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「シャガール展」

東京藝術大学大学美術館で開催される
ポンピドー・センター所蔵作品展「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い−交錯する夢と前衛」の内覧会にお邪魔して来ました。


公式サイト

Twitter「シャガール−ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」展公式アカウント
@chagall_ten

ポンピドーセンター所蔵の初期作品から晩年の大作まで約20点。これに加えニューヨーク・メトロポリタン歌劇団のためのモーツァルト歌劇「魔笛」の舞台美術シリーズ約50点。まとまった形で公開されるのは初めてだそうです。

正直シャガールの作品が展覧会や美術館に数点あっても、往々にして「見慣れたいつもの夢の世界を描いたシャガール」だと確認して終ってしまいます。

どれも同じように観えてしまう悪い印象がシャガールにはあります。加えて昔耳にし今でも何故か覚えている稲垣潤一のロング・バージョンという曲中の「コピーのシャガール壁に〜♪」というフレーズ。

嫌いじゃないけど「よっしゃ!!」とまでは足が向かないシャガール展ではありますが、今回は公式サイト等であれこれ予習すればするほど「観に行かなくちゃ!」という気持ちに。


注:会場内の画像は内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

「シャガール展」展覧会構成は以下の通りです。

第1章:ロシアのネオ・プリミティヴィスム
第2章:形と光−ロシアの芸術家たちとキュビスム
第3章:ロシアへの帰郷
第4章:シャガール独自の世界へ
第5章:歌劇「魔笛」の舞台美術


第1章と第2章が地下2階展示室。第3章以下は3階展示室。藝大美術館での開催を念頭に構成しただけあって会場とのマッチングは申し分なし。使いにくい藝大美術館の構造を逆手に取った感あります。


マルク・シャガール「アトリエ」1910−11年

シャガールがサンクト・ペテルブルグからパリへやって来たのが1910年とされていますが、何でも近年の研究によりそれより1年後の1911年5月という説が有力となっているそうです。

いずれにせよ、パリにやって来たばかりのシャガールが描いたマティス風の作品。ゴッホの「アルルの寝室」や「夜のカフェ」との類縁性も見て取れる一枚です。


フィンセント・ファン・ゴッホ「夜のカフェ」1888年

しかし、この展覧会の見どころは、マティスやゴッホとの関連性ではなく、極上シャガール作品をロシア・アバンギャルドの作家たちによる作品と比較するという観方を提示しています。
シャガールは生前「私がロシアで描いた絵画が、ヨーロッパの画家の作品の隣に展示されるのは奇妙なことでしょう。私の作品は、むしろ20世紀初頭のロシア美術のための美術館に展示されるべきものなのです」と話していますが、本展は、まさに本人が望んでいたとおり、シャガールをロシア・アヴァンギャルドの作家の傍らで紹介する、きわめて野心的な内容となっています。
名前を目にしたことすらないロシアの作家と同じ展示空間にシャガールを並べると果たしてどのように観えるのか。

これまで何度となくエコール・ド・パリの中の画家のひとりとして紹介されてきたシャガールですが、本来であればゴンチャローワやラリオーノフ、マレーヴィチ、プーニー、カンディンスキーといったロシア出身の作家たちとの類縁性の追究がある意味理にかなった方法。


ワシリー・カンディンスキー「アフティルカ 赤い教会の風景」1917年

カンディンスキーの風景画はBunkamuraでの「語りかける風景 ストラスブール美術館のコレクション展」で拝見し一目惚れしたばかり。

今回の「シャガール展」では6点ものカンディンスキーの風景画が横一列で展示。身震い感じずにはいられません。(シャガールとの比較そっちのけで)



白を基調に所々ポイントでは壁紙の色を大胆に変えアクセントを効かせた展示室内。シャガール作品にしばしば登場する印象的な黄色を大胆にも壁紙に使用しているスペースもありました。

また、今回の「シャガール展」では、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇団のためのモーツァルト歌劇「魔笛」の舞台美術シリーズ約50点がまとまった形で初めて公開されることも話題となっています。

シャガール作品がそのまま3D空間に現出すると果たしてどうなるのか?舞台写真もまじえつつ展示。個人的には舞台美術の中でも衣裳デザインに注目が。このスケッチを元に実際よくまぁ作れたものだと感心してしまいます。安藤忠雄的なニオイが。。。



展示室中央ソファ周辺ではモーツァルト「魔笛」の音楽が聴けます。(ミヒャエル・ハラ―ス指揮、ハンガリー・フェスティバル合唱団、フライローニ交響楽団)

@chagall_ten魔笛ハイライト部分をリバースで回してます♪

天井にスピーカー吊り下げられているの確認出来ます。ほぼピンポイントで音がソファ周辺に届けられます。よって壁に沿って作品鑑賞している時はさほど耳触りになりません。これはお見事。

