弐代目・青い日記帳 

  
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「ゴーギャン展」記者発表会
2009年7月3日〜9月23日まで東京国立近代美術館で開催される「ゴーギャン展」の記者発表会にお邪魔して来ました。



今年の夏、ポール・ゴーギャンの最高傑作が日本に初めてやって来ます。

今を遡ること20数年前。1987年に東京国立近代美術館でゴーギャンの大回顧展が開催されたそうです。出展作品数約150点からなるまさに「決定版:ゴーギャン展」。しかしその大回顧展で実現出来なかったのが、ゴーギャンの最高傑作と誰しも認める大作「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」を借りられなかったこと。

東近美にしては「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」の展示公開は、是非とも実現させたい、まさに悲願。

しかし、所蔵先のボストン美術館さんもそう簡単にレンタルしてくれる代物ではありません。何と言っても館の大きな目玉のひとつです。


先月発売になった講談社,週刊世界の美術館「ボストン美術館」でも表紙をこの作品が飾り「必見!ベスト3」のトップに掲げられていました。

因みに週刊世界の美術館にはゴーギャンのこんな言葉が紹介されています。

私は、死を目前にして全精力を傾け、情熱を込めてこれを描いた。

タヒチで描かれた作品ですが、パリに運ばれ画商の手に。その後紆余曲折を経て1936年にボストン美術館へ落ち着いたそうです。

ボストン美術館での展示風景

それ以後はパリに1949年と2003年に二度ほど「帰国」しただけで、その他一切貸し出しされぬ門外不出のコレクションであるこの作品が何と日本に今年やって来てしまうのです。

近代美術館の悲願成就と共に、ゴーギャン・ファン、美術ファンにとっても大変嬉しい朗報・吉報。ゴーギャン嫌いの自分でさえもこれだけ舞い上がってしまうのですから、お好きな方にとっては今から待ちきれないのではないでしょうか?


我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか

さて、今日行われた記者発表会では東京国立近代美術館、主任研究員である鈴木勝雄氏(イケメン)から本展覧会の概要がスライドを使って説明されました。

ゴーギャン芸術の集大成である「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」(1897-98年)を中心に他の作品等と比較しながらこの謎めいた、精神的遺言ともとれる大作を読み解いて行こうとするのが狙い。

何でも鈴木氏がおっしゃるにはこの作品は「危機の時代」になると鈍く輝き出す奇妙な作品であるそうです。例えば最初にパリに貸し出された1949年の翌年には朝鮮戦争が勃発。冷戦のグローバル化が始まった年でもあります。核兵器の恐怖にさらされた時代にパリでこの作品を観たアンドレ・ブルトンは「文明社会批判」を強く感じ取ったそうです。


かぐわしき大地」1892年 大原美術館(〜8月30日まで展示)

現在もまさに混迷の時代。ゴーギャンの作品を前に現代人がどのような解答を導き出すのか試されているようでもあります。絵を観て思索せよ!と「野蛮人・ゴーギャン」からの時を隔てた強烈なメッセージが隠れているのだと。



展覧会の構成は以下の通りです。

1章 内なる「野生」の発見
・ブルターニュ滞在
・印象主義を乗り越え
・野蛮人ゴーギャン
・キリスト教的主題の登場


二人のブルターニュ女のいる風景」1889年 ボストン美術館

2章 熱帯の楽園、その神話と現実
・第一次タヒチ滞在(1891-1893)
・熱帯のアトリエ
・タヒチのエヴァ
・帰国(1893-1895)
・オヴィリ=野蛮人=ゴーギャンの自画像


オヴィリ」1894-95年頃 静岡県立美術館

3章 南海の涯て、遺言としての絵画
・第二次タヒチ滞在(1895-1901)
・遺言としての絵画
・マルキーズ諸島滞在(1901-03)
・馬と騎手のモチーフ


女性と白馬」1903年 ボストン美術館(日本初出品)

全ての出展作品を「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」につながるように展覧会を時系列に沿って構成。

印象派のピサロを思わせるような初期の作品から、ゴーギャンの内なる「野生」を開花させたブルターニュ地方へ移ってからの「平坦な色面によって堅固かつ装飾的な画面構成」の確立。そしてまたゴッホとアルルで共同生活で更にそれが強固なものに。

1891年タヒチに渡った後もキリスト教主題を描き出し続け、「豊な楽園」から「死」をイメージするように。野蛮人という意味を持つ「オヴィリ」や「エ・ハレ・オエ・イ・ヒア(どこへ行くの?)」1892年を制作。「オヴィリ」はゴーギャンの意向により現在でも彼のお墓の上に設置されているそうです。


