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「ターナーから印象派へ」

府中市美術館で開催中の
市制施行55周年記念「ターナーから印象派へ 光の中の自然」展に行って来ました。



こちらも昨年の12月に行って来た展覧会。

ターナーにさほど魅力を感じないので観に行こうか躊躇していましたが、見開きA3サイズのチラシに目を通すや「これは行かねば」と。観たい!と思わせる作品がチラシに1点でもあれば足も美術館へ向くもの。

例えば、これ。

ジョン・エヴァレット・ミレイ「グレン・バーナム」1891年
マンチェスター市立美術館

ミレイですよ、あのミレイ。一昨年Bunkamuraで開催された「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」の興奮がよみがえります。

または別の意味でこれとか。

ポール・ゴーギャン「ディエップの港」1885年
マンチェスター市立美術館

ゴーギャンの初期の弱々しい色彩の作品。昨年開催された「ゴーギャン展」でも同じ頃のらしくない風景画が出ていました。

展覧会名が「ターナーから印象派へ」ではなく「ターナーからラファエル前派そして印象派へ」(ちょっと長いけど)だったら、もう間違いなく2009年11月14日開幕直後にすぐさま駆けつけていたはず。

既に開催された岡山県立美術館のサイトにあるこの紹介文も秀逸。是が非でも観に行きたくさせます。
イギリス風景画の礎を築いたターナー、カンスタブルからラファエル前派のエヴァレット・ミレイ、イギリスに収蔵されるピサロ、ゴーギャンなど印象派をはじめとしたフランスの画家たちの作品、そして印象派の影響を受けたイギリスの画家たちの作品まで、7つのテーマの下にご紹介いたします。
セクション分けもしっかりされていたのも観やすかったな〜

1章 純粋風景主題と自然
2章 海、川、湖、そして岸辺の風物
3章 旅人
4章 仕事と風景−人、動物、農耕
5章 人のいる風景
6章 建物のある風景−建築物と土地の景観図
7章 フランスの風景画


17世紀オランダで生まれた「風景画」をイギリス(英国風景画)が引き継ぎ、それがフランス印象派の誕生に寄与したことの輪郭を、この展覧会で掴むことが出来ます。


ジョン・カンスタブル「ハムステッドのブランチ・ヒル・ポンド」1820年代
ベリ美術館

ハムステッドへは、一度だけフェルメールの「ギターを弾く女」を観るために訪れたことがあります。この作品が描かれた1820年代はまだまだロンドン市内から「遠く離れた場所」だったこと伺い知ることも。

今ではすっかり高級住宅地。ロンドン市内から地下鉄一本で行けます。
駅からフェルメールのあるケンウッドハウスはちと遠いけど。。。


ジョージ・クラウセン「春の朝:ハーヴァーストック・ヒル」1881年
ベリ美術館

花を手にした優雅な親子連れの脇では道路工事をする人々の姿が。微妙な距離感を絵の中に感じるとともに、観ているうちに自分もこの絵の中の何処かに入り込んでしまったようなおかしな感覚にとらわれました。

そうそう、この作品もしキャプションなければ、ぱっと見、マネの作品と見間違えてしまいそうです。

ターナーというメジャーな作家に頼らずとも十分魅力的な内容の展覧会です。これは当たり。もし行かずにいたら悔やんでいたはず。だって、今年は印象派の展覧会目白押しですもの。ドーバー海峡を隔てた英国に印象派誕生の「光」があったことを気付かせてくれます。

それと、面白いのは同じ島国である日本の風景画との違い。同じ府中市美術館で昨年開催された「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」と時代が違いますから単純な比較はできませんが、それでも描かれている対象に大きな違いがあります。

それは「山」。

国土のほとんどが山である日本に対し、イギリスはフラット。最も高い山であるベン・ネヴィス山でさえ標高1343mしかありません。富士山のようなシンボリックな山の存在がない代わりに。。。

最後に「今日の一枚


ジョン・ウィリアム・ゴッドワード「金魚の池」1899年
ベリ美術館

英国絵画を色で表わすと?と問われたら即答で「オレンジ色!」と。自分の中ではすっかりそれ定着しています。この作品を見てフレデリック・レイトンの作品かとワクワク。(レイトンは他の作品が出ています)

ゴッドワードのこの作品も今回拝見し脳裏に焼き付きました。一生忘れない作品となりそうです。嬉しいな〜こういう絵と出会えるなんて。

この作品は今回の展覧会にはありませんが、これをうん十年前に観てからレイトン卿の虜でもあります。

フレデリック・レイトン「Flaming June

豊橋市美術博物館、岡山県立美術館と巡回してきたこの展覧会。この府中市美術館が最後です。個人蔵の作品も多くあります。各地方で表情を様々に変えるイギリスの風景を堪能出来ます!

