青い日記帳 

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「ラウル・デュフィ展」

三鷹市美術ギャラリーで開催中の
「ラウル・デュフィ展〜くり返す日々の悦び〜」に行って来ました。



5月の最初の土曜日に三鷹の隣、武蔵野市立吉祥寺美術館の「動物画の奇才・薮内正幸の世界展」と抱き合わせで拝見して来た展覧会。

ラウル・デュフィ(1877-1953)というフランスの画家が美術史においてどのようなポジションに置かれているのか定かではありませんが、もう少し日本で紹介される機会が多くてもよいように思えます。

日本でデュフィだけの展覧会開催するの久々なのでは?
展覧会ファイルあさってみると、デュフィのめぼしい展覧会はこの2点。


「デュフィ展」伊勢丹美術館 1995年7月2日〜24日


「ラウル・デュフィ展 海と音楽─そしてパリの情景」Bunkamura
1994年9月30日〜11月20日


2001年9月8日〜10月28日に当時の安田火災東郷青児美術館で開催された「デュフィ展 ポンピドーセンター所蔵」がまとまってデュフィの作品を拝見した最後かも。

音楽を聴きながらそのリズムに合わせ筆を運ばせたかのような、リズミカルで軽妙なタッチと決して混じり合うことなない色とりどりの熱帯魚が泳ぐ南の海のような色合い。「寒い国」に生まれ育ったシャガールとは似て非なる心底明るい画面が魅力のデュフィ。

とても軽やかな作風の画家というイメージがお似合いのデュフィ。それでも最初からよく知るそうした印象の作品をいきなり描き出したわけではないこと、この展覧会でしかと分かります。


セーヌ河岸とノートル=ダム寺院」1902年

まだまだ軽やかな音色も、プリズムに乱反射する色彩をカンバスに留め置いたような色彩もまだ目にすることできません。ただ後に「色彩の魔術師」と謂われるその片鱗はかすかに見て取ること出来ます。対岸建物の壁の色合いや手前の船に干された洗濯物などに。


白い帆」1906年

上の2点の作品間でもかなり画風に違いが見受けられます。「白い帆」を制作した前年1905年にアンリ・マティスと知り合い一時フォービズムに傾倒しかけた頃の作品です。

その後、ブラックなどに影響受けキュビズム風な作品「開かれた窓」「鳥かごのある風景」等も展示。

しかしデュフィのデュフィらしさを思う存分に発揮したのはフォービズムでもキュビズムでもなく1909〜1930までの間、パリの装飾デザイナーポール・ポワレと共に手がけた装飾美術の世界においてでした。

これが今回の展覧会での最も大きな収穫。「つながり」とか「流れ」でその画家の作風の変化を拝見することの大切さあらためて感じました。


黒い背景の花」1930年(織物の下絵)

マティスの影響を受けた画家としてフォービズム、野獣派に属されることもあるデュフィがどのようにして、野獣の群れから抜け出し軽やかな「色彩の魔術師」となったのか手に取るように分かります。(分かりました)溜飲が下がると言ったら少しオーバーかもしれませんが、これでかなり胸がすっきりしたことは事実。三鷹まで出かけた甲斐がありました。

その後のデュフィが繰り返し描いたのが「海」(水のある風景)と「音楽」。こと音楽に関する作品はデュフィの作品と知らずにCDのジャケットなどで目にしていること多くあるのではないでしょうか。


バッハへのオマージュ」1946年


大オーケストラ」1946年

辛い労働に勤しむ農民の姿や、急激な近代化によってもたらされた苦悩が表情に現れているような人々はデュフィの作品には一切登場しません。ある意味上流層をターゲットにした雑誌の1ページのような明るい雰囲気の作品ばかりです。

上流層が好んだスポーツや音楽、そして大きく変貌を遂げる新しいパリの街を明るい色彩で包み込むように描いています。晩年だけの作品を観たら「何て能天気な作家なんだろう」と指さされても仕方ないかも。

尤もそれこそラウル・デュフィの魅力なのですけどね!

最後に「今日の一枚


ボッティチェリによるヴィーナスの誕生」1940年

こんな絵も描いていたんだ〜とポストカード購入し興奮しながら帰宅。早速ブログ記事にすべく、冒頭にあげたデュフィの過去の展覧会の記録探していると…今はなき新宿・伊勢丹美術館で1995年7月2日〜24日に開催された「デュフィ展」でも拝見していたこと判明。。。_| ̄|○

自分の記憶がいかに適当で、すぐ忘れてしまうのかこれまた今回の展覧会を通し痛感。
は〜ふ〜。

「ラウル・デュフィ展〜くり返す日々の悦び〜」は6月28日までです。
初期作品から超大作「電気の精」のカラーリトグラフまで、まるまるデュフィを堪能し知ることが出来る優れた展覧会です。是非!

