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「江戸絵画への視線」

山種美術館で開催中の
開館記念特別展VI「江戸絵画への視線―岩佐又兵衛《官女観菊図》重要文化財指定記念―」展に行って来ました。

山下裕二氏講演会「知られざる山種コレクション」



今日は最初から飛び切り極上の画像を!

これ目にしちゃったら、もう居ても立ってもいられないはず。
はっきり言って来てます。山種美術館

って言うか、持ってますね〜浮世絵に引き続き江戸絵画もいい作品を。


右から:
岩佐又兵衛「官女観菊図」(重要文化財) 17世紀前半
作者不詳「輪踊り図」17世紀
酒井抱一「秋草鶉図」(重要美術品)19世紀前半
鈴木其一「四季花鳥図」 19世紀中頃

注:会場内の画像は美術館の許可を得て撮影したものです。

まずは何と言ってもこの作品から。

岩佐又兵衛「官女観菊図」(重要文化財) 17世紀前半(江戸前期)  
山種美術館蔵

岩佐又兵衛の作品と聞くと、とかくおどろおどろしいイメージを想像しがちですが、山種美術館所蔵のこちらの作品は又兵衛作品の中でも飛び切り上品な風合いが漂う一枚。

山種美術館創設者である山種二氏は部類の酒井抱一好きであったそうです。実際に今回の展覧会にも彼が蒐集した抱一作品から6点が出展されています。


左から:
酒井抱一「飛雪白鷺図」「菊小禽図」「秋草図」「月梅図

又兵衛作品に典型的な顔の女性が3人。牛車の中より野に咲く菊を鑑賞。画面の中に無数に走る繊細な線によって作り出されるモノクロームな世界。又兵衛顔の女性でありながらくどさ、毒々しさを全く感じさせない作品です。

山種二氏のお眼鏡に適ったのもどうやらその辺に理由がありそうです。

ガラスケース内ではなく壁に掛けられ目と鼻の先まで寄って観ることが出来る展示となっています。単眼鏡必要ありません。おでこや鼻ぶつけないように。

さて、この「官女観菊図」は元々福井の豪商金屋家に伝わった「旧金谷屏風」の一枚だったもの。『芸術新潮』の岩佐又兵衛特集号(2004年10号)にはこの「金谷屏風」を再現した写真も掲載されています。


福井市立郷土歴史博物館では往時の姿をこのように再現しているそうです。
『芸術新潮』岩佐又兵衛特集号より。
岩佐又兵衛勝以(1578〜1650)は近世初期に風俗画を中心に独創的な画風を展開した画家。本図は、又兵衛後半生の代表作で福井の豪商金屋家に伝わった金谷屏風の1図であった。同屏風は和漢の故事人物図12図を自由に隣り合わせた押絵貼形式の優品であったが、明治時代末頃に解装され分散した。
古本でも滅多に入手出来ない『芸術新潮』又兵衛特集号。今回、山種美術館では福井市立郷土歴史博物館がCG復元した在りし日の「金谷屏風」を丁寧にパネルで紹介しています。



【右隻】右から
「虎図」 墨画 東京国立博物館
「源氏物語・花の宴(朧月夜)図」 着色 所在不明
「源氏物語・野々宮図」(重要美術品) 淡彩 出光美術館
「龐居士図」(重要美術品) 着色 福井県立美術館
「老子出関図」 淡彩 東京国立博物館
「伊勢物語・烏の子図」(重要美術品) 着色 東京国立博物館

【左隻】右から
「伊勢物語・梓弓図」(重要文化財) 着色 文化庁
「弄玉仙図」(重要文化財) 着色 摘水軒記念文化振興財団寺島文化会館蔵
「羅浮仙図」(重要美術品) 着色 個人蔵
「唐人抓耳図」 着色 所在不明
「官女観菊図」(重要文化財) 淡彩 山種美術館
「雲龍図」 墨画 東京国立博物館

「金谷屏風」左隻、左から2枚目に今回、重要文化財に指定された山種美術館所蔵の「官女観菊図」が含まれています。

前回の「浮世絵入門展」でもそうでしたが、ここの美術館こうした、かゆい所に手が届く丁寧な解説パネルきちんと用意してくれるのが山種美術館の親切な点。鑑賞者の目線に立っている証左。ありがたいな〜

因みに「平成21年新指定国宝・重要文化財」では「弄玉仙図」(重要文化財) 着色 摘水軒記念文化振興財団寺島文化会館蔵の又兵衛が。

また以前東京国立博物館で拝見したこちらのの岩佐又兵衛「伊勢物語 鳥の子図」も重要文化財指定を受けました。お次はどこの作品でしょう?出光さんあたりかな〜


俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書)「四季草花下絵和歌短冊帖」17世紀

監修者の山下裕二先生がこの展覧会で1点欲しいとしたらこの「四季草花下絵和歌短冊帖」だそうです。こっそりスーツの内ポケットに忍ばせて…

この作品にしても画像右奥に見える宗達「槙楓図」、抱一「秋草鶉図」、其一「四季花鳥図」 等の屏風絵。以前引っ越す前の三番町にあった頃、2008年に開催された「琳派から日本画へ」展等で拝見しているのですが、しかし…

