青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< September 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「アール・ヌーヴォーのポスター芸術展」 | main | 「三菱が夢見た美術館」 >>

インタビュー:根津美術館ミュージアムショップ

ミュージアムショップ担当者インタビュー第3弾をお届けします。過去2回ともとても大きな反響があったとのこと。展覧会に行く度ごとに接していながらも、全く知らない領域ですからね〜

インタビュー:ミュージアムショップ「オルセー美術館展」
インタビュー:山種美術館ミュージアムショップ

さて、今回お伺いしたのは山種美術館とほぼ時を同じく2009年10月7日に全面新創オープンした根津美術館のミュージアムショップです。


根津美術館のミュージアムショップ(画面奥)

今回お話を伺ったのは、根津美術館学芸部部長の松原茂氏と学芸部画像担当の荒川麻美子氏。

ん?んん??ちょっと待って下さいよ。ショップのお話を伺いに来たのに何故に学芸部のお二人が?しかも松原氏は学芸部部長を務める御方。

心の整理もつかないまま、インタビューはスタート。(アートマークの発言は根津美術館ショップ担当のお二人のものです。)

Tak「まずは、学芸部の方がショップ担当ということですが…」

アート「根津美術館は多くの美術品を所蔵しています。展覧会に出す作品同様にショップの商品も同様に我々の責任があるとの考えから学芸部が担当しています。作品と常に対話しているから学芸部だかこそ上手く作れるとの自負もあります。」

Tak「ショップ担当はお二人ですか?」

アート「いえ、我々2名の他に根津美術館管理部の人間が2人、それに商品コーディネーターの方が1人。計5人体制で行っています。」


新創記念特別展 第8部「コレクションを未来へ 根津嘉一郎蒐集品と寄贈作品」展に合わせ制作された新しいグッズ。円山応挙「藤花図屏風」や「百椿図」をモチーフにアレンジした洒落た商品がパッと目を惹きます。

Tak「商品開発にあたってはその5名のチームで動くわけですね?」

アート「まず初めに学芸部の人間でどういう新商品を作るか話し合います。その後5名から成る『ショップ会議』に諮り、素材や価格それに量など色々と話し合いをしながら決めて行きます。まずは館員自身が欲しい!使いたい!と思うものを念頭に考えます。」

Tak「新商品の開発頻度はどれくらいのペースなのでしょう?」

アート「新創オープンしこれまで8回の展覧会を開催して来ましたが、全て展覧会に合わせそれぞれ新しい商品を開発、販売してきました。日本美術の展覧会は会期が短いのでひとつの商品が完成すると、すぐ次の展覧会に出すグッズを考え始めなければなりません。」


新創記念特別展 第1部から第8部までのチラシ・ポスター

Tak「というと、オリジナル開発商品が多そうですが、全体の割合からするとどれくらいの率を占めるのでしょう?」

アート「約9割がオリジナルグッズです。新しいミュージアムショップはこれまでよりもスペースが約2倍広くなりました。80品目はあるでしょうか。ポストカードだけでも約150種のバリエーションがあります。」

Tak「オリジナルグッズを作るにあたり心がけていることなどありますか?」

アート「根津美術館の所蔵品をモチーフに作るわけですから、質の良い物を作り美術館をより身近に感じ取ってもらいたいという願いがあります。どこかの土産物屋にあるようなものでなく、青山の地にある根津美術館らしい、デザイン性を重視した洗練された商品にしたいと常に考えています。」



Tak「数多い商品の中でよく売れるものはなんでしょう?」

アート「やはり何所もおなじでしょうが、ポストカードとクリアファイルはよく売れます。ポストカードがショップ奥の壁に掛けてありますが、これは自由にレイアウト出来るようになっています。置く位置によっても売り上げが上下したりします。またこの美術館はリピーターの方が多く訪れるので配置を毎回変え新鮮さを保つのにも一役買っています。」

Tak「根津美術館と言いますと、燕子花図屏風ですが、やはりショップでも主役をはっているのでしょうか?」

アート「確かにそうです。特に『新創記念特別展 第5部 国宝燕子花図屏風』の時はテレビで燕子花図屏風のミニ屏風ハガキ(グリーティングカード)が紹介され爆発的に売れました。でもリニューアルオープンし燕子花に替わる新たな根津美術館の顔を育てようと白羽の矢を立てたのが重要文化財の『双羊尊』です。」


重要文化財「双羊尊(そうようそん)」殷時代 前13〜11世紀

アート「燕子花だけでなく、こういう愛らしい作品も根津美術館にはあることをグッズを通してアピール出来ればという願いも込められています。有田焼のマウスパッドをチーズカッターとしてお使い下さっている方もいます。因みに有田焼の商品は全て手描きで一枚一枚職人さんが描いています。」

アート「またショップでお買いものされた際に紙袋を留めるシールにも「双羊尊」は活躍しています。このシールが可愛いので欲しいと仰るお客様も多くいらっしゃいます。」



Tak「逆に定番商品以外で予想外に売れたものとかありますか?」

アート「新創記念特別展 第7部「いのりのかたち 八十一尊曼荼羅と仏教美術の名品」展のポスターです。ポスターは毎回500円で販売しているのですが、この展覧会の時の売れ行きは他を圧倒していました。外国人の方も多くお買い求めになられていました。」


