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「三菱が夢見た美術館」

三菱一号館美術館で開催中の
三菱一号館美術館開館記念展〈ll〉「三菱が夢見た美術館−三菱家と三菱ゆかりのコレクション」の内覧会にお邪魔して来ました。



前回2010年4月6日からスタートした「マネとモダン・パリ展」で華々しいデビューを果たした三菱一号館美術館。丸の内に新たな文化の拠点の誕生に相応しい充実した内容(もう二度と日本ではあれだけのマネ展は観られない)の展覧会でした。

マネ展終了後、三菱一号館美術館のサイトを何気なく拝見していて目に付いたのがこれ。↓
マネとモダン・パリ展ご来場ありがとうございました。
7月25日を持ちまして、「マネとモダン・パリ」展が閉幕致しました。総来場者数30万4206人となり、たくさんのお客様にご来場頂き、厚く御礼申し上げます。
展覧会開催前や開催中は盛んにPRをどこも行いますが、終了後にこうしたデータを公にきちんと示す美術館は、これまで無かったのではないでしょうか。僭越ながらとても立派なことだと感心しました。っと同時にやはりこの美術館の担っている使命の重さも伺い知ること出来ました。

さて、開館第2弾となる展覧会は三菱グループが所有するお宝を一挙にこの新しい美術館で公開しようという太っ腹な内容。世が世であれば(数十年前でも)我々一般人が決してお目にかかれない作品がザクザク。


右から:山本芳翠「十二支のうち丑『牽牛星』」、「十二支のうち牛『殿中幼君の春駒』」、「十二支のうち戌『祇園』」1892年 三菱重工業株式会社所蔵

遊行七恵さんのツイート→@yugyo7e  うわっ芳翆「十二支」が出てきてますか!凄いですね、門外不出ということを聴いてましたが。楽しみ!

注:館内の画像は内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

展覧会の構成は以下の通り。

序章:「丸の内美術館」計画:三菱による丸の内の近代化と文化
第1章:三菱のコレクション:日本近代美術館
第2章:岩崎家と文化:静嘉堂
第3章:岩崎家と文化:東洋文庫
第4章:人の中へ街の中へ:日本郵船と麒麟麦酒のデザイン
第5章:三菱のコレクション:西洋近代絵画
終章:世紀を超えて:三菱が夢見た美術館



左:山本芳翠「」共に三菱重工業株式会社所蔵
右:黒田清輝「春の名残」1908年

キャンバスの上に薄〜く塗られた油彩絵具。黒田清輝の「春の名残」の表面にはキャンバス地のザラザラ感が描かれているものよりも先に目に飛び込んできます。

ザラザラ感と言っても海水浴後、靴に砂が入ってしまった時のものとは180度違います。表現はおかしいですが、心地よいザラザラ感が黒田の作品から伝わってきます。最初の部屋で一番長く観ていた作品。

そして驚いたことに、帰り際ショップで販売されていた図録の表紙がこの「春の名残」でした。しかも手触りがザラザラしているのです!絵をそのまま図録の表紙に使用したような錯覚に。これデザインされた方スゴイね!

第1章:三菱のコレクション:日本近代美術館からしてこの調子ですからこの先どうなることやら心配になります。そしてその心配は的中することに…

第2章:岩崎家と文化:静嘉堂


静嘉堂所蔵の国宝「曜変天目(稲葉天目)」が期間限定(9月5日まで)で公開しています。基本的に「国宝展」以外特別なことが無い限り「曜変天目」が静嘉堂から表に出ることはありません。

それが今回、丸の内までやって来ているのですから見ておかない手はありません。世界に僅か3点しか存在しない激レア品(他、大阪・藤田美術館と京都・大徳寺)→「曜変天目(ようへんてんもく)」

他にも野々村仁清「色絵吉野山図茶壺」(重文)や「周礼」(重文)はたまた茶道具等など、静嘉堂に一年通ってもコンプリート出来ない作品がここ丸の内の地に集結!こんなこと開館記念展だからこそ出来る離れ業。

「何をオーバーな…」と言うこと勿れ。これまで静嘉堂で一度も観たことなかった橋本雅邦「龍虎図屏風」(重文)が何と15年の眠りから覚め久々に一般公開されているのです。はっきり言ってこれには震えました。痺れました。隣りにたまたま居合わせたいづつやさんも目をくりくりさせ大興奮!

発表当時はあまりにも斬新で必ずしも高い評価得られなかったそうですが、川合玉堂はこの作品を観て絵師の道を志したとも言われています。それほどインパクトのある大傑作です。後の1955年に近代絵画として初めて重要文化財に指定された作品でもあります。

龍の頭の毛がまるでエナメル線のようで、そこからビリビリと放電しているかのようでした。要所要所に入れられた斜めの線がこの作品に締まりを与えています。

第3章:岩崎家と文化:東洋文庫


さて、個人的に一番楽しみにしていたのが東洋文庫の作品たち。静嘉堂なら展示に合わせ行けば拝見出来ますが、東洋文庫の所蔵品はまぁお目にかかれることありません。

麗子像を用いた現在のチラシが出る前に、配布されていたこのチラシを目にした時は欣喜雀躍。嬉しくてたまりませんでした!


