青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< April 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「手塚治虫展」 | main | 「大和し美し」 >>

「平成21年新指定国宝・重要文化財」が凄い。

「阿修羅展」と「Story of …」カルティエ クリエイション展で平日でも多くの人で賑わいを見せる東京国立博物館。



勿論こうした特別展も毎回毎回欠かすこと出来ませんが、それよりも毎回見逃すことが出来ないのが常設展示。とりわけ本館はまさに宝の山。平成館や表慶館で特別展だけ観てお帰りになってしまっては、マータリさんに「MOTTAINAI」を連呼されてしまいます。

今月12日までは本館1階18室で特集展示「黒田清輝のフランス留学」も開催していました。展示作品数31点からなる特集展示としてはかなり大がかりなもの。小さな美術館であればこれだけの名品(驚愕の作品リスト)が揃えば特別展を余裕で開催できるほど。

これが特別料金無しで拝見出来るのですから、観ておかない手はありません。

そして、同じく本館2階(特別1室・特別2室)では4月19日まで特集陳列「酒呑童子」が展示公開されています。「大琳派展」を担当された東博の日本絵画部門のエース田沢裕賀氏が特集陳列「酒呑童子」も携わっているとあれば観に行かずともそのレベルの高さ伺い知ること可能。


酒呑童子絵扇面」室町〜安土桃山時代・16世紀

頼光は酒天童子の首を打ち、他の5人は起き上がる童子の体を散々に切り刻んだ。童子の首はそらを飛び頼光の兜に食らいついた。

今回の展示が優れている点のひとつは、同じ場面を描いた別の作品をそれぞれ比較してみることが可能なこと。
今回の特集陳列では、室町時代末から桃山時代に描かれたと推測される「酒呑童子絵扇面」の紹介を中心として、狩野派の「酒呑童子絵巻」の祖本となった室町時代末の狩野元信筆「酒呑童子絵巻」の模本、桃山様式を示す当館所蔵の伝狩野孝信筆「酒呑童子絵巻」、さらには、現在原本の知られない江戸時代初期の狩野探幽筆「酒呑童子絵巻」の模本を加えて、室町時代から江戸時代初期にかけて流行した「酒呑童子絵」を比較しながら見ようという企画です。(田沢裕賀)
「酒呑童子絵扇面」と同じ頼光が鬼の首をはねたシーンを別の作品で観てみると…


酒呑童子絵巻 巻下」伝狩野孝信筆 江戸時代・17世紀

切られた童子の首が頼光の兜に食らいついているところや、他の5人が今だ!!と一斉に真っ赤な童子の身体を切りつけにかかっているシーンなど扇面とほぼ同じ。でもよく比較してみると逆に違う点もはっきりと。酒呑童子の身体つきが江戸時代の絵巻ものでは華奢に、その代わり飛び散る血はより派手に大量に。


酒伝童子絵巻(模本)巻下」 模写者不詳 江戸時代・18世紀
原本=狩野元信筆、室町時代・大永2年(1522)

スプラッター要素が江戸時代になるとより色濃く。人間徐々に刺激の強いもの欲していくものです。今も昔も。こんな血見どろ系の作品を見ていると否が応にもあの絵師の名前が頭の中に浮かんできます。

岩佐又兵衛勝以(1578〜1650)そうあの岩佐又兵衛です。
とりわけMOA美術館所蔵の「山中常盤物語絵巻」(重要文化財)は血みどろと聞けばまっ先に思い浮かぶ強烈な印象の作品。

その岩佐又兵衛の貴重な作品が一点同じく本館2階に現在展示されているのです。
(公開は4月19日まで)


岩佐又兵衛「伊勢物語 鳥の子図」安土桃山〜江戸時代・17世紀

残念ながら?「伊勢物語」五十段では血みどろシーンは登場しません。でもそれよりもっとコワイ浮気のお話。「男は、冷たい人と女に言われたのを恨み和歌を詠んだ。しかし、お互いに密かに他の人に通じていた…」


「行く水に数かくよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり」

左手で袖をまくしあげ右手をえいと伸ばし水面に恨みつらみの歌をしたためる姿。又兵衛特有のぽっちゃりしたちょっと間抜けな顔している女も目は真剣。「なりふり構わぬ」とはまさにこのことかと思うほど。これ胡坐かいているのかなー


辻先生ならきっと周りの木々のざわめきも見なさいとおっしゃるはず。

この「伊勢物語 鳥の子図」は元々福井の豪商金屋家に伝わった「金谷屏風」の一枚だったもの。「芸術新潮」の岩佐又兵衛特集号にはこの「金谷屏風」を再現した写真も掲載されています。


