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「レゾナンス 共鳴」

サントリーミュージアム[天保山]で開催中の
「レゾナンス 共鳴 人と響き合うアート」展に行って来ました。



昨年関西では初めてとなる現代アートの展覧会「インシデンタル・アフェアーズ」を開催したサントリーミュージアム天保山が放つ第二弾。テーマは「うつろいゆく日常性の美学」から「共鳴」へ。

出品作家はご覧の20名。

マルレーネ・デュマス、アンゼルム・キーファー、マーク・ロスコ、ライアン・ガンダー、ヴォルフガング・ライプ、アンドレアス・スロミンスキー、ジャネット・カーディフ、ラキブ・ショウ、ヴァルダ・カイヴァーノ、ポール・マッカーシー、法貴信也、イケムラレイコ、伊藤彩、伊東宣明、金氏徹平、草間彌生、小谷元彦、梅田哲也、西尾美也、小泉明郎

アンゼルム・キーファー、マーク・ロスコら「大御所」の名前も散見。若手現代アーティストの作品を繋ぎ補完する大事な役割を担っています。

この展覧会拝見する為に関西旅行決行したのですから楽しくないわけありません。因みに昨年「インシデンタル・アフェアーズ」観に行った際は日帰り。

以下、印象的な作品を中心にご紹介。

まずは何と言ってもこちらでしょう〜

ジャネット・カーディフ「40声のモテット

注:展覧会会場内風景は美術館の許可を得て撮影したものです。

昨年銀座にあるメゾンエルメスで開催された「ジャネット・カーディフ & ジョージ・ビュレス・ミラー 展」で「40声のモテット」体感された方もいらっしゃるかと。

40本の高性能スピーカーが会場を楕円形にぐるりと囲み、16世紀イギリスの作曲家トマス・タリスの宗教曲がそれぞれのスピーカーから大ボリュームで流れてきます。まさに音の洪水。40人の聖歌隊に歌わせそれぞれ録音。1本のスピーカーから1人の歌声。

それぞれが共鳴し合い、会場内では「ごうだ!ひとつの曲でしょう!!」と圧倒的な「音」により有無を言わさず聴かされることに。しかしこれが心地よいから性質が悪い。気が付けば瞳を閉じうっとり聴き入ってしまっているのです。


エルメスの会場でも度肝を抜かれると同時に音楽に疎いこの自分もぐいっと惹き込まれてしまったほどの魅力。ましてや目の前に海が広がる他にはないロケーションの展示室を有するサントリーミュージアム天保山で聴いたらどうなってしまうか想像に難くありません。

当初、ジャネット・カーディフは会場の狭さを理由に作品を出すことに承諾しなかったそうです。しかし、一面の海が広がるこのロケーションを知るや出展を快諾。これまで開催してきたどんな会場よりも「広い」空間を有しているのですから当然の帰結。

世界中どこを探してもこんな素晴らしい展示空間は見つかりません。

日本の若手作家のこんな共鳴作品も見逃せません。

伊東宣明「死者/正者

1981年奈良市に生まれた伊東。臨終の床につく自分の祖母の映像と布団に横たわる作家。酸素マスクをあてがわれまさに死の直前まで撮影された映像が所々挟みこまれます。これだけだと観ていて辛くなるだけですが、基本まだ元気に話をする祖母の姿(↑)と横になったままの伊東という図式で映像は静かに時を刻んで行きます。

よく耳を澄ますと二人とも同じことを口にしているようです。それは生前の祖母が伊東に言って聞かせた自身の昔話を伊東自身がまる覚えしタイミングを合わせ同じ口調で語っているのです。勿論撮影されたのは別の場所であり別の時間です。

それにも関わらず、ピタリと一致する箇所が幾つも。これぞまさに「口寄せ」。ジャネット・カーディフ「40声のモテット」と伊東宣明の「死者/正者」比較対象は深淵な関係性を有しています。

途中二人が「五木の子守唄」唄うシーンはぐっとくるものあります。

カーディフと伊東氏の作品について武満徹に語ってもらえることが出来たらな〜と。伊東氏以外に有能な霊媒師さんいないかしら?

因みに伊東氏は死について更に突き詰める為、現在葬儀屋で働いていらっしゃるとのこと。自ら死に向かう姿を撮影されることを「女優のようだ」と喜んで引き受けた祖母の濃い血が彼にも脈々と受け継がれているようです。

たった、2作品だけしか紹介していませんが、とても観に(聴きに)行きたくなってしまうでしょ。大変深い考察の元企画構成された現代アート展はかくも面白いものかと強く実感させられます。

重みのある作品の合間にふっと息抜きできるユニークな作品を挟みこんだりしているのも大島学芸員の得意とするところ。


ヴォルフガング・ライプ「ミルクストーン

大理石の上に2リットルの牛乳が注がれています。大理石には浅い溝しかありません。ミルクのほとんどは表面張力により何とか頑張ってこの形を保っています。

しっとりしたミルクという液体だからこそ成せる離れ業。僅かな床の傾きがあってもこの作品成立しないため設置にはえらい時間と手間がかかったそうです。



そして気になる牛乳ですが、美術館スタッフが毎日閉館後に吸収性のあるペーパーで吸い拭き取っているのだとか。勿論開館前にはまた2リットルの牛乳をゆっくりと注ぎ来館者を待つことに。

