青い日記帳 

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『ほがらほがら』

山口藍作品集『ほがらほがら』を読んでみました。


ほがらほがら』 山口藍 羽鳥書店

しらじらと夜が明けゆく――ほがらほがら
山口藍・初の作品集


7月下旬に発売になったばかりの山口藍の作品集『ほがらほがら』。古今東西様々な画家・作家の作品集を見て来ましたが、この『ほがらほがら』ほどトータルな完成度の高い出版物は初めて目にしました。

決して大げさな表現ではなく、ページを一頁一頁めくるごとに、わくわくと胸を躍らせる作品集に今まで出会ったことありません。

これはちょっとした事件です。出版物(本)の体裁はとっているものの、実体は立派な「作品」であること間違いありません。

単純にこれまで発表されてきた山口藍の作品が誌面に羅列されているだけではないのです。うーーん。言葉で上手く伝えられないこのもどかしさ。。。


花たわゝ、里とをゝ

出版元の羽鳥書店さんとは、山口藍さんではなく、今日が誕生日の山口晃さんの『すゞしろ日記』を出されたことがきっかけで色々とお話聞かせて頂いている仲。最近では専らTwitterでのやり取りがメイン。

羽鳥書店 (hatori_press) on Twitter

今回は、羽鳥書店さんのY氏に電話とメールで山口藍画集『ほがらほがら』出版までの経緯をお聞きしました。一冊の作品集を出すのにここまで細部にこだわっているとは正直驚きです。

だからこそ、ページをめくる度に、心わくわくドキドキするのだと。そしてやはり単なる出版物ではなく、これ自体立派な「作品」であること実感出来ます!

それでは以下、山口藍作品集『ほがらほがら』誕生秘話?をお楽しみ下さい!



ダイヤマークの発言は羽鳥書店Y氏のものです。)

Tak「ようやく、山口藍さんの初作品集出版されましたね。以前から出る出ると言われていましたが…」

ダイヤこの本は、もともと海外の版元で5年位前に一度企画されたものです。そのときに、白井敬尚さんがデザイナーでつくことが決まっていました。その後、いろいろと事情があり、結局刊行にはいたりませんでした。

Tak「やはり一度お蔵入りになっていたのですね。」

ダイヤただ、そのときに構成やレイアウトはかなりできあがっていました。今回は、それをベースにしながらも、最新の作品を入れたりして再構成しなおしたものです。

Tak「他社が手掛けたものを受け継ぐのには御苦労もあったのでは?」

ダイヤはい。単純に新作を加えるだけかと思われるかもしれませんが、それはそれでページの制約もあり、展覧会ごとの流れがあるため、なかなかたいへんでした。

Tak「この作品集ならでは!といった部分をお聞かせ下さい。」

ダイヤ作品の構成は、代表的なふとんキャンバスを核にしながらも、多岐にわたります。それらを、ページのなかにいろいろと組み合わせてつくりこんでいるのも特徴的です。

ダイヤたとえば、データでつくった作品と絡めたり、壁画から人物が飛び出てくるようにしてデータを入れ込んだり(シュウ・ウエムラの箇所)。単純に、作品がポンポンと並べてあるというつくりになっていません。そのように非常に複雑なため、印刷もかなり高度でした。


シュウ・ウエムラのページ

Tak「山口藍さんの作品は立体的なものが多くありますが、それを作品集(平面)で表現するにはかなり難しかったのではないですか?」

ダイヤ藍さんの作品は単純な平面ではないため、立体的にみせる影が必要です。印刷所だのみだったものには、作品の影付けがあります。

ダイヤただし、ものによっては厚みのあるもの薄いものがありますので、それらに対応した影を3パターンほど使い分けて、質感を出しています。とはいえ、個別には最後まで調整が必要だったものがたくさんありました。

