青い日記帳 

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「百鬼夜行の世界」

国立歴史民族博物館で開催中の
人間文化研究機構連携展示「百鬼夜行の世界−百鬼夜行絵巻の系譜−」展に行って来ました。



佐倉まで行った甲斐がありました。

是非とも一度はこの目で観たかった重要文化財「百鬼夜行絵巻(百鬼夜行)」(大徳寺真珠庵)と「百鬼夜行絵巻(百鬼ノ圖)」(国際日本文化研究センター)の2点が拝見出来ただけでも満足。

絵巻物のさだめとして作品全てをずらりと展示公開出来ないのは、仕方なし。我儘、贅沢言ってはいけません。(もっともっと観たかったけど…)

上記2点の他にも東博模本や国会図書館、そして京都市芸大本など、「百鬼夜行絵巻」を愉しむ(研究する)のに欠かせないメジャーところがずらり勢ぞろい。これで常設展示の一部なのですからため息すら。

国立歴史民族博物館総合展示第3展示室(近世)ミニ企画展示「もの」からみる近世。といった括りに「百鬼夜行」が。下手すると見逃してしまいそうなほど。

【展示室内の見取り図】
←クリックで拡大。

もうちょっと広いスペースで……折角なのですから……
と、つい無い物ねだりしてしまうくらいに展示品は充実。

以下、展示リストと展示期間(展示替え)です。
(黒字部分は頂戴した解説書の説明です)

・重要文化財「百鬼夜行絵巻(百鬼夜行)」大徳寺真珠庵所蔵
 7月18日〜 8月20日前期のみ展示


室町時代(16世紀)に描かれた唯一の絵巻である。数多ある百鬼夜行絵巻伝本のなかで、この種の絵巻の源流に位置するものとされてきた。異形のものたち(妖怪)の行列の様子が、躍動感あふれる筆致で描かれ、色彩も鮮やかである。巻物に貼付された短冊状の紙片に「百鬼夜行図 伝土佐光信筆 真珠庵」とあるが、光信の真筆かは確証がない。
妖怪の大半がいわゆる「付喪神」(つくもがみ)と称する古道具の妖怪で占められている。この系統絵巻の登場以降、「百鬼夜行」とは道具の妖怪たちの行列、つまり「百器夜行」とイメージされる傾向が強くなった。
巻末の暗闇の上方から出現する、謎めいた「火の玉」については、朝日とする説と陀羅尼(だらに)がもたらした火とする説があるが、現在では後者が有力となっている。
そこれまでも、真珠庵も模本ではないかとの説があったが、最近、諸伝本に描かれた妖怪の配列を比較することによって、祖本の配列の古態を留めている模本は国際日本文化研究センター所蔵『百鬼夜行絵巻』ではないかとの説が出された。(小松和彦)


・「百鬼夜行絵巻(す本)」国立国会図書館所蔵
  8月1日〜 8月30日後期のみ展示巻替えあり(8/14・8/24)

・「百鬼夜行図」国立歴史民俗博物館所蔵
 7月18日〜 8月30日


真珠庵本の系統に属する絵巻だが、真珠庵本にはみられない妖怪がいくつも描かれている。「かみきり」「がごぜ」「ふらり火」などと称される妖怪は、個々の妖怪名を記し、その姿を描いた絵巻として知られる『化物づくし』(加賀屋れい氏蔵・制作年代不明)や『百怪図鑑』
(福岡市博物館蔵・1737年)にもみえており、化物図鑑的な絵巻との関係を考察する上で興味ぶかい。また、真珠庵本と共通する図柄であっても、細部の描写に注目すると基本的な違いが認められる箇所が少なくない。絵師の狩野洞雲(寛永2年・1625一元禄7年・1694)は、狩野操幽に学びその養子となり、のちに駿河台狩野家を開いた人物である。真珠庵本系統の絵巻のなかで模写年代のもっとも古い模本は、狩野重信が狩野守房と名乗っていた元禄元年(1688)から宝永4年(1707)の間に模写したものとされている。この点でも本絵巻の持つ意義は大きい。(常光徹)