「八十一尊曼荼羅」をあしらったポスター。

アート「それに合わせてポスター入れも出ました。竹の形をしているポスター入れがこれまた新鮮だったのでしょうか。本物の竹を元に京都で作ってもらっています。当初は青竹柄しかなかったのですが、新しい根津美術館のおもてを飾る金明孟宗竹柄も加えました。」


枝を切った跡や凹凸まで表現されているリアルな竹筒。実際の竹をスキャンし作っているそうです。

Tak「その他、特徴的なことは何かありますか?」

アート「年齢層の高い女性のお客様が多いので更紗をあしらったポーチやまた年10数回庭園の茶室で開催されるお茶会に合わせ懐紙などお茶関係の商品も揃えているところでしょうか。和の作品を商品化するに際しあまり和っぽくならぬよう控えめに和テイストを出すようにしています。」


女性に人気の更紗シリーズ。

Tak「今後はどのような商品を作って行かれる予定ですか?」

アート「毎年干支に合わせたグッズを作って行こうと思っています。今年は寅年でしたのでトラグッズを作りました。(学芸部長の胸にトラのピンバッチが!)来年は卯年ですので、今からウサギ探しに奔走しています。所蔵作品の中からウサギが描かれているものを探して。私たち二人では到底見つけられないので館員全員に『ウサギを見つけて下さ〜い』と声かけしています(笑)」

アート「先ほども申し上げましたが、展覧会開催の展開が早いので作るのも大変ではありますが、お客様に喜んで頂けるような魅力溢れる商品をこれからも作って行きたいと思っています。」

Tak「お忙しい中、お時間頂戴しありがとうございました。」

以上、インタビューはここまでです。オルセー美術館展のような期間限定のショップとはまた一味違った側面を持っていますね。それにしても学芸部が直接商品開発に携わっているとは驚きでした。

尤も、普段から一番多く作品に接し、隠れたグッズ向きのキャラクターや模様を最もよく周知している立場の方だからこそありきたりな商品に堕さないクオリティーの高いものを作り出せるのでしょうね。ハイペースで。


書籍も充実しています。

次に根津美術館へ伺う際はショップも隅から隅までご覧になると新たな発見あるかもしれません。「これってどの作品にあったかな〜」とクイズに答えるが如く。

これでまた美術館に通う楽しみ増えましたね!

第4弾にもご期待下さい。


根津美術館
東京都港区南青山6-5-1

地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線
〈表参道〉駅下車
A5出口(階段)より徒歩8分
B4出口(階段とエレベータ)より徒歩10分
B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分


個人的にお勧め:
根津美術館紀要 此君 第2号」 
[特集]新創開館記念シンポジウム 美術館をつくる—根津美術館の実践と提言




2009年12月5日に開催された新創開館記念シンポジウム「美術館をつくる−根津美術館の実践と提言−」を一冊にまとめてあります。自分は当日遅れて行った為、途中からしかお話伺えなかったのですが、この紀要には挨拶から最後の質疑応答まで漏らすことなく集約されています。

<収録内容>
[基調講演1]都市と美術館 隈 研吾
[基調講演2]夢と理想の美術館をつくる 西田宏子
[報告1]新施設整備計画の経緯と収蔵環境づくり 菅野元衛・太田昭彦
[報告2]「美術館」づくりに大切なこと 弥田俊男
[報告3]文化財の展示と保存環境
     —街と人と自然と美術の出会いを支えるゾーニング計画 佐野千絵
[報告4]展示ケースに求められるもの 山内佳弘
[報告5]展示作品の光と波長 豊久将三
パネル・ディスカッション


Twitterやってます。
 @taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2231

JUGEMテーマ:アート・デザイン


インタビュー | permalink | comments(4) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

こんにちは
回を追うごとに各館で事情が違う点も分かってきて本当に面白いですね。逆に売れ筋などは共通だったりするのはやはりといったところでしょうか。
根津美術館のショップではグッズを買ったことが無かったのですが、この記事を読んでいたら、館員さんが関わるほどの意気込みが分かって、利用したくなってきました^^
21世紀のxxx者 | 2010/08/27 1:12 AM
美術館、美術展 に行ったときのもう一つの楽しみが

購入するしないに関わらず、ミュージアムショップをじっくり見ること^^
そこに置かれてる商品から、美術館や美術展のコンセプトやセンス、意識の高さなどが伺われますね

Takさんのこのミュージアムショップインタビューは本当に素晴らしい切り口だと思います^^

今後も楽しみにしてますね〜〜

根津美術館、また行ってみよかな♪
珠希 | 2010/08/27 8:48 AM
こんばんは
このシリーズは本当に面白いです!
そしてとても示唆に富んでるなぁと思います。

よく、あちこちの美術館でアンケートをとってて、「ショップの充実をどうすれば?」という項目がありますが、このシリーズを読んで、そこから何か得られればよいのでは?と思いました。
本当に楽しみです、次もお待ちしてます!
遊行七恵 | 2010/08/28 12:32 AM
こんにちは:)

ミュージアムショップは欠かせないチェックポイントですよね。
毎回絵葉書を買うようにしています。

根津美術館だったら、最上階に展示の刀剣コーナー(?)にある、十二支をあしらった笄がお気に入りです。
グッヅになったら嬉しいですね。

次回も楽しみにしています!!
naoshayne | 2010/10/17 6:29 PM
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://bluediary2.jugem.jp/trackback/2231
この記事に対するトラックバック