国宝「毛詩」唐初写 財団法人 東洋文庫蔵

国宝「文選集注」、「論語集解」、「義経記」、「東方見聞録」、「解体新書」、「難船人帰朝記事」、「百人一首」、「徒然草」等など…

大興奮!(この一言に尽きます。以上。)

元オフィスだった三菱一号館ビル。美術館展示室も小さな部屋を繋ぎ合わせたものに。東洋文庫の作品はその小部屋4部屋に渡り展示されています。部屋を移動することに新たな感動や驚きが待ち構えています。

こうした貴重書や地図は大部屋にどんと展示されているよりも、こうして「小出し」にされる方が有難味がより一層増します。

やみ雲に出来て間もない美術館に対し、狭いだの観難いだの苦言を呈する方も多いようですが、東洋文庫の所蔵品、国立新美術館で観たいですか?作品に相応しい場、空間というものがあります。

今回出展されている日本近代絵画、西洋近代絵画にしても皆、個人の邸宅にあったサイズ的には小さなものがメインです。まさにこの美術館での展示にうってつけではないですか!



第5章:三菱のコレクション:西洋近代絵画にあったルノワールの「麦藁帽子の若い娘」やルドンの「聖女」など、サイズこそ小振りですが、こんな優品が日本にあったのか!と驚かされるものばかり。

藤原えりみさんとお話する機会があり、彼女もこの西洋近代絵画コレクションにはとても驚かれていらっしゃいました。

前後しますが、第4章:人の中へ街の中へ:日本郵船と麒麟麦酒のデザインでは一息入れて日本郵船とキリンビール往年のポスターたちで気持ちをリセット。(東洋文庫のセクションで舞いあがり過ぎました…)


麒麟麦酒ポスター展示風景


多田北烏 ポスター「キリンビール」(明治屋)1926年
キリンホールディングス株式会社

そうそう、三菱一号館美術館は元あった建物を忠実に再現している為、展示室が細かく分かれているだけでなく、たまに「靴音」がうるさいとのご意見も受けるそうです。これまた実は致し方ないところ。

3階展示室入口にこんな注意書きがありました。
お客様各位
「靴音に関するお願い」

当館は、1894年に丸の内に初めて建設されたオフィスビル「三菱一号館」オリジナルの姿を忠実に復元した建物です。その為床材は、当時と同じ材料を使用しており、底の硬い靴で歩きますと歩行音が響き、場合によっては大きな音がする場合があります。
まことに恐縮ですが、館内では「極力靴音を低く抑えて」歩行いただきますよう、ご協力の程宜しくお願い申し上げます。
何かと大変なようです。作品集めるだけでもご苦労なされているというのに。。。

それでも、「三菱が夢見た美術館」がこうして誕生したわけです。大いに盛り上げて行こうではないですか。皇居三の丸尚蔵館、出光美術館、そしてブリヂストン美術館と錚々たる顔ぶれが東京駅周辺に点在。新幹線降り、ロッカーに荷物預けたらそのまま東京駅地下道を京葉線方面に歩くと、もうそこは三菱一号館美術館の入口です!(雨に全く濡れることなく行けます)


三菱一号館美術館地下入口(東京駅、有楽町駅から徒歩5分)

「三菱が夢見た美術館」は11月3日までです。
会期中展示替えがあるので三菱一号館美術館のサイトチェックされてからお出かけになるのがよろしいかと。


三菱が夢見た美術館―岩崎家と三菱ゆかりのコレクション」展

会期:2010年8月24日(火)〜11月3日(水・祝)
開館時間:水・木・金 10:00〜20:00 火・土・日・祝 10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日休館、11月1日(月)は開館)



ジョサイア・コンドル「丸の内美術館 平面図(1、2階)」明治20年代
三菱地所株式会社蔵

【三菱一号館美術館次回展】

レンバッハハウス・ミュンヘン市立美術館所蔵
カンディンスキーと青騎士展

2010年11月23日〜2011年2月6日

ワシリー・カンディンスキー(1866−1944)とフランツ・マルク(1880−1916)が中心となって結成されたグループ「青騎士」(デア・ブラウエ・ライター)は、その後の20世紀美術に多大な影響を与えました。本展は「青騎士」揺籃の地ミュンヘンのレンバッハ・ハウス美術館の所蔵品よりカンディンスキーを中心に「青騎士」の運動を紹介する、わが国で初めての展覧会となります。

