青い日記帳 

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「冷泉家展」

東京都美術館で明日10月24日より開催される
「冷泉家時雨亭叢書完結記念 冷泉家 王朝の和歌守(うたもり)展」の内覧会にお邪魔して来ました。


「冷泉家展」公式サイト

美術館で開催してはいますが、絵画彫刻といった類のもの展示は殆どなく、地下1階から2階までの展示室にずらりと、冷泉家に伝わる和歌にまつわる典籍が公開されています。

展示構成は以下の通り。

第1章:家祖(かそ)文学史に輝くスターたち
第2章:明月記(めいげっき)定家の自筆の日記 800年前の息づかい
第3章:勅撰集(ちょくせんしゅう)宮廷文化の精華 最高水準の和歌が集結
第4章:私家集(しかしゅう)「歌の家」の必須資料
第5章:歌書(かしょ)と物語 貴族の教養 第一は歌の心得
第6章:宮廷と宸翰(しんかん)極彩華麗な宮廷の香り



自葉和歌集」(南北朝時代)と「合点和歌集」(鎌倉時代後期)共に作者未詳の歌集。国語や歴史の教科書には出て来ませんし聞いたこともありません。

実はこれらは、「新発見の和歌」なのです。特に「合点和歌集」は、これまで存在すら知られていなかった和歌集。

昔、大学時代の先輩が「冷泉家の蔵(時雨亭文庫)にはまだ未知のものがいっぱいあるんだ」と言っていたことを冗談だと思っていましたが、どうやら先輩の見識間違いなかったようです。

注:展示室内の写真は内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。


それにしても、最初から最後まで、ただひたすら典籍が展示されているだけの展覧会ですので、古典に興味の無い方にとっては、ちっとも面白くないかと思われます。

ただ、逆に少しでも古典に興味関心をお持ちの方が、ひとたび会場へ足を踏み入れたらそれはそれは、大興奮間違いなし!1000年の時を超えやっと愛しい人に巡り合えたそんな気分にさせられます。(これ決してオーバーではなく、ホントに)

例えば、こちらは後期展示品ですが…

隠岐本 新古今和歌集
重要文化財 筆者未詳 鎌倉時代中期 冷泉家時雨亭文庫蔵

「おーー隠岐本だ〜」と感涙しその場を動けなくなる人も、かなりいらっしゃるはず。学生時代不真面目だった自分でも「新古今和歌集の定本として最も重要な『隠岐本』」程度の知識はあります。

帰りの電車内で図録拝見していて「隠岐本 新古今和歌集」のページを読み耽ってしまい、降りる駅乗り過ごしてしまいました。(Twitterでつぶやいたのはこのことです)

そして極め付けはこちら。

古今和歌集 嘉禄二年本」展示期間:前期
国宝 藤原定家筆 嘉禄2年(1226)冷泉家時雨亭文庫蔵

和歌の解釈とか全然できなかったにも関わらず、眼を合わせられないほどの興奮が。凝視出来る方が羨ましい〜

今、和歌(短歌)に全く興味なくこの展覧会のどこがそんなに凄いのか、お分かりにならなくとも、書かれている文字が読めなくても(自分も読めません)本物を目にしておくということは、後々必ずや大きなかけがえのない財産となります。

未知の世界を垣間見るのも悪くありません。

展示室入ってすぐにあるこの2点がどんだけ凄いものか、公式サイト他で予習してから行かれると尚宜し。

左:「古来風躰抄」国宝 藤原俊成自筆 建久8年(1197)
右:「拾遺愚草」国宝 藤原定家自筆 鎌倉時代前期

上記2点の国宝は前後期共に公開。但し帖・巻替えあり。

800年間、京都で守り続けてきた多くの和歌関連の典籍。これらがもしなければ今我々が知るところの「古典の世界」の多くが消え去ってしまいます。

冷泉家が守り抜いてきたこれら膨大な量の典籍や古文書は、存在していること自体まさに奇跡なのです。

古典に少しでも興味のある方は是非。
そして未知の世界の扉を開けたい方も。

最後に「今日の一点


明月記」の紙背文書
国宝 藤原定家自筆 鎌倉時代前期
冷泉家時雨亭文庫蔵
日記・典籍などの作成・書写は、書状や反古の裏を料紙として利用することがよく行われた。紙の再利用である。このような、裏面となった文書を紙背文書という。
『明月記』は紙背文書の宝庫である。冷泉家時雨亭文庫蔵の『明月記』だけでも、残存する紙背文書は六百点余り。ほかに、後世に剥離された痕跡を残すものも多くあり、なかには、独立の文書として、あるいは裏打ち紙として再々利用され、現存するものもある。
この展示方法はスマッシュヒット!紙背文書頭では分かっていても実際に見ること出来ませんからね〜

