青い日記帳 

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特別展「伊勢神宮と神々の美術」

東京国立博物館で開催中の
第62回式年遷宮記念 特別展「伊勢神宮と神々の美術」に行って来ました。


「伊勢神宮と神々の美術展」公式サイト

エスカレーターで平成館2階へ。右手「平成館特別展示室第3・4室」はいつもとまるで違う厳粛且つ荘厳な雰囲気。「伊勢神宮と神々の美術展」を「阿修羅展」や「薬師寺展」等と同様の展覧会だと思い出かけると肩透かしを喰らいます。

何ごとの おはしますかは知らねども かたじけなさに涙こぼるる

西行が詠んだとされるこの和歌の心根をよく理解(理屈や頭でなく心で)出来ないのであれば「伊勢神宮と神々の美術展」に行ったとしても「つまらない」といった的外れな感想しか抱けないはずです。

伊勢神宮には都合3回ばかり訪れたことがあります。宇治橋を渡り、五十鈴川で禊をし、玉砂利を踏みしめ、杉や榊の林を抜け皇大神宮(内宮)へ。

「二拝二拍手一拝」

言葉では到底表せない伊勢神宮だけが持つ雰囲気。
通常の会話が可能となるのは、おかげ横丁の俗々しさに触れてから。

展覧会の話をしましょう。


注:内覧会時に許可を得て撮影したものです。

日光月光菩薩や阿修羅立像等仏教界にはスーパースターが存在しますが、神道の世界にはそのような神々はいらっしゃいません。こう言うと語弊があるかもしれません。神道にも天照大神(アマテラス)、素戔男尊(スサノオ)、大国主(オオクニヌシ)等神話に登場する有名な神々は沢山いらっしゃいます。でも仏教やキリスト教とは違い神道では神々の姿を「形造る」ことはしません。

これまた語弊が。本来、神道では神を形造ることはしなかったという意味です。外来の仏教が入って来た影響で、後世それは同じようになされます。もっと言うなら神社そのものだって元々は無くてもいいものだったわけです。仏教という新しくこの国に伝来した異文化の外圧に対抗して、ある意味しぶしぶ造ったようなものです。

よって、伊勢神宮の内宮、外宮の建築様式は形式的に見て仏教伝来を遡ることはありません。掘立柱や萱葺き屋根、千木、鰹木など随所に仏教伝来以前よりもこの国にあった型を踏襲しつつも。

展覧会の話をしましょう。

平成25年(2013)には第62回の式年遷宮が行われます。伊勢神宮は20年に一度全ての建物が建て替えられます。今建っている神宮のすぐ横に平成25年から「次」の神宮が建つ土地があります。これを交互に20年に一度繰り返し(途中室町時代に中断はありましたが)持統天皇4年(690)から約1300年以上も。

因みに現在は五十鈴川にかかる全長100mもの宇治橋を建て替え中。

もし、伊勢神宮がユネスコ世界文化遺産の登録へ届け出を出したらどう判断されるでしょう?(世界遺産に伊勢神宮を推すなどという愚行は行われませんが、あくまでも仮の話として…)「20年に一度建て替えられるなら認められない」という回答が当然返って来るでしょう。「リニューアルされた、『コピー』に過ぎない」と。

「こころ」は(幸いなことに)世界遺産に登録してもらえません。

その20年に一度「複製」が繰り返される場所でありがらも、いつ訪れても「何ごとの おはしますかは知らねども かたじけなさに涙こぼるる」の心境は全く変化しません。1300年間受け継がれてきた、形があれども形のない畏敬の対象がそこには存在するからです。

展覧会の話をしなくてはいけません。

が、この展覧会は文字化できません。敢えて書くとしたなら、遠いところまでわざわざお越し下さいまして誠にかたじけなく存じます。誠にもって恐れ多いことです。

国宝や重要文化財は沢山あります。でも仏像展と違い派手さは一切ありません。神宮からの要請で展示も色を用いることなく淡々とケースが並んでいるだけです。東博が得意としているスペシャルなライティングも用いられていません。元々我々が目に出来るものでもないわけです。(伊勢神宮を一般庶民が参詣出来るようになったのも江戸時代になってからです)

