青い日記帳 

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「崔在銀 展―アショカの森―」

原美術館で開催中の
「崔在銀 展―アショカの森―」に行って来ました。



ソウル生れの女性アーティスト崔在銀(チェ ジェウン)氏の展覧会が、原美術館で開催されています。チラシ裏には「崔は館内に “森”を誕生させます。」と謳われています。これは楽しみ。

1979年誕生の原美術館は、東博本館等を設計した渡辺仁氏の手により1938年に建造された個人の邸宅をほぼそのまま利用した美術館。

「東京で一番好きな美術館はどこですか?」と『カーサブルータス』がTwitterでアンケート行いどうどうの1位に輝いたのがこの原美術館です。

そんな人気スポットでもある原美術館には特別展用のギャラリーは全部で5つ(これに加えサンルームも)果たして「森を誕生させる」とは一体どんな展示となっているのでしょう?

2006年の「オラファー エリアソン 影の光展」では館内に「美」という名の滝を現出させたこともある美術館さんです。何かやってくれるに違いありません。


崔在銀「夢想家の散策」インスタレーション 2010年
撮影:武藤滋生

注:展示室の画像は主催者より頂戴し許可を得て掲載しています。

期待に胸ふくらませ、入口を一歩入ると受付カウンター奥にあるギャラリー1から明らかにはみ出した作品「アショカの森」が目に飛び込んで来ます。思わずチケットを買い求めるのを忘れそのまま深いアショカの森へ分け入ってしまいたくなるような感覚におそわれます。

ダチョウ倶楽部の「つかみはok!」とは違い、原美術館の最初の展示室での「掴み」は、毎度のことながらかなり強力なものがあります。

ギャラリー1の強烈な展示に目も心も奪われてしまい、エントランスにあったインスタレーション「夢想家の散策」に全く気が付きませんでした。(帰り際にやっと…)

本当はこれ最初にしっかり目にしておくこと大事です。木靴を履いた作家を暗喩しているかのようなこの作品。半歩展示室へ踏み出しています。「さぁ、私がご案内しましょう」と言わんばかりに。


崔在銀「Forever and a Day」ビデオインスタレーション 2010年
撮影:夏海光造/編集:堀進太郎/音楽:高田みどり/
サウンドエンジニア:山田正弘
撮影:武藤滋生

最も広いギャラリー2には横一列に巨大なスクリーンが肩を並べています。壁は真っ黒本来窓がある部屋ですが外光はシャットアウト。急に暗くて深い森へ迷い込んだかのようです。

ビデオインスタレーション作品ではありますが、映像が激しく変化せず、ともすれば静止画像を見せられているのでは?と思ってしまうほど、ゆったりゆったりと変化して行きます。

時計の針とにらめっこしながら忙しく生活している現代人には「Forever and a Day」というタイトルさえアイロニカルに響いてきます。

そうそう、この森、日本人なら誰しもが知る場所を撮影したものだそうです。

ネイチャーセンス展」での栗林隆氏が作り出した虫の視線で見る森。空間を実体験出来る栗林氏の森に対し、原美術館内に崔在銀氏が登場させた森は、森の時間を感じ取ること出来ます。都会に居ながらにして。但し急いた心では無理。ゆったりそれこそ時間をかけなくてはなりません。

たっぷりギャラリー2で時間を費やし森を満喫した後は、お隣のサンルームへ。もしかしてここが一番の見どころかもしれません。ただし、ここも忙しない人にとっては、ものの5秒で観終えてしまうでしょう。

もう一つの月」と題された小さな作品。腰を屈め許されるなら体育座りでもしてずーと眺めていたい作品。つくばいに映し出される月の移ろいたるや、日本人の琴線に触れること間違いなし。


崔在銀「幻想の裏面」カラー写真 2010年
撮影:武藤滋生

ギャラリー5展示風景

1953年に韓国、ソウルで生れたチェ ジェウン氏は、1976年から来日し勅使河原宏氏に師事し草月流生け花を習った経験があるそうです。

草月流で学んだ自然に対する思潮や洞察力に加え女性ならではの繊細で陰影のある優しい表現。自然に背を向けエッジの利いた派手な作品が多い現代日本の作家といやが上にも比較してしまいます。

自分がすっかり忘れ失ってしまった感性を「他者」から物柔らかなプレゼンにより、取り戻すこと出来るかもしれません。そのプレゼントこそ崔が原美術館館内に誕生させた “森”に他なりません。

