青い日記帳 

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「松岡映丘とその一門」

山種美術館で3月1日まで開催されていた
「松岡映丘とその一門―山口蓬春・山本丘人・橋本明治・高山辰雄―」展に行って来ました。



こんな拙いブログでも書いているとたまにはいいことあります。

約一年前、山種美術館で拝見してきた「桜さくらサクラ・2008」展の記事に、松岡映丘の作品について拙い感想を書いたところ、一通のメールが届きました。

そのメールの差出人は松岡映丘のご子孫にあたる方からのものでした。

拙ブログをたまたま拝見なされ、「桜さくらサクラ・2008」展のチラシに使われていた松岡英丘の「春光春衣」が展示されていることを知り、山種美術館まで出かけ久しぶりに「おじいさんの絵」を観る機会に恵まれたという感謝のお気持ちを丁寧な文体で綴られたメールでした。(今でも大切に「保存」してあります)

松岡映丘「春光春衣

プライバシーに関わることもありますので、メールの内容を詳らかにここで紹介することは致しませんが、とにかく大変お喜びになられていらしたのは事実です。今回のこの展覧会へも足を運ばれるとのことでした。

国学者の井上通泰(みちやす)、民俗学者の柳田国男、言語学者の松岡静雄を実兄にもつ」松岡映丘のお孫さんにこのブログがお役に立てたなんて、柳田先生を神と仰ぐ自分にとっては欣喜雀躍、喜色満面ものの喜び。

こうして毎日締まりのない駄文を連ねることしか出来ませんが、少しはどなたかのお役に立てているのであれば喜びこの上なし。

いつもよりも九段の坂を足取り軽やかに、山種美術館まで。

展覧会自体は3月1日で終了してしまいましたが、気になった作品をいくつか。


山口蓬春「芍薬」1957年

松岡映丘門下による新興大和絵会に名を連ねた山口蓬春。

明治26年から昭和46年まで日本が目まぐるしく歴史的な変化を遂げた激動の時代の中、身近にある植物を作品対象とする日本画の基本的スタイルを継承しつつ、大波のように押し寄せて来る西洋文化(西洋画の技法など)を取り入れた蓬春の作品。ブレや気持の迷いのようなものを感じさせないのは足元がしっかりしているからこそ。それはこちら↓の作品からも明らか。


山口蓬春「新宮殿杉戸楓(下絵)」1967年

こういった装飾的な一見「ばかみたい」な作品は、大和絵の真骨頂。
好きだな〜

実際には目に見えない世界を具現化。想像力の乏しい自分にとっては有り難し。師の松岡に至っては有職故実にも精通していた故、源氏や伊勢物語の世界をまるで見て来たかのように描き出してくれます。

今回展示されていた中でも白眉だったのは「伊勢物語(合作)第23段『筒井筒』
松岡映丘をはじめとして、中村岳陵、荻生天泉、吉村忠夫、川崎小虎による合作絵巻。更に詞書を書家の尾上柴舟が担当するという豪華布陣。

平成5年に東京国立博物館で開催された「やまと絵−雅の系譜−」展の図録には「大和絵」についてのシンプルにまとめられたこんな解説があります。
やまと絵は、日本で生まれ発展した伝統絵画です。中国の模倣に始まったわが国の絵画が、身近な日本の自然や風俗を積極的に取り込むことによって、やまと絵を誕生させたのは、平安時代の前期、九世紀のことでした。以来、われわれの祖先は、つねに中国絵画の影響をうけながらも、日本の風土やみずからの感覚に合った絵画様式を創り上げてきたのです。その様相は時代によって多様に変化しますが、一貫して日本人の自然に対する深い愛着と、物語への強い関心などが画面に反映されています。

山本丘人「入る日(異郷落日)」1963年

加山又造の描きだす世界にも共通するものが感じられる作品。
異郷落日とタイトルにありますが、キャプションを見るまでは「原始の日本」を描いた作品のように感じました。杉本博司氏の「海景」にも通ずる何かが。

因みに現在、東京近代美術館では山本丘人のこんな作品が展示中。

北濤」(ほくとう)1955年

こんな荒々しく雄々しい作品ばかりでなく「壁夢」1976年等は、まるでマリーローランサンの描くふんわりとした世界。今回の展覧会で最も気になった作家のひとりが山本丘人であること間違いありません。これからもっと意識して観ようっと。

もっと色々と書きたいこ沢山あるけどまとまらない!!
静岡県立美術館所蔵の松岡の「今昔ものがたり伊勢図」も観たい!