しかし大理石と牛乳がこんなに「相性」いいなんて!!
美しかったですよ〜

美しいと言えば日本初公開となる作家のこちらも見逃せません。


ラキブ・ショウ「神の不在III…そして彼の血の涙によって民の町々は洪水となろう

インド生まれのラキブ・ショウ。彼の作品は制作する前から購入の予約で埋まってしまうほどの大人気。日本で観られるのは今回が初めて。出展の可否最後の最後まで個人コレクターと難航したそうです。少しの期間でも手放したくない気持ち分かります。

単に極彩色で美しいだけでなく、描かれているモチーフは逆に大変残忍なシーンだったりします。そのギャップがたまらない。


「聖アントニウスの誘惑」に描かれるまたはボッシュの描き出すワンシーンのような空中戦を演じる不気味な生物たち。首を絞め合う縄にはキラキラビーズが施されています。

これまでの宗教観やアートの文脈には収まりきらない作家がインドをはじめとする「後進国」から続々出現しまさにグローバルな活躍をみせていることを、島国に居ながら肌で感じ取ることの出来る貴重な一枚です。

「ラキブ・ショウ」グーグル検索かけても約380件しか今のところヒットしません。5年後は果たして…日本で初めて公開された「ラキブ・ショウ」の滅茶苦茶カッコイイ作品観たんだ!←これは自慢になります。

カッコイイ繋がりで小谷さんのこちらの作品も。

小谷元彦「 SP4 the specter ー What wonders around in every mind ー

昨年の「ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション」展、昨年から今年にかけメゾンエルメスにて個展「Hollow」開催、そしていよいよ11月からは森美術館で個展「小谷元彦展」が開催される注目のアーティスト。

抜刀し眼目鋭く馬を駆る古武士の姿。「人体の不思議展」よりも遥かにリアルに見えてしまうのは小谷氏が執念とも呼べる調査、検証により生み出された像故のこと。

大阪に「タイムスクープハンター」経験出来る場所があろうとは!
要潤に報告しなくちゃ。


梅田哲也の作品は会場出口を抜けた後もまだ展示続いています。上を向いて歩きましょう。サントリーミュージアム天保山の屋根裏が彼の作品により見え隠れしてます。

そうそう、作品タイトルは…

反イメージ進法

キャプションの周りにへばりついている鈴や鉄も作品の一部。壁裏にマグネット板が入っているのかある程度の範囲なら動かせます。

この他、伊藤彩の作品等も見逃せません。

ド派手な作品はありませんが、それぞれが連動し連なり合い、ひとつの物語を織り成しているような展覧会です。現代アートの展覧会とかく個性が際立ち過ぎ全体としてのまとまりに欠けることがあったりしますが、「レゾナンス 共鳴」はタイトル通り、作品同士見事に共鳴しひと塊りの「作品」となっています。

関西にお住まいの方が羨ましくなる展覧会。出来ればまた足を運びたいのですがそうそうちょくちょく伺うことはできません。ルノワール展のイレーヌちゃんもいいけど、こちらも是非に。

「レゾナンス展」は6月20日までです。


レゾナンス 共鳴
会期:2010年4月3日(土)〜6月20日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:10:30〜19:30(最終入場は19:00)
主催:サントリーミュージアム[天保山]、朝日新聞社
助成:(財)安藤忠雄文化財団



サントリーミュージアム[天保山]
住所:〒552-0022 大阪市港区海岸通1-5-10
TEL:06-6577-0001
URL:http://suntory.jp/SMT/


しかし、こんな良い美術館が閉館となってしまうのは悲しいことです。
サントリーミュージアム[天保山]は、2010年12月末をもって休館することとしました。
サントリーの美術分野における活動は、新たに設立した「公益財団法人サントリー芸術財団」内の「サントリー美術館」に集約してまいります。なお、休館後の施設の活用については、大阪市と協議を始めております。

それでは最後に「今日の美味


551蓬莱」の「豚まん」&「焼売
Twitterで「551知らない」とつぶやいたら、嵐の如きリプライが。関西行ったら食べてみてとの声に押され食して参りました。確かに美味しいね。安いしジューシー。東京にも気軽に食べられるこういうお店あればな〜

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2144

JUGEMテーマ:アート・デザイン



昨年春開催の「インシデンタル・アフェアーズ」展に続く、本格的アート展第2弾。「レゾナンス(共鳴)」をテーマに、人が生きるうえで必然的に抱く思い−「生と死」「喜び」「悲しみ」「愛」「憎しみ」「笑い」など−を様々な手法で浮かび上がらせる多彩な作品をご覧いただきます。作品に凝縮された作家の思いが、観る人の意識の深い部分で解き放たれ、心の中に浸透し、響き合います。
 本展では世界的評価の高い作家から新進気鋭の若手作家まで、20名による、絵画、写真、映像、立体、インスタレーションなど、多彩な作品約120点を紹介します。また、昨年の「インシデンタル・アフェアーズ」展に続き、難解だと思われがちな現代アートを気軽に楽しく鑑賞いただくためのツールを充実させ、展覧会を紹介していきます。
展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

こんにちは。
「40声のモテット」美しかったです。
立体的で荘厳で「共鳴」に相応しい展示でした。
ミルクストーンはやはり毎日換えるんですね。
疑問解決ですっきりです。
mizdesign | 2010/06/09 5:33 AM
@mizdesignさん
こんにちは。

シャネルで聴いたときと
まるで違ったものに感じられました。
閉じた空間でありながらも
無限に広がる空間。ここで聴ける幸せ。
行かないと勿体ないですよね〜
Tak管理人 | 2010/06/13 10:57 AM
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