として活躍する一方、藤田嗣治やマン・レイなどとも交流を深めます。'27年に帰国。'30年には「芦屋カメラクラブ」をハナヤ勘兵衛らと結成し、'32年には野島康三らとともに写真雑誌『光画』を創刊。モダニズムの感性にあふれた「新興写真」の旗手として日本の近代的写真表現をリードする存在となります。
本展では、作家の手によるオリジナル・プリントに加え「残されたガラス乾板」をもとに、銀塩印画紙によるプリントを展示。ニューヨーク時代から晩年に至るまでの主要な作品を中心に、全紙大のプリント約40点の公開や中山の制作過程を明らかにするガラス乾板、また、『光画』をはじめ、当時の写真雑誌、関係資料をあわせて約120点の作品と資料をご紹介いたします。
銀塩写真の危機が叫ばれている今日、歴史的遺産ともいうべき写真原板をいかに後世に伝えていくかという問いかけに対する一つの答えを示す場となるのではないでしょうか。

展覧会 | permalink | comments(5) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

写真という表現手段の面白さを楽しんだ
展覧会でした。
一村雨 | 2009/02/05 5:34 AM
@一村雨さん
こんにちは。
TBありがとうございます。

「ランドスケープ展」とは
まるで違う写真の可能性。
今の写真美術館は充実してますね!
Tak管理人 | 2009/02/05 7:59 AM
こんにちは
最初に「上海から来た女」を見たのは'90年に三越でした。
丁度上海熱が自分の中で高まっていたので、強く惹かれました。
中山の写真は芦屋美術館、兵庫県美術館に比較的多く残されていて、展覧もしばしばあるのが嬉しいところです。
個人的には福助足袋がけっこう好きですが、どちらかと言えば人物を写した作品の方が好ましく思います。

♪海を見ていたリル〜
わたしが歌うと、編曲&替え歌になるそうです。
遊行七恵 | 2009/02/05 12:43 PM
私も行って来ました!
ちょうどブログにアップしたところだったので、
TBさせていただきますね〜。

photoshopで処理するのと、
全然違いますよね、なんとも味わい深い。

静物画のような写真から、
「福助足袋」のような写真までとても幅広い切り口で、
自分のスタイルを貫く柴田とは対照的ですよね。
あきこ | 2009/02/05 10:37 PM
@遊行七恵さん
こんにちは。

上海もこの当時とは
様変わりしたでしょうね。
近場の割には一度も行ったことない中国
フェルメールも一応観終えたことだし
次はそちらにでもと思っていつつも
ついついオランダへ目が向いてしまいます。

今度、遊行さんの歌声でも。

@あきこさん
こんにちは。
TBありがとうございます。

ナイスタイミング!
記事に書こう書こうと思いつつも
書くタイミング逸していました。

柴田氏と上下に会場をわけ
それぞれ独自の写真世界を展開。
いやーー今の写真美術館行ってまず
損はありませんね。
Tak管理人 | 2009/02/06 7:52 AM
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中山岩太は大正末期から昭和初期にかけて、活躍した写真家である。フランスから帰国後、マン・レイの影響を受け、スタジオ内で様々なモンタージュ写真などシュールレアリスム調の作品を作っていた。「モダニズムの光と影」というサブタイトルは、帰国後の作品のことを指
蘇る中山岩太東京都写真美術館 | つまずく石も縁の端くれ | 2009/02/05 5:29 AM
恥ずかしながら、中山岩太という写真家を知りませんでした。 なので、あまり期待もせず足を運んだのですが、それがかえってよかったようです。新しい発見がたくさんありました。 ガラス乾板を何枚も重ねて撮られたモンタージュ写真は、昭和初期の作品とは思えないほ
『甦る中山岩太:モダニズの光と影』 | ココロに小さなしあわせを | 2009/02/05 10:40 PM