福井市立郷土歴史博物館では往時の姿をこのように再現しているそうです。

「金谷屏風」の中には、重要文化財に指定された「紙本著色梓弓図」も含まれています。(↑の画像では「伊勢物語 鳥の子図」の隣の作品)
岩佐又兵衛勝以(1578〜1650)は近世初期に風俗画を中心に独創的な画風を展開した画家。本図は、又兵衛後半生の代表作で福井の豪商金屋家に伝わった金谷屏風の1図であった。同屏風は和漢の故事人物図12図を自由に隣り合わせた押絵貼形式の優品であったが、明治時代末頃に解装され分散した。
フェルメール作品コンプリートし終えたので、次は又兵衛の「金谷屏風」にでもチャレンジしようかな。

耳寄りなお知らせ。(今日はここからが大事)

現在「酒呑童子」が展示されている展示室にて2009/4/28から2009/5/10まで「特集陳列 平成21年新指定国宝・重要文化財」が公開されます。

ピンと来た方鋭い!そう、この中に岩佐又兵衛勝以の「弄玉仙図」(千葉・摘水軒記念文化振興財団蔵)も含まれているのです!

更に更に、今年重要文化財に指定されたといえば当然ながら伊藤若冲の「菜蟲譜」(栃木・佐野市立吉澤記念美術館)や与謝蕪村の「夜色楼台図」も。(←蕪村の作品は写真パネル展示です。はろるどさん有難う〜)東博のサイトに公開されること既にアップされています。

「阿修羅展」と「Story of …」カルティエ クリエイション展もいいけど、こんなお宝が一堂に会する夢のような展示が常設展でフツーに行われるのです。これ見逃したら泣きます。何度観てもいい作品はいいものです。

4月28日から5月10日まで。短期決戦です。
ゴールデン・ウィークは何としてでも東博本館2階へ!!

特集陳列 平成21年新指定国宝・重要文化財
平成21年(2009)に新たに国宝・重要文化財に指定される美術工芸品等から39件(写真パネル展示3件含む)を展示いたします。
本館特別1室・特別2室 2009年4月28日(火)〜2009年5月10日(日)
(主催:文化庁・東京国立博物館)


TOKYO美術館 (エイムック 1692)
TOKYO美術館 (エイムック 1692)
東京都内の美術館94館を網羅した1冊。名作、名建築、美空間にカフェまで、美術館の楽しみ方を想像しながら楽しめます。さらに、常設展はもちろんのこと、2009年度の企画展を一覧表にして掲載。美術好きはもちろん、週末気軽に楽しむスポットとして美術館を訪れる人まで、幅広く使っていただける、完全保存版です。(発売日:2009.3/21)

【関連エントリー】
- 手作り「菜蟲譜(さいちゅうふ)」 | 弐代目・青い日記帳
- 「関東の文人画展」 | 弐代目・青い日記帳
- 伊藤若冲「菜蟲譜」今秋公開! | 弐代目・青い日記帳
- 伊藤若冲《菜蟲譜》29日よりいよいよ公開! | 弐代目・青い日記帳
- 160人でつくる若冲模写巻物 | 弐代目・青い日記帳
- 「対決巨匠たちの日本美術」 | 弐代目・青い日記帳
- ニューオータニ美術館「新春展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「源氏物語の1000年」展 | 弐代目・青い日記帳
- TV版『奇想の系譜』登場!「ギョッとする江戸の絵画」 | 弐代目・青い日記帳
- 「KAZARI日本美の情熱」展 | 弐代目・青い日記帳
- 「出光美術館名品展 II」 | 弐代目・青い日記帳
- 「源氏絵—華やかなる王朝の世界—」展 | 弐代目・青い日記帳
- "私ならこれを選びます" | 弐代目・青い日記帳

この記事のUR
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1729

JUGEMテーマ:アート・デザイン


源頼光とその家来の四天王が、酒呑童子と呼ばれる鬼を退治した話は、御伽草子で広く知られ、室町時代以来、「酒呑童子絵」が、絵巻や屏風に盛んに描かれました。
今回の特集陳列では、室町時代末から桃山時代に描かれたと推測される「酒呑童子絵扇面」の紹介を中心として、狩野派の「酒呑童子絵巻」の祖本となった室町時代末の狩野元信筆「酒呑童子絵巻」の模本、桃山様式を示す当館所蔵の伝狩野孝信筆「酒呑童子絵巻」、さらには、現在原本の知られない江戸時代初期の狩野探幽筆「酒呑童子絵巻」の模本を加えて、室町時代から江戸時代初期にかけて流行した「酒呑童子絵」を比較しながら見ようという企画です。(田沢裕賀)