好し悪しの判断なんて恐れ多く出来るはずありません。

ただ、展示品以外で言うならば、今配布されているチラシよりも、以前のこちらのチラシの方が断然この展覧会にふさわしいと思うのですが。。。


また「伊勢参詣曼荼羅」現存の4点全て公開!とか下手に宣伝打たずともいいと思います。伝来宗教と向こうを張る必要性、伊勢神宮には全くありませんので。

第62回式年遷宮記念 特別展「伊勢神宮と神々の美術」
2009年7月14日(火)〜9月6日(日) 平成館特別展示室第3・4室
主催:東京国立博物館、社団法人霞会館、産経新聞社


平成館特別展示室第1・2室で同時開催中の特別展「染付」こちらは打って変わって派手というか数々の趣向を凝らした展示が楽しめます。

それでは最後に「今日の美味


伊勢神宮と言えば「赤福
毎朝、明け方3時に伊勢を出発し上野まで赤福が届けられるそうです。
売り切れ必至。なるべく午前中に行かれることお勧めします。

毎日午前10時半前後から販売(交通事情により遅れることもあります)
販売個数は毎日、200個前後。

伊勢神宮のこと基礎から知りたい!(お手軽に)という方にお勧めの一冊。

美術手帖 2009年 08月号 [雑誌]

表紙の天照のような香椎由宇に惹かれて買ったのでは決してなく…

充実した内容からです。はい。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1822

JUGEMテーマ:アート・デザイン


 伊勢神宮はおよそ2000年前に鎮座されたと伝えられ、皇室はもとより多くの人々の崇敬を受けてきています。そして飛鳥時代から20年に一度、正殿はじめ御装束、神宝を造り替えて、御神体を新宮に遷す遷宮が行われてきました。平成25年(2013)には第62回の式年遷宮が行われます。

 本展はその式年遷宮を記念し、伊勢神宮の神宝をはじめ、『古事記』『日本書紀』などの古文書や、考古遺物、絵画、彫刻、工芸品から伊勢神宮の歴史と信仰、式年遷宮の様子、さらに遷宮による工芸の伝統技術の継承などをたどります。また、歴史と伝統に育まれた神道美術に光を当て、近年注目されている神像彫刻や神宮以外の神社の古神宝など、日本古来の宗教美術の精華を紹介します。
展覧会 | permalink | comments(4) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

大変興味深く拝読しました。
冒頭西行法師の歌はワタクシも大好きで、宮部みゆきが
「平成お徒歩日記」でとりあげたように、日本人の人知を
越えた存在へのスタンスだと思っています。
血にかかれた、と言ってもいいかもしれません。
世界一優れていると思う一方、昨今の日本人が忘れつつある
のが気がかりです。
OZ | 2009/07/22 7:11 PM
@OZさん
こんばんは。

個人的に色々思うことあるのですが
極力抑えて書いたつもりです。
本来なら東京なんぞへお越しにならずとも
宜しいものを…と。恐れ多いことです。

他の展覧会と同様に面白い、つまらないと
評価されてしまうことが辛い。。。
Tak管理人 | 2009/07/23 4:47 PM
はじめまして
ブログをいつも楽しく拝見してます。
この展覧会は、チラシを見たときから行きたいと思ってました。
詳しく紹介して下さってありがたいです。

10月には大阪で開催されます。
同じ日に大阪市立美術館の「道教の美術」も
行くつもりです。

今から楽しみです。
びわこ | 2009/09/14 6:29 AM
@びわこさん
こんにちは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

伊勢神宮展は展示といっても
お寺系の展覧会と違い
難しいものありますよね。

何せ姿形のないものですから。

道教の美術展は大変充実しています。
図録が驚くほど分厚いです!
Tak管理人 | 2009/09/14 11:02 AM
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 しばらくご無沙汰していましたが、8/16に東京国立博物館の「伊勢神宮と神々の美術」(2009.7.14₋9.6)へ行ってきました。今回の会場は平成館...
式年遷宮まであと4年 | 千尋の美術散歩 | 2009/08/28 9:30 PM
伊勢神宮と神々の美術@東京都国立博物館 http://www.iseten2009.jp/index.html 小学校の修学旅行先が伊勢・鳥羽だった。その時初めて伊勢神宮にも参拝したのだけど、今考えてみると、日教組支配が甚だしかったあの時代、よく修学旅行先が伊勢神宮
伊勢神宮と神々の美術 | Art and The City | 2009/09/04 3:55 PM