青い日記帳 

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「千手」・「色彩のこと」

先日こちらの記事でお知らせした内海聖史さんの個展、「千手」と「色彩のこと」にそれぞれ行って来ました。

個展「千手

・個展『千手』
   2009年7月7日〜25日
   ギャラリエアンドウ (渋谷)
   http://www.ando-tokyo.jp/



ギャラリエANDOは、Bunkamuraから松濤美術館へ行く途中にある、ガレット屋さん(Galettoria ガレットリア)の裏手に位置する小さな画廊。

こだわりの水出しコーヒーを出す喫茶店のような入口から一歩ギャラリーに足を踏み入れた瞬間、目の前に「いつものように」内海さんの色彩絵画が飛び込んで来ます。

ただし、「いつものよう」ではありながらも今回は、いつもと違い、3m近い天井高を有す壁のとても高い位置に作品が展示してあります。


新作「千手、色彩の下」2009を披露するに際し、新たな展示方法にチャレンジしています。普段の内海さんからはちょっと想像できないほど勇猛果敢な展示にまず虚を突かれます。



お世辞にも広いと言えないギャラリエANDO展示スペースを逆手に取り、1枚のサイズが70cm×64cmの作品「千手、色彩の下」で展示室の空間をぐるりとひと回り囲んでしまう「戦法」に。

ぴたり、この空間に誂えたかのような12枚(12色)の作品ですが、はじめからこのような展示を意図して制作したわけではないそうです。展示方法もギャラリーへ実際ご自分で足を運びあれこれ検討した結果このような高い位置での展示に落ち着いたそうです。



当然ながら、このような高いポジションにある作品を、見上げながらの鑑賞は初めてのこと。成否を問われれば即答で「成功」と答えます。内海さんの作品だけに限ったことではありませんが、作品鑑賞にはある程度適切な距離が必要です。とりわけ彼の作品と対峙するとそのことを強く感じさせられます。

2,3歩引いて観ることは何処でも可能ですが、上下の距離を取るのは基本的に不可能。その不可能を「千手」では作家自らが可能に。「勇猛果敢な展示」と称したのはこの点にあります。



ギャラリー全体を使って「色彩環」(Colour Circle)を作りだしてしまうとは、お見事!!因みに、内海さんのブログタイトルは「色彩の下

ギャラリエANDO(渋谷)での個展「千手」は7月 25日(土)までです。



もうひとつの個展は地下鉄で渋谷から一駅。表参道にあるスパイラルガーデンで明日(7月12日)まで開催している「色彩のこと


・個展『色彩のこと』
   2009年6月30日〜7月12日
   スパイラルガーデン(表参道)
   http://www.spiral.co.jp/

青山通りに面するスパイラルの扉を開けると、目の前にスパイラルカフェが。

そのカフェの奥に潜む「緑色」の部分お分かりになりますか?

その「緑色」こそが東京都現代美術館「屋上庭園」でも展示され話題をさらった17mもの横幅を有する巨大な作品「色彩の下」
2004年、内海は、下北沢の閑静な住宅街に隠れ家のように存在した画 廊、MACAギャラリーにおける個展に於いて、高さ3.8m、幅17mという、巨大なペインティング「色彩の下」を発表しました。8ヶ月間にわたる苦闘の末に生まれたこの作品は、現在のところ彼の代表作とも言えるものです。大型のペインティングの多い内海の作品群中でも最大であるこの「色彩の下」は、その展示の困難さにも関わらず、当初のMACAギャラリーでの発表後も、大阪アートコートギャラリーや、東京都現代美術館で展示され、賞賛を浴びてきました。


スパイラル独特の使い勝手の悪い、円形の空間(アトリウム)にまるでこれまた誂えたかのように、ぴたりとはまる作品です。手狭なギャラリーから無駄に広い空間まで、手玉に取るように難なく自分の世界に変えてしまう内海作品。

ぐるりとスロープをのぼり、2階から見下ろすとまた見え方も変化します。

ただこの作品に関しては、フラットな位置から包み込まれる感覚と共に拝見するのが一番かと。それが作品にとっても、鑑賞者にとっても共に幸せなポジション。

さて、昼間は自然光だけに頼るスパイラルでの展示ですが、午後6時を過ぎると人工の明かりが灯されます。ライトアップされた内海作品が拝見出来るのです。居合わせたlysanderさんにそのことを教えて頂き、2階の雑貨屋で時間をつぶしその時を待つことに。

そしていよいよ点灯!