尚、国宝「明月記」は全58巻のうち部分を前後期で展示替えするそうです。

おまけ:都美館お楽しみスペース。冷泉家で現在も毎年行われている「乞巧奠(きっこうてん)」星の座を再現。「星に願いをー和歌が上手になれますように」


冷泉家の「夏越の祓」や大将人形の前にハの字形に戦陣の幟を飾る「端午の節句」の様子などもパネルで紹介されています。

やっぱりここだけ時間が止まっているな。。。

「冷泉家 王朝の和歌守(うたもり)展」は12月20日までです。

作品保護のため、前期と後期で全作品を入れ替えるそうです。これから先も大事に受け継いでいかねばならぬ「国民の財産」でもありますからね。
前期:2009年10月24日(土)〜11月23日(月・祝)
後期:2009年11月25日(水)〜12月20日(日)


巡回先:
京都文化博物館
2010年4月17日(土)〜6月6日(日)


記念音楽会「古今和歌集と地歌・箏曲」
地歌・箏曲の演奏を聴きながら、和歌と邦楽について解説します。特に幕末に活躍した吉沢検校は和歌に造詣が深く、「古今組」と呼ばれる作品を多く残しています。また「百人一首」から題材を取った地歌「八重衣」なども演奏、日本音楽に多大な影響を与えた和歌を紹介します。

・出演:野川 美穂子(解説)高畠 一郎(箏と三弦)帯名 久仁子(箏と三弦)田嶋 謙一(尺八)
・日時:2009年10月31日(土)午後2時(開場:午後1時30分)
・会場:東京都美術館 講堂(定員240名)
・料金:前売:900円、当日:1,000円(税込、音楽会のみ)


お知らせ
明日、土曜日から28日水曜日まで出張のため留守にします。
ブログは自動更新かけて行きますが、コメント、TBはその間対応できませんのでご勘弁下さい。尚、Twitterでは、つぶやきまくるつもりです。

https://twitter.com/taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1920

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【書評】『冷泉家・蔵番ものがたり』冷泉為人著
冷泉家は、その存在自体が奇跡といえる。国宝や重文が積まれた蔵も住宅(重文)も、そして人も。藤原道長から約1000年、家祖となった為相(ためすけ)(母は十六夜日記を書いた阿仏尼)から約730年。俊成、定家という和歌の大スターを生み、明治維新後も京都に残り、平成の世まで公家文化と「和歌の家」の伝統を守り伝えてきた。
 同書では家の歴史から文化財、無形文化財である公家の年中行事まで、まるで物語るように易しくひもとき、一般にも読みやすい。そこには日本文化の源泉がある。タイトルの「蔵番」には、先代の長女貴実子さんと結婚して第25代当主を継いだ著者の、この先1000年に向けた静かな覚悟が込められている。

   ↓


和歌〜やまとうた〜は長期にわたり日本文芸の首座を占めつづけてきました。なかでも天皇や院の命で編まれる勅撰和歌集は宮廷文化の華であり、その撰者になることは、歌人にとってこのうえない名誉でした。冷泉家は、三代つづけて勅撰撰者となった藤原俊成、定家、為家を祖に持ち、歴代が宮廷や武家の歌道師範をつとめた家柄です。京都御所にほど近い、現存最古の公家住宅である同家の蔵には、800年の伝統のなかで集積されてきた勅撰集、私家集(個人の歌集)、歌学書、古記録などが収められ、いまなお「歌の家」として尊崇を集めています。それらの書物は「冷泉家時雨亭叢書」として刊行され、このほど全84巻の叢書が完結したのを機に、冷泉家が守り伝えてきた貴重な典籍や古文書類の精髄をお目にかけるのが本展です。俊成筆『古来風躰抄』、定家筆『古今和歌集 嘉禄二年本』『後撰和歌集 天福二年本』『拾遺愚草』『明月記』の国宝5点をはじめ、展示替を交え約400点もの国宝・重要文化財が公開される初めての機会です。また、天皇の書「宸翰(しんかん)」も披露されます。天皇から授かった御衣おんぞで表装された華麗な作品群は、観る者を一気にみやびな世界へといざなうことでしょう。
展覧会 | permalink | comments(6) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