http://mimt.jp/aokishi/

ツイッターやってます。
Twitter @taktwi

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幕末、土佐藩の海運業を任された岩崎彌太郎(1835〜1885)は、明治維新後に三菱を興して事業を引き継ぎ、海運業のみならず、造船、銀行、保険、不動産と、現代まで続く様々な事業に着手、拡大させました。同時に岩崎家と三菱は、事業だけでなく、文化・芸術とも深い関わりを持ちます。しかしこのことは、岩崎家や三菱の社風もあり、これまで一般にはあまり知られてきませんでした。
岩崎家が興した文化・芸術に関わる施設としては、《曜変天目「稲葉天目」》(国宝)をはじめとする多くの美術品および古典籍等を所蔵する静嘉堂、《毛詩》(国宝)など、東洋学に関する貴重な書籍で知られる東洋文庫があります。しかし、岩崎家、三菱と文化・芸術との関わりはこの二つの施設のみではありません。
三菱一号館美術館開館記念展第二弾の展覧会である本展は、明治20年代、三菱による丸の内開発の最初期に存在した「丸の内美術館」計画の紹介から始まります。実現には至りませんでしたが、当時の三菱社では、英国人建築家ジョサイア・コンドル(1852〜1920)に美術館図面の作成を依頼していました。図面によれば、展示室のほか、レクチャールーム、図書室、学芸員室、といった今日の美術館としての機能を十分に備えた計画となっています。丸の内に美術館を、との夢は19世紀末より一世紀以上を経て、このたび三菱一号館美術館として実現したともいえるのです。
本展では、この「丸の内美術館」計画を紹介するほか、静嘉堂、東洋文庫所蔵の名品、さらには三菱系企業やゆかりの個人が所蔵するオーギュスト・ルノワール、クロード・モネ、山本芳翠、黒田清輝らの作品を併せ、120点余(会期中入れ替え含む)が展示室を飾ります。
岩崎家および三菱の文化・芸術における知られざる一側面を、珠玉のコレクションと共にお楽しみ下さい。
展覧会 | permalink | comments(8) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

なかなか良かったですね。
お会いできなくて残念でした。
とら | 2010/08/28 9:21 AM
初めまして。
いつも、楽しく拝読させていただいています。
先月、マネ展に行きました。
クラシカルな展示室の美しさに胸躍りましたが、
靴音・・・・、確かにとても気になりました。
他の美術館でも感じる事がありますが
特に若い女性のパンプスは、かん高く反響して耳障りです。
私は、美術館に行く時は、常にゴム底の靴を愛用していますが、
美術観覧時のマナーとして、
大声でのおしゃべり禁止同様に、常識化されると良いなぁと思っています。
pure | 2010/08/28 12:26 PM
こんにちは、私も先日行ってきました。曜変天目は強い照明に照らされて、金色の粒の反射が下の布に出ていたように見えました。釉薬に金が混ぜてあるのでしょうか?
そうそう休憩室でカタログを読んでいたのですが、1990年年代以降の企業グループの持つ美術コレクションについて書かれたページがあり、とても興味深く読みました。今回の企画展を観て、三菱グループも含め企業が所有する美術品が末長く後世に伝えられていくといいな、と思いました。
merion | 2010/08/28 1:05 PM
やはり、東洋文庫、大興奮でしたか。私はきっとTakさんだったら、感動するんだろうなと思いながら、スルーしてしまいました。私は浦島以来の山本芳翠ファンなので、最初のコーナーから大興奮でした。遊行さんのツイッター読んで、さらに興奮に拍車がかかりました。
一村雨 | 2010/08/29 8:28 AM
こんにちわ!先日最初の日曜日に行ってきました。
曜変天目が二週間の展示とこちらで知って、今年の春、静嘉堂で見逃してしまったので、何が何でも!と思ってましたが、その反面混み具合を心配しました。しかし、なんとゆっくり鑑賞が出来て、贅沢な時間を過ごせました。先に情報を知ることが出来たおかげです。ありがとうございました。
わか | 2010/08/30 11:12 AM
こんばんは。
三菱一号館美術館、ずい分盛りだくさんで、ただ見てきた、
すごかったなんて感想になってしまいそうでした。
最初に山本芳翠の十二支にひっかかり、浦島以来の
芳翠にすっかり夢中、明治時代の絵ってなかなか見られ
ないのが多くて、藤島武二とか黒田精輝もよかったし、
もっと明治を知りたいと思いました。
| 2010/09/05 10:53 PM
おはようございます。
昨夜名前無しでコメント入れてしまいすみません。
9/05 10:53PM の分です。
すぴか | 2010/09/06 6:41 AM
こんばんは
この空間でこれらの作品群を見る、そのこと自体に酔いました。
これから先の百年二百年にもココで美術館としていきつづけてほしいです
遊行七恵 | 2010/10/01 12:11 AM
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