青い日記帳 

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国立西洋美術館 常設展

ルーヴル美術館展」の熱狂も過ぎ去り、再び静かな日常を取り戻した上野、国立西洋美術館。現在常設展の一部を使い国立西洋美術館開館50周年記念事業「ル・コルビュジエと国立西洋美術館展」を開催中(8月30日まで)



七夕の日から始まる「かたちは、うつる―国立西洋美術館所蔵版画展」開催までしばしクールダウン。でも、その間も常設展は普段通り坦々と周囲の「騒ぎ」に翻弄されることなく公開されています。

特別展以外に常設展示だけで観る者を魅了し満足を与えるだけの質・量共に備わった西洋絵画コレクションを有する、日本で唯一の美術館が今年開館50周年を迎える国立西洋美術館です。

2007年9月からリニューアル工事の為クローズしていた新館も6月4日から新装オープンし、展示作品数もぐーんとアップ。リストに掲載されている作品数えるだけでも一苦労。おおよそ160点の作品が公開されています。



14世紀初期に描かれたルカス・クラーナハの「ゲッセマネの祈り」やティントレットの「ダヴィデを装った若い男の肖像」を筆頭に、14世紀〜16世紀の宗教画を軸とする展示がまずはお出迎え。

展示方法もここ最近、力を入れているようです。壁に掛けてあった時とは随分と違う印象を抱いた作品が数点。キリスト教の詳しい主題とか分からずに観ている自分にとっては、こうした演出は大事。何だか得した気分になります。


マリオット・ディ・ナルド
『聖ステパノ伝』を表した祭壇画」1408年 テンペラ 板絵

こちらのディルク・バウツ(派)の二連画の祈念像もコルビジェの設計通り作った低い天井の下に、まるで誂えたかのように展示され、敬虔で静謐な雰囲気醸し出しています。


ディルク・バウツ(派)
左:「悲しみの聖母」 右:「磔刑のキリスト
※背面も要チェックです。それを観て欲しいが為にこうして展示してあるかと。

興味深いのは「磔刑のキリスト」が1980年。「悲しみの聖母」が2007年に新収蔵品として西洋美術館が購入したこと。作品同士の「お見合い」も行っている西美。「悲しみの聖母」が収蔵品に加わったことにより、こうした展示が実現。

15世紀アルプス以北の地方で、このような二連画の祈念像に人々が祈りを捧げたこと、想像力の乏しい自分でも実感できるほど。

侮れないでしょ〜西洋美術館の常設展。
まだまだ続きます。

日本で多分ここだけではないでしょうか?クリヴェリの作品を持っている美術館。


カルロ・クリヴェッリ「聖アウグスティヌス」1487/88年頃(?) テンペラ 板

若冲顔負けの偏執狂的な描き込みと、町田久美的な線の組み合わせ。
遠目で拝見するとフツーの作品でも近寄るにつれその「正体」が。。。

町田久美と言えば現在、日本橋・西村画廊で開催している展覧会に新作一点出しています。これがまた。。。まだ始まったばかりです。お見逃しなく。

さて、「ルーヴル美術館展」の余韻を感じさせる作品が2点。


ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「聖トマス
カルロ・ドルチ「悲しみの聖母

日本の美術館とは思えない充実ぶりを示す2点。
とりわけ、カルロ・ドルチの「悲しみの聖母」は、誰しもがこの絵の前では立ち止まらずにはいられない強い力を持った作品。以前頂いた解説によると…

本作品は、深い闇をバックに、鮮やかな青衣をまとった聖母の姿を描いている。頭上には、実際に金泥で描かれた神秘的な光が広がる。作品のタイプとしては、伝統的な「マーテル・ドロローサ(悲しみの聖母、嘆きの聖母)」の図像、すなわちわが子キリストの運命をめぐって悲しみにくれる聖母マリアを表わした単独像の形をとっている。ドルチは1654年にテレーザ・ブケレッリという女性と結婚しており、この聖母像は新婚の妻をモデルに描かれたといわれる。

1998年に西洋美術館に所蔵された作品の中で、否これまで新たに購入した作品の中で、ベスト3入り間違いない作品です。カルロ・ドルチの名を日本に知らしめた功績も大。

さて、この先は6月4日にオープンしたばかりの新館に。


19、20世紀絵画と彫刻を思う存分楽しめる新館。
印象派好きにはたまらない作品が。特にモネは「モネ・ルーム」があるほどの充実ぶり。毎日がプチ・モネ展といったところでしょうか。

作品を紹介しているときりがないので、
新収蔵作品」と赤い印が付された4作品をご紹介。


ウィリアム=アドルフ・ブーグロー「少女」1878年


ジョヴァンニ・セガンティーニ「羊の剪毛」1883-84年

羊さんたち従順だ〜諦めの顔が何とも。。。

ところで、この二人。ミレーの「晩鐘」に描かれた二人にどことなく似ていません?


ピーダ・イルステズ「イーダの肖像」1889年頃

何故この絵がここにある!!2008年度ナンバー1展覧会であった「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情」展で展示されていたこの作品。よくよくキャプション見ると2006年収蔵とあります。展覧会に合わせ購入したのかな?いやーーまたハンマースホイの奥さんに西洋美術館で出逢えるとは!

