青い日記帳 

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「いけばな展」

江戸東京博物館で開催中の
特別展「いけばな〜歴史を彩る日本の美〜」の内覧会にお邪魔して来ました。


展覧会公式サイト

昨日、勤労感謝の日からスタートした「いけばな展」お正月をはさんで1月17日まで開催。意外にも「いけばな」に的を絞っての大規模な展覧会はこれが初めだそうです。各流派ごとにそれぞれ思惑もあるでしょうからね〜

特に部外者が見ても、伝統的なものに縛られていそうな「いけばな」の世界。心を一にして展覧会を開催するなど本来あり得ないのかもしれません。

10月3日から11月15日まで京都文化博物館で一足お先に開催されていた展覧会が東京へ巡回。構成はあちらも同じだったのでしょうか?

プロローグ いけばなの源流
第1章 いけばなの成立
第2章 豪華になるいけばな
第3章 流派の誕生といけばな大流行
第4章 はなの器
エピローグ いけばなの近現代と広がり



日吉山王本地仏曼荼羅図」南北朝時代 14世紀 延暦寺

注:会場内の写真は主催者の許可を得て内覧会時に撮影したものです。

今では、リビングルームを飾り立てる生け花もその源流を辿ると、神仏に捧げられた「供花」(くげ)に行きつきます。仏様のお誕生日のお祝「花祭り」程ではないにせよ、必ず仏前には供物として献花が存在します。

日吉山王本地仏曼荼羅図」の中央にも供花を確認できます。普段ならお釈迦様初めとする仏様のお姿に目が行くところですが、今回はメインは仏画ではなく、お皿に添えられたパセリのような供花。

観ようとする対象が変われば仏画もまた別のものとして目に映るから不思議。

第1章 いけばなの成立


文阿弥花伝書」京都・鹿王院 室町時代
仙伝書」京都・池坊短期大学 江戸時代前期

座敷に花をどうのように飾ればいいか、また形はどんなものが良いかなどをイラスト入りで指南する解説書。「形」から入ることは大切。まずは基本から。

で、実際掛け軸の前に生け花飾るとどんな感じになるのか。気になりますよね。想像力の乏しい自分にもってこいの演出がなされています。


狩野常信「観音・山水図」京都・仁和寺 江戸時代前期 17世紀(〜12/20)
三具足の飾り」京都・華道家元池坊総務所 江戸時代中期

能阿弥や相阿弥によって中央に香炉、左に花瓶、右に燭台という形式になったそうです。その後に飾られる掛け軸は三幅対の中央に「三具足の飾り」が来るのがベストポジション。

実際にこのように飾られていたことがこの絵巻からも見て取れます。

酒飯論絵巻」京都・茶道資料館 室町時代 16世紀
君台観 巻第四・第五」東京国立博物館 江戸時代 慶長十二年(1607)
君台観左右帳記」京都・野村美術館 江戸時代 18世紀末頃

さて、この辺りまで拝見してきて、生け花の展覧会ではあるけれど、実際の生け花は一つもなく、こうした絵画作品が中心となっている展覧会だと気付かされます。

しかも京都のお寺さん等から出展されている作品も多く、これはもしかして、滅多矢鱈に拝見出来るものではないのでは。。。と思うように。

その極め付けがこちら。

立花図屏風」京都・華道家元池坊総務所 江戸時代

立花図屏風」は今日拝見した中でナンバー1!!

こういった掛け軸の前には、このような趣のいけばなを飾るのか〜と眼で観てなるほど〜と感心&関心。掛け軸の絵との取り合わせが絶妙。六曲一双の屏風絵、都合12種類の取り合わせが楽しめちゃいます。

そして今では当たり前となっている花瓶に花を立てて活ける「立花(立華)」(りっか)は丁度16世紀中頃に成立したそうです。

第2章 豪華になるいけばな


花車図屏風」京都・真正極楽寺(真如堂) 江戸時代 17世紀
花車置物」東京国立博物館 江戸時代 19世紀
花籠形釣香炉」東京国立博物館 江戸時代 18世紀
手前は、
「重文 立花之次第九捨三瓶有[池坊専好立花図]」
京都・華道家元池坊総務所 江戸時代前期