こんばんは。

なんか、冷泉家展より、この記事の速さに感動しています。
出張、お気をつけて。
冷泉家の展覧、ゆっくり後味を感じる予定です。
なんて早い仕事をされるのだろう!!

お習字したくなりませんでしたか?
あべまつ | 2009/10/23 10:13 PM
明日から始まる展覧会というとこれと写真美術館のサルガドが双璧をなしますかね。
僕もNHKブックスで興味を抱いていたところです!
東京都美術館はこの展覧会とボルゲーゼやって長期休館になりますね。
バリアフリーとかしっかりやってもらいたいですね。
秋深し、まだまだ注目すべき展覧会はいろいろありますね。
個人的には横須賀と神奈川県立近代美術館葉山にも注目しています。
oki | 2009/10/23 11:30 PM
少し毛色が変わった場違いのアートフェアかもしれませんが、ご来場頂ければ大変ありがたく存じます。

国際屋外アートフェア2009横浜

日時:10月30(金)〜11月1日(日) 10:00〜16:00
場所:横浜市山下公園 お祭り広場

主催:NPO 国際アート&クラフトプロモーション http://iacp.jp/home.html
共催:横浜市

詳細につきましては、下記のサイトをご参照下さい

当アートフェアのウェブサイト http://e-iacp..hp.infoseek.cojp/co.jp/enter.html
インタビュー記事(スターツ出版 OZマガジン)http://www.ozmall.co.jp/entertainment/item/vol18/


NPO法人 国際アート&クラフトプロモーション http://iacp.jp/home.html 
konnpeito | 2009/10/27 1:17 AM
@あべまつさん
こんにちは。

次の日の早朝の新幹線に乗らねば
ならなったので急いで書きました。
あまり時間かけないほうが
すっきとした記事になるようです。

>お習字したくなりませんでしたか?
当然!!

@okiさん
こんにちは。

リニューアルして使い勝手のよい
美術館となるようです。
国立新美術館よりも個人的には
こちらの方が地の利があるので
行く機会多くなります。

出光とMOTに注目。
明日内覧伺えたらいいな〜

@konnpeitoさん

生憎都合がつきません。
御成功願います。
Tak管理人 | 2009/10/29 1:55 PM
出張お疲れさまでした。
冷泉家行ってきました!
どうせわからないだろうと音声ガイドを借りて正解でした。
冷泉貴美子さんは定家が実在する人物と知って驚かれたそうですね。
けど定家の書写がなければ、古今も源氏も今に伝わらないとは、神話の人物では困るわけですね。
明月記をめいげっきと読んだり、今の日本に独特の世界ですね。
貴美子さんは、現代短歌は文学でつまり、私とあなたは違う、それに対して和歌は四季の美を読む、つまり、私とあなたは同じとも音声ガイドで語っておられました。勉強になるなあー。
次のボルゲーゼのチラシきちんと印刷されてましたね。
記念映画会は、カラヴァッジョ 天才画家の光と影とか、みたいなあ。
oki | 2009/10/29 11:42 PM
@okiさん
こんにちは。

疲れました。ヘトヘトです。
でも帰ってくると展覧会がまってくれているので
元気が出ます!(仕事やること山積なのですが…)

京都ではボルゲーゼ美術館展の準備が
着々と進められていました。
ちょっとタイミングが遅ければ
あちらで拝見できたのですが。。。

この展覧会は普段美術館へ足を
運ばない方が大勢みえるでしょうね。
Tak管理人 | 2009/10/30 1:12 PM
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展覧会探訪2009-141 王朝和歌 | 花散里でひとりごと | 2009/11/21 8:34 PM
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冷泉家 王朝の和歌守展・・・夢の浮き橋 | 地中海のほとりにて | 2009/11/24 4:08 AM
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