更に

「イーダの肖像」の横にはこの作品が!


ヴィルヘルム・ハンマースホイ「ピアノを弾く妻イーダのいる室内
1910年 2008年度購入

偉過ぎる!まさにファインプレイ。
もうずーーとこの壁に2枚並べて掛けておいて欲しい。

政治や経済面その他多くの不安を抱えている21世紀にこそ、この作品は鈍く光り観る人の心を捉えてやまないはず。「ハンマースホイ展」見逃してしまった方。せめて西美の常設展の一隅で、世紀の展覧会の余韻を味わって下さい。

ただし見過ぎると、デンマーク無性に行きたくなるので要注意。

【関連エントリー】
- 「ハンマースホイ展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「ハンマースホイ展」(ロンドン) | 弐代目・青い日記帳
- ヴィルヘルム・ハンマースホイ展へ急げ! | 弐代目・青い日記帳
- ストランゲーゼ30番地 | 弐代目・青い日記帳

最後は新しく設置された近代の彫刻展示ルームでも。


ロダンの彫刻に囲まれながら、中庭を眺められる絶好のスペースが登場。
コルビジェもさぞかし喜んでいるのではなかろうかと。

こんなに(といってもまだまだほんの一部ですが)充実した作品を鑑賞できる西洋美術館の常設展。これで入館料たったの420円というのですから、お財布にも優しい。しかも毎月の第2、第4土曜日は入館無料!!

前述通り、7月7日からはこちらの企画展も始まります。

開館50周年記念事業
かたちは、うつる―国立西洋美術館所蔵版画展
2009年7月7日(火)〜8月16日(日)

西洋美術館は版画コレクションでも実は有名。
こんなものまで持っています。


アルブレヒト・デューラー「メランコリアI

3,747点もの大量な所蔵版画作品から、デューラー、レンブラント、マンティーニャ、ゴヤ、ドーミエ他約130点を初めてまとめた形で公開するまたとないチャンス。真夏に冷房の効いた館内でモノトーンの世界にひんやり浸るのもまた一興かと。こちらの展覧会も420円です。(常設展も含む)

お得な情報:

国立西洋美術館ファンデー2009が7月11日(土)、12日(日)に開催されます。
この両日は開催中の展覧会(常設展)全て無料開放!!
そして数々のイベントも!詳しくはこちら

こちらもチェックお忘れなく。

エプソンは国立西洋美術館“OPEN Museum”のオフィシャルパートナーとして新しい楽しみや出会いを提供する美術館普及活動に貢献していきます。


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この記事に対するコメント

こんばんは
カルロ・ドルチ、大好きです!西洋美術館で衝撃を受けて覚えた画家です。
ハンマースホイの新収蔵にもさすが!と思いました。
ギュスターヴ・モローも拝見できますし・・・。
西美の、有名どころはほかにもやる館がある、でも日本でまだあまり知られていない画家を紹介することこそ使命!というスタンスがとても好きです。
花散里 | 2009/06/24 11:51 PM
第四土曜が無料ということは6/27も無料ですね!
この前駆け足でみてしまったので、トークショーの前にでも行こうかなあ。
さて彫刻作品が撤去され展示されないのかと思いきや、彫刻展示ルームが出来ていたのですね!
これで常設展示室入ったルームはこれからいろんな使われかたするでしょうね。
版画の展覧会は版画展示室をコルビュジエで使ってますから、企画展示室開催になるのでしょうね。
oki | 2009/06/25 12:09 AM
こんにちは
ブーグロー「少女」に会いたくなりました。
好きなんです、ブーグロー。
7月のハイカイには無理でも、8月には行きたいな・・・

絵を見て、ハンマースホイ展の静謐さを思い出しました。
今年はこうした「静謐さ」を感じた展覧会にはまだ行き当たっていないようです。
遊行七恵 | 2009/06/25 5:56 AM
@花散里さん
こんばんは。

ドルチの作品がここの美術館に
入った時の感動は今でも鮮明に
覚えています。そして今でも
同じ輝き放っていますね!

次回の版画展とても期待しています。
時間かけてゆっくり拝見したいです。

@okiさん
こんばんは。

そうですね!
トークショー前に平常展で涼んでくるのも
宜しいかもしれませんね。
彫刻展示ルームは中庭に面し
大変開放感があり今まで
ここをどうして使わなかったのかと
逆に疑問におもう程です。

@遊行七恵さん
こんばんは。

ブーグローもなかなか
国内では拝見できませんからね。
一度観たら名前忘れない作家さんです。

8月30日までは多分展示してあるはずです。
念のためご確認を。

ハンマースホイはやはり「神」ですね!!
Tak管理人 | 2009/06/26 12:06 AM
そっかクリヴェリの作品て珍しいんですね。
わけもわからずぐーっと惹かれました。
次回の版画展をめちゃくちゃ楽しみにしているのですが、デューラー「メランコリアI」ですか、なんかますます(ドキドキして寝付けないくらい)期待が高まってしまいます。
ogawama | 2009/06/26 12:11 AM
@ogawamaさん
こんにちは。

板絵自体が少ないこの国で
これだけの作品があるのは
まさに驚き、クリヴェリまで
あるのですから尚更です。

版画展楽しみですね〜
Tak管理人 | 2009/06/27 8:41 AM
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