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インタビュー:ミュージアムショップ「オルセー美術館展」

六本木、国立新美術館で開催中の「オルセー美術館展 2010」7月23日には入場者数50万人突破!1日平均1万人がこの展覧会を観るために国立新美術館に足を運んでいることに。

果たして、8月16日(月)の最終日までにどれだけの方が来場するやら。かくいう自分も少なくてもあと1度は観に行こうと目論んでます。これだけ大規模なオルセー美術館展、正直これが最初で最後でしょうからね。

・オルセー美術館展公式サイト


「オルセー美術館展」総監修、オルセー美術館館長ギ・コジュヴァル氏

さて、展覧会に欠かせないものに、ミュージアムショップがあります。泰西名画を鑑賞後の感動を想い出として自宅まで持ち帰りたいと思うのは誰しも同じこと。

カタログ(図録)、ポストカード、一筆箋等など…

展覧会に無くてなならない存在のミュージアムショップでありますが、その実体(正体?)は知る術がありません。一体どんな人たちが運営しているのでしょう?

知りたいと思ったが吉日。幸いオルセー美術館展のミュージアムショップさんはTwitterを活用されているので、コンタクト取るのも容易。@Orsay2010SHOP 

ショップ責任者の方にインタビューして参りました。以下簡潔にまとめておきます。これを知ればこれから出かける展覧会のミュージアムショップも今までと違った見方接し方出来ること間違いなしです。

スペードマークの発言はオルセー美術館展ショップ責任者の方のものです。)

Tak「お忙しい中、お時間頂戴しありがとうございます。幾つか質問させて頂きます。まずはこういった展覧会のミュージアムショップを運営している会社は何社くらいあるのでしょうか?」

スペードだいたい5社〜10社くらいです。

Tak「それはどのようにして決めるのですか?」

スペード基本的にはコンペです。

Tak「商品を単に販売するだけではなく、開発等も行うのですか?」

スペードミュージアムグッズの企画、制作、販売。この3つが柱となっています。単に既成の商品を販売するだけではありません。

Tak「展覧会に合わせ商品開発をなさるわけですね?」

スペードそうです。展覧会に沿った商品を企画します。但しポストカード一枚作るのにも、オルセー美術館に送り色校正等チェックされ、許可が出ないと商品として制作することは出来ません。

Tak「色合わせとか難しいのですか?」

スペードグッズの場合、実際の作品よりも濃い色でデータを出し商品に落とします。この色加減が大変難しいのです。僅かに色が違うだけでも本物を観て来た後の目ですから、ごまかしが利きません。

スペード例えば、クリアファイルなど色味を出すのが難しいもののひとつです。
スペードクリアファイルの裏面(中面)が白く塗られています。これをやらないと表面の肝心の絵の色が上手く出ないのです。因みにこの裏面の白も一度塗りではここまで効果出ません。何度も重ね塗りしてあります。

Tak「売れ筋商品というものは決まっているのですか?」

スペード欠かせないのがポストカード。それにクリアファイル。マグネットもよく売れます。そして一筆箋。この4種類はどの展覧会にも欠かせません。

Tak「その中でも特に今回の「オルセー美術館展」で人気の商品は?」

スペード全出展作品115点中1点(著作権の関係でピカソの作品は不可)を除いた114作品全てが載っているダブルクリアファイル(500円)でしょうか。約10人に1人以上の方がお買い求めになられてます。

スペード114作品をびっしり隙間なくはめ込んだデザインのダブルクリアファイル。完成に至るまでには様々な試行錯誤デザインの変更がありました。


注:ショップ内の写真は内覧会時に許可を得て撮影したものです。

Tak「制作にあたり守っていることはありますか?」

スペードこの商品だけに限ったことではありませんが、デザインしていることを意識させない商品というのがミュージアムグッズとしては大切なことだと思います。主人公はあくまでもゴッホでありモネであるわけで、作品の良さを如何に自然に商品に落とし込むかを念頭に制作しています。

