青い日記帳 

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「水墨画の輝き」

出光美術館で開催中の
「日本の美・発見I 水墨画の輝き―雪舟・等伯から鉄斎まで―」展に行って来ました。



懐石料理。一品一品は小さく量も僅かなのに、食べ終えると不思議とお腹いっぱいに。お座敷から腰を上げるのも苦労するほど、知らず知らずのうちに満腹に。

水墨画の展覧会を観終えた後ってその懐石料理を頂戴した後の感覚に通ずるものあります。作品一点一点は軽やか(に見えても)全て観終えると心は常に満腹状態。展覧会のハシゴもしたくなくなるほどに。

そんな心が満たされる展覧会の構成は以下の通り。

第一章:水墨山水画の幕開け
第二章:阿弥派の作画と東山御物
第三章:初期狩野派と長谷川等伯
第四章:新しい個性の開花ー近世から近代へ


作品数的には最後の第四章が群を抜いており、他の章は4,5点の作品しかありません。しかしその数少ない出展作品のいずれもがキラ星の如く輝く優品揃い。そしていつもの通り出光さんは構成(見せ方)が上手。


玉潤「山市晴嵐図」中国南宋時代 重要文化財

中国では企画外品として扱われたこの玉澗(ぎょくかん)の作品も、日本では大変珍重され日本人の絵師に大きな影響を与えた中国水墨画との関連性をしっかり(でもさりげなく)紹介。


雪舟「破墨山水図」室町時代

破墨」…水墨画の技法の一つ。淡墨で描いた上に、さらに濃墨で手を入れて立体感や全体の趣などを表すこと。中国、盛唐前期に始まる

本場中国では規格外作品としてはねられてしまったものを好んで日本人が用いたというのはどこか「耀変天目」と同じ匂いがしてきます。

墨の濃淡だけで表現された画面は遠近感も一層強く感じられるとともに大変リズミカルな印象を観る者に与えます。

一見簡単そうだけど難しいのでしょうね。
一枚の作品としてバランスよく描くには。
油彩画と違い水墨画は「修正」出来ません。
まさに真剣一本勝負!

だからこそ武人にも好まれたのかも。

宮本武蔵「竹雀図」江戸時代

チラシに用いられている長谷川等伯の「竹虎図屏風」や「竹鶴図屏風」なども勿論見逃せない作品。両作品については、2005年に出光美術館で開催された「新発見・長谷川等伯の美」展の記事をご覧あれ。

出光が持っている等伯といえば「松に鴉・柳に白鷺図屏風」が欠かせない存在ですが、今回は何故かパネルで紹介されているのみ。もしや出し惜しみ?なんて下衆の勘ぐりしていたら、石川県立七尾美術館で開催中の「長谷川等伯展」に行ってこられたとらさんから頂戴した資料で「松に鴉・柳に白鷺図屏風」が出展されていること判明。↓


石川県七尾美術館
【参照】フットワーク相変わらず軽快な、とらさんの記事「長谷川等伯展ー信春から等伯への軌跡 @石川県七尾市美術館

因みに「長谷川等伯展」来年東京でも開催されます!
(京都国立博物館へも巡回)

没後400年 特別展「長谷川等伯」
2010年2月23日(火)〜3月22日(月・休) 平成館
主催:東京国立博物館、毎日新聞社、NHK、NHKプロモーション
 
郷里の七尾に残した初期作品から、上洛後「等伯」と号し、京都の名刹に揮毫した作品まで、一挙公開する大回顧展です。繊細にして大胆、静かにして力強い。その幅広い画業と、それを演出した等伯の人間ドラマを没後400年の節目の年にご紹介します。
お楽しみは来年早春まで。等伯待ってるよ〜

閑話休題。


牧谿「平沙落雁図」中国南宋時代 重要文化財 

牧谿(もっけい)による風景画。
何にも描かれていないように見えます。画像だから見えないのではなく実物も同様。しかししばし我慢して観ているとどうやら画面右手前に羽を休めている鳥らしきものがいるの分かります(キャプションには「葦の茂みにいる鳥たち」と説明が)

左端に山らしきものはかろうじて確認でき、そこにある寝床へ帰るのか鳥たちが列をなして飛んでいる姿も。画面右下から左上にかけ斜めに時間軸が設定されているのでしょうか。

これ一枚観に行くだけでも入館料払うだけの価値あろうかと。
油一切使っていなくても胃にずっしりと来る一品。ごちそうさまでした。

8世紀ごろ中国では発生したと言われる水墨画。日本に伝来したのが12世紀末ごろ。室町、桃山、江戸時代と受容され変容していく様を一望できる素晴らしい内容となっています。大正時代の富岡鉄斎の水墨画が「現代アート」のように観えるの無理もないこと。


能阿弥「四季花鳥図屏風」1469年 重要文化財

東山御物(牧谿、玉澗らの作品)の管理を任されていた能阿弥、相阿弥らの作品をはじめ俵屋宗達、尾形光琳、渡辺始興、鈴木其一、池大雅、浦上玉堂、田能村竹田、葛飾北斎と名だたる顔ぶれが描き出した水墨画の世界を堪能出来ます。

今日の一枚」はこちらで!