正直な話、我が目を疑いました。コンタクトがおかしくなったのではと。

三番町で拝見したこれら琳派作品は金地が妙に派手派手しい、ドギツイ色合いだったと記憶しています。でも、今回拝見したこれらの作品はどこれもとても落ち着いており、まるで別の作品と対峙しているような錯覚に。


鈴木其一「四季花鳥図」 19世紀中頃
山種美術館蔵

とりわけ、この其一の屏風を前にし興奮を抑えきれませんでした。思わず鑑賞後、美術館スタッフに「これ以前、展示されていた作品に間違いないですよね?」とバカな質問をしてしまったほど。

聞けば、嘗ての山種美術館では照明は蛍光灯のみ。光の加減の調整もままならなかったそうです。ところが新しい山種美術館ではLED照明により上部だけからではなく、下部からも光をそれぞれ変えてあてることが出来るそうです。

しかも、新・山種美術館では照明デザイナーに依頼し、展覧会毎に作品をより魅せる照明を取り入れています。今回は上からは月の明かり。下からはロウソクの灯に近い光で琳派の金屏風を照らし出しているそうです。秋の夜長、縁側近くの畳に寝転びロウソクのやわらかな炎と月明かりで愛でているかのよう。

驚いた心も鎮静化すると、じんわりとした感動に包まれます。

「江戸絵画への視線」展では琳派、やまと絵の他にも狩野派、文人画、緒派、そして第二展示室では「江戸絵画への視線(近代絵画)」と題し速水御舟の「名樹散椿」(重要文化財)他も公開されています。


手前:柴田是真「墨林筆哥」1878-88年
奥:伝長沢芦雪「唐子遊び図」(重要美術品)18世紀

柴田是真「墨林筆哥」は、三井記念美術館で昨年から今年にかけて開催された「柴田是真展」にも出ていた作品。漆絵オソルベシ再来。

そして「墨林筆哥」を入れるための「箱」にも注目です。出ました!「だまし漆器」!!お見逃しなく。かみさん一番これに惹かれていたかも。

最後に「今日の一枚
※クリックで拡大します。


作者不詳「竹垣紅白梅椿図」(重要美術品) 17世紀(江戸前期) 
山種美術館蔵

フラットな画像だとさほどインパクトありませんが、これが屏風として展示されていると「なんだこれ〜」と思わず、その無秩序さに度肝を抜かれ心連れ去られてしまいます。

「紅と白、静と動というコントラストとリズム感が心地よい構図である。」と図録に解説がありました。でもな〜逆のような気がします。「「紅と白、静と動というコントラストとリズム感」がいい意味で無秩序、バラバラなんです。

ロジカルシンキングこの作品の前では不必要。このバカみたいな画面構成のこの作品の前に立つと、理性で抑圧された「何か」が心の中で疼き出して来ること間違いありません。

「江戸絵画への視線」は9月5日までです。
混雑する前に是非、お早めに。


開館記念特別展VI
「江戸絵画への視線―岩佐又兵衛《官女観菊図》重要文化財指定記念―」

会場:山種美術館
会期:2010年7月17日(土)〜9月5日(日)
開館時間:10時〜17時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
アクセス:
JR・東京メトロ日比谷線 恵比寿駅より徒歩10分
恵比寿駅前より都バス(学06番 日赤医療センター前行)広尾高校前下車、徒歩1分
渋谷駅東口より都バス(学03番 日赤医療センター前行)東4丁目下車、徒歩2分

↑渋谷駅から学バスがおススメ!

それでは最後に「今日の美味


山種美術館「Cafe 椿」の「江戸絵画への視線」特製和菓子(左:「宵祭り」。右:「夏の朝」と京都頑固職人魂入りの「冷やしあめ」)


毎回展覧会毎に新作和菓子が登場。いつしかこちらも楽しみのひとつに。創業昭和10年「青山・菊家」による全て手作り特注品和菓子。キンキンに冷えた「冷やしあめ」との相性も抜群。

意外と知られていませんが、ここの和菓子1個からでもお持ち帰り出来ます!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2197

JUGEMテーマ:アート・デザイン


山種美術館は、近代・現代日本画専門の美術館として親しまれていますが、コレクションの中には江戸期の絵画も多く含まれています。2008年3月に、当館所蔵の岩佐又兵衛《官女観菊図》が重要文化財の指定を受けたことを記念し、これまでほとんど公開される機会のなかった当館所蔵の江戸絵画を、開館記念特別展第6弾としてご紹介いたします。
300年におよぶ泰平の世を謳歌した江戸時代は、それまでの貴族や武士中心に発展してきた日本文化を、一気に庶民のレベルにまで押し広げ、多様性と厚みをもたらしました。当館の江戸絵画コレクションは、数としてはさほど多くはありませんが、うち2点が重要文化財、3点が重要美術品であり、江戸絵画史上、重要な位置を占める画派と画家が揃っています。なかでも、酒井抱一《秋草鶉図》をはじめとする琳派の優品が数多く含まれていることは、注目に値するでしょう。当館創立者・山種二の美術品を蒐集するきっかけが、小僧時代に見た抱一の赤く熟した柿の絵の美しさであったというエピソードからも、彼の抱一への思いの強さが偲ばれます。
本展覧会では、土佐派の伝 土佐光吉、浮世絵の祖と言われた岩佐又兵衛、琳派の俵屋宗達や酒井抱一、狩野派の狩野常信、円山・四条派の伝長沢芦雪、文人画の池大雅、復古やまと絵の冷泉為恭などの作品を通して、江戸絵画の流れをたどります。