Tak「それにしてもこのオルセー展のショップだけで何種類くらいの商品を扱っているのですか?」

スペード約700種類ほどでしょうか。そのうちオリジナル商品が約200種類。一般の展覧会が約300〜400ですから、作品のみならず多くの商品を取りそろえていることになります。

Tak「展覧会毎にショップのコンセプトなどあるのですか?」

スペードあります。とてもそれは大事なことです。今回のオルセー美術館展ではお祭りのように派手な印象のショップにしました。それと印象派といえば純粋に色ですから『色で遊ぼう!』もコンセプトとなっています。


トートバック&ポーチ(チャーム付き)

スペード逆に、「ルーシー・リー展」では商品数をぐっと絞り、またショップの壁から販売什器(フロアディスプレイ)まで白一色に統一しました。実はあの時は照明までそれに合わせて変えたのです。

ルーシー・リー展」ショップ

スペード先ほど、デザインしていることを意識させない商品と言いましたが、実は「ルーシー・リー展」で販売していたポストカード、マグネット、ポスターは写真家の鈴木心氏がこのグッズの為に撮影して下さったものだったのです。奥様の坂井真紀さんも大変喜んで下さいました。

Tak「えっ!そうだったんですか。うちの冷蔵庫にそのマグネット貼りついてます。」

スペード有名な写真家さんの写真を使いデザインしたものでも、あくまでも彼女、ルーシーの優しさが伝わればいいので、敢えてそうした情報は出さないようにしています。あくまでも主役は作家自身ですから。

鈴木心 on Twitter

Tak「ところで、どの展覧会でもそうですが、欲しい作品のポストカードが無いことが多い気がします(マーフィーの法則のように)あれって全部作ること不可能なのでしょうか?」

スペード常に作れるものとそうでない作品があります。一番厄介なのは著作権が切れていない作家の場合です。とても難しくなります。また著作権は切れていても所有者(個人蔵とか)の許可が下りないケースもあり、全部をポストカードとして販売することは難しいのです。

Tak「それと、展覧会会期終了後もその美術館でポストカードを販売してもらえないのでしょうか?」

スペードそれも色々な制約があり難しいことです。本当はそうあって欲しいと思います。特に三菱一号館美術館で開催した「マネ展」のポストカードは高橋館長もとても気に入って下さっていたので、継続販売してもらえると嬉しいです。(但し一部では特別展後も販売継続していたりします)


特製販売什器(フロアディスプレイ)から店内の雰囲気まで全てトータルコーディネイトされた「マネとモダン・パリ」展特設ショップ

Tak「売れ筋だからでしょうか、よく品切れとなっているカードもあったりします。」

スペード必ずしも一番人気だから品切れというわけではありません。と言うのは、100枚200枚単位では増産出来ませんので、会期末でもう打ち止めかけるものもあります。逆に人気のあるカードはそれ以前から多目に用意されているので最終日まで残っています。



Tak「たまに100円、150円は高いと某mixi等に書かれていますが?」

スペード常に販売出来る類のものではなく、展覧会期間だけのポストカードということは、発想を転換すると普段は制作許可のおりない作品が、展覧会だからという特殊事情により販売可能となっているわけです。そのことを考慮すれば決して高いものではないと思います。

Tak「確かにヨーロッパの美術館の常設展示のカードでさえ1ユーロはしますからね。」

スペードしかも、日本で作るポストカードは紙質から印刷が、とても優れておりクオリティーの高いものとなっています。好きな作品のポストカードをほとんど唯一手に入れるチャンスでもあるのです。

