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『日本美術のことば案内』

小学館より刊行中の「日本美術のことば案内」をご紹介します。


日本美術のことば案内』小学館
著者:日高薫

たとえば、こちらの画面上に数限りなくたなびく独特な形状の物体。これ一体何だろう?雲のように見えるけどそれにしては…と首をかしげてしまいますよね。また呼び名があるならなんと言うのか知りたくなります。


伝狩野元信「富士参詣曼荼羅図」室町時代(重要文化財)

そんな時、大変役にたつ一冊が『日本美術のことば案内

本書18ページに曼荼羅や絵巻にしばしば描かれる横長の「雲」についての説明が。この雲「すやり霞」と呼ばれるものだそうです。

「すやり雲」:すやり=素槍=まっすぐな槍の意味。
絵巻物などに描かれる水平方向にたなびく霞の表現は、場面を転換したり、時間の経過を示したり、空間の奥行きを表すなど、多くの効果をもつ便利な手法である。
このような辞書的な意味が冒頭にまず記されているので、手っ取り早くことばの意味を知りたい人にはひとまずこれで十分。

さらにじっくり理解したい人向けに「春日権現験記絵巻」「一遍聖絵」「富士参詣曼荼羅図」「融通念仏縁起絵巻」など数々の多彩な図版を用いて「すやり雲」について実に4ページに渡り解説がなされています。

「州浜」の項はこんな感じ。

州浜(すはま)

「用語辞典」からイメージする堅苦しい地味なイメージとはいい意味で大きくかけ離れ、各ページ毎に視覚的にも優れたデザインセンスが光ります。


皴法(しゅんぽう)

またこちらの「皴法」のページのように、必要箇所は作品の一部をクローズアップさせ掲載。自分で言うのもおこがましいですが、どことなくこのブログと似ていなくもありません。絵画のこと説明するのにテキスト情報だけではどうしても限界がありますからね。

画像沢山あると想像力に乏しい自分にとっては大助かりです。

【目次】

日本美術のモティーフ(土坡―山盛りの地面;洲浜―工芸品に隠された心の原風景 など5語)
日本美術の技法(野毛・砂子―星屑を散らすように;截金―光りもののファッション など8語)
日本美術の表現(衣文―衣服による人体表現;皴法―つくられた自然 など8語)
日本美術の鑑賞と保存(三幅対―取り合わせの妙;六曲一双―大画面を手に入れる など7語)



たらしこみ

「モティーフ」「技」「表現」「鑑賞と保存」という4つにジャンルわけされた詳細な解説に加え、「日本美術の基礎用語辞典」も末尾に掲載されています。

大げさでなく、この一冊があれば日本美術見る楽しさ格段にアップします。絵はなんとなく観るのも良いですが、描かれているものの正体や意味が分かったほうが何倍も楽しめるもの。

女性のバックにも入る薄くてコンパクトな本書。美術館や博物館で片手に鑑賞するのもよし、帰りの電車内で復習するのもよし、そして部屋で熟読するのもよし。

日本美術鑑賞のマストアイテムです。


後補(こうほ)

「後補」=修復の足跡

これなんてほんと勉強になりますよ〜

【目次】の項目以外にも「Q&A 美術品の数え方」「Q&A 難読語クイズ」「美術品の名前の付け方」「日本美術の基礎用語辞典」等も目から鱗の連続。

2003年に発売になった本書。
自分自身の永遠のベストセラーです。


日本美術のことば案内
著者:日高薫 小学館
美術館を訪ねて、美術本を読む際に、よく出会う美術の専門用語。奥ゆかしくて、味わいのある言葉を、絵画、彫刻、工芸品の具体例をあげながらひもとく。解説とともに、興味深い随筆入りのハンディーなガイドブック。
  美術館を訪ねて作品に接するとき、また美術本を読む際に、よく出会う美術の世界の専門用語。それらの言葉を即座に理解することができたら、美術鑑賞がもっと味わい深いものになります。
「宝相華(ほうそうげ)」、「洲浜(すはま)」などのモチーフを表現することば。「野毛(のげ)」、「白描(はくびょう)」、「肥痩線(ひそうせん)」など、技法を表すことば。「異時同図(いじどうず)」、「葦手絵(あしでえ)」などの表現法を表すことば。また、「六曲一双(ろっきょくいっそう)」、「伝(でん)」、「折紙(おりがみ)・極(きわめ)」といった日本美術鑑賞の際に、よく出てくる言葉を満載。絵画、彫刻、工芸品などの具体的な写真をふんだんに使って、博物館で働く著者の経験を踏まえ随筆形式で紹介します。巻末には、本文では補えないことばの小辞典付き。


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この記事に対するコメント

こんばんは。
いいご本ですね。私もこれはいつも手許に、
この本に出会ったときは、ほんと嬉しかったです。
日本美術って言葉を知らないと、とんだ勘違いをしてしまいます。
知らなかったではすまないことが、いっぱい、怖いです。
すぴか | 2010/06/25 1:16 AM
随分前に出た本ですのに、takさんに取り上げていただき、感謝。
小さいですが、著者とデザイナーと5年もかかってつくった
本です。
美術史を学びだしたころ、「ドハ」という言葉がとても奇妙に感じられたという著者の経験など、エッセイ風で読みやすい本です。名品を見ながら言葉を知るというスタイル。

そもそも日本美術が敬遠されがちなのは、言葉の難解さに
あるのではないか、という著者の発想で企画したのですが、
それから7年。男性誌も日本美術特集を組むなど、随分状況が変わってきました。

でも、言葉を知って作品を見ると、とてもよく見えてきますよ。「ドハ」(土坡、小高く盛り上がった地面)や「すやり霞」など、その目で見ると描かれているシーンを発見できますから。
ミニクイズもついていて、楽しく読む工夫が随所に偲ばせてあります。
blue moment | 2010/06/26 1:07 AM
@すぴかさん
こんにちは。

おおいに役立っています。
助けられています。
ほんとバイブル的な一冊です。
こういう良書もっと取り上げればいいのにと
思ってしまいます。

@blue momentさん
こんにちは。

5年も!!
だからこそ完成度高いのですね。
なるほど納得です。

今あらためて注目される一冊ですね。これ。
作って頂いた編集者、そして著者に
感謝感謝です。
Tak管理人 | 2010/06/27 3:58 PM
奇しくもこの本、私も最近目にとまって買い求めたばかりでした。
表紙はやや固めですが、中身は図版も盛りだくさんですごく勉強になります。

私のような素人美術ファンにも読みやすくありがたい本ですが、
Takさんたちベテラン鑑賞者の評価も高いのですね。
これからも繰り返し大切に読ませていただきます。
青の零号 | 2010/07/04 2:59 PM
@青の零号さん
こんばんは。

いやいや、日本美術を観はじめたのは
まだまだほんの数年です。
しかも体系的に見ずに直感頼りなので
こうした本は欠かせません。

一家に一冊の充実した内容ですよね!
Tak管理人 | 2010/07/04 11:36 PM
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