青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< April 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「国宝 土偶展」 | main | 「躍動する魂のきらめき―日本の表現主義」 >>

「隈研吾展」

ギャラリー間で開催中の
「隈 研吾展 Kengo Kuma Studies in Organic」に行って来ました。



隈 研吾 Kengo Kuma
1954年横浜生まれ。1979年東京大学建築学科大学院修了。1985~86年コロンビア大学客員研究員。1987年空間研究所設立。1990年隈研吾建築都市設計事務所設立。2001~09年慶應義塾大学教授。2007~08年イリノイ大学客員教授。2009年より東京大学教授。

主な受賞に、1997年日本建築学会賞(森舞台 登米町伝統芸能伝承館)、アメリカ建築家協会ベネディクタス賞(水/ガラス)、2001年国際石の建築賞(石の美術館)、村野藤吾賞(那珂川町馬頭広重美術館)、2002年スピリット・オブ・ネイチャー国際木の建築賞(一連の木の建築に対して)、2007 年Detail Prize 2007(ちょっ蔵広場)、2008 年エネルギー・アーキテクチュア・アワード(梼原まちの駅・交流施設)など。



TOTO乃木坂ビル3F。エレベーターを降り会場入口に立った時点で目の前がわさわさ、何やら忙しない雰囲気。そして一歩足を踏み入れると…それこそ足の踏み場もないほど大量の建築模型が!

注:会場内の写真はギャラリーの許可を得て撮影したものです。


ご覧の通り!!これはすさまじい。

何でもこの第1会場には34プロジェクトのスタディ模型や素材サンプルが展示されているとのこと。ギャラリーの方のお話では、完成された綺麗な建築模型を「作品」のようではなく、こうして何から何まで全て見せることが隈研吾氏の意向だそうです。

隈研吾建築事務所の一部がそっくりそのまま、ギャラリー間に移動してきたかのよう。素人の自分でもワクワク昂揚感抑えきれなくなるほど。

ましてや、ギャラリーを訪れている専門家と思しき方や学生さんにとってはまさに宝の山。普段ここで開催される展覧会の何倍もの熱意で会場内の温度も上昇せんが勢い。



しかし、ただ雑然と無造作に置かれているわけでは決してありません。3つのカテゴリー「contour」「texture」「organization」に分類されています。

会場内を囲む壁にも所狭しとデッサンが描かれている中にそれぞれのキーワードの解説も。例えば「contour」とは…

建築を消去したいという願望が存在した、まず、建築を埋めることによって消去しようと考えた。ところが埋められる方としても、黙って埋められるがままというわけではない。埋めようとする主体と埋められまいとする客体とがせめぎあい、その緊張感あふれるせめぎあいがcontourという具体的な形をとる。
さらにcontourは、埋められたもののメッセージであり、埋められたものはcontourを通じて人々を誘うのである。


それぞれのキーワードを紹介する映像も第1会場に。どんだけ盛り沢山なんだ!

「ちょっと隈研吾展、観てくる」の「ちょっと」が大変なことになりそうな(否、なる)そんな展覧会。因みに会期は12月19日(土)まで。急いで〜金曜日は19時までオープン。乃木坂駅すぐです。

ギャラリー間アクセス情報


さて、第1会場から中庭を観やるとなにやらま白な物体が。

ポリタンクから発想を得た「ウォーター・ブランチ」による未来の仮設住宅が建っています。2000個のウォーター・ブランチを組み上げて作った家。


実験的な構造システム「ウォーター・ブランチ」による未来の仮設住宅
1つ650gのポータブルなブランチ、セルフビルドも可能な家。

要所要所に水を入れることにより(元来水を入れる容器ですから簡単簡単)自重によって屋根と壁のジョイント部分に発生する変位を、水の重さにより変形を抑えることが出来ちゃうそうです。

