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「伊東豊雄 建築を語る」

鹿島AIビル大会議室で開催された講演会
「伊東豊雄建築を語る」に行って来ました。



第22回 高松宮殿下記念世界文化賞建築部門受賞記念講演会。300人以上収容可能な鹿島AIビル大会議室は超満員。時代の寵児たる伊東氏への注目度の高さ伺い知ること容易に出来ます。

今回伊東豊雄氏が講演会のテーマとして設定したのは「新しい秩序
2006年に初台オペラシティーアートギャラリー他で開催された「伊東豊雄 建築|新しいリアル」を想起させる展覧会テーマです。

以下、伊東豊雄氏が話された概略ざっと書き記しておきます。



昨日行われた受賞式でソフィア・ローレンさんからエスコートの指名を受け何とか務めて来ました。本当に疲れました(笑)

(産経ニュース)
【世界文化賞】ソフィア・ローレンさんをエスコートしたのは…

さて、今日のテーマは「新しい秩序」です。

これまでに建築は混沌とした世界に一定の秩序を与え(形態・規範を与える)、不安定な自然に対し安定した建築を作ることを第一目標としてきました。

それにより、20世紀は幾何学的な、都市のビル群に見てとれるような、グリッドに支配された秩序ばかりとなりました。特に都市部ではそれが顕著です。

都市に人口が集中し、世界中どこでも同じもの、同じ環境をを作りだすことが至上命令とされてきました。しかしそれによって様々な問題が引き起こされています。

効率の良い均質な環境を作り出し、そこで人々が生活することによって、建築だけでなく人間までも均質化してきてしまっています。グリッドは世界の均質化を招いてしまったのです。




これは江戸時代に描かれた江戸の街の様子です。非常に美しい街並みです。(自然と街が融合)

替わって現在の東京はどうでしょう?フラクタルな都市がグリッドによって支配されてしまっています。今の若い建築家の中にはそれに賛同している人もいるようだが果たしてそれでいいのでしょうか?21世紀の建築は自然との関係を回復しなければなりません。

その為には、これまでとは違う新しい建築の秩序が必要となります。

木の枝を思い浮かべて下さい。一見カオスに見えますが、周囲との関係によって自分の姿を決めています。その結果複雑な形態になっていますが。フラクタルな形です。

これをヒントに私が考える新しい秩序を提示してみます。

【これからの建築の新しい秩序】

1:流動的な秩序
2:相対的な秩序
3:不安定な秩序
4:曖昧な秩序
5:フラクタルな秩序
6:インクルーシブな秩序



右が「均質な秩序」(グリッド)左が「曖昧な秩序」です。

↑の図に示したような点と点の間に作られる空間に惹かれます。(菊竹清訓の教えでもあります)まるで日本庭園のような仕切りのあいまいな空間。そしてまた日本語もまたあいまいな秩序でできているのではないかと。そうした関係性をイメージしています。

20世紀はグリッドにより切り分けていたが、21世紀はもう一度それをあいまいな関係に戻して行くことがテーマになります。


以下、これまで伊東豊雄氏が手掛けた建築をパワポでそれぞれ簡単に紹介。


せんだいメディアテーク」(宮城)2001年


せんだいメディアテーク内部

サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン」(イギリス・ロンドン)2002年

「流動的な秩序」を念頭に設計。正方形を入子状の構造に。不思議なことに箱の中に居るという感覚にならない建物でした。期間限定のパビリオンの為現在はロンドンにはりません。南仏のホテルの庭にあるそうです。


TOD’S表参道ビル」(東京)2004年

間口の狭さを逆手に取り、表参道を彩るケヤキの木をイメージ。


TOD’S表参道ビル内部。

構造体(コンクリート)を外に出して作っりました。


多摩美術大学図書館」(東京)2007年


相対的な秩序を念頭に設計が進められた多摩美術大学図書館

見に行くとここで気持ちよさそうに学生たちが昼寝してます

カリフォルニア大学バークレーアートミュージアム」(アメリカ)2006年
(いざ建てるところまで行きながら財政面の悪化によりキャンセルに)


座・高円寺」(東京都)2008年


座・高円寺劇場内。

台中オペラハウス」(台湾)
(現在建築中)

講演会はこれにて終了。各建築に関しての興味深いエピソードもお話されていたのですが、熱中するあまりノート取れませんでした。。。スミマセン。

その後、引き続き壇上で建築評論家・馬場璋造氏と伊東豊雄氏との対談が。対談自体は馬場氏が持論を展開する感じで(伊東氏の理論理解していないのかな?)イマイチ噛み合っていなかった様子。数分で終了。

