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「大観と栖鳳−東西の日本画−」

山種美術館で開催中の
「開館記念特別展III 大観と栖鳳−東西の日本画−」展に行って来ました。



一昨年、東京国立博物館で開催された「対決展」では日本美術の巨匠たちが一対一でしのぎを削る争いを繰り広げていましたが、今回の山種美術館では近代日本画の東西チーム対決が実現。

東軍のリーダー横山大観。対する西軍のリーダーは竹内栖鳳。

こんな風に書いちゃうと、まるで山種美術館の展示会場をまっぷたつに東軍、西軍がそれぞれ陣取り鍔迫り合いを繰り広げているかのように思えちゃいますが、過激な対決色は見当たりません。

「東の大観、西の栖鳳」と称せられた日本画壇の双璧の作品を軸に、彼らが育てあげた画家たちの作品を交え紹介。セクション分けはきっぱり潔く【第1章:横山大観と東京画壇】と【第2章:竹内栖鳳と京都画壇】の二本立て。

こうして東西はっきりとグループ分けして拝見することで、またこれまでにない数々の新しい発見があります。隣り同士になった作品によって見え方感じ方って大きく変わって来ますからね。

それでは簡単に展覧会会場内をご紹介。まずは大観率いる東軍からです。

第1章:横山大観と東京画壇


横山大観「心神」1952(昭和27)年

心神とは魂のこと、そして富士山をさす言葉だそうです。大観はこの「心神」という言葉に自分の富士観といったものが言い表されると語っています。

富士山の絵を山ほど描いた大観。珍しく?奥行きのある作品です。こちらの作品がまず出迎えてくれるのですが、個人的に見入ってしまったのはその並びにあったこちら↓


橋本雅邦「松林山水」1892(明治25)年頃、「不老門・長生殿のうち不老門」「不老門・長生殿のうち長生殿」1907(明治40)年

注:画像は美術館の許可を得て撮影掲載しています。

狩野派に属する橋本雅邦は、大観の師にあたる人物。
これは良い作品を拝見できました。大観だけではね〜

また、大観の盟友、下村観山や院展の小林古径らの作品も。

小林古径「清姫のうち寝所(8 面のうち)」「清姫のうち日高川(8 面のうち)」1930(昭和5)年
後方に見える屏風絵は下村観山の「老松白藤」1921(大正10)年

それにしても、ほんと新しい山種美術館となってから屏風はじめ作品が美しく見えるようになりました。本来持っていた作品の良さを存分に引き出しています。観山の「老松白藤」こんな作品だったけ?と思わず目を疑うほど。環境って大事ですね。

ちょいと加工しパノラマ風に。

クリックで拡大します。

中央のガラスケースに、横山大観の長さ14メートルにも及ぶ「楚水の巻」1910(明治43)年を取り巻くように、前田青邨、安田靫彦、下村観山、今村紫紅、小林古径、鏑木清方、伊東深水らの作品が配置されています。

下村観山の「老松白藤」の正面には川端龍子の「鳴門」1929(昭和4)年が大迫力で対峙しているのも印象的且つ刺激的。

東軍の怒濤の攻撃をかわし、西軍の陣域へ。

第2章:竹内栖鳳と京都画壇


竹内栖鳳「班猫(重要文化財)」 1924(大正13)年

背中に蜜を付けそれを猫が舐めている間に素早く写生し描いたと言われるこの名画。ふわっふわの毛には胡粉や金泥を用いて描いているそうです。

こちらも以前、九段にあった頃拝見した時とはまるで違って見えます。こんなに毛並みが良かったかしら?と、猫と視線を合わせないようにまじまじと見てしまいます。

円山四条派の栖鳳ならではの動物描写。
ちょっとこれには大観勝ち目ないかも。また栖鳳は猫だけでなく身の回りの動物たちを愛情を持って多数描いています。↓


竹内栖鳳「緑池」1927(昭和2)年頃、「艶陽」1940(昭和15)年、「鴨雛」1937(昭和12)頃年、「憩える車」1938(昭和13)年、そして「「班猫

この時点で勝負あり。西軍に軍配上げます。
鴨雛」なんてある種、凶器です。こんな愛らしい動物の姿描いちゃうなんて。

また、恥ずかしながら今回の展覧会で初めて知ったのですが、栖鳳って元々は「棲鳳」という雅号だったそうです。それをヨーロッパから帰国してから「栖鳳」にあらためたというのです。
楳嶺門時代から、わたしは「棲鳳」の雅号を用ひていましたが、欧州の見学を了えて帰つたのを機会として、棲の文字を栖に変へました。これはわたしが西の大陸に渡つて、未だ曽て経験しなかつた幾多の事象に触れ、わたしの生活に明らかに一つの転機があつた為に西洋の西の文字に変へて欧州見学時代の尊ひ経験と収穫とを記念することにしました。
「栖鳳の言葉」より(『日本近代絵画全集巻十七月報』昭和三十八年一月)
そして西洋画からも積極的に技法を取り入れていったそうです。今回展示されている「城外風薫」等もコロー風の風景画と言われて観ると確かにそう見えなくもありません。