「ウォーター・ブランチ」内部

また、床や壁の一部に水を入れコントロールすることにより、室内の温度を5度程度調整することも可能だとか。その発想はなかった。。。

自家発電によりLEDライトもほんのり点灯。

最後に4階の第2会場へ。


グラナダ・パフォーミングアーツ・センター」グラナダ、スペイン
2013年竣工予定

1/25のスケール。ハニカム・ストラクチャー(ボイドスラブコンクリート構造)の強度を確認するため、こうした模型も作るそうです。

劇場内、鑑賞者席と舞台の間が真っ二つに分断されているので、中に入りこんな視線からも劇場内の様子捉えることが出来ます。



また単に強度確認のためだけでなく、コンピューターによる構造解析だけでは得られない力の流れの感覚や、劇場内のスケール感の確認及び、音響効果の検証もこうした模型を作ることで収集するそうです。最後は手作業ですからね。

こちらもまた25分の1の模型。

ブザンソン芸術文化センター」ブザンソン、フランス
2011年竣工予定

隣接する川のかわらかい地形に呼応するような、やわらかい線形の屋根の形状と、木漏れ日のような光の効果を生み出すランダムな開口部」これは完成したらさぞかし美しいでしょうね〜印象派の画家たちに見せてあげたい建物です。

これもまた、CGでは光の効果、空間の広がりを実感するのに限界がるので、光の状態を検証するために、1/25の模型をこうして作り上げたそうです。夕方の光が窓から差し込み、中島英樹氏による壁面グラフィックと相乗効果発揮。

壁面に映る光。時間の経過と共に楽しめるはず。
ここの監視員役得ですね!晴れていれば。


第1会場にも「ブザンソン芸術文化センター」と「グラナダ・パフォーミングアーツ・センター」の建築模型あります。探すのちょっと大変ですが。

サントリー美術館の隈研吾さん。根津美術館の隈研吾さん。としか頭に無い自分にとってはとても刺激的な展覧会でした。これでまた両美術館行くの楽しみにもなります。

新・サントリー美術館
新・根津美術館

現在パリと北京にも事務所を構え、世界中で15のプロジェクトが進行中の隈研吾氏のアクティブな側面を乃木坂で垣間見ることの出来る絶好のチャンスです。

「隈 研吾展 Kengo Kuma Studies in Organic」(「スタディーズ・イン・オーガニック」)は12月19日までです。
入場無料。11時〜18時(金:19時)
ギャラリー間

【関連エントリー】
- 「安藤忠雄建築展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「20 クライン ダイサム アーキテクツの建築」
- 「千葉学展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「前川國男建築展」 | 弐代目・青い日記帳
- 群馬県立館林美術館 | 弐代目・青い日記帳

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1975

JUGEMテーマ:アート・デザイン


この展覧会と同じタイトルの本もTOTO出版さんから発売中です。

国際的に活躍するばかりでなく、2009年から東京大学教授にも就任した建築家、隈研吾の初期の代表作からコンペ案、最新プロジェクトまで36作品を紹介します。
本書の見どころの1つは、斬新なブックデザイン。従来の建築本のイメージを覆す、自由奔放かつ上品なデザインを手掛けたのは、雑誌『Cut』のアートディレクターとしても有名なデザイナー、中島英樹。建築界の常識を覆してきた隈研吾の建築デザインと、中島英樹のグラフィックデザインが、本書で見事にシンクロしました。シンプルながら随所にアイデアの詰まったカバーも必見です。
もちろん、内容も充実。本書タイトルにある「オーガニック(有機的)」とは、「負ける建築」を経て、隈研吾が現在もっとも関心のあるテーマです。隈の考える「有機的」とは、単に見た目が生物っぽいことではありません。巻頭エッセイ「消去から有機体へ」では、21 世紀の新しい生物観に基づいて、隈が有機的建築の再定義を試みています。隈研吾のチャレンジが結集した一冊。





隈 研吾氏はポストモダンが衰退しバブルが崩壊した1990年代、オブジェクトとしての建築に疑問を呈し、「建築の消去」を自身の建築テーマに掲げ、その思考を「ルーバー」や「孔」といった建築的手法に変換して設計活動を展開してきました。2000年代に入り、活動の場が海外にも広がると、「見せる/消す」という二項対立では説明できない、より複雑な関係性をもった魅力的な建築を数多く提案し続けています。近年では、国内外の大規模コンペで立て続けに最優秀賞を獲得し、今世界で最も活動が注目されている建築家の一人です。