平成19年度に新たに出品となった「酒呑童子絵扇面」の紹介を中心として、狩野派の「酒呑童子絵巻」の祖本となった室町時代末の狩野元信筆「酒呑童子絵巻(模本)」、桃山様式を示す当館所蔵の伝狩野孝信筆「酒呑童子絵巻」、現在原本の知られない江戸時代初期の狩野探幽筆「酒呑童子絵巻(模本)」を加えて、場面比較を行いながら、室町時代から江戸時代初期にかけて流行した「酒呑童子絵巻」を特集紹介します。
お知らせ | permalink | comments(8) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

こんばんは。「菜蟲譜」、いよいよ東京での公開ですね。撮影は厳しそうですが、是非とも再び拝んできたいと思います。

>夜色楼台図

こちらはパネルでしたか。MIHOはさすがにガードがかたいとでもいうのか…。

そう言えば日本橋の高島屋も重文指定を受けるそうですね。
好きなデパートだけに嬉しいです。
はろるど | 2009/04/19 1:05 AM
伊勢物語の解説。さすがにご専門だけあって
わかりやすいですね。浮気は恐ろしい〜
28日からの東博も必見ですね。
一村雨 | 2009/04/19 6:34 AM
こんにちは。
柏初の重文も出ますね。
地元での公開は100%ないので、上京しなくては。
mizdesign | 2009/04/19 8:05 AM
こんにちは。
酒天童子は今日、見に行ってきます。
知らなかったら見逃すところでした、ありがとうございます。

「菜蟲譜」の重文指定はうれしいですね。ぬりぬりした記憶が蘇ってきましたよ。
あおひー | 2009/04/19 8:27 AM
今回のGWは近場にしか行かないので、これは耳寄りな情報を頂きました! 
もう、今から楽しみです♪
alice-room | 2009/04/19 8:14 PM
@はろるどさん
こんばんは。

「菜蟲譜」撮影ダメでしょうね、、、きっと。
まぁそれでも都内で観られるだけよしとせねば。
毎回毎回栃木までは流石に。。。

夜色楼台図のパネルでの展示の件
本文に書くの忘れていました。
ありがとうございます。

高島屋展とか三越で開催すればいいのに〜

@一村雨さん
こんばんは。

伊勢物語はあのいい加減さが大好きです。
このお話も何だかな〜ってな内容。
又兵衛良かったです。拝見できて。

@mizdesignさん
こんばんは。

柏住民としては鼻高々では。
東博で拝見できるなら地元とそれほど
変わりません。これはラッキーです。

@あおひーさん
こんばんは。

酒呑童子は愉快でしたよー
比較する楽しさ学びました。

菜蟲譜を皆で作った経験
今でも忘れられません。あれは良かった!

@alice-roomさん
こんばんは。

大勢の人でごった返す
阿修羅展を横目に
この企画展示は絶対見逃せません。
Tak管理人 | 2009/04/19 11:32 PM
TB入れまくってすみません^^;
ここの常設の揃えは流石国立って感じですよね。
酒呑童子展は私も観てきたのですが、首がぶっとんでたりして、確かにスプラッターでした。こういう風潮もあったんですね。
21世紀のxxx者 | 2009/04/20 1:35 AM
@21世紀のxxx者さん
こんにちは。

TB大歓迎ですので。
TBだけ送ってくれても全然問題ありません。
どうぞどうぞお気軽に。

血みどろ系意外や意外
結構あるものですよ。
Tak管理人 | 2009/04/20 7:48 AM
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
この記事に対するトラックバック
本館2階の書画の展開のコーナーを回ると思いがけなく、岩佐又兵衛の絵に出会うことができた。「伊勢物語鳥の子図」である。毎度おなじみの又兵衛独特の豊頬長頤の女性像。もうすっかり又兵衛の虜となってしまった。伊勢物語五十段の「行く水に数かくよりもはかなきは思
常設展 東京国立博物館 | つまずく石も縁の端くれ | 2009/04/19 9:46 AM
阿修羅展、カルティエ展の後に法隆寺宝物館と本館も回ってきました。 本館1Fの正面左側のフロアで「黒田清輝のフランス留学」が行われていま...
黒田清輝のフランス留学 【東京国立博物館】 | 関東近辺の美術館めぐり 〜美術・美景・美味を楽しむブログ〜 | 2009/04/20 1:32 AM
ご注意。今回は刺激の強い残虐な絵の写真が含まれております。 結構グロいので、苦手な方はまた明日いらしてください^^; 阿修羅展→カルテ...
酒呑童子 【東京国立博物館】 | 関東近辺の美術館めぐり 〜美術・美景・美味を楽しむブログ〜 | 2009/04/20 1:32 AM