展覧会はこうした新たな発見の連続です。見慣れた作品、作家であっても以前観た時とは必ず違う何かを得られるもの。これだから無理してでも通ってしまうのです。

さて、栖鳳のお弟子さんたちの作品を。

西村五雲「寒渚」1938(昭和13)年、橋本関雪「霜の朝」1935-1944 年頃

こうして師の栖鳳からそのまま実直に絵を学びとった画家もいれば、上村松園や小野竹喬、福田平八郎のような伝統的な円山四条派とは縁遠い、美人画、デザイン画のような画風を手掛けた弟子たちもいます。

栖鳳は基本はしっかりと学ばせながらも、各々描きたいものを自由に描かせた、とても懐の深い師匠であったのでしょう。


小野竹喬「冬樹」「晨朝

上村松園「新蛍」「牡丹雪」「春芳

弟子入りするとしても、どうやらやはり栖鳳に軍配が上がりそうです。

さて、皆さんは東、西、果たしてどちらに??

教育者としての大観そして栖鳳という視点からこの展覧会を拝見するのも面白いかもしれません。

大観の富士山、そして栖鳳の猫。また前回の「東山魁夷と昭和の日本画」展同様にタイトルにある大観&栖鳳以外の作家の思わぬ作品にも出会える展覧会です。

ミュージアムショップにはミニ図録として「山種美術館の横山大観」と「山種美術館の竹内栖鳳」がそれぞれ販売されています。どちらの小冊子の売上げが良いか展覧会終了後にこっそり知りたい気分です。


「大観と栖鳳−東西の日本画−」展は3月28日までです。

山種美術館今後の展覧会スケジュール

開館記念展検\乎120年 奥村土牛展
4月3日(土)〜5月23日(日)

浮世絵入門−広重「東海道五拾三次」一挙公開−
5月29日(土)〜7月11日(日)

江戸絵画への視線
−岩佐又兵衛《官女観菊図》重要文化財指定記念−
7月17日(土)〜9月5日(日)

日本画 vs 洋画 
9月11日(土)〜11月7日(日)

横山大観と院展の作家
11月13日(土)〜12月26日(日)


【関連エントリー】
- 山種美術館、広尾へ移転。
- 新「山種美術館」館内見学会
- 新山種美術館開館記念特別展「速水御舟」
- 山種美術館移転後の展覧会スケジュール
- 「山種コレクション名品選展」(後期)
- 「春のめざめ」展
- 「山種コレクション名品選展」
- 「桜さくらサクラ・2008」展
- 「いきもの集合!」
- 「日本画満開」

それでは最後に「今日の美味


山種美術館1階にある「Cafe 椿」(速水御舟作品の白眉「名樹散椿」(重要文化財)からのネーミング)の和菓子「朝空の竹」ゆず風味のさっぱりしたお味。

ここのカフェの和菓子は青山にある「菊家」で展覧会毎に創作してもらっている「留め菓子」。因みに、お抹茶は小山園の「龍の白」。コーヒーは京都スマート珈琲の豆を使用しているそうです。(コーヒーセット1000円、抹茶セット1100円)

今回展示されている小野竹喬の「晨朝」をイメージして作られた新作和菓子。この展覧会限定の和菓子は他に4種類もあります。それじゃ〜「今日の一枚」はこれにしましょう。


小野竹喬の「晨朝」1969(昭和44)年

そうそう、「生誕120年 小野竹喬展」も2010年3月2日(火)〜4月11日(日)の日程で東京国立近代美術館で開催されますね!こちらも楽しみ!!山種美術館さんからも出展されるそうです。