エ・ハレ・オエ・イ・ヒア(どこへ行くの?)」1892年
シュトゥットガルト州立美術館

最終章である3章「南海の涯て、遺言としての絵画」の解説は、これまで漠然と抱いていたゴーギャンに対するイメージに大きな揺さぶりをかけるものでした。以下、リリースの文章引用。
1893年にパリに戻ったゴーギャンを待っていたのは、タヒチ時代の作品に対する無理解であった。パリの美術界に幻滅した画家は、1895年、二度とヨーロッパに戻らない覚悟で再びタヒチを目指す。しかし、健康状態の悪化と財政の逼迫により制作もままならない日々が続く。ゴーギャンをさらに深い悲しみに突き落としたのが、最愛の娘の死の知らせであった。自らの運命を呪いながら、ゴーギャンは遺言としての大作《我々はどこから来たのか》の制作に着手する。絶望の淵での創作とはいえ、そこには人間存在への哲学的な思想が静かに語られていた。未開の地を求め続けた画家は、1901年にマルキーズ諸島に移住して、最後の日々を送る。晩年の作品に頻繁に登場する馬は、彼岸に向けての旅立ちを暗示しているのかもしれない。

浅瀬(逃走)」1901年 プーシキン美術館

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」だけの展覧会だと思っていたら大間違いです。相当突っ込んだ深い内容の展覧会。晩年の作品にしばしば「馬」が登場しそれが「死」を暗示しているなど初めて知りました。これは作品観るの面白くなります。俄然。

それにしても「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」がピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの横長の作品に影響を受けているとは!

諸芸術やミューズたちのいる聖なる森」1884-89年 シカゴ美術館



謎の多い大作「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」も右から左に時間の流れがあり、
右端に描かれた赤ん坊(眠る赤子・生誕・聖母子)が「我々はどこから来たのか
中央に群がる人々(楽園のエヴァ・誘惑と堕落)が「我々は何者か
左端に描かれた死を迎える寸前の老婆(人間の不幸)が「我々はどこへ行くのか」と解釈できるとか。

謎解きはこれだけではありません。
まだまだ山ほど解釈生まれてきそうです。

それこそが、繰り返しますがゴーギャンの作品を前に現代人がどのような解答を導き出すのか試されていることになるのかと。絵を観て思索せよ!と「野蛮人・ゴーギャン」からの時を隔てた強烈なメッセージが隠れているのだと。

ゴーギャン展」は7月3日から。
またしても待ち遠しい展覧会がひとつ加わってしまいました。。。

会期:2009年7月3日(金)〜9月23日(水・祝)

会場:東京国立近代美術館
(東京都千代田区北の丸公園3-1)
(最寄駅)東京メトロ東西線 竹橋駅1b出口 徒歩3分

開館時間:午前10時−午後5時
(金曜日・土曜日は午後8時まで開館)
※入館は閉館の30分前まで

休館日:月曜日
※7月20日(月・祝)、8月17日(月)、8月24日(月)、
 9月21日(月・祝)は開館、7月21日(火)は休館


とってもお得な前売り券
嬉しい4月30日までの期間限定で当日券よりも1200円もお得なペアチケット発売中です(二人で使っても、一人で二度使ってもok)詳しくは公式サイトまで。

また、会期中は金曜日だけでなく土曜日も夜間開館実施。近代美術館偉すぎ!ここの職員さんほんといつ伺っても対応が親切・丁寧。

更に、会期中(開館時間中)、JR東京駅日本橋口・東京国立近代美術館間を無料シャトルバスが運行されるそうです。(ゴーギャン展ラッピングバス)
東京駅から歩いて約20分ほどですが、開催されるの真夏ですからね〜
竹橋の駅から歩くのもしんどそう。。。

東京展に先駆けて4月18日から6月21日まで名古屋ボストン美術館にて「開館10周年記念 ゴーギャン展」が開催されるそうです。


名古屋ボストン美術館 開館10周年記念 ゴーギャン展 スペシャルサイト

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」をメインにしながらも名古屋と東京では違った展覧会となるようです。


ノア・ノア―タヒチ紀行 (岩波文庫)
ノア・ノア―タヒチ紀行 (岩波文庫) ポール・ゴーガン

それでは最後に「今日の美味


この他のお料理の画像はこちらにまとめてあります。

ゴーギャン展会期中(7/3〜9/23)、東京国立近代美術館併設の「クイーン・アリス アクア」に”フレンチの鉄人”として有名な石鍋裕(いしなべゆたか)シェフによる特別メニューが登場!!一足お先にお味見して参りました。

今日は石鍋シェフからお料理について簡単な説明もありました。



竹橋の近代美術館は、どんな展覧会でもかみさんが喜んで出かけます。その訳はレストラン「クイーン・アリス アクア」特別メニュー以外のでも値段の割にはボリュームのあるお食事頂けます。雰囲気もいいんですよね〜ここ。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1683

