弐代目・青い日記帳 

  
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「ドガ展」
横浜美術館で開催中の
「ドガ展」に行って来ました。


「ドガ展」公式サイト

「ドガ展」開催!!

カフェ・ゲルボワの集った画家たちにより1874年の第1回展から第8回展まで開催された「印象派展」。8回開催された「印象派展」にピサロ(皆勤)に次いで多く参加したのがエドガー・ドガ(第7回展のみ不参加)。

印象派の代表的な存在として扱われるルノワールは第4、5、6、8回展の計4回不参加。モネですらも計3回不参加という状況の中、ほぼ皆勤で出し続けたドガは本来であれば印象派の核となる存在であったはずです。

しかし、ドガを参加回数の多さだけで「印象派の画家」と括ってしまうのは危険なことだと今回の「ドガ展」を拝見し改めて強く感じました。もとよりドガ自身「『印象派展』ではなく『アンデパンダン展』に出したのだ」との思いが強くあったそうです。


エドガー・ドガ「14歳の小さな踊り子」1880-81 年(1922 年鋳造)
E.G.ビューレー・コレクション

光を求め屋外へキャンバスを連れだした印象派の画家たちとは明らかに違う立ち位置。今回の展覧会の目玉である「エトワール」その他バレエの踊り子たちを描いた作品も全てデッサンを元にアトリエで再構成され生み出された作品です。

また展覧会を俯瞰しバレエの作品はドガ作品のほんの一部分であり、決して全てではないことも。あまりにも「エトワール」の押しが強く、またイメージも付着しているのでついついそんな当たり前のことも忘れてしまいがちに。

元よりドガは美しい踊り子を描きたかったわけでもないわけで…

展覧会の構成はシンプルに以下の3章から成っています。

第1章:古典主義からの出発
第2章:実験と革新の時代
第3章:綜合とさらなる展開


「エトワール」や「バレエの授業」を含むバレエ関連の作品は第2章:実験と革新の時代のセクションにまとめて紹介されています。


エドガー・ドガ 「バレエの授業」 1873-76 年 オルセー美術館
©RMN(Musée d’Orsay)/Hervé Lewandowski/distributed by AMF-DNPartcom

もっとも親しみ深い作品であり、ドガに対する一般的なイメージの作品たち。でも、この章は決してメインとなっているわけではありません。どちらかと言うと、第1章と第3章の中継ぎ役。作品数も最も少ないセクションです。

故に「ドガ=奇麗なバレエの絵」というイメージでこの展覧会に来られた方にとっては満足度は低いものとなってしまいます。(まぁそれを補うに余りある「エトワール」が鎮座していますが)

しかし、逆にバレエ作品押しで構成しなかった処にこの「ドガ展」の良さがあります。「印象派の画家ドガ」というある種間違ったイメージを払拭するに実に都合のいい展覧会構成であり、挑戦的な展覧会とも言えます。

第1章:古典主義からの出発展示風景

左より:エドガー・ドガ「トキと若い女」1860-62年 メトロポリタン美術館 「アンドレ・マンティーニャ《磔刑図》の模写」1861年 トゥール美術館 「木陰で死んでいるキツネ」1861-64年 ルーアン美術館 「アマチュア騎手のレース-出走前」1862(1880年代初頭加筆)オルセー美術館

トキと若い女」や「木陰で死んでいるキツネ」などなんの説明も無しに見せられてもまずドガの作品だとは認識出来ません。モローやクールベの影響が色濃く観られる作品です。

とりわけ「トキと若い女」はその組み合わせからしても背景とのアンバランスからもとても不思議な世界観を有する作品です。鳥好きは差し引いたとしても一目で「おおっ!」と仰け反らせる何かが。ポイントは女性の指先でしょうか。

また、このセクションの見所は何と言っても肖像画!マネに強い影響受けていること見て取れますが、何か何処か違います。描かれている人たちの不安そうな眼差しが妙に気になりました。