1月24日(日)には府中市美術館館長の井出洋一郎先生の講演会があります。
ポスト印象派主義ーゴーギャン、ゴッホ、スーラほか
時間は14:00〜15:30
聴講は無料。当日先着100名まで。


「ターナーから印象派へ」展は2月14日までです。

英国の画家たちは、はてしなく広がるイングランドの大地に光を求めてアトリエから飛び出し、思うまま自然の美しさを描き出しました。


府中市美術館
〒183-0001 東京都府中市浅間町1丁目3番地(都立府中の森公園内)
Tel:042-336-3371


【関連エントリー】
- 「動物絵画の100年展」 | 弐代目・青い日記帳
- 「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」 | 弐代目・青い日記帳
- 蘆雪の「雀」が観たい!「動物絵画の100年 1751-1850」展

それでは最後に「今日の美味


BARBARA market place 151」の「カマンベールのはちみつオーブン焼き

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 西洋における風景画は、17世紀オランダに遡る伝統をもっていますが、市民革命・産業革命によっていち早く市民社会の成立を迎えたイギリスにおいて、18世紀末から19世紀にかけてよりいっそう身近なジャンルとなりました。ターナーは、「光」と「色彩」に着目して空気感に富んだ作品を残し、機関車のような同時代文明あるいは厳しい自然と向き合う人間の姿を描き、ドーヴァー海峡を越えた隣国・フランス印象派の画家たちに影響を与えたことでも知られます。
 本展では、マンチェスター市立美術館、ベリ美術館、マンチェスター大学タブリ・ハウスコレクションなどに所蔵される作品により、19-20世紀の英仏両国の風景画を展観し、相互の交流を辿ります。イギリス風景画の礎を築いたターナー、カンスタブルからラファエル前派のエヴァレット・ミレイ、イギリスに収蔵されるピサロ、ゴーギャンなど印象派をはじめとしたフランスの画家たちの作品、そして印象派の影響を受けたイギリスの画家たちの作品まで、7つのテーマの下にご紹介いたします。
展覧会 | permalink | comments(11) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

こんにちは。
この展覧会実は昨年11月17日に行ったのですが、
その日は先に練馬区美術館で菅原健彦展を見てしまい
強烈な印象を受け、ターナーがすっかり霞んで、
他のきれいな風景画には心ひかれながら、またに
しようと、つい行きそびれてしまいました。
そうだまだやってたんだとあらためてチラシを
ながめています。ありがとうございました。
井出館長の講演ももう一回あるし〈1/24の日曜ですね)
できればその日に行きたいと思っています。
すぴか | 2010/01/05 4:28 PM
11月に府中の美術館へ行きこの展覧会を見てきました
息子が府中に下宿しているので近くであったと言うのが理由ですが、昨年は豊橋でもやられていたようです
ミュージアムショップが印象に残っています
ky823 | 2010/01/05 9:00 PM
@すぴかさん
こんばんは。

24日スケジュール的に行けるかどうか
微妙なのです。行きたいのは山々なのですが。。。
井出先生のお話お聞きしたいな〜
もし行かれるようでしたらTakが宜しく云ってたと
お伝え願えれば嬉しいです。

それにしても
展覧会の組み合わせは印象を大きく変えて
しまうものですよねーもし逆だったらとか
よく考えてしまうことあります。

@ky823さん
こんばんは。

豊橋、岡山と巡回し府中が最後のようです。
府中の会期が長いのは嬉しい限り
出来れば今一度足を運びたいと思っています。
「オレンジ」の彼女に会いに。
Tak管理人 | 2010/01/05 10:41 PM
おひさしぶりです。今年もよろしくお願いします。
ご家族のことは大変でしたね。
お母様もですがTakさんもお疲れが出ないようご自愛ください。

府中でこんな展覧会をやっているんですね。
ちょっと遠いけど行ってみようかな〜。
ちなみに綱町三井倶楽部にあるターナーの絵も素敵ですよ。


shamon | 2010/01/06 7:29 PM
昨日(1月9日)見て参りました。府中は、地元という程ではないけれど一応隣の市なんですが、こちらの美術館、初めて行きました。入ったところの吹き抜けの高い空間に日光がガラスを通してほどよく和らげられているさまが感じよかったです(天気が良かったので)。
見終わっての感想ですが、ワタクシが「ターナーから印象派へ 光の中の自然」から勝手に印象を持った内容と、このタイトルによって主催者が表したこの展覧会とは、大分ずれがあったなぁ、と。
言われてみればなるほど、アトリエから外に出た19世紀イギリスの風景画がフランス印象派に影響を与え、そして響き合うような格好で大陸から逆にイギリスへ、といった辺りを表す展覧会にはこのタイトルはふさわしい。ですが、う〜ん、ワタクシはターナー→印象派、という図式で光とか水蒸気とかそういう部分でのつながりを強く思い過ぎて臨んだもので、英風景画が大部分を占める展示には、正直面食らってしまいました。それはそれで、Takさんが挙げられた絵は素敵なものではありましたが。