スペード因みに、トリビア的なネタですが、ポストカードは8の倍数の数作ることが多いです。32種類とか。尤も今回のオルセー展では39種類も作ってしまいましたが…


東北沢「ル・ポミエ Le Pommier」のギモーブもこの展覧会に合わせフランス人シェフに作ってもらったものだそうです。

Tak「こちらの会社ではオルセー美術館展の他にどんな展覧会のミュージアムショップを手掛けて来られたのですか?」

スペード『若冲展』(承天閣美術館)、『アンリ・カルティエ=ブレッソン展』(東京国立近代美術館)、『夏目漱石展』(江戸東京博物館)、『モディリアーニ展』(国立新美術館)、『対決展』(東京国立博物館)、『アーツ&クラフツ展』(東京都美術館)、『フランス絵画の19世紀』(横浜美術館)、『伊勢神宮と神々の美術』(東京国立博物館)等です。


「生活と芸術―アーツ&クラフツ展」ミュージアムグッズ

スペードこうした商品から特設ショップ全てに関わることではなく、企画開発した商品を納める形で参加している展覧会も幾つもあります。最近だと『ロトチェンコ+ステパーノワ』展(東京都庭園美術館)等があります。


「ロトチェンコ+ステパーノワ」展ミュージアムグッズ

Tak「こうして見ると当り前のことですが、商品に統一感ありますね。」

スペードうちが作るものですからね。だからミュージアムショップもそういった目で見慣れてくると、どこの会社が担当しているのかだいたい分かるようになりますよ。

Tak「最後にこちらの会社の掲げる理念をお聞かせ下さい。」

スペードミュージアムショップには2つの側面があると考えています。ひとつは『メモリー・ツール』(自分自身に展覧会の感動を残す為に買う)もうひとつは『コミュニケーション・ツール』(自分で得た感動を他人に伝える)この二つです。

スペードどちらも満たす為にはハイレベルなデザイン(脇役に徹する)と美しさ。それに加え少々のユーモアがある商品を作って来ました。これだけはぶらさずに今後もより良い商品を提供していきたいと考えています。

Tak「お忙しい中、お時間頂戴しありがとうございました。」

以上、インタビューはここまでです。どうでしょうか?たかがミュージアムショップと侮ることなかれ、そこには普段知ることのできない秘密とそして信じられない程の努力があったのです。

個人的に今回のオルセー展グッズでは8種類の紙がまとめて入っている一筆箋やA4クリアファイルが大変気に入りました。A4クリアファイルにも言われないと気がつかないようなデザインがこっそりと施されています。


「オルセー美術館展」ミュージアムショップで販売中のA4クリアファイル(350円)「ここに注目」の部分にさり気なく「印象派マルチストライプ」が入っています。その絵に使われている色を抽出しランダムにストライプ状にしたデザイン。

尚、国立新美術館のミュージアムショップはオルセー展、マン・レイ展(こちらはナディッフが担当)共にチケット無くてもショップだけなら出入り自由です。

@Orsay2010SHOP

展覧会が終ってしまうと二度と入手出来ないオリジナル・グッズ。「あれ買い忘れた!!」とかもうありませんよね。

オルセー美術館展2010「ポスト印象派」は8月16日(月)です。

オルセー美術館展2010「ポスト印象派」
Post-Impressionism: 115 Masterpieces from the Musée d'Orsay

公式サイト(混雑状況も確認できます)

会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木) 
会期:2010年5月26日(水)〜8月16日(月)
毎週火曜日休館
開館時間:10:00から18:00まで 
※金曜、土曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前まで。
主催:国立新美術館、オルセー美術館、日本経済新聞社


オルセー美術館展ミュージアムショップのツイッターアカウントもあります。
@Orsay2010SHOP

おまけ
マネとモダン・パリ」展特設ショップに飾りとして置いてあった写真左の鉢植え風のスミレ。

これを商品と勘違いしレジまで持って来る方が多かったそうです(ひとり誰だか知っている)。売り物では御座いませんので。。。と初めの頃は断っていたそうですが、あまりの人気に会期途中から実際に販売したそうです。