第3章:綜合とさらなる展開展示風景

エドガー・ドガ ≪浴盤(湯浴みする女)≫ 1886年 オルセー美術館 他

「ドガ=奇麗なバレエの絵」のイメージを持たれて来られた方にとっては、この最後の章が最も退屈で難解な場所かもしれません。

描かれている対象は踊り子同様、女性であることに変わりありませんが、美しい衣裳に身を包みスポットライトを浴びる華やかな作品とは打って変わり、洗濯に勤しむ女性や入浴する女性といった生活感が全面に押し出された作品がずらりと展開されます。


エドガー・ドガ 「浴盤(湯浴みする女)」 1886年 オルセー美術館
©RMN(Musée d’Orsay)/Hervé Lewandowski/distributed by AMF-DNPartcom

ドガの女性に向けられた目線はある種異常性を帯びています。ほぼ全て「覗き見」をしているかのような視線。決して人様には見せない入浴シーンを露わに。

バレエの踊り子たちを描いた同じパステルから生れ出たとは思えないほどの格差が。しかしドガにとって、踊り子も洗濯女も浴室の裸婦もすべて「もの」とみなしていたとすると理解は早いかと。

稽古場の踊り子も水浴する裸婦も女性の身体が作り出すライン、表情を描き出す為にはさして大差があったばかりか、裸である分、描き易かったとも考えられます。ドガは徹底的にデッサンに重きを置いた画家です。

この章こそドガが目指した到達点が何であったかを正確に見極めることの出来るセクションではないでしょうか。自分が訪れたのは日曜日の午後1時過ぎ。多くの来場者で混雑しており「エトワール」の前では渋滞も発生していました。ところがこの第3章となるとどこもスムーズな流れに。

もう一度、第3章と第1章だけを観に(敢えて「エトワール」らを外して)観に出かけるなんてことしてもいいと思わせる展覧会でした。


一番最後の展示室はオルセー美術館所蔵のブロンズ像を中心とした展示に。またドガのアトリエに遺されたパレットやバレエシューズ、競馬用帽子等も公開されています。

狷介孤高」という表現にこれほどまでピタッと当てはまる画家もそうはいないかと。同じような生き方をしたセザンヌよりも更に狷介不羈な人物だったのだと今回の「ドガ展」でまざまざと見せつけられました。真似出来ないな〜とても。

「ドガ展」は12月31日までです。

注:館内の写真はプレス内覧時に主催者の許可を得て撮影したものです。
(撮影者:@yukitwi)


「ドガ展」

会期:平成22年9月18日(土)〜12月31日(金)
休館日:毎週木曜日
(ただし、9月23日(木)、12月23日(木)12月30日(木)は開館)
会場:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
開館時間:午前10時〜午後6時
*毎週金曜日は午後8時まで開館、入館は閉館の30分前まで


【「ドガ展」記念講演会】

会場横浜美術館レクチャーホール 定員240名
(先着順、12:30より整理券配布、13:30開場)
※聴講無料

第1回「ドガとパステル」 講師:フィリップ・ソニエ氏
(オルセー美術館学芸員 本館コミッショナー)
日時:9月18日(土) 14:00〜15:30

第2回「身振りと眼差し−ドガ芸術の演劇性」 講師:高階秀爾氏
(東京大学名誉教授 大原美術館館長)
日時:10月3日(日) 14:00〜15:30

第3回「ドガの時代」 講師:中野京子氏
(ドイツ文学者)
日時:11月27日(土) 14:00〜15:30


エドガー・ドガ 「綿花取引所の人々(ニューオリンズ)」1873年
ポー美術館

【横浜美術館2011年展覧会スケジュール】

「高嶺 格:とおくてよくみえない」
2011年1月21日〜3月20日
現代美術家・高嶺格(たかみね・ただす 1968年生れ)の活動を紹介する、首都圏初の大規模個展。

「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」
2011年4月2日〜6月26日
モスクワのプーシキン美術館が世界に誇るコレクションから珠玉のフランス絵画約70点が横浜美術館に。

「横浜トリエンナーレ 2011」
2011年8月6日〜11月6日
第4回目となる横浜トリエンナーレ。今回は横浜美術館と日本郵船海岸倉庫がメイン会場に。

それでは最後に「今日の美味


横浜美術館「カフェ小倉山」ドガ展限定メニュー「ホワイトバレリーナ」ホワイトチョコレートラテにドライフルーツと食用花がトッピングされてます。ドガの「エトワール」のバレリーナをイメージしたそうです。展覧会観終え疲れた身体には甘いものがぴったり。

