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「伊藤若冲 アナザーワールド」

千葉市美術館で開催中の
「伊藤若冲 アナザーワールド」展に行って来ました。



伊藤若冲の代表作とされる『動植綵絵』のような極彩色の作品ではなく、墨で描き出されたモノトーン作品を中心に据えた展覧会。誰が名付けたか「白黒若冲展」とはまさに言い得て妙。

京成バラ園「ローズフェスティバル」で色とりどりの花を堪能し、千葉市美術館の「白黒若冲展」へいざ!

展覧会の構成は以下の通り。出品点数は前期後期合わせて165点。

第1章:若冲前史
第2章:初期作ー模索の時代
第3章:着色画と水墨画
第4章:晩年期ー多様なる展開


若冲のアナザーワールド、水墨画の世界に浸る
「伊藤若冲 アナザーワールド」出品リストはこちら(PDF)

第1章:若冲前史

クリックで拡大
佚山「花鳥図屏風」1764年、大岡春卜「墨花争奇」1757年、鶴亭「松竹梅図」1748年

注:会場内の写真は美術館からお借りしたものです

現代人の目にも新鮮且つユニークな若冲の画風も自然と出来あがったものではなく、黄檗宗の美術や沈南蘋(南蘋派)の画風に大きな影響を受けたことが分かります。

まずはここのコーナーで鶴亭や大岡春卜ら同時代の絵師たちの作品を見ながら若冲作品との深い繋がりを確認。

第2章:初期作ー模索の時代

  
伊藤若冲「柳下馬図」  「寒山拾得図」1763年

20点弱の「若冲前史」で軽く予習を済ませいよいよお待ちかねの若冲作品へ。ここから一気呵成に息つく暇与えずこれでもか〜と若冲作品のオンパレード。

この展覧会初めから飛ばし過ぎると体力到底もちません。

影響を受けたであろう絵師たちから学んだものを若冲オリジナル作品へと転化・昇華させていく試行錯誤の時期といったらいいのでしょうか。こんなものまで描いていたのか!とびっくりするようなモノクロジャクチュウの世界。


伊藤若冲「雪梅雄鶏図

京都・両足院が所蔵するこの作品。本や画像で観るとニセモノ若冲のように見えるのですが、実物と対峙すると紛れもなく若冲の筆によるものだと分かります。メジロの鼻毛まで一本一本丹念に(粘着気味に)描いています。

僅かに咲いている梅の花もまた若冲ならでは。ただし空間構成はお気に召さなかったようで、これ以降の「動植綵絵」他の作品には発展しなかったテストピースのような一枚。

第3章:着色画と水墨画


↑それぞれクリックで拡大↓


敢えて、この二つの画像に説明は要らないかと。升目描きで色々と話題の静岡県立美術館所蔵「樹花鳥獣図屏風」がこんな近くで観られます。

千葉市美術館の展示ケースは日本画や浮世絵を展示することを主に作られているので奥行きが浅く出来ています。要するに作品までの距離が近いということ。東博では単眼鏡で見なければならない作品もここなら肉眼で十分過ぎるほど見えちゃいます。

京都国立博物館所蔵の「果蔬涅槃図」や「石灯籠図屏風」も思い切り堪能可能。作品の展示位置も低めなので見上げる必要もありません。

最高の環境じゃありませんか〜「千葉まで遠いなー」と迷っている方、どうですこれ観たら明日にでも飛んで行きたくなったでしょう。他ではちょっとあり得ませんからね。

第4章:晩年期ー多様なる展開


伊藤若冲「雛に双鶏図」1794年

若冲といえばやはりニワトリ。最後のセクションでは様々な鶏たちが出迎えてくれます。「もうお腹いっぱいだから…」と言いそうなほどに。


↑それぞれクリックで拡大↓

鶏たちに混じって大変貴重な作品も千葉会場限定で出展されています。西福寺所蔵の重要文化財「蓮池図

蓮池図」は10年前の京都国立博物館で開催された「若冲展」に出て以来、一度も展覧会に出てない作品です。しかも仏様に向け描いた作品故、いつものくどくどしさも軽減。これは必見です。

因みにこの作品昭和初期に分離されるまで、元々は「仙人掌群鶏図」(サボテン若冲)の裏面に描かれていたもの。静岡県立美術館では「仙人掌群鶏図」が出ましたが「対決展」で拝見しているので「蓮池図」が観られたことはラッキーなこと。ついてるな〜

最後に「今日の一枚


伊藤若冲「鯉図押絵貼屏風」(部分)1795年

水流とは到底思えない怪しげな物体と鯉が絡み合っています。鯉の目も泳いでしまいどこを向いているのかわけ分かりません。キュビズムか?!

