青い日記帳 

  
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「南宋の青磁」
根津美術館で開催中の
根津美術館創立70周年記念特別展「南宋の青磁 宙(そら)をうつすうつわ」に行って来ました。



2009年10月より新創記念特別展を一年間かけ計8回開催してきた根津美術館。所蔵作品のみで8回の全展覧会を構成しまだまだ出していない作品も多くあるというのですから、ここの美術館の所蔵品の多さ、幅広さ計り知れないものがあります。

新創オープンより一年が経過し数多い所蔵作品を生かす特別展をいよいよ二年目から開催することに。その栄えある特別展第一弾として白羽の矢を立てられたのが「青磁

「青磁」と耳にすると、自分などはすぐ高麗青磁を思い浮かべてしまいます(青磁という店名の韓国料理屋さんがあったので…)でもそのルーツは当然ながら中国にあったわけで、とりわけ南宋時代(1127年 - 1279年)に製作された青磁の美しさは他の追随を全く許さない端正且つ高貴な陶器と呼ぶのも憚れるほど美しい魅力を湛えています。

しかし、現在日本に伝わる南宋時代の青磁の優品は決して多くないばかりか、それぞれの所蔵美術館・博物館の目玉作品となっていることもほとんど。それらを一堂に集め特別展開催しているのですから、これはいくら焼き物音痴の自分でも観に行かない手はありません。

こんなチャンス生きているうちはもう無いでしょうしね。


国宝「青磁下蕪形瓶」龍泉窯 中国・南宋時代 13世紀
アルカンシェール美術財団蔵

他の美術館や所蔵者から作品をお借りする場合、それに見合うものを所蔵していないと展覧会というのは開きたくとも開けないそうです。「ラ・トゥール展」を西洋美術館が開催出来たのも、西美がラ・トゥール作「聖トマス」を所蔵していたことが大きかったと以前関係者の方から伺いました。

今回、根津美術館が「青磁展」ではなく「南宋の青磁展」を開催出来たのも、優れた南宋青磁をここの美術館が所蔵しているからこそ。


重要文化財「青磁筒形瓶 銘大内筒」龍泉窯 中国・南宋時代 13世紀
根津美術館所蔵

それに加え、過去に根津美術館において昭和初期より「青磁展」が開催されてきたという歴史もあってこそ。何せ日本が初めて本土空襲を受けた昭和17年4月18日に根津美術館では青磁の展覧会を開催していたというのですから、それこそ筋金入りならぬ貫入入り。

学芸員の方のお話では何でもその空襲の日に開催された青磁展。開催中に空襲に遭い、高射砲の鳴り響く中、急いで地下の防空壕へ作品を非難させたというエピソードまで残っているそうです。

そんな戦時中の青磁展からおよそ70年前が経過し、装いも新たに生まれ変わった新・根津美術館で開催されている今回の青磁展。展示室を覗いてみましょう。


国宝「青磁下蕪形瓶」龍泉窯 中国・南宋時代 13世紀
アルカンシェール美術財団蔵

時代は目まぐるしく変化を遂げ世の中まるで違ってしまいましたが、南宋青磁の持つたおやかな美しさと優美な色合いは戦時中と、否これらが作られた13世紀から全く変わっていないはずです。

逆に焼き物特有の良い意味での「経年変化」を遂げ、青磁の命とも言える青緑色の美しい表面に貫入が走り、個々の性格を表現するかのような景色を作り出しています。


国宝「青磁鳳凰耳瓶 銘萬聾」龍泉窯 中国・南宋時代 13世紀
和泉市久保惣記念美術館蔵

同じ形の青磁、他にも数点出ています。でもどれも微妙に(良く見るとまるで)違う別物。貫入=罅(ひび)が作りだす景色については先ほども書きましたが、他の種類の焼き物と比べるのではなく、同じ青磁、しかも南宋の青磁たち同士で比べてみることにより、初めて解る面白さがあります。

実に。趣深い展覧会です。


国宝「青磁鳳凰耳瓶 銘萬聾」龍泉窯 中国・南宋時代 13世紀
和泉市久保惣記念美術館蔵

そして理路整然と並べられた、国宝2件、重要文化財8件を含む65件の青磁たちが、人間同様実に個性豊かであることと同時に、この何とも形容し難い色に目をやられ、いつの間にか心も何処かへ連れていかれてしまいます。