Twitterやってます。
 @taktwi

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この記事に対するコメント

こんにちは
いつも素晴らしい記事で敬服しておりますが、このインタビューはまた違った角度の内容で非常に興味深い記事でした。
今までずっと疑問だったことを簡潔にまとめられてて、目から鱗でした。 ・・・やはり色見や著作権は大変そうですね。
21世紀のxxx者 | 2010/07/31 12:40 AM
実はいつも一番気になる存在だったのです。
Takさんは 素晴らしいインタビュアーですね。
 是非 美術史家に聞く と同様シリーズ化期待です。
あと展覧会を支える陰の活躍 本当に貴重です。
panda | 2010/07/31 12:59 AM
おもしろく読みました!
ミュージアムショップ大好きです。予定外の散財をすることもしばしば…
オルセー展は混雑が怖くて未見ですが、この記事読んでますます行きたくなりました。どうしよう。

ひとつ以前から気になることがあるのですが、
展覧会のポストカードのサイズって展覧会ごとに微妙に違うことがありますよね。
ポストカードホルダーに入らないものの整理が難しいので統一できないのかなー?と思っています。

あと、「ポストカードは8の倍数作ることが多い」のは
それが作り易い数なのか、それとも陳列のしやすさからなのか、知りたいです。

よめこ(nest_design) | 2010/07/31 6:30 AM
こんにちは。
うわー、ちょっとこれはすごいかも。

だって、雑誌でもここまで細かいミュージアムショップの情報を拾って書いてるのってないかと思います。

しかも、情報として今現在最新の情報ですよね。

もう、こうなると雑誌の記者さんはフットワークで追いつかないであろうのでもっと気合いを入れないと生き残れないかと。

ブラボー!!Takさん。素晴らしいです。
あおひー | 2010/07/31 7:27 AM
いつも、ミュージアムショップで買い物をする人々を見て、ミーハーな人々だと思っていたのですが、(ポストカード除く)考え方、改めました。
一村雨 | 2010/07/31 8:30 AM
こんにちは。
何気ないクリアファイルや葉書一枚一枚にもこれほどの熱意がこめられていると知ると見る目も変わりますよね。
マネ、ルーシー・リー、そして今回のオルセーのショップのどれもがスタイリッシュで素晴らしいなと思いました。特にルーシー・リーなどまだ展示会場が続いているのかと思ったくらいです。

続編期待してます!



はろるど | 2010/07/31 9:57 AM
こんにちは。さすがTakさん!
あまり表に出ない内容で、とても面白かったです。
友人のアレまで紹介していただいて・・・w

私自身は色校正で大変だったつらい思い出がよみがえるも。。。
いや〜本当に企画展のポストカードの品質は、日本が世界一です!
同じ作品でも、海外の常設のものよりも、日本の企画展で売られているものの方が質が良い事がしばしばあります。再撮される事も多いですし。
って私の知っている狭い世界の限りでは、ですがw
Chloe24h | 2010/07/31 2:55 PM
さすがTakさん! 大変面白く拝読しました。
しかしこれを読むと、ますますポストカードやグッズを買ってしまう言い訳が...(笑)
都内美術館では、山種のグッズが秀逸だと思います!
noel | 2010/08/01 3:11 PM
とても興味深い切り口のインタビュー記事
素晴らしい内容に啓発されました♪

ミュージアムショップや、展覧会のショップは観て歩くだけでも楽しいですよね
もっと商品の種類など工夫があればなどと思いますが
(身勝手願望^^;)

さすがTakさんだと思いました^^v
珠希 | 2010/08/02 10:13 AM
はじめまして。ここにコメントするのは初めてだと思います。
mixiでポストカード150円が高いとよくぼやいているのは私です。
マネ展やオルセー展、ボストン美術館展のようにフィルム入のポストカード150円はとても買いにくい値段設定に感じます。特別な展覧会で付加価値があるとのお考えのようですが、ポストカードは100円だと、何種類も買えてコレクションしやすい値段だと思います。一枚づつのフィルムも不用に思います。
山種美術館のように、100円の通常版と150円のデラックス版とに分けるならそれは選択の自由があるので、いいと思います。
ちゅう | 2010/08/02 10:13 PM
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