・「百鬼夜行絵巻(百鬼ノ圖)」国際日本文化研究センター所蔵
  7月18日〜 8月30日
→画像は全てこちらで観られます!
絵に躍動感があり、優れた絵師によって描かれたことがわかる。添付の紙片に「吉光 百鬼ノ図」とある。江戸時代前期の模本だが、図柄や筆致などから、祖本は室町時代の制作と判断できる。
道具の妖怪に特化した真珠庵本と一致する図柄がなく、しかも動物や魚介、道具などの多様な妖怪が描かれ、『烏獣人物戯画』や『御伽草子絵巻』などの先行絵巻の影響が色濃く表れている。
これまで東京国立博物館所蔵の『百鬼夜行図』(東博模本)が、真珠庵本成立の謎を解く鍵となる絵巻とされてきた。江戸時代後期の模本だが、真珠庵本と同じ図柄とともに、それ以外の図柄もたくさん描かれており、この祖本は真珠庵本よりも以前に描かれ、そこから道具の妖怪だけを抜き出し、配列し直したものが真珠庵本系統の絵巻ではないか、と考えられてきた。しかし、この絵巻の発見によって、従来の説とは逆の、『百鬼ノ図』の妖怪と真珠庵本の妖怪を合わせて1巻の絵巻にしたのが、前述の「東博模本」の系統の絵巻である、という可能性が高まった。
絵巻の3分の1を占める、不気味な黒雲とそのなかから登場する異形のもののシルエットの場面は圧巻である。(小松和彦)


・「百鬼夜行絵巻」京都市立芸術大学芸術資料館所蔵
 7月18日〜 8月30日



・「百器夜行絵巻」兵庫県立歴史博物館所蔵
 7月18日〜 8月30日



・「百鬼夜行図」東京大学附属図書館所蔵
 7月18日〜 8月30日



・「百鬼夜行図(異本)」東京国立博物館所蔵
  7月18日〜 8月30日

・「百器夜行絵巻」国立歴史民俗博物館所蔵
 7月18日〜 7月31日前期  8月21日〜 8月30日後期

「百鬼夜行の世界展」は8月30日までです。
佐倉市と言えば、川村記念美術館。ロスコ・ルームも再開しています。

千葉県佐倉市までとてもとても遠くて行けない!という方には、以前、こちらの記事で紹介した、「百鬼夜行絵巻の謎」が最もお勧め。国際日本文化研究センター蔵の「百鬼夜行絵巻(百鬼ノ図)」を軸に今回の展覧会で展示されている数々の絵巻がカラーで紹介されています。
←この表紙の部分が今回公開されています!
「百鬼夜行絵巻の謎」 (集英社新書ヴィジュアル版)
小松和彦氏の力作です!!

今の世の中、妖怪が夜中に闊歩するような「暗闇」が全く存在しません。まさかコンビニの灯りに照らされる妖怪なんて思ってみただけでも「グロテスク」です。

「妖怪」が現代社会に生活する我々に必要不可欠なの存在であることは衆目の一致するところ。「ぬばたまの夜」を光で照らし、妖怪の時間を人間の時間に変えてしまった結果、我々が得たもの、背負ったものは精神的苦痛でしかありません。

辺り一面四六時中明るい人工的な光のもとで、遠近感の欠如した生活を余儀なくされるなんて・・・「夜は眠るものである」と山本夏彦は言いました。眠れない夜を抱える現代人。自分は何のために生きているのか、日々の生活を送っているのか。。。

強烈な憧憬と共にカウンター装置としての「妖怪」が求められるのも尤もなこと。「オカルト」や「カルト宗教」に走るなら「妖怪」の方がまだまだカワイイものです。

『百鬼夜行の世界−百鬼夜行絵巻の系譜−』
・期間 : 2009年7月18日(土)〜8月30日(日)
・場所 : 国立歴史民俗博物館 
第3展示室(近世)副室
・料金 : 一般420(350)円
・開館 : 9時30分〜17時00分(入館は16時30分まで)
・休館日 : 7月21日(火)・27日(月)・8月3日(月)・17日(月)・24日(月)※8月10日(月)は開館
・主催 : 大学共同利用機関法人人間文化研究機構
(国立歴史民俗博物館・国文学研究資料館・国際日本文化研究センター)