その時ハッと気が付かされます。「宙(そら)をうつすうつわ」という展覧会サブタイトルに。「砧青磁」と呼ばれる由縁も。

地上には存在しない色調で身をまとった焼き物たちの共演。(もしかしたら「饗宴」の文字の方がぴったりくるかも。)遠く中国浙江省で13世紀に作られた青磁、女性的な美しさで室町時代の日本人を虜にしてから21世紀の今日に至るまで、その熱下がる気配なさそうです。


青磁形瓶」龍泉窯 13世紀
徳川美術館蔵他

芝木好子氏曰く。「青磁のやきものは、ある意味で女性的かもしれない。清麗、優雅なたたずまいで、荒々しさや豪放さといったものからは遠い。焼き上った色そのものが澄んで静かなので、洗練された風情を匂わす。そこへ細やかな貫入(ひび)が走って、えもいえない陰翳をそえるのである。」

宙色の世界に沐浴していると、身に付いた俗世間の穢れがきれいさっぱり落ちてしまうかのような錯覚すら覚える展覧会。(青磁が持つデトックス効果?)

焼物の知識ゼロに近い自分でも頭ではなく、目と身体で楽しむことが出来ました。

最後に「今日の一点


京都市内遺跡出土陶

完品ばかりでなく、こうした遺跡から発掘された破片なども展示されています。こうしたモノを目にすると、13世紀から現在までほぼ完全な形で残っていること、奇蹟に思えてきます。

「南宋の青磁」展は11月14日までです。
次はありません。眼福眼福。

注:会場内の写真は内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。


根津美術館創立70周年記念特別展
「南宋の青磁 宙(そら)をうつすうつわ」


会期:2010年10月9日(土)〜11月14日(日)
休館日:月曜日 
開館時間:午前10時‐午後5時
(入場は午後4時半まで)
会場:根津美術館 展示室1・2


勿論、今回の展覧会に合わせたオリジナルグッズも!
インタビュー:根津美術館ミュージアムショップ

青磁色のクリアファイル(2種類)に一目惚れ。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2281

JUGEMテーマ:アート・デザイン


「宙をうつすうつわ」それは南宋時代、いまから700年ほど前に中国で焼かれた青磁に与えられた賛辞です。浙江省の山奥にある龍泉窯で焼かれた青磁の碗や皿、瓶や壺は、鎌倉時代にはるばる海を越え、日本にもたらされました。寺院などで大切に使われた青磁の器は、室町時代になると書院を飾る道具となり、花を生ける瓶となり、茶の湯の道具となりました。それらの中で宙を思わせる美しい釉色のものがとくに砧青磁と呼ばれ、珍重されました。

本展では、国内の砧青磁を一堂に会し、南宋官窯の名品を加えて、国宝2件、重要文化財8件を含む65件の作品を出品します。青磁の姿と釉色の美しさにふれることができるまたとない展覧会です。
| 展覧会 | 23:55 | comments(2) | trackbacks(1) |
なかなか良かったですね。
特に、米色青磁に感心してきました。
ウィースキー色という表現のほうが分かりやすいかも・・・。
大阪の東洋陶磁美術館と台北の故宮博物院でも南宋の展覧会が同時進行中です。
台北は無理ですが、大阪はチャンスがありそうなので・・・。
| とら | 2010/10/16 9:28 AM |

青磁は大好きで、自分でもささやかながら愛用しています。


一口に青磁と言ってもいろいろな色合いがあり、

興味が尽きないですね。

近々根津に行ってきます。
| わん太夫 | 2010/10/16 6:55 PM |










http://bluediary2.jugem.jp/trackback/2281
南宋の青磁 @根津美術館
 南宋時代の青磁は、「宙(そら)を写すうつわ」と言われたとのこと。日本には鎌倉時代より龍泉窯の青磁が入ってきているが、これは中国から見れば輸出用の一般向きやきもの。これが室町以降、茶道具の砧青磁として珍重されてきた。気泡のため、美しく澄んだ半透明感が
| Art & Bell by Tora | 2010/10/16 9:52 AM |
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↑単眼鏡紹介記事書きました。

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