そこには今の今まで目の前にあった内海作品とはまるで別物が佇立。


自然光でも強い人工光でもその魅力を変幻自在に操り鑑賞者を魅了。

待てば海路の日和あり。です。まさに。

まさかこれほどまで違うとは想像だにしなかったので「正確な定点観測」出来ず。それでもこの2枚の比較写真から、その違いお分かり頂けるかと。


スパイラルでのこのマジカルな展示は明日7月12日まで。

午後5時半頃入り「昼間の顔」をしっかり鑑賞。そして午後6時以降は「夜の顔」をカフェでビールでも飲みながら。こんな幸せな空間他にそう滅多に存在するものではありません。


そうそう、作品これだけではありません。

十方視野」シリーズも横一列に展示。

これだってとっても贅沢な展示です。


そして面白いことに、「十方視野」シリーズはその名の如く、どこから見ても「絵になります」2階からでもほらこの通り。


ちょっと今日は仕事その他、もろもろ慌しく疲れていたのですが、内海さんの2つの個展観に行って元気もらうことできました。感謝、多謝。

尚、8月真夏の京都へ内海作品乗り込むそうです!!
「ボイジャー/Voyager」:eN arts(京都)2009年8月1日(土)-8月 30日(日)金土日のみ。

【関連エントリー】
- 内海聖史「十方視野」 | 弐代目・青い日記帳
- 内海聖史展に行こう! | 弐代目・青い日記帳
- MOT屋上庭園へ行こう! | 弐代目・青い日記帳
- 「ART@AGNES 2009」 | 弐代目・青い日記帳
- 頑固者 | 弐代目・青い日記帳
- 「第1回おおたわら美術館」 | 弐代目・青い日記帳

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<登場者一覧>
池内務(レントゲンヴェルケ)、石井孝之(タカイシイギャラリー)、白石正美(スカイザバスハウス)、三瀦末雄(ミズマアートギャラリー)、大田秀則(オオタファインアーツ)、小山登美夫(小山登美夫ギャラリー)、佐谷周吾(シュウゴアーツ)、那須太郎(ナスタロウ)、児玉公義(児玉画廊)、吉井仁実(ヒロミヨシイ)、山本裕子(山本現代)、姫野希美(赤々舎)

内海は1977年、茨城生まれ。30代前半の若さながら、個展、グループ展をあわせると60本を超える展覧会を経験しています。公立美術館での展覧会経験も多く、昨年は静岡県立美術館、また、東京都現代美術館のグループ展においても、いかんなくその実力を発揮した作品群を発表し、870点組という驚異的なペインティング「三千世界」は東京都現代美術館の収蔵ともなりました。抽象絵画家としては既に若手から中堅の域に達しつつある、優れたアーティストです。

その作品を形作るのは単純な無数のドットです。基本的に直径40ミリ程度のそれぞれは、注視すると筆を縦だけに動かす事で描かれている事がわかります。筆先の念入りな加工と、1センチと動かないであろう一筆ながら、正確に同じ円形を延々と描き続けるその丁寧さと根気は、美しい絵画を描きたいという強固な欲求に裏付けられています。
一方で内海は「絵の美しさは絵具の美しさ」と語り、絵具を選び、重ね、並べる事によって、その深みを引き出しています。単純にして最小限、そして正確無比な筆の運びと、欲求に忠実に繰り返される色の選択と重層と並立。内海の造りだす色彩の裏には、絵画への偏愛とも言うべき欲望を具現しようとする頑強な意志が隠されているのです。