またカフェ「小倉山」には読書コーナー(横浜美術館カフェ・ライブラリー)も設置されており、美術書を自由に席で閲覧可能。これは嬉しいサーヴィス。もう少し拡充しても良いかも。折角だから。

【関連エントリー】
- 「横浜トリエンナーレ2005」 | 弐代目・青い日記帳
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ドガ展(横浜美術館にて2010年9月18日~12月31日開催)を記念して刊行される
CD+BOOK。ドガの名画とバレエ名曲で訪ねるバレエ・ワールド!
ドガの時代のバレエ音楽を中心に20曲を収録したCD付!

冷静さと機知をあわせ持ち、客観的な視点で近代都市パリの情景を描き残したエドガー・ドガ(1834-1917)。
ドガは、印象派展に第1回から出品し、そのグループの中心的な存在でした。しかし、屋外で光と色彩に満ちた風景画を描いた多くの印象派の画家たちとは異なり、主にアトリエの中で制作し、踊り子や馬の一瞬の動きや都市の人工的な光をテーマとして、知的で詩情あふれる世界を築きました。油彩の他、パステル、版画、彫刻など様々な技法を研究し新しい表現を試みると同時に、日本美術や写真など、当時紹介されたばかりの美術の要素を取り入れ、近代絵画の可能性を大きく切り開いた画家といえるでしょう。

このたび、オルセー美術館の全面的な協力を得て、国内では21年ぶりとなるドガの回顧展が実現することとなりました。オルセー美術館所蔵のドガの名品45点に、国内外のコレクションから選りすぐった貴重な作品を加え、初期から晩年にわたる約120点を展観いたします。生涯を通じ新たな芸術の可能性に挑戦しつづけた画家ドガの、尽きぬ魅力を堪能できる展覧会です。

| 展覧会 | 23:50 | comments(3) | trackbacks(10) |
私も踊り子目当の口でしたが、やはりエトワールに癒されました。
| 一村雨 | 2010/09/30 6:42 AM |

こんばんは。

御無沙汰しておりますm(__)m

少し教えてほしいのですが、ドガ展は
横浜のみの開催になりますか??

大阪や、名古屋には来ないのでしょうか??

御存じなら教えてください。
よろしくお願いしますm(__)m。
| kakeru | 2010/11/26 2:34 AM |

チケットありがとうございました。金曜日の夜に行って来ました。空いていて良かったです。内容も点数も充実していたので閉館ギリギリまで観ていました。バレエの絵も素敵ですが、視力を失い始めてからのパステル画を間近で観て、絵を描くということへの執念のようなものを感じて胸が一杯になりました。それでも描きたいものがあるのは幸福なことかもしれないですね。
横浜美術館は初めてですが、天井が高くて空間の使い方が贅沢ですね。ビデオコーナーの解放感も好きです。常設展の小倉山などもじっくり観て、帰り、エスカレーターに乗ろうとしたら階段の方に彫刻があったので、方向転換して彫刻を見ながら降りました。
夜だとショップやカフェが閉っているのが残念、次回は昼間に行きます。
現代美術館のチケットもありがとうございました。オランダのアート&デザイン新・言語、面白そうですね。今度行ってみます。長々と失礼いたしました。
| サヨ | 2010/12/01 10:47 PM |










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| 映画的・絵画的・音楽的 | 2011/01/19 6:27 AM |
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「ザ・シネマ」に寄稿しました。

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不肖・私がフェルメール30作品の解説執筆と全体の編集に携わった一冊です。オールカラーB5版。96ページから成る、これまでにないフェルメールパーフェクトガイドです。主に「フェルメール初心者」に向け丁寧に噛み砕いた表現で綴られているので、美術の専門用語を知らずともフェルメール作品について一通りの知識を得ることが出来ます。

お手に取って頂ければ幸甚です。よろしくお願い致します。
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レニー ソールズベリー,アリー スジョ
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日高 薫
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日本美術鑑賞の際に、よく出てくる言葉を満載。絵画、彫刻、工芸品などの具体的な写真をふんだんに使い紹介
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