本展では、常に建築的思考を深めながら疾走し続ける隈 研吾氏の現在の活動を、「Studies in Organic」と題し紹介します。
会場には、多数のスタディ模型やサンプルを展示し、常に複数のプロジェクトが影響し合いながら同時進行している隈氏の設計現場をドキュメントします。また中庭には、MoMAに出展した実験的な構造システム「ウォーター・ブランチ」による未来の仮設住宅を1分の1で組み立て、さらに、現在進行中の2つのプロジェクト、「ブザンソン芸術文化センター」[ブザンソン、フランス、2011年竣工予定]と「グラナダ・パフォーミングアーツ・センター」[グラナダ、スペイン、2013年竣工予定]を25分の1(予定)の大型模型で展示し、様々なスケールの展示物を通して隈建築の現在形を読み解くことができる会場構成としています。


展覧会 | permalink | comments(4) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

こんばんは。
久しぶりにコメントさせていただきます。
私自身は隈研吾展は入ったことがありません。

ただ隈研吾さんがデザインしたマンションのマンションギャラリーに行ってきたことがあります。
新宿区の神楽坂の赤城神社と一体となったパーク○ート神楽坂でした。隈研吾さんのデザインは悪くないと思ったのですが,神社の境内に住み,神社が宗教法人であることを利用して定期借地権の借地料を抑えるという商売には,なんだかなあと思いましたし,隈研吾さんもよくこんなプランに協力したなと思いました。

展覧会に直接関わらないことをコメントしてすみません。
余りにも(よくない意味で)インパクトを受けたマンションでしたので。
フランツ | 2009/12/16 6:29 AM
 隈建築「M2」の頃は度肝抜いたけど「負ける建築」以来、条件に譲歩しつつ、逆手にとって魅力を引き出す建築に惚れ惚れ。
 展覧会は丁寧に配置され、中島英樹氏のGraphic designが引き立て、双方とも良い空間でした。
 ここでは紹介されなかった国内建築も楽しみ。歌舞伎座も。
panda | 2009/12/16 11:05 AM
隈研吾展は開幕1週目に観たのですが、
知っていたり見たことがある建築の展示が少なかった上に、
専門的な用語が多過ぎて…。
今年自分が幾つも観てきた建築展覧会の中では、
正直どちらかというと、はずれの範疇に含まれてます。
建築についての学習・教育を経験した事のない
自分の無知さもいけないのですが。
@フランツさん
こんばんは。

残念ながら建築については
美術以上にまったくもって
無知なもので、その神楽坂の
マンションについても
存じ上げておりませんので
コメント何とも出来ません。

ただ、人間が日々成長するように
考え方も成長するのだと思います。

@pandaさん
こんばんは。

こぎれいな建築展とは
一線を画する生き生きとした
展覧会でしたね。
夜はさぞかしきれいだったのでは?
手動発電のLEDとか。

@minamimusashiさん
こんばんは。

コンペに通らなかったり
お蔵入りしたような建築模型も
今回敢えてだしたそうです。

私なんぞは単純に沢山見られて
ラッキー(ハート)くらいにしか
感じませんでしたが。。。
Tak管理人 | 2009/12/17 5:08 PM
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
この記事に対するトラックバック
ギャラリー間で開催されている「隈研吾展」へ行ってきました。ナポリ近郊の採石場で撮った写真が、印象的なポスターになっています。隈研吾は先日オープンしたばかりの「新根津美術館」の設計者として知られています。今回の「隈研吾展」、「Studies in Organic」と題さ
ギャラリー間で「隈研吾展」を観た! | とんとん・にっき | 2009/12/16 12:43 AM
先週末・17日(土)のこと、前々日に続き、再び行ってみました。ギャラリー・間。あ、↑画像は当日撮影したものではありませんで…今春KDa展を観に行った際のものです。そんな訳で、現在の開催展覧会・隈研吾展Studies in Organic10月15日(木)〜12月19日(土)につい