展覧会 | permalink | comments(8) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント


 こんばんは。

 暑くてバテ気味ですが、ブログを読ませていただくと、元気になります。

 いつも、ありがとうございます。

 
 照明によって、それほどまでに、印象が異なるのですね。

 とても素晴らしい作品が目白押し。

 見に行きたいですが、東京は遠いです…。

 
 また、楽しみにしてます。

家麿 | 2010/07/24 12:18 AM
私も、酒井抱一の「秋草鶉図」の印象が以前観た時とかなり違うので、同じ作品だろうかと一瞬疑いました。
照明によってこれ程変わるとは驚きです。
もっとも、きらきらしていた方も好きではありますが。
chariot | 2010/07/24 9:11 AM
こんにちは。時々訪問させていただき、
美術展のご感想など興味深く読ませて頂いています。
山種美術館中の「江戸絵画への視線」展は来週行ってみようと思っていたので大変参考になりました。
ありがとうございました。
六本木の国立新美術館で開催されているオルセー美術館展2010「ポスト印象派」
の感想を書きましたので、ぜひ読んでみてください。
http://desireart.exblog.jp/11019558/
よろしかったらブログに書き込みして下さい。
dezire | 2010/07/24 10:45 PM
 貴重な空間芸術である今回は実際に行く価値があります。
送達短冊の金銀や是真の漆絵箱、屏風は必見かと。

 山下裕二教授レクチャーの視点も面白かったです。
公認アートブロガーとして既にお墨付きがありましたが
(深呼吸倶楽部 日本美術ナビゲーション 第1部)
http://www.shinkokyu-club.com/event/yamashita/index.html
今回も認定受けましたね!
  
panda | 2010/07/25 12:19 AM
「建築はどこにあるの?」展でチケットを頂いたsvです。その節はありがとうございました。

今日、私も山下教授のレクチャーに参加していました。
「影響力のあるブロガー」と山下教授に呼ばれていた最前列の方…やはりTakさんでいたか。お声をかけてみれば良かった。

展覧会自体、今日が初見でしたが、レクチャー内容も相まって非常に面白かったです。
作品の多彩さ、質の高さ、また記事でも書かれているように作品との距離と照明…作品、展示空間共に良かったです。

「名樹散椿」は何回か観た中で一番低い位置に展示してありました。
見え方、感じ方が変わって興味深かったです。

ブログ&Twitter、今後も参考にさせて頂きます。駄文失礼しました。


sv | 2010/07/25 12:57 AM
@家麿さん
こんにちは。

少しでもお役に立てれば幸いです。

山種美術館、根津美術館、サントリー美術館
その他の新しい美術館、とにかく照明が
素晴らしいです。

@chariotさん
こんにちは。

いやーホント驚きました。
正直、山種さんの其一の屏風
好きになれなかったのですが、
今回の展示で一変しました。

@dezireさん
こんにちは。
コメントありがとうございます。

行き逃すと後悔する展覧会です。
日本画は展示期間が限られているので
タイミング合わせるのが大変ですが
行けば必ずや満足されるかと。

@pandaさん
こんにちは。

> 貴重な空間芸術である今回は実際に行く価値があります。
>送達短冊の金銀や是真の漆絵箱、屏風は必見かと。

pandaさんをしてここまで言わしめるのですから
これはもう間違いないでしょう。

山下先生にはいつも色々教えて頂いてます。
大変有難いことだと思います。

@svさん
こんにちは。

はろるどさんや、pandaさんといった
有名ブロガーさんもいらしていました。

講演会&鑑賞会ってなかなかありそうで
無いですからね。良い企画だったと思います。

山下先生も乗りに乗ってましたね。
Tak管理人 | 2010/07/29 4:12 PM
先日はお疲れさまでした。

山種にこれほどの江戸絵画が眠っているというだけでも驚きの展示でしたね。
また又兵衛の近さ!興奮しました。

もちろん抱一もよかったです!(夏秋草もお早めに…。)
はろるど | 2010/07/31 10:04 AM
こんばんは。
岩佐又兵衛の《官女觀菊図》の素晴らしさに圧倒されました。
チラシではそれほどという感じなかっただけに、やっとあえて大感激です。
其一の《四季花鳥図》も、金地の美しさ、すべてが輝いていました。
ファイルも見事で、時々出しては眺めています。
すぴか | 2010/08/30 12:17 AM
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江戸絵画への視線 山種美術館 | すぴか逍遥 | 2010/08/30 12:05 AM