東京展終了後は以下へ巡回。

足利市立美術館 7月4日〜8月16日
美術館「えき」KYOTO 8月29日〜10月4日
大分市美術館 10月23日〜12月13日




三鷹市美術ギャラリー
〒181-0013 東京都三鷹市下連雀3-35-1 コラル5F 
Tel:0422-79-0033 

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それでは最後に「今日の美味


ハワイ島に行ってきた友人からもらった「big island cookies
大味かと思いきや意外や意外これがなかなかのもの。ハワイか〜いいな〜〜


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「美しい港」という意味の名を持つフランス北西部の街、ル・アーブル。印象派を生んだ陽光きらめくこの地に、ラウル・デュフィ(1877-1953)は生まれました。
小さな鉄工所の会計係だった父は、教会でオルガンを弾くなど音楽にも造詣が深く、ヴァイオリン奏者の母と、後に9人兄弟のうち二人が音楽家になるという音楽好きの一家でしたが、生計は苦しく、デュフィは14歳でいったん学業を断念し働き始めました。
しかし、翌年から市立美術学校の夜間クラスを受講するようになり、ル・アーブル市から奨学金を受けてパリの国立美術学校へ入学します。当初は印象派的な作品を描いていましたが、マティスに出会い野獣派の影響を受け、その後もブラックと行動を共にする中で、セザンヌからキュビズムへの探求を行います。こうした同時代の様々な画家との交流をとおして、透明度が高く、ときに装飾的な独自の画風を築いてゆきました。
数多くのモチーフは、水辺やアトリエの風景、音楽、競馬場の賑わい、美しい建造物などが描かれ、人生半ばまでの長い不遇の時期や戦争という暗い時代にあってさえ、デュフィは鮮やかな色彩と軽快で屈託の無い筆触で、目の前にあるがままの日常の一瞬一瞬を捉えていきました。
そこには否定も肯定もなく、それはそのままで彼にとっての「悦び」にほかならず、そしてこの悦びとは、悲しみも悦びも全てを包み込むla vie‐生命への讃歌となっているのです。
本展では、日本初公開となるロデヴ美術館所蔵、および個人コレクター所蔵の作品を中心に、13歳の頃の水彩画から心臓発作で亡くなる晩年の作品まで、デュフィの生涯にわたる作品約75点をご紹介いたします。“描く悦び”に溢れたデュフィの絵画世界をそのまま皆さまの世界として、ごゆっくりご堪能いただければと思います。
展覧会 | permalink | comments(8) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

ヴィーナスの誕生。
私もデジャ・ビュウを感じていたのです。
ボッティチェリの本作を知っているからかなと思ったのですが
きっと伊勢丹美術館でみていたのでしょうね。
一村雨 | 2009/06/06 6:01 AM
@一村雨さん
こんにちは。

やはり見覚えありましたか〜
伊勢丹に来ていたのは間違いありません。
私はすっかり忘れていても
チラシはいつまでも覚えていてくれます。
Tak管理人 | 2009/06/06 5:24 PM
今日、私もこの展覧会に行ってきて面白い展示でした。たしかにデュフィの作品をこれだけ一気に観られる機会はあまりないかも??

もう少し解説も欲しかったですが、セザンヌやマティスに影響を受けたのがよくわかる作品もあって面白かったです。リトグラフですが電気の精の10枚は特に楽しかったです。
21世紀のxxx者 | 2009/06/06 11:55 PM
@21世紀のxxx者さん
こんばんは。

ここ数年の間では多分
これだけデュフィの作品を
日本で拝見することは
なかったかと思います。

電気の精とは実は相性悪く
パリへ行ってもなかなか
観ること出来ずにいます。。。
Tak管理人 | 2009/06/08 8:10 PM
始めまして。初めて知った画家なので、図録を欲しかったのですが、もう一つ色のでも良くなくて、ぱっとしない図録でした。展示作品とは明らかに発色が異なります。
かなり好きになってしまった絵ばかりなので図録についてはまだ迷っています。
絵はがきは、私の好きな作品は全く印刷されてません。

図録どうしようかなあ。。こう言うとき、アートラバーの皆さんはどうされるのでしょうか。
歯磨き | 2009/06/19 7:24 PM
@歯磨きさん
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

図録はほとんど購入しません。
観ている展覧会が多いので。
それでも年に10冊程度は買ってしまいます。

発色等についてはある種諦めの境地。
どう頑張っても全ての作品の色を
再現できませんので。
Tak管理人 | 2009/06/21 11:15 PM
ほんの先々月から美術を眺めはじめた者ですので、まだまだ判らないことだらけ。

先日質問した、図録について、デュフイのは諦めかけていたものの、都内のとある場所で展覧会は違えどもっともっと発色のしっかりした綺麗な図録を入手。

図録については、今回、初心者へ神のお導き・お情け(ミューズのお導き?)がありました!

同じ絵は少枚だけですが、他に有名な絵もあって多いに満足です。大谷美術館でもデュフイ展が7月から始まるので、初心者としてしっかり勉強して参ります。
同じ美術館で6月のマリーローランサンを中心にした展示は、私のような初心者にはこれまた勉強になりました。

恐るべし、美術の世界。一生ものですなあ。

歯磨き | 2009/07/03 9:12 PM
@歯磨きさん
こんばんは。

願いや想いは通ずるものですね。
良き図録入手でき至福の時をお過ごしかと。

マリーローランサンのやさしい
色使いが大好きです。
昔昔のことですが、額絵を
安く購入したこともあります。

美術の世界、狭い世界ですが
様々な角度から楽しめる
まさに一生ものの趣味です。
Tak管理人 | 2009/07/03 11:42 PM
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