「伊藤若冲 アナザーワールド」は6月27日までです。

昭和46年(1971)に開催された東京国立博物館での特別展観以来、約40年ぶりに首都圏で開催される正真正銘の「若冲展」お見逃しなく!そして図録も大ボリュームでたったの2000円という破格値。売切れ必至!


会場:千葉市美術館
会期:2010年5月22日(土) 〜 6月27日(日)
観覧料:一般1000円
※リピーター割引あり。(有料で入場された方は2回目以降半額でご観覧いただけます。)

開館時間:日〜木曜日 10:00〜18:00

金・土曜日:10:00〜20:00
※入場受付は閉館の30分前まで

休館日第一月曜日(6月7日)

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若冲のアナザーワールド、水墨画の世界に浸る

伊藤若冲(1716-1800)のブームが継続中です。京都国立博物館での「没後200年 若冲展」展で、一般にも広くその名を知られる存在となり、その後も展覧会の開催、画集の刊行が続いています。もはや一過性のブームではなく日本絵画の大スターとしての地位を確立したようです。
《動植綵絵》(宮内庁三の丸尚蔵館)のような華麗な着色の作品だけが若冲の世界ではありません。若冲は晩年にいたるまで多くの水墨の作品を残しました。もしかしたら水墨画のほうが若冲の個性であるかたちの面白さは際立つかもしれません。
本展覧会は、若冲の水墨の作品を中心に、関連する着色の作品をも含めて構成します。加えて、河村若芝・鶴亭らの黄檗絵画の作品によってその水墨表現の前史を示し、若冲水墨画の世界に迫ります。前期(5月22日〜6月6日)後期(6月8日〜6月27日)合わせて165点を展示する予定です。
首都圏での若冲の大規模な展覧会は昭和46年(1971)に開催された東京国立博物館での特別展観以来、約40年ぶりとなります。若冲のアナザーワールド、水墨画の世界をご堪能下さい。

展覧会 | permalink | comments(10) | trackbacks(5)

この記事に対するコメント

ご無沙汰しております。
当方、千葉市在住。このときを待ちわびておりました。(まだ行ってません)
オクで落とした優待券が本日到着。

グッズ販売はどんな種類のものが?
「限定品」的なものはありましたか?
makoto@フェルメール | 2010/05/25 12:55 PM
はじめまして!いつも拝見しています&いつもいつも参考にしています!!
「モノクロジャクチュウ」是非見たいです。でも千葉市美術館って、私の家からだと行き難くて…挫折しそうです。


聞いてください!(はじめてコメント書くのに・・・勝手でスミマセン)
bunkamuraレンピッカ展の図録を買わずに帰ってしまいました…でも後からどーしても欲しくなって。今日、bunkamuraへ問い合わせたら、売り切れ。巡回先の兵庫県立美術館で販売していると言われ、問い合わせてみると、現地での販売のみ…(泣)
悔しいやら悲しいやら…(泣)。bunkamuraで見た時に買っておけばよかった。何故買わなかったんだ…。
タケさんもこんな経験ありますか?
良く出来た図録でしたよね。しばらく落ち込みそうです。
レンピッカ展の出口付近にあった、老年のレンピッカの写真が印象的でした。あの写真が図録に入っていれば迷わず買ったのに…(泣)
ゆっきー | 2010/05/25 1:00 PM
静岡まで遠征しようと思っていたのですが、
諸事情で行けませんでした。
それにしても、入館料1000円でこれだけ堪能できるなんてありえませんね!
「白黒若冲展」、いいですよね。
予定を調整してなるべく早く行きたいと思っています。
鉄平ちゃん | 2010/05/25 9:52 PM
こんばんは。
静岡で見てたので、そんなに時間かからないかなーと思ってたら結局2時間半かけてみっちりと見ちゃいました。
蓮池図のテイストが他の若冲作品と違ってたのが一番印象に残りました。
あおひー | 2010/05/25 10:55 PM
今日(5/25)行きましたが、あんまり空いててびっくりしました。
Takさんも書いておられるとおり、作品を間近で、
それこそかぶりつきで見られて
わざわざここまで来て本当よかった、と思える展覧会です。