全然まとまっていませんが今日はここまで。
今日の一枚」はこちら。


高山辰雄「中秋」1986年

金地に銀の月がど真ん中に浮かぶ不思議な景色。
画像だけならエルンストと言われても疑わないかも。

伝統的な大和絵の系譜に則りながらここまで昇華させた高山辰雄は凄い。
色エンピツで描いたような違った意味で幻想的な川本末雄の「秋耀」と是非並べて見せて欲しい。

杉山寧の「杜若」と高山辰雄の「坐す人」の並びが最高だったので。

「松岡映丘とその一門」展はすでに終了してしまいましたが、明日3月7日からいよいよ千鳥ヶ淵では最後となる「桜さくらサクラ・2009」展がスタートします!


桜さくらサクラ・2009
当館が桜の名所である千鳥ヶ淵の隣に仮移転してから11年目となり、千鳥ヶ淵に因んで桜をテーマにした展覧会は、皆様にすっかり馴染み深いものとなりました。しかし、本年10月の広尾への当館本移転にともない、多くの方々に愛された「桜さくらサクラ展」も残念ながら最終回になります。最後に相応しく、リクエストの多い桜を描いた作品・約50点を展示します。本展で華やかに咲き競う桜の花々を満喫していただけましたら幸いです。


山種美術館
〒102-0075 東京都千代田区三番町2番地 三番町KSビル1階 
Tel:03-3239-5911
この地での展覧会開催残すところあと僅か。最後の展覧会は「上村松園/美人画の粋」(2009年5月23日−2009年7月26日)だそうです。

日本の四季―春・夏 (日本の美)
日本の四季―春・夏 (日本の美) 高階 秀爾

【関連エントリー】
- 山種美術館、広尾へ移転。 | 弐代目・青い日記帳
- 「山種コレクション名品選展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「山種コレクション名品選展」(後期) | 弐代目・青い日記帳
- 「千住博展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「桜さくらサクラ・2008」展 | 弐代目・青い日記帳
- 「琳派から日本画へ」 | 弐代目・青い日記帳
- 「小林古径展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「百花繚乱—咲き競う花々—展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「春のめざめ」展 | 弐代目・青い日記帳


それでは最後に「今日の美味


エシレ(ECHIRE)
食通の方から教えていただいたエシレバター食べログ.com
たかがバターされどバター.一度これ口にしてしまうと日本のものでは物足りなくなってしまう危険な一品。やっぱこういうものは西洋には全然かないませんね。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1685

JUGEMテーマ:アート・デザイン


本年度は、近代日本画の世界において、平安朝以来の「やまと絵」を復興させ発展させた日本画家・松岡映丘(まつおかえいきゅう・1881-1938)の没後70年にあたります。当館ではこの節目の年に、映丘とその門下生たちの画業を振り返る展覧会を開催いたします。
国学者の井上通泰(みちやす)、民俗学者の柳田国男、言語学者の松岡静雄を実兄にもつ映丘は、日本の歴史・文化に深い理解を示した画家でした。同時に、東京美術学校教授として山口蓬春(ほうしゅん)、吉村忠夫、山本丘人(きゅうじん)、橋本明治、杉山寧(やすし)、盪鈎ね困覆豹多くの優秀な人材を育てた有能な指導者としても知られています。
大正から昭和にかけての時代に、映丘が代表作《山科の宿(やましなのやど)》などで実現した古絵巻をもとにしたスタイルの可能性は、門下生たちにより自由な広がりをもって受け継がれていきます。絵巻のエッセンスを抽出し、師との合作を完成させた吉村忠夫の《伊勢物語(合作) 第23段「筒井筒」》。やまと絵に通じる題材を選びながらも、近代的な色彩と装飾性を加えて発展させた山口蓬春の《錦秋》や橋本明治の《月庭》。ある瞬間を印象的にとらえた杉山寧の《霽(せい)》や盪鈎ね困痢埣羹》で表現された独自の様式美―。映丘一門が確立し表現しようと試みた美の形は実にさまざまです。
本展では、一見まったく異なるようにも見える約50点の作品の中に、脈々と流れる松岡映丘とその門下生たちが共有する「やまと絵の精神」をご紹介いたします。

展覧会 | permalink | comments(8) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