そうそう、それからハムステッド、ワタクシも10年ほど前に地下鉄で行きました。もちろん、お目当てはケンウッド・ハウス(アーチウェイからバスに乗りました)。
ガーター亭亭主 | 2010/01/10 8:28 AM
@shamonさん
こんにちは。

ターナーのあのもやもやした雰囲気の作品が
どうも苦手で好きではないのですが、
幸い?この展覧会には初期作品しかありませんでした。

@ガーター亭亭主さん
こんにちは。

展覧会は「見たい」と思う作品を狙ってく場合と
知らない未知の作品に出会いを楽しみにいく
ふたつのパターンが大きくわけてあるように思えます。

今回の展覧会は明らかに後者。
しかしタイトルを「英国風景画展」では
インパクトありませんので、きっと
ターナーと印象派というキラーワードを
使ったのでしょう。

生涯のうち絶対訪れることのなかろう
海外の美術館から知らない作品を
沢山日本で拝見できただけで満足です。
Tak管理人 | 2010/01/10 11:25 AM
おっしゃるとおり、タイトルはインパクトを狙ったのは明らかで(あ、もちろんそれを非難とかそんなことではありません)。

そして、shamonさんへのレスを読んで、ああ、自分は「もやもやとした雰囲気」の作品が無かったところが今ひとつ満足できなかった理由なのだ、と分かりました。

でも、そう、この展覧会に行かなければ見ないで終わった筈の絵と出会えたのだし、絵に限らず新たな出会いはそれだけ豊かになるということですものね。
ガーター亭亭主 | 2010/01/11 10:04 AM
僕も期待してなかったんですけど、意外に見ごたえがありました。美術館がある環境(公園の中)もなかなかいい美術館でした。
hitak | 2010/01/11 8:06 PM
@ガーター亭亭主さん
こんばんは。

出逢いですからね〜絵とは。
行かずにいたら二度と出逢えないでであろう
作品が展示されていると思うと
ついつい無理してでも観に行きたくなってしまいます。

あーローマへ行きたいです。

@hitakさん
こんばんは。

常設展示も含めるとかなり見応えありますよね。
青山さんの公開制作も行われていたりもしますし。
東府中駅から公園の中を通り歩いて行きました。
Tak管理人 | 2010/01/13 5:50 PM
遅まきながら行ってきました。
水彩画の凄さはさすが!でした。
とら | 2010/02/06 3:38 PM
@とらさん
こんばんは。

府中市美術館さんの展覧会はいいもの
多いですよね〜次の国芳もとても期待しています!
Tak管理人 | 2010/02/09 7:55 PM
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もう10日くらい前になりますが、久々に府中市美術館に赴き、「ターナーから印象派へ 光の中の自然」展を観てきました。ここは駅から遠いので...
ターナーから印象派へ 光の中の自然 【府中市美術館】 | 関東近辺の美術館めぐり 〜美術・美景・美味を楽しむブログ〜 | 2010/01/05 10:28 PM
「ターナーから印象派へ 光の中の自然」展チラシ 府中市美術館で開催している府中市制施行55周年記念「ターナーから印象派へ 光の中の自然」展を観てきました。この前府中市美術館へ行ったのは去年の4月、「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」展の時
タイトルは美術史の講義みたいですが、チラシにかいてある「どこまでも広くのどかな英国大地を気ままにめぐる時間旅行」のほうがぴったりしています。ぎゅうぎゅうの行列に押されてみるのとは違い、好きな順番、思い思いの距離で、飽きるまで見ていられる…散歩をして
『ターナーから印象派へ』展 府中市美術館 | フリーライター、仕事なければフリーター | 2010/02/05 6:18 PM
 副題は前に「府中市制施行55周年記念」、後ろに「光の中の自然」。19世紀初頭から20世紀初頭のイギリス風景画(水彩画が多い)→フランス印象派→イギリス印象派の流れを、ベリ美術館、マンチェスター市立美術館、マンチェスター大学ダブり・ハウス・コレクションなら
ターナーから印象派へ @府中市美術館 | Art & Bell by Tora | 2010/02/06 3:40 PM