馬場氏「お話はとても分かりやすかったけど、ひとつひとつの繋がりが分かりにくかった。」

伊東氏「自分の建築をひとつ完成させると反省が生じ次へ生かします。大きな考え(テーマ)は、はっきりしているが、そのプロジェクト毎に与えられた条件により変化します。

馬場氏「他の建築家に比べ多くの手法を使われているが?」

伊東氏「東京のような都市空間では相対的に作られているようですが、ひとつひとつの建築はそれぞれ安定しています。それによりカオスが生じています。不安定な都市空間を安定した建築空間へ生かしていく『新しい秩序』を作り出せるか。実験的で試行錯誤的に進行しています。

その後、会場から質問の受付。こちらの方がよほど面白かったです。


トーレス・ポルタ・フィラ(スペイン・バルセロナ)2010

講演会、トーク、そして質疑応答を通し一貫して伊東氏の謙虚な姿勢が伺えました。

質問者その1
「台中オペラハウスを見ていると有機的ではあるが、幾何学的にも見えますが?」

床面積を測ることをひとつ取っても現実の前提法規に合わないものを作っています。それを揺るがしていくことが大切だと思います。

台中オペラハウスについて、それが建築かと問われれば、自分でも分かりません。果たして社会に受け入れられるかという疑問を持つつやってます。

強引にやっているようですが、自分の中ではひとつひとつステップを重ねているつもりです。それなりに慎重派のつもりです(笑)もう年ですしね。

質問者その2
「コスト面について教えて下さい」

かなりちゃんとやってますよ(笑)ここにいらしている多くのゼネコンの人には嬉しくないかもしれなけど。職人さんレベルで『この仕事は俺がやる!』という人が沢山います。喜々としてやってくれます。これがもしアメリカならコストは10倍になるでしょう。

施工精度にそんなにこだわらないタイプなんです。あまり無茶苦茶なことはしていませんよ(笑)

質問者その3
「素材、モノに対するお考えお聞かせ下さい」

新しい素材に対する期待はあまりありません。人間の身体との関係を考えると今のままでいいかなと思います。それよりも、コンクリートやスチールで『こんなに可能性があるのか!』といった空間を作り得ると思います。


建築部門 Architecture
伊東 豊雄 Ito Toyo
1941年6月1日、京城(現ソウル)生まれ

 伊東豊雄は、革新的な概念を生み出しながら、変わり続ける建築家である。東京大学建築学科在学中のアルバイト先だった菊竹清訓建築事務所に就職。4年後に独立開業し、住宅設計を中心に手がける。自邸の『シルバーハット』で日本建築学会賞。「建築を軽く」という、それまでになかった方法論で注目を集め、商業施設や公共建築にも活躍の場を広げた。2001年にオープンした複合施設『せんだいメディアテーク』が絶賛されて“時代の寵児”となり、柔軟な発想と実行力で建築界を牽引している。『TOD’S表参道ビル』(2004)のように斬新な建築様式に挑んだかと思えば、『座・高円寺』(2008)のように、デザイン性の強い、楽しさや明るさを打ち出した作品も手がける。最近は、台湾、スペインなど海外プロジェクトが8割を占める。建築と自然、環境との関係を重視する作品は、国際的に注目されている。

1941:京城(現ソウル)生まれ
1965:東京大学工学部建築学科卒業
1965-69:菊竹清訓建築設計事務所勤務
1971:自身の事務所アーバンロボットを設立
1979:伊東豊雄建築設計事務所に改称
1986:日本建築学会賞作品賞『シルバーハット』(1984、東京)
1999:日本芸術院賞『大館樹海ドーム』(1997、秋田)
2000:国際建築アカデミー・アカデミシアン賞、アメリカ芸術文化アカデミー アーノルド・W・ブルーナー賞
2001:『せんだいメディアテーク』(仙台)
2002:ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞(生涯業績)受賞
2003:日本建築学会賞作品賞『せんだいメディアテーク』
2004:『TOD’S表参道ビル』(東京)
2005:『福岡アイランドシティ中央公園中核施設ぐりんぐりん』
2006:王立英国建築家協会(RIBA)ゴールドメダル
2007:『多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)』(東京)
2008:『座・高円寺』(東京)
2009:『スイーツアベニュー・アパートメント・ファサードリノベーション』(スペイン・バルセロナ)、『2009高雄ワールドゲームズメインスタジアム』(台湾)
2010:バルセロナ国際見本市会場のツインタワー『トーレス・ポルタ・フィラ』
(ホテル棟2010、オフィス棟2009)

【関連エントリー】
- 「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」展
- 「伊東豊雄 建築|新しいリアル展」 | 弐代目・青い日記帳
- 伊東さんは「てりむくり」 | 弐代目・青い日記帳

- 世界文化賞受賞記念講演会「谷口吉生建築を語る」
-「フライ・オットー建築を語る」

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 @taktwi

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JUGEMテーマ:アート・デザイン


伊東 豊雄
ADAエディタトーキョー
(2010-06-25)

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「伊東豊雄建築を語る」に行ってきました! | とんとん・にっき | 2010/10/18 7:34 AM