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フランスの後期印象派の画家ポール・ゴーギャン(1848-1903)は、フランスでの画家活動中、西洋文明に希望を失い、40歳を過ぎてタヒチに渡りました。タヒチ時代の傑作《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》は、名実ともにゴーギャンの代表作です。謎めいた大画面には、これまでの彼のさまざまなモチーフが統合され、象徴主義美学の総決算ともいわれています。
本展では、この大品を中心に主にタヒチ時代の油彩、彫刻、版画など約50点を精選し、ゴーギャンが作品に込めた深淵かつ壮大な人類のテーマをいま一度、現代に提起いたします。
 《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》を中心に据えた今回の展覧会においては、鑑賞者ひとりひとりが、この謎めいた作品世界に深い分け入ることができるように展示にも工夫を凝らします。ゴーギャンの生涯をたどる回顧展ではないので、厳密な制作年順の配置は行わず、むしろその制作のプロセスや、繰り返し登場するモチーフ、そして造形的な要素に注目して作品を組み合わせていきます。そこから、タヒチに渡る前のフランス時代とタヒチ時代とが意外にも一続きであることが見えてくるでしょう。また、西欧の伝統的な図像や、非西洋圏の民族文化、そして自身の旧作も含めた膨大なイメージソースを画面上に自在にコラージュしていくという、ゴーギャン独特の創造の方法も明らかになるはずです。...ボストン美術館の作品に海外と国内に所蔵される作品を加えた約50点を展示します。
| 展覧会 | 23:08 | comments(9) | trackbacks(1) |
87年のゴーギャン展、懐かしいです。
目に焼き付いた美しい色彩と図録の色が全然違うので、ああ、本物を見なきゃ意味がないんだなあと知りました。
この頃から少しずつ美術展に行くようになったのです(今のペースになったのは、ここ数年)。
| ogawama | 2009/03/05 10:27 PM |

@ogawamaさん
こんばんは。

私はまだまだ好き嫌いが激しかった頃なので
(今よりも)
ゴーギャンと聞いて行くのやめました。
勿論今では大後悔しています。。。

その時の価値観で行く行かない決めると
ろくなことないと身にしみました。
| Tak管理人 | 2009/03/05 11:33 PM |

こんばんは
'87年・・・まだまだ本ばかり読んでて、実際の展覧会に行くことのない暮らしの最中でした。
(今は逆転して、本も読まず外に出るばかり←コラ)

ちょっとがんばって早い目に見に行きたいです。
それに東京駅からのゴーギャン柄のバスに乗りたいです。
暑いから夜間開館に行くと思いますが。
| 遊行七恵 | 2009/03/06 12:10 AM |

おぉ〜!!!!!
そんな対策がお目にかかれるんですか、
是非とも観にいかなくては!
夏、
ゴーギャンに似合う季節ですね〜
シャトルバスにも乗ってみたい☆
| サッチャン | 2009/03/06 8:45 PM |

@サッチャンさん
こんにちは。

不景気の影響で西洋絵画を
どーーんと展示する展覧会
今年からがた落ちしている中
この展覧会は際立って目立ちます。

仰るように夏=ゴーギャンの
イメージにぴったりですね。
愉しみ楽しみ!!
| Tak管理人 | 2009/03/08 11:35 AM |

珍しく、初日に行って来ました。

入り口の脇で並ぶ人がいたので、不審に思ったら、
これがゴーギャンバス待ちの人でした。
後から黄色のラッピングバスが現れて、
ほほ〜と見とれましたが、
横目にして地下鉄乗り場に急ぎました。
「どこに行くのか」
と思ったら、日本橋方面でした。

ゴーギャンの大作はもとより、
今回版画を沢山見ることができたのが収穫でした。

常設もグット!
さて、梅雨が明けて、
会期短めで、竹橋はタヒチ。熱いですぞ。
| あべまつ | 2009/07/03 11:14 PM |

@あべまつさん
こんばんは。

まだ、ラッピングバス拝見してないんです。。。
本当は画像とか載せたかったのですが。
東京駅と近代美術館を無料運行しているそうです。
竹橋ちょっと不便ですからね。
こういったサービスは嬉しい限りです。

展覧会会場狭いので混雑しないうちに
いま一度しっかりと見てきたいと思っています。

想像していた以上に質の高い展覧会で
驚きました。次は浮世絵展ですね!写楽!!
| Tak管理人 | 2009/07/03 11:48 PM |

こんにちは。
「ゴーギャン展」記者発表会はもう4ヶ月も前だったのですね。そのときはいいなあと夢中で読んだ記憶はありますが、やっと行ってきました。
すばらしかったです。ゴーギャンについては好きではなくても、あの絵だけは見たかった!《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》まあほんとにすごい絵です。帰る頃はすっかりファンになってる自分に気づきました。もうまた見たくなって友人とNHKと竹橋と、今週行くことにしました。
| すぴか | 2009/07/12 2:45 PM |

@すぴかさん
こんばんは。

月日の経つのあっという間ですよねー
ついこの間、記者会見参加してきたと
思ったのですが。。。

自分もゴーギャンは苦手で
人間的にも作品的にも。
ところが今回の展覧会で
その苦手意識がかなり薄れました。
理由はよく分かりません。だから
自分も今一度行く予定です。
| Tak管理人 | 2009/07/13 7:06 PM |










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ゴーギャン展 東京国立近代美術館
 ゴーギャン展 東京国立近代美術館 (2009年7月3日〜9月23日)に行ってきました。                                                 (7/10)        《我々はどこから来たのか 我々は何者か
| すぴか逍遥 | 2009/07/12 2:21 PM |
編集・執筆を務めた『カフェのある美術館 素敵な時間を楽しむ』(世界文化社)好評発売中です。


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松本 典子
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日高 薫
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