同時開催:
国文学研究資料館
「百鬼夜行の世界」 平成21年7月18日(土)〜8月30日(日)


「歴博」

【関連図録等】

百鬼夜行の世界』角川学芸出版刊 1800円
※刊行物のお問い合わせは(財)歴史民俗博物館振興会
電話:043-486-8011、Fax:043-486-8008 E-mail:shop@rekishin.or.jp

この記事のURL
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■ 趣旨
 「百鬼夜行の世界」が、人間文化研究機構の連携展示プロジェクトとしてスタートしたのは平成20年6月でした。国際日本文化研究センター(日文研)の小松和彦氏を代表に、国文学研究資料館(国文研)の小林健二氏、国立歴史民俗博物館(歴博)の常光徹が責任者となり、12名からなる展示プロジェクト委員会を組織しました。妖怪文化に関しては、これまでにも企画展示の開催や共同研究、資料の収集などそれぞれの機関で研究を積み重ねてきた経緯があります。今回の企画は、こうした各機関が蓄積してきた研究成果をリンクさせ、連携展示という形で広く公開するとともに、新たな情報を発信する機会になればとの期待をこめて立ち上げたものです。

■ みどころ
 器物などが妖怪になった付喪神(つくもがみ)や鬼など、異形のものたちが列をなして練り歩くさまを描いたのが「百鬼夜行絵巻」ですが、その誕生は謎に満ちています。広く知られる、真珠庵蔵「百鬼夜行絵巻」(重要文化財)は、土佐光信の筆になると伝えられ、後世に大きな影響を与えました。近年発見された、日文研蔵「百鬼ノ図」は、真珠庵本と一致する図柄がなく、この二つの絵巻に登場する妖怪を合わせて1巻の絵巻にしたのが東京国立博物館蔵「百鬼夜行図」(模本)ではないかとの説が出されています。また、歴博蔵「百鬼夜行図」は、江戸時代前期の制作で、ユニークな妖怪が登場するなど注目を集めています。

展覧会 | permalink | comments(4) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

こんにちは
これまた楽しみな展覧会なんです。
「日本建築は・・・」と一緒に見れるな、とわくわくです。
真珠庵の赤い月の下の化け物たち、ちょっと村上豊を思い出します。

資料館は行けませんが、東洋大の井上円了の幽霊特集には行く予定です♪
遊行七恵 | 2009/07/23 12:49 PM
@遊行七恵さん
こんばんは。

これ国立と佐倉で開催するのは
何かの罰ゲームなのでしょうか…
東博で一挙公開とか出来ないのかな〜

「日本建築は…」は思っていた以上に
楽しめましたしためになりました。
Tak管理人 | 2009/07/23 4:55 PM
20日に行って来ました。
3時頃着いて「日本建築・・」も併せて観ようとチケット買いいざ!と意気込んだのですが、縄文時代の遺跡から観ていたら時間が無くなりそうになり、慌てて第3展示室へ、
付喪神と言われる古道具の妖怪や、虫や魚介の妖怪など、有ったのですが、妖怪の名前が知りたくなりました。

(先日芸大行ってきたんですが、百鬼夜行の絵巻があり名前がかいてあったので。)
 ホント、展示室が狭いよね〜もう少し広くても良いんじゃないかしら。
 日本建築・・・も見たので、チケットが建築の写真になっちゃったーっつ!
プル | 2009/08/02 11:28 AM
@プルさん
こんにちは。

そうなんですよね。
あそこはちょっとでも
どこかでハマってしまうと
時間があっという間に無くなってしまいます。
しかも広いですし。

途中の休憩所が笑えます。

ここでなくて、東博あたりで
まとめてどーーんと
開催してくれないでしょうかね。
折角だからもっともっと拝見したいです。
Tak管理人 | 2009/08/03 9:30 AM
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