Tak「とにかく驚いたのはそれぞれの作品のページごとにメリハリがきいていて、色もとってもキレイに見えることでした。」

ダイヤはい、色合いには自信があります。肌の色は、早い段階から、藍さんも納得する色がかなり出ていました。それにあたっても、紙はコスト的・質的に見合うものを吟味しました。なめらかな描線も、FMスクリーンという難しい技術で可能になっています。そのあたりも、サンエムカラーだからできた部分です。



Tak「正直、本というよりも「作品」と思えてしまう程の出来具合ですね!」

ダイヤそれは、デザイナーの白井さんが、最初のコンセプトとして、切っても切っても山口藍になるような、本そのものが山口藍作品になるよう、イメージしてブックデザインをしてくださったからだと思います。

ダイヤ人物はポップな女の子でありながら、江戸の風俗を下書きにした伝統的な技法にもチャレンジしているところを、やや古典的な装飾や字体とともに、レイアウトでも示そうとしてくださったのだと思います。

Tak「最もこの作品集で苦労なされた点はどこでしょう?」

ダイヤ一番苦労したのはカバーです。

ダイヤこれも複雑につくりこんだデータだったのですが、相当な印刷技術を必要としました。印刷のときの色の順番によって、仕上げたいイメージがかわってしまうのです。つまり、最後に墨をのせないと、髪のほつれた細い線がでないのです。



ダイヤ結局、色ごとに刷りの順番を決めなくてはなりませんでした。しかも、金と特色を使い、なおかつ金は二度刷りをしています。

ダイヤまた、浮世絵のように、各色の刷り位置をそろえないと、隙間の白が出てしまう部分もあり、最後は印刷所の現場が総力をあげ取り組んでくれました。

Tak「表紙にそれだけ手間暇かけるとは驚きです。執念すら感じます(笑)最後にまだこの本を手にしていらっしゃらない方に一言お願い致します。」

ダイヤ他にも細かなところをあげればきりがありません。とにかく、作家もデザイナーも思いのたけを凝縮してつくりあげた本ですので、ぜひ多くの方に見ていただきたいと思っています。また山口藍さんの絵はアジア圏にも人気がありますので、それも視野に入れて中国語を入れました(注)。また、斎藤環先生(精神科医)に寄稿していただけたのも、幸いでした。」(注:山口藍さんと斎藤環先生の解説文が日本語、英語、中国語で掲載されています。)

Tak「お忙しい中、ご丁寧にお応え頂き有難うございました。お話伺って益々、この本の凄さ(恐ろしさ?)実感として伝わって来ました。」

単なる「カワイイ」女の子を描いた作品ではありません。その証として山口藍さんの描く女性の目はとても強い眼光を放っています。そして口元にも注目。

是非、女性の方に出来れば手に取って頂きたい作品集です。

山口 藍 ⁄ YAMAGUCHI Ai
1977 東京生まれ
1995 女子美術大学芸術学部工芸科(織専攻)入学
1999 ニニュワークス結成

ミズマアートギャラリーのサイト(作品画像あり)
→山口藍さん所属、ninyu works (ニニュワークス)のサイト

ninyuworks_山口藍 (ninyuworks) on Twitter


ほがらほがら』 山口藍 羽鳥書店

しらじらと夜が明けゆく――ほがらほがら
山口藍・初の作品集


A4判変型・上製・136頁・オールカラー
寄稿:斎藤環 英語・中国語対訳付き


ブックデザイン:白井敬尚形成事務所
印刷所:株式会社 サンエムカラー
製本所:牧製本印刷 株式会社




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ほがらほがら』 山口藍 羽鳥書店
1998年のデビューから2010年2月の個展「きゆ」までに発表された作品を多数収録し、これまでの集大成ともいえる作品集。山口藍の中核的な作品である“ふとんキャンバス”に始まり、近年の大型作品である“組立式壁画”など、さまざまな作品形態とその足跡を一覧できる。作家活動のひとつの区切りとして刊行される本書は、山口の魅力を存分に語る、充実の一冊となる。
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