仙僂痢狗子画賛」江戸時代

ゆるゆるな作品ですが、これでも筆致を極力減らして描く「減筆」という水墨画の技法使って描かれているそうです。しかし「きゃいん」は反則だろ〜可愛い過ぎです。

「水墨画の輝き」展は5月31日までです。

出光美術館
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階

出光美術館さん次の展覧会も絶対見逃せません!

やまと絵の譜」2009年6月6日(土)〜7月20日(月・祝)
平安時代に誕生したやまと絵は、日本の四季を彩る花々や風景の美しい土地の姿を、折々の行事や風俗とともに映しました。身近にある自然に対する細やかな感覚は、室町時代には華麗な色彩で飾られた屏風絵として成熟します。また、日々の生活への興味は、桃山時代以降、風俗画や浮世絵成立の土壌ともなりました。本展では、室町時代のやまと絵屏風から近世への発展、説話絵巻から浮世絵までを出光コレクションによって通観し、その根底に流れる美意識の水脈をたどります。

すぐわかる水墨画の見かた
すぐわかる水墨画の見かた
島尾 新

【関連エントリー】
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- 「妙心寺展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「小杉放菴と大観」 | 弐代目・青い日記帳

それでは最後に「今日の美味


ogawamaさんから頂戴した目黒地蔵通り「御門屋」の「揚げまんじゅう」これ滅茶苦茶美味しい!油で揚げてあるけど何個でも食べられてしまいます。

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JUGEMテーマ:アート・デザイン


水墨画は唐時代の中国に生まれ、12世紀末頃に日本に伝わった東洋独特の造形芸術です。その絵画表現における根本的な立脚点は“自然界に溢れる色彩の再現を放棄する”という特異なものであり、そのために水墨画独自の高度な技法が洗練され、みずみずしいモノクロームの世界が生み出されました。本展では、室町時代から近代までの水墨画を展示し、日本水墨画の歴史とその表現の広がりをご覧いただきます。想像以上に自由で、豊かな表情をもつ水墨の世界をお楽しみください。
展覧会 | permalink | comments(7) | trackbacks(6)

この記事に対するコメント

こんばんわ。
懐石料理とはうまい例えですね。

バラエティに富んでて満足のいく内容でした。

しかし、水墨って振り幅が広いですよね〜。手法でくくってるものの各絵師のオリジナリティが存分に発揮されているなあと思いました。

あおひー | 2009/04/30 8:58 PM
こんにちは。今回の出光では雪舟>>等伯でした。
でも、来年の「東博の等伯」が待ち遠しいですね。
とら | 2009/05/01 11:40 AM
@あおひーさん
こんにちは。

一点一点は軽やかに拝見出来るのですが
展示会場出るとずっしりと「胃」が…

水墨画と一括りに捉えること
難しいのだと痛感。
お好みはさて?

@とらさん
こんにちは。

雪舟の作品がダントツでしたね。
きっちりと描くよりも好きです。
Tak管理人 | 2009/05/02 9:01 AM
一口に水墨画といっても
多様な表現があって、楽しいですね。
一村雨 | 2009/05/12 11:23 PM
@一村雨さん
こんにちは。

千葉市美術館でもそう感じましたが
またこちらでも。
モノクロの世界奥が深いです。
Tak管理人 | 2009/05/15 7:34 AM
こんばんは。平沙落雁図は私もとても感心しました。卓越した情景描写というのはまさにあのような作品を指すのでしょうね。私の「今日の一枚」に是非挙げたいと思います。

>狗子画賛

こういう作品を最後にもってくるあたりがまた巧いですよね。
出光、相変わらず絶好調です。
はろるど | 2009/05/18 10:38 PM
@はろるどさん
こんにちは。

奥深い世界が決して広いとは
いえない出光の展示空間に
広がっていました。

平沙落雁図は無限の広がりを見せる一枚です。
油彩では(水墨画以外では)決して表現できません。

出光さん、いつ頃からコレクション開始したのか
詳しく存じあげませんが大変優れたもの
数多く持っていますね。
Tak管理人 | 2009/05/19 7:42 AM
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