この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2031

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横山大観と竹内栖鳳は、「東の大観、西の栖鳳」と並び称せられ、明治以降の日本画の革新をリードしてきました。日本画壇の双璧、東京画壇と京都画壇の総帥、狩野派と円山四条派、東京美術学校と京都府画学校というように、常に対比されることの多い二人は、一画家としてのみならず指導者として重要な役割を果たしました。
本展覧会では、明治、大正、昭和を通じて、東京と京都のそれぞれの伝統の上に立ちながら、日本画の革新に努めた二人の画家の画業を振り返るとともに、その周辺の画家たちの作品も展観します。東京画壇からは、大観の師である橋本雅邦、盟友である下村観山や菱田春草、院展の小林古径、安田靫彦、前田青邨らの作品を、京都画壇からは、菊池契月や栖鳳の私塾である竹杖会の作家―上村松園、西村五雲など、京都府画学校の教え子―村上華岳、福田平八郎らの作品を展示いたします。
今回は特に当館所蔵の大観作《燕山の巻》(全長17m余)《楚水の巻》(全長14m余)の二大絵巻を全編公開いたします(会期中展示替あり)。1910(明治43)年6月より約2ヶ月間の中国滞在の体験から、大観はその年の10月の第4回文展に《楚水の巻》を発表、12月に《燕山の巻》を完成しています。これらの作品は大観にとって初めての本格的な水墨画巻であり、後に《生々流転》〔1923(大正12)年 東京国立近代美術館蔵〕へと発展していく途上の重要な作品です。また、当館所蔵作品の中でも特に人気が高い栖鳳作《班猫》(重要文化財)を2年ぶりに展示します。毛づくろいをしながらこちらをじっと見つめるグリーンの瞳の猫。墨、胡粉、金泥などで描かれた猫の毛の柔らかな質感は、思わず触れてみたくなるほどです。栖鳳の細やかな筆づかいを間近にご覧ください。
同時代を歩み、それぞれ独自の絵画世界を打ち立てながら、常に近代日本画壇の中心的存在であり続けた大観と栖鳳。この二人の作品を軸に東西の作家を加えた、当館所蔵品の選りすぐりの作品を通して、日本画を再発見していただければ幸いです。
展覧会 | permalink | comments(5) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

こんばんは。
素晴らしい展覧会でした。栖鳳については殆ど知らなかったし、
他の西の方のも、斑猫だけ知っていたような、どの絵もとても
きれいに見えました。
パノラマ風にしてくださって雰囲気よくわかり最高です。
また清姫と白藤を一緒に写して、あそことてもよくって感激です。
下村觀山の《老松白藤》はびっくりするほど綺麗で、照明も
よかったです。
ミニ図録は竹内栖鳳を買いました。
すぴか | 2010/02/10 12:10 AM
TAKさん、亀レスですが
やっと山種美術館に行くことができました
「炎舞」はみることができませんでしたが
とてもいい美術館ですね
ふらっと行きたい美術館のひとつになりました

東西対決(笑)、とても迷いましたが、私は、
東に軍配をあげたいと思います。。
大観の動物画の可愛らしさと(栖鳳も秀逸でしたが
菱田春草の「月四題のうち」に心奪われました

でも、東西対決で一番悩んだのは、「Cafe 椿」のお菓子(笑
大観の「富士山」に対抗する栖鳳のお菓子がなく(残念
秋篠宮殿下が「素敵なお菓子ですね」とおっしゃったという
御舟「名樹散椿」をイメージした椿の和菓子をいただくことに
美味しゅうございました
この「富士山」の影響か、パンフレットは、大観が
売れていたように思います(そんなわけありません笑)

rico | 2010/02/12 5:28 PM
@すぴかさん
こんにちは。

栖鳳の猫は何度観ても新しい発見と
驚きがあります。イメージよりも
大きな作品ですよね。

ミニ図録に栖鳳自身、小食だったと
書いてある文章ありましたよね。
それと写真が大観と対照的できっかり
しているのも好感が持てました。

@ricoさん
こんにちは。

日本画は展示出来る期間が限られてしまうので
回転が速くタイミングを逸してしまうこと
よくあります。「炎舞」のような目玉作品は
開館記念展がひと段落したのちに奥の
こじんまりとした展示室で公開されるそうです。

カフェ椿の和菓子は迷いますよねー
自分も散々迷ったあげく小野竹喬にしました。
近美で展覧会も近いことですので。

椿の和菓子は前回頂戴しました。
テイクアウト出来るのもいいです。
かみさんへのいい土産になります。
Tak管理人 | 2010/02/14 9:28 AM
はじめまして。
いつも大変楽しく拝見しております。
栖風については宮尾登美子の「序の舞」に、この「班猫」のエピソードが載っていたので、こちらで拝見できて大変嬉しかったです。
小説に描かれていた栖風は豪放で素敵な人でした。作品ものびのびとして、いかにも優秀な弟子たちを多く育てた彼にふさわしい感じですね!
cucciola | 2010/02/14 7:36 PM
@cucciolaさん
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

「序の舞」未読です。
そうですか〜小説の中に登場する
栖鳳も素敵な人に描かれていましたかー
放埓とは違う自由さでお弟子さんに
にこやかに接していた栖鳳の姿が
目に浮かぶようですね。

今後ともよろしくお願い申し上げます。
Tak管理人 | 2010/02/19 5:56 PM
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10日ほど前の日曜日に降りしきる雨の中、山種美術館に行って、「大観と栖鳳−東西の日本画」展を観てきました。 【展覧名】 開館記念...
大観と栖鳳−東西の日本画 【山種美術館】 | 関東近辺の美術館めぐり 〜美術・美景・美味を楽しむブログ〜 | 2010/03/17 11:26 PM