2009.09.11 Friday
「一蝶リターンズ」
板橋区立美術館で開催中の
「御赦免300年記念 一蝶リターンズ〜元禄風流子 英一蝶の画業〜」展に行って来ました。 ![]() 愚にもつかないお笑い芸人を面白い面白いと囃し立てるテレビにうんざりしていらっしゃる方、「英一蝶展」で、軽妙且つ味わいのある痛快な真の面白さを教えてもらいに板橋まで! 「板橋区立美術館」+「英一蝶」=面白くないはずがありません。 こんな幟を立てちゃう美術館そうはないかと。 拡大→![]() 「不動図」 お不動さまが滝に打たれ修行中。真剣な顔のはずなのにどこか滑稽感すら漂うお顔。「チョー冷っ!」とか言っていそうですよね。 また一蝶らしいユーモアが表現されているのが画面左下。持物の剣だけでなく、背負っていた「炎」まで火が消えたら商売あがったりとばかりに背中から外され(これって着脱出来るの?そもそも)丁寧に脇に置かれています。几帳面に着替えを用意してあるかのように。 ついついこうして不動とその周辺ばかり見入ってしまいますが、墨の塗り残しで描かれた滝が流れ落ちる様などテクニック的にも見応え充分の作品。ただ単に面白いだけではない点が一蝶の凄いところ。 古典の面白話からも題材を得て多く作品を残している中、今回出展されている「徒然草 御室法師図」はその最たるもののひとつ。 高校時代に古典の授業で習った『徒然草』の中にあるこの話。仁和寺の坊さんが酔いにまかせ鼎を頭からすっぽりかぶり余興を。ところがそれが抜けなくなりおおごとに。町医者に診せても「こんな病人見たことない」と。 「徒然草 御室法師図」部分そうするうちに息も苦しくなりいよいよ命も危なくなる。死んでしまうよりはましだと、坊さんの身体を抑え鼎を強制的にひっぱり外すことに。耳や鼻はもげてしまったが、何とか一命は取り留めたという話。バカげた話ですが、兼好法師は仁和寺の近くに居を構えていたので実際耳にしたのかもしれません。 こんな「美味しい話」を一蝶が逃すはずありません(「御室法師図」の御室とは仁和寺のことです)西川祐信の「絵本 徒然草」などには、酔いにまかせ鼎をかぶり踊っている場面を描かれています。 ![]() でも一蝶のそれは町医者に診てもらっているシーン。鼎が取れずに苦しんでいるのに、お医者さん何故か脈を取っていたりと、更にユーモラスな場面を選んで描いているのです。より、おつで粋な笑いを一蝶自身が好んだからに他なりません。 因みに高校時代この話で「鼎」という言葉初めて覚えました。 さて、展覧会会場は第1室と第2室の二部屋に分かれ、最初に江戸で好き放題に暮らしていた一蝶が、幕府の怒りを買い三宅島へ流罪になる前、多賀朝湖(たがちょうこ)と名乗っていた時代の作品と、「島一蝶」と呼ばれる三宅島時代に描いた作品が展示。第2室では恩赦により江戸に帰り英一蝶と名乗ってから描いた作品が。 一貫しユーモア心あふれる作品を分かりやすく噛み砕いてナビゲートしてくれるのが、こちらの「一休さん」 ![]() 「一休和尚酔臥図」 板橋区立美術館の独自キャプション今回も健在です!「○○図」とかでは面白味ないので、美術館の方がそれぞれの作品に現代風のタイトルを付けてくれてます。 更に加えて酔っ払って寝てしまった一休さんの寝言として簡潔な解説も。(解説ではなくて「コメント」ですねあれは)例えば… ![]() 「朝暾曳馬図」 板橋区立美術館が付けたタイトルは「今日も元気に働こう」 なるほど、これならタイトルと作品がぴたり符合します。 そして一休さんの寝言は…「影の表現に注目じゃ」 確かに!展示室内は照明を落としてある関係で画面よりも影の部分がかかり見えにくくなっています。下手すると見落としてしまいかねません。そこを泥酔一休和尚が見事に指摘してくれるのです。 本題の「朝暾曳馬図」よりも大きく「今日も元気に働こう」とキャプションに書かれ更に「影の表現に注目じゃ」の見事な酔眼でナビゲート。日本画、江戸絵画の面白さ分からないんだよな〜って方もこれならすんなりと。 再度。「板橋区立美術館」+「英一蝶」=面白くないはずがありません。 展覧会には初期の浮世絵そのものの作品(菱川師宣そっくり)から「島一蝶」そして今回初公開となる極彩色の珍しい仏画も展示されています。 ![]() 「阿弥陀来迎図」 尾形光琳とたった6歳違いの一蝶。同じ時を共に生きたにも関わらず、一蝶単独の展覧会はほとんど開催されていません。「面白い」ことを軸に書いてきましたが、単に愉快なだけでなく、洒脱で実は教養ある深い趣きある作品ばかりです。 1709年。島流しの地、三宅島から江戸に戻ってから今年で丁度300年ということで、展覧会のタイトルに「一蝶リターンズ」と名付けられていますが、光琳以上に江戸で絶大な人気を誇った英一蝶が、平成の世に再び脚光を浴びるといった裏の意味もありそうなタイトルです。 感興そそられる一蝶ワールドへ是非是非。 最後に「今日の一枚」 「社人図」「鳥居に願いを書いてやれ!」ってそんな無理な体勢で、、、 ちゃんと書けるのかな〜無理だろうなーー 英一蝶展「一蝶リターンズ」は10月12日までです。 ![]() 板橋区立美術館 〒175-0092 東京都板橋区赤塚5-34-27 TEL: 03-3979-3251 アクセス 【関連エントリー】 - 「幻惑の板橋〜近世編〜」 | 弐代目・青い日記帳 - 「絵師がいっぱい」 | 弐代目・青い日記帳 - 「戸方庵井上コレクション名品展」 | 弐代目・青い日記帳 - 「エコ&アート」 | 弐代目・青い日記帳 - 「ミッフィー展」 | 弐代目・青い日記帳 - 「ミリオンセラーの絵本原画と世界の絵本画家たち」 それでは最後に「今日の美味」 ![]() ![]() 「かおり」梨の種類も数多くあれど、この「かおり」に勝るもの他になし。 この記事のURL http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1877 JUGEMテーマ:アート・デザイン 英一蝶の予習は↓の「美術の窓」9月号で。また前田恭二氏の「やさしく読み解く日本絵画―雪舟から広重まで」(とんぼの本) 多賀朝湖(たがちょうこ)は、都市の人間模様を生き生きと描いた元禄期の江戸を代表する画家です。しかし、幕府の怒りを買って流罪となり、足かけ12年を三宅島で過ごします。 |

拡大→
「徒然草 御室法師図」部分



「社人図」










![消えたフェルメールを探して/絵画探偵ハロルド・スミス [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51RWb%2BELgML._SL160_.jpg)