また、絵画はその画面だけではなく、それを見るための空間をも含むと言う内海は、展示方法にも偏執的なまでのこだわりを見せます。彼は作品制作の前段階から、画廊空間を徹底的に調査し、計測し、完成した作品が鑑賞者の前にいかに現れ、その作品といかに出会うかという事に、実際に筆を走らせる作業と同等とも思える注意を払います。インスタ レーション作品とは異なるアプローチながら、絵画によって構築された空間は、観客に対してその描かれた絵画以上のエネルギーを放出します。

2004年、内海は、下北沢の閑静な住宅街に隠れ家のように存在した画 廊、MACAギャラリーにおける個展に於いて、高さ3.8m、幅17mという、巨大なペインティング「色彩の下」を発表しました。8ヶ月間にわたる苦闘の末に生まれたこの作品は、現在のところ彼の代表作とも言えるものです。大型のペインティングの多い内海の作品群中でも最大であるこの「色彩の下」は、その展示の困難さにも関わらず、当初のMACAギャラリーでの発表後も、大阪アートコートギャラリーや、東京都現代美術館で展示され、賞賛を浴びてきました。

今回の個展「色彩のこと」は、スパイラルの象徴とも言うべき円形の空間、アトリウムに観客を取り囲むように据えられたこの巨大なペインティング「色彩の下」、さらにすらりと伸びるギャラリー に、グラデーションを取り込んだ新しい展示展開による本年発表の「十方視野」シリーズを組み合わせて開催します。

絵画に囲まれ、埋もれ、味わう。絵画によって起こる「色彩のこと」をどうぞご期待下さい。
展覧会 | permalink | comments(9) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

なんと!夜の顔もあるのですか〜!
カフェでのビールも魅力的で(笑)ほんと贅沢な空間になっていますよね!
「千手」はだまし絵再訪も兼ねて訪れたいと思っています。
noel | 2009/07/12 2:18 AM
@noelさん
こんにちは。

そうなんですよ〜夜の顔があり
これまた全然違った新鮮な感覚にさらされます。
「だまし絵展」昨日も混雑していましたよ〜
展示替えしたらまた観に行きますが。
Tak管理人 | 2009/07/12 11:11 AM
こんばんは。青山と渋谷で内海さんを楽しめて贅沢でしたよね。
スパイラルの方は今日、夜に再訪するつもりでしたが無理になってしまったので、こちらの写真で雰囲気を味わいました。ありがとうございます。

アンドウのミニ新作も良かったです。やはり完売になったのでしょうか。
はろるど | 2009/07/12 7:56 PM
わぉ☆ これ京都来るんですね☆

ぜひうかがいま〜す♪お知らせありがとうございます♪
十六夜 | 2009/07/13 5:53 PM
@はろるどさん
こんばんは。

贅沢ですよねーー
そして内海さんの精力的な活動
感心しっぱなしです。

アンドウのミニ新作はあと1枚かな?
青い作品は実を申しますと……

@十六夜さん
こんばんは。

なんでもとても風情のある
ギャラリーだと伺いました。
どのような展示となるか
行かれたら教えてくださいね!
Tak管理人 | 2009/07/13 7:10 PM
「千手」行ってきました!
内海さんにもお会いできてラッキーでした。
京都も行きますよ〜(地元&帰省するので)
noel | 2009/07/15 6:27 AM
@noelさん
こんばんは。

ご本人にお会いできるなんて
ラッキーではないですか!!

京都も行かれるのですね。
また全然違って見えそうですね。
Tak管理人 | 2009/07/16 8:23 PM
Takさん、こんばんは。

アンドウのミニ新作、私も観せて頂いて、オーナーさんに
こっそり聞いちゃいました。いいなー!

内海作品は、一点だけ選べないというのが難点ですよね。
あの色彩に囲まれたら、とても生活が潤いそう。
YC | 2009/07/22 9:58 PM
@YCさん
こんばんは。

へへ。。。
内海作品これで二つ目です。

京都へも観に行きたいですね〜
全く違った空間演出されるはずです。
真夏の盆地に。
Tak管理人 | 2009/07/23 4:50 PM
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