まだずっと先だと思ってた山種のお引っ越しももうすぐなんですね。
千鳥が淵〜山種〜竹橋駅がお決まりのお散歩コースでした。
ちょっとさみしいです。
エシレはパリで見たら安くてビックリしました!
ちなみにカルピスバターがエシレとほぼ同じ味ですよ。
我が家はエシレを切らしたら、カルピスで当座をしのぎます。
さちえ | 2009/03/07 12:06 AM
エシレ〜〜〜!!!&カルピスバター私も大好きです〜♪
普通のバターも美味しいと思ってるけど、
いや、ほんと。美味しいものって美味しいんですね。
いや、ほんと。仰せのとおり、こういうものは西洋にかないませんね。
それにしてもお孫さんからメール戴くなんて嬉しいですね。
Takさんのあずかり知らないところで、絶対に多くの方に影響与えていると思いますよ〜。
拍手!
nao | 2009/03/07 7:21 PM
@さちえさん
こんにちは。

そうなんですよーー
今年引っ越しなんです。
もうこの周辺もまず
行かなくなるのでは。
イタリア文化会館へ
通うこともないでしょうし…
千秋美術館は結局一度も行かぬまま。

>カルピスバターがエシレとほぼ同じ味ですよ。
メモメモ。。。

@naoさん
こんにちは。

バター如きに。。。と
高をくくっていたのが大間違い。
口にしたとたん、この自分でも
その違いが分かるのですから驚きです。
それにしてもカルピスバターが
エシレに近い味なんて知りませんでした。
今度からはそれ買ってみます。

お孫さんからのご丁寧なメールは
大変励みになりました。
嬉しいです。こういったことが。
Tak管理人 | 2009/03/08 11:42 AM
こんにちは。

確かに、一見「バカみたい」な絵というのが日本画の良さの一つだと思います。
私も柳田国男が好きなので、その意味でも松岡映丘には関心があります。
猫アリーナ chariot | 2009/03/08 12:39 PM
こんばんは
>お孫さんからのご丁寧なメール

お孫さんも本当に嬉しかったのだと思います。
そして読んでいて、わたしもなんだかほんわかしたキモチになりました。
やっぱりこういう気持ちのつながりがエエナーとしみじみ思いました。

>杉山寧の「杜若」と高山辰雄の「坐す人」の並びが最高

思わず「うぉぉっ」です。わたしは「坐す人」にばかり意識が行ってしまいましたが、あの壁面はやはりよかったです。
遊行七恵 | 2009/03/08 9:41 PM
@chariotさん
こんにちは。

柳田国男つながりで好きになった画家さんですが
何点か作品を見て行くうちに本気で好きになってきました。
奥底で文学とのつながりがあるというのは魅力です。

@遊行七恵さん
こんにちは。

そうなんですよーー嬉しいメールを頂戴し
やっていて良かったなーーと。
ネットの世界ってこうして突発的な
出会いが生じるのも魅力的な点。

並びによって作品の印象随分と
違って見えますからね〜

今年の桜展も良かったですよ!
Tak管理人 | 2009/03/09 2:52 PM
こんばんは。筒井筒は如何でしたか?こうなると松岡映丘の単独展が見たくなりますが、それは新山種に期待ということで持ち越しですね。

>明日3月7日からいよいよ千鳥ヶ淵では最後となる「桜さくらサクラ・2009」

始まりましたね。
今年こそは何とか桜の咲く前に!
はろるど | 2009/03/09 9:46 PM
@はろるどさん
こんにちは。

メールいただいてから行きたく行きたくて
仕方なかったです。伊勢物語好きにはあの一枚
だけでもたまりません。

さくら展、実は先日既に行って来ました。
桜が咲いてしまうと大混雑ですからね。。。
Tak管理人 | 2009/03/10 7:37 AM
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チラシ表:松岡映丘<山科の宿>より「おとずれ」1900年 チラシ裏 もちろん僕の不得意の分野、しかし、素晴らしい、見事なものです。松岡映丘もさることながら、「その一門」がそうそうたる人たちです。文化勲章受章者がゴロゴロ、いわゆる「大家」たちです
山種美術館で「松岡映丘とその一門」展を観た! | とんとん・にっき | 2009/03/08 7:33 PM
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松岡映丘とその一門〜蓬春・丘人・明治・辰雄〜 | 遊行七恵の日々是遊行 | 2009/03/08 9:00 PM
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「松岡映丘とその一門」 山種美術館 | はろるど・わーど | 2009/03/10 9:50 PM