表情の違う作品を5つのギャラリー(サンルームに踊り場も)で巡る物語性の高い展覧会とも言えます。作品同士の関連性が非常によく考えられているな〜と。そしてストーリーを盛り上げる舞台としての展示室の作り込みが、決して派手ではありませんが、綿密に練られています。

「崔在銀 展―アショカの森―」は12月26日までです。

それでは最後に「今日の美味」&「今日の一点


原美術館カフェ ダールの「イメージケーキ

「イメージケーキ」は展覧会毎に新しいものが誕生します。展覧会に合わせシェフがゼロから作り始めるそうです。今回の「崔在銀 展―アショカの森―」では胡桃とバナナのケーキ。

形がとっても変っていますが、この作品を観れば納得ですよね。


崔在銀「アショカの森」インスタレーション 2010年
サウンドエンジニア: 山田正弘
撮影:武藤滋生

これがギャラリー1の例の作品です!
そうそう窓の外に見える木にも注目です。この展示の為にわざわざ新しく植えた木(柑橘系)も含めての作品ですからね!お見逃しなく。

また今回のギャラリー1は階段踊り場にある普段は閉めてある秘密のスペースからも俯瞰可能。崔在銀氏の日本の美術館では初の展覧会です。「原美術館の森」へイザ!!


「崔在銀 展 ―アショカの森―」
Jae-Eun Choi―Forests of Aśoka

9月11日(土)〜12月26日(日)

原美術館
所在地:東京都品川区北品川4-7-25
開館時間:11時〜17時(祝日を除く水曜日は20時まで)
入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)

http://www.haramuseum.or.jp/
http://mobile.haramuseum.or.jp/

・品川駅と原美術館を結ぶ無料ミニシャトルバス「ブルンバッ!」を毎週日曜運行。
[協賛:ブルームバーグL.P./アーティスト:鈴木康広]

・講演会/中村桂子(JT生命誌研究館館長)「樹が教えてくれること-時間と関係」10
月31日(日)14:30-15:30(崔在銀展関連イベント)

・「VIVA Festival」11月13日(土)、14日(日)14:00- 16カ国のアーティストの
ヴィデオアート作品34本を2日間連続上映


原美術館Twitter
http://twitter.com/haramuseum

ちょっと足を伸ばして伊香保まで。
ハラ ミュージアム アーク(Hara Museum ARC)


「秋のいろどり」
ハラミュージアムアーク特別展示室 觀海庵
会期延長!11月23日まで。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2295

JUGEMテーマ:アート・デザイン


原美術館では、ソウル生まれの女性アーティスト、崔在銀(チェ ジェウン)の、日本の美術館における初個展を開催いたします。
崔が本展で展開するのは、“森”。「アショカ王の5本の樹の森」という故事に想を得て、立体、写真、映像作品などで構成する新作のインスタレーションです。アショカ王は、仏教を守護したことで知られる古代インドの皇帝ですが、彼は、国民ひとりひとりが、5本の樹を植え、それを“森”として見守ることを提唱したと言われています。5本の樹とは、薬効のある樹、果実のなる樹、燃料になる樹、家を建てる樹、そして花を咲かせる樹。

−ここでの<樹>のイメージは時間を横切る存在であり、永遠に向かって手を差し延べながらも衆生に限りない安らぎを施す深淵から湧き立つような慈悲の存在でもある。
これは古代から今日に至るまで変わらない人間と樹との関係であり、もう一方ではその永遠たる長さにより、かえって世の中のすべてが時間の変化を通して変わっていく姿を見せてくれていることでもある。
ボルヘスは、「人間のあらゆる精神的な体験は時間の体験に還元される」と言っている。<樹>はまさにそのような精神的な媒介者なのである。
(作家によるコンセプトノートより)

森が内包する大いなる生命の流れと、樹と人間との悠久の交感に思いを巡らせながら、崔は館内に “森”を誕生させます。

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この記事に対するコメント

いつも面白いコラム楽しみにしています。
もしよろしければ『東京ベクトル』『彫刻家金城実の世界』『沖縄1999−2010』豊里友行写真集を贈呈したいのですが下記までメールしていただけると助かります。


toyozato-tomoyuki@hotmail.co.jp

豊里友行 | 2010/10/29 4:17 PM
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