「花車図屏風」は確か京都展のチラシに用いられた作品。ゴージャスです。あまりにも非現実的過ぎてまるで「妖怪花車」のようにさえ思えてしまいます。17世紀の江戸時代って元気ですよね〜ほんと。

重要文化財に指定されている「立花之次第九捨三瓶有」は池坊専好(二代)の作品を集めた画帖。一本一本細かな文字で何の花が活けてあるかが書き込まれていたりします。これさえあれば形だけは、池坊専好の作品に。後は心。それが肝心なのですけどね。

第3章 流派の誕生といけばな大流行

展示作品数の最も多い章がこの第3章。
本に描かれた様々ないけばなが登場。


源氏流瓶花規範絵巻」「源氏物語五拾四帖之生方図」神奈川・九曜文庫江戸時代 後期 19世紀

「桐壺」から始まる「源氏物語」の巻名をそのままいけばなの題名に。ただし、それがどうして「桐壺」なのか?は判然としません。調べてみたら面白いかも。

立石和弘君に今度聞いてみよう。飲んだ時にでも。

もう一方の「源氏物語五拾四帖之生方図」には巻名と共に源氏香の印も描き込まれています。

因みに、江戸時代までいけばなは、「男のたしなみ」でしたが、江戸後期から次第に「女のたしなみ」へと。これは当時刊行された「女子用往来物」等の出版物の影響が大。で、「スカート男子」はどこへ行けば観察できるの?

江戸時代といえば当然ながら浮世絵。
いけばなもかなり描かれているのですね〜こうしてあらためて視点を変えると。


鈴木春信「浮世美人寄花 南の方松坂屋内 野風 藤」個人蔵
喜多川歌麿「遊君五節生花会 松葉屋内代々とせ」個人蔵
歌川豊広「生花の図」個人蔵
葛飾北斎「吐雲楼生花会」個人蔵

栄松斎長喜の「風流挿花会」が今回展示されていた浮世絵の中では白眉かな〜こんな作品あったんだと思わず笑みがこぼれてしまいました。


狩野定信「武家邸内図屏風」福井・萬徳寺江 戸時代前期 17世紀
右の屏風絵は「第3章 流派の誕生といけばな大流行」に分類されています。
生花図屏風」東京・財団法人草月会 江戸時代

まだまだ紹介したい絵画作品沢山あります。
例えば「立花風俗色紙」「湯女立花図」共に個人蔵の作品。多分きっとこの先滅多な事がない限りお目にかかれない珍しい作品。

展覧会タイトルこそ「いけばな展」となっていますが、内容はご覧の通り。立派な絵画展です。しかも前述したように京都を初めとしたお寺さんからの出展作品がわんさか。タイトルでかなり損をしているのでは?

絵画ファンの皆さん是非!自分も今日伺って驚きっぱなしでした。

そうそう、展示室内には生花飾れないので「近世花くらべー花書による いけばなの復元ー」コーナーが設けられ造花による生け花が再現されています。これが結構面白い!


富士山の形をかたどった枝ぶりの松など愉快愉快。また仕切りに障子を用いるなどニクイ工夫、演出も最低限ながらされています。

最近の江戸博好きかも。

最後に「今日の一枚


池坊専栄肖像」京都・華道家元池坊総務所 桃山時代
花伝書(大巻并座敷荘厳図)」 京都・華道家元池坊総務所 室町時代

やはり何と言ってもこのお方そして「花伝書」でしょう!いけばな展ですから。
幸い生け花には手を染めていないので何とも思いませんが、ご覧になる方によってはこの前でひれ伏してしまう。そんな代物なのかもしれません。

それにしても、よくまぁこれ出したな〜池坊。

特別展「いけばな〜歴史を彩る日本の美」は2010年1月17日までです。

こちらにも注目!
特別展会場入口前に各流派によるいけばな作品展示が週替わりで登場。
一緒には並べて展示は出来ないのかな〜(と振ってみる)