さて、展覧会の最後「第4章:シャガール独自の世界へ」ではこれまでとは違いシャガール作品だけの展示空間。晩年のこれぞ正真正銘の観たかったシャガールがズラリ。


右からマルク・シャガール「空飛ぶアトラージュ」1945年 「赤い馬」1938-44年 「彼女を巡って」1945年 「村の魂」1945年

このセクションにある8点のシャガール作品を観たら、しばらくもうシャガール観なくてもいいと思わせるほど質が高く、まさにシャガールぜんたる作品揃い。

「ほー」とか「へ〜」とため息まさかシャガールでつこうとは。。。

それでは最後に「今日の一枚


マルク・シャガール「イカルスの墜落」1974-77年

1985年に享年97歳でこの世を去ったシャガールのまさに晩年の超大作。縦横2mもあります。圧倒的です。そしてイカルスの翼を焼いた太陽の横でニヤリと笑みを浮かべているシャガールの自画像。

「『シャガール展』観飽きたし、いいかな〜」と思っている方(自分もそうでした)ロシア・アヴァンギャルドとの比較に「魔笛」舞台美術、そして晩年の大作。パリ、ポンピドー・センター所蔵の優品による新しい視座。

やっぱり展覧会っていいな〜
今日はゆっくり拝見できなかったので近日中に再訪しようっと。


ポンピドー・センター所蔵作品展
シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い−交錯する夢と前衛

会場:東京藝術大学大学美術館 [上野公園]
(〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8)
会期:2010年7月3日(土)〜10月11日(月・祝)
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分(金曜日は午後8時閉館)*入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(ただし月曜日が祝・休日の場合は開館し、翌日休館)、2010年8月21日(土)
主催:東京藝術大学、ポンピドー・センター、朝日新聞社、フジテレビジョン

「シャガール展」公式サイト


アテネ・フランセ文化センター
「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い展」関連企画

特集 ジガ・ヴェルトフとロシア・アヴァンギャルド映画
2010年7月24日(土)ー8月7日(土)(日曜・月曜休館/11日間)

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2177

JUGEMテーマ:アート・デザイン


鮮やかな色彩と幻想的な作風で親しまれるシャガール(1887-1985)。旧ロシア帝国のヴィテブスク(現ベラルーシ共和国)にユダヤ人として生まれましたが、1900年代初頭に始まるロシア・アヴァンギャルドの歴史と密接な関係があったことはあまり知られていません。
本展は、ジョルジュ・ポンピドー国立芸術文化センターが誇るシャガールの代表作でシャガールの人生を追いながら、ロシア美術史にシャガールを位置づけようとするものです。シャガール自身と故国ロシア、彼の世界観、家族、想像の世界とのつながりを検証し、20世紀の巨匠シャガールへの理解を深めることを意図しています。

パリのポンピドー・センターが所蔵するシャガール作品は、シャガールが手元に残していた特別な作品を死後に遺族が寄贈したものや、生前作家本人が寄贈した代表作が中心となっています。いわば「シャガールのシャガール」ともいえる充実したコレクションであり、初期にサンクト・ペテルブルグで制作された作品から南仏で制作された晩年の大作まで、この巨匠の生涯にわたる軌跡をたどることができます。
さらに同センターは、ソヴィエト連邦からロシア・アヴァンギャルドの巨匠ナターリヤ・ゴンチャローワとミハイル・ラリオーノフの傑出したコレクションの寄贈を受けています。

本展では、ロシアをテーマにしたシャガールの名作《ロシアとロバとその他のものに》をはじめとするシャガールの代表的な作品を選りすぐって紹介します。また、日本ではまだあまり知られていないゴンチャローワとラリオーノフの重要な作品を日本で初公開します。同時代に活躍したマレーヴィチ、プーニー、カンディンスキーらロシア出身の巨匠たちもあわせて紹介します。

シャガールは生前「私がロシアで描いた絵画が、ヨーロッパの画家の作品の隣に展示されるのは奇妙なことでしょう。私の作品は、むしろ20世紀初頭のロシア美術のための美術館に展示されるべきものなのです」と話していますが、本展は、まさに本人が望んでいたとおり、シャガールをロシア・アヴァンギャルドの作家の傍らで紹介する、きわめて野心的な内容となっています。
展覧会 | permalink | comments(3) | trackbacks(5)

この記事に対するコメント

昨日行って来ました。
やはり「魔笛」コーナーがとても楽しかったです。
このシャガール版で再演してくれないかなーと、友人とも言い合ってました。
「日曜日」が好きな作品なのですが、
明るいだけではなく、ちょっともの悲しさがあるのがシャガールの魅力だと思います。
さちえ | 2010/07/09 9:46 PM
@さちえさん
こんにちは。

シャガール版「魔笛」再演されたら
話題になるでしょうね〜〜

最後の「イカロスの墜落」が
何だかとても象徴的な作品のように見えました。
Tak管理人 | 2010/07/29 3:09 PM
時々訪問させていただいております。
いつも記事を興味深く読ませていただきました。作品を深く理解されているのに感服しております。いろいろ勉強になりますね。
私もシャガール―ロシア・アヴァンギャルドとの出会い〜交錯する夢と前衛〜」の美術展を見てきました。この美術展に展示されている作品とあわせて、今まで来日したシャガールの傑作を回顧しながら、シャガール美術の魅力について書いてみましたので。ぜひ読んでみてください。
http://desireart.exblog.jp/11260152/
よろしかったらブログに書き込みしお願いします。

dezire | 2010/09/11 11:46 AM
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