後期になると混みますかね…
体調が許せば「象と鯨」をぜひ見たいものです。
よめこ(nest_design) | 2010/05/25 10:59 PM
静岡展行きました。
普段どんな素晴らしい展覧会でもガラガラのこの美術館が
平日だというのに人だかり…若冲の威力を思い知りました。

個人的には若冲前史に興味を持ちました。
「奇想」という形容をされてしまったが為に、若冲の
オリジナリティばかりが強調されてしまっているきらいが
ありますが、時代の文脈の上に成り立っている事が作品を
通じてわかったのは収穫でした。

それにしても入れ替えがあるにも関わらずこの分量…
圧倒されました。そして図録の分厚さと安さにも圧倒され
ました(笑
たかぴー | 2010/05/25 11:16 PM
待ちに待った、「アナザーワールド」
静岡にも行ったのですが、「象と鯨図〜」が見れなかった
ので、後期に行こうと決めています。

美術館のHPを見ていたら、プライス氏もテレビ撮影のために
来館されていたのですね。
6月の3週にしようかなー
楽しみです!
どんぐり | 2010/05/26 5:50 PM
@makotoさん
こんにちは。

グッズは色々とありましたよ。
限定的なものも含め。
図録が2000円と破格値。
飛ぶように売れていました。

@ゆっきーさん
こんにちは。

神戸でのレンピッカ展終わる
間際にもういちど尋ねてみては
いかがでしょう??
あまりがありこちらの熱意が
伝われば何とかなりそうですが。。。

レンピッカは著作権が厳しいので
図録はとてもレアだったと思います。

本は欲しいと思ったときに
無理してでも買っておかないと
泣きをみます。今でも20年前の
本探していたりします。私も。

@鉄平ちゃんさん
こんにちは。

静岡より千葉のほうが作品数も多いし、
それと接近して拝見できるので
静岡へは行きませんでした。
千葉市は常設展も超充実しています。
一日がかりの気持ちで是非。

@あおひーさん
こんにちは。

蓮池図は仏様に向け描いた絵ですから
いつもと雰囲気違うのでしょう。
あれは中々観られませんよーー
気になっている部分があるので次回はそこ重点的に。

@よめこさん
こんにちは。

日曜美術館では既に静岡の時に
取り上げられたのでもう放送ありません。
環境はこちらのほうがいいのですが
空いているようですね。

講演会、後期と何度かまだ
足を運ぶことになりそうです。

@たかぴーさん
こんにちは。

確かに若冲前史を設けた点が
この展覧会の実は優れたところです。
しっかり開催準備期間を経て
研究され作品交渉にあたったからこそ
実現した展覧会。

百聞は一見に如かず。
なるほどな〜と納得させられること
多々ありました。

後期の「百合図」が見ものです。

@どんぐりさん
こんにちは。

初日はさながら若冲にとり付かれた人々の
集会のようでした。プライス氏は
こういった展覧会に毎回いらしてます。
心のそこから好きなのだな〜と思います。

作品、作家に対する情熱もう少し
我々にあってもいいかもしれません。
Tak管理人 | 2010/05/31 5:27 PM
ようやく行ってこれました。
しかし、「象と鯨」は14日からとのことで、
もう一回行ってこなければなりません。
その代わり、「石灯籠図屏風」で
右側から見ると山並みや石柵が一列にそろうのを発見できたり、
ひと枡ごとに丁寧に彩色されている「白象群獣図」と比較すると
「樹花鳥獣図屏風」の枡は結構雑に描かれていることなど、
実に発見がいっぱいあってよかったです。
鉄平ちゃん | 2010/06/12 12:40 PM
@鉄平ちゃんさん
こんにちは。

すぐ近くで拝見できるので
これまで見逃していた点など
新たな発見の多い若冲展ですよね。

象と鯨はMIHOの都合で出展遅れているそうです。
展示替えもここの美術館休館日ないので
大変でしょうね。さぞかし。
Tak管理人 | 2010/06/13 11:13 AM
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