草月流 勅使河原茜

2009年
11月23日(月・祝)・25日(水) 草月流 勅使河原 茜
11月27日(金)〜29日(日) 古流松藤会 池田 理英
12月4日(金)〜6日(日) 宏道流 望月 義
12月11日(金)〜13日(日) 池坊 戸内 敏
12月18日(金)〜20日(日) 龍生派 村 華泉
2010年
1月2日(土)〜4日(月) 一葉式いけ花 粕谷 明弘
1月9日(土)〜11日(月・祝) 小原流 小原 宏貴
1月15日(金)〜17日(日) 清風瓶華 早川 尚洞

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  仏に供える花を源流とし、室町時代に書院の飾りや連歌会(れんがえ)、茶会、七夕法楽(たなばたほうらく)の花などで様々な様式が誕生した「いけばな」。江戸時代には各流派が生まれ、庶民にも広がり、明治時代には女性の教養として普及、海外にも「IKEBANA」として知られるようになりました。
  本展では、後世のいけばなの手本とされた室町時代の花伝書や代表的な立花図を並べた屏風、花を楽しむ女性たちを描いた浮世絵など重要文化財を含む約170件を通して、日本のいけばなの多彩な展開や深い芸術性を紹介します。さらに、いけばなの伝統的な型を復元展示するほか、大名邸で立てられた大型の立花をCGで再現するなど、いけばなの魅力をわかりやすく展示します。
展覧会 | permalink | comments(6) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

御紹介ありがとうございます。なんだか、俄然楽しみになってきました!
花散里 | 2009/11/25 12:26 AM
草月流だったので、初日に伺いたかったです。
友人が初日行って、茜家元の作品を見て、胡蝶蘭を使っているのが珍しいって言ってました。
(確かに・・・そう思います。)
先生方の作品を見てると、結構特徴持っていたりして、勉強にはなります。

朱奈 | 2009/11/25 1:00 AM
素晴らしい展覧会紹介の記事を書いて
いるのですね。私は作家ですが、もし
よかったらHPを宜しくお願いします。
永井雅人 | 2009/11/25 8:48 AM
小原流のへなちょこ教授のワタクシ。
Takさんの紹介で足を運んだ展覧会はいくつもありますし、
素敵な紹介ゆえに涙を呑んだものも数知れず。
今回は後者ですけど・・・・ほんとうに残念!
OZ | 2009/11/25 7:03 PM
こんばんは
一足お先に京都で前後期楽しんできました。
構成はたぶん同じだと思うのですが、二期構成なら、多少の違いがあるかもしれませんね。
それにしてもこの展覧会は予想以上に面白い内容でした。
「武家邸内図屏風」など、初見も多かったです。
(遊楽ではなく、嗜みとしての娯楽に興ずる人々なんて、滅多に見ません)
集め方も色々やなぁと感心して、楽しく眺めて回りました。
京都では繁盛しましたので、お江戸でも人気の展覧会になればなーと願うてます〜
遊行七恵 | 2009/11/25 10:20 PM
@花散里さん
こんばんは。

行く前にちらりと公式サイト拝見したら
「これは!」と。正解でした。

@朱奈さん
こんばんは。

確かに、胡蝶蘭とか使うの珍しいかもしれませんね。
假屋崎氏もかつて草月流にいらしたのですよね。

いけばなの展示を一気に行わず
週替わりで展示するのがなんとなく
大変な世界であること暗示しています。

@永井雅人さん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

作家さんからお褒め頂き光栄です。

@OZさん
こんばんは。

いけばなをなさっている方には
もしかして物足りないかもしれません。
逆に。
何にも知らない自分が行って丁度良い
内容の展覧会でした。

@遊行七恵さん
こんばんは。

京都でも人気だったのですか〜
確か華車の屏風絵がチラシ等で
用いられていましたよね?

仰る通り、普通の絵画展では
中々拝見できないレアものが
多く見られ、思わぬ収穫でした。
もう少し宣伝上手くすれば
もっともっとお客さん呼べるのに〜

Tak管理人 | 2009/11/26 8:44 PM
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いけばな 歴史を彩る日本の美 | 遊行七恵の日々是遊行 | 2009/11/25 10:07 PM