青い日記帳 

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「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」

国立西洋美術館で開催中の
「アルブレヒト・デューラー版画・素描展 宗教/肖像/自然」に行って来ました。



2009年に開催された「かたちは、うつる―国立西洋美術館所蔵版画展」でデューラーの「メレンコリア」に心奪われ迷わず図録買ってしまったあの日から約1年。また出逢える日がこうして訪れようとは。


アルブレヒト・デューラー「メレンコリア」1514年 エングレーヴィング
23.9×18.9cm 国立西洋美術館

しかも今回はその「メレンコリア」をはじめとする西洋美術館所蔵のデューラー版画から名品49点を選りすぐり一堂に展示。どっぷりとモノクロームの精緻な世界へ浸れます。浮世の喧騒を忘れ。

ただし、目玉は他にあります。西洋美術館のデューラー作品に加え、オーストラリア、メルボルン国立ヴィクトリア美術館からの105点の版画・素描、ベルリン国立版画素描館から3点の素描作品が特別展示室を埋め尽くしています。



タイトルに示されている通り、セクションは3つ。

第1章:宗教
第2章:肖像
第3章:自然


潔いほどさっぱりしたセクション割。

展覧会ではこれらの主題がデューラー作品においてどのように視覚化されているかを見て行くことで、デューラー芸術の本質に迫ろうとする意図があるそうです。(佐藤直樹氏談)


アルブレヒト・デューラー「受胎告知」1503年頃 ペン、褐色インク、水彩
31.2×20.4cm ベルリン国立版画素描館
©bpk/ Kupferstichkabinett,SMB/ Jörg P. Anders

多分、これ一枚観に行くだけでも価値あるはず。

セクション1:このセクションでは、デューラーが制作した宗教主題の作品を概観します。なかでも「受難伝」はデューラーが時間をかけて制作した違作です。デューラーは同時進行で、木版画による「大受難伝」「小受難伝」そしてエングレーヴィングによる「銅版受難伝」という三種類の受難伝連作を制作しました。キリストの生涯を手元で図像でたどることのできる版画連作は、各国で販売され、デューラーの名が広く知られるようになりました。


アルブレヒト・デューラー「ウルリヒ・ファルンビューラー」1522年(1620年頃印刷)
キアロスクーロ 43.7×33.0cm
メルボルン国立ヴィクトリア美術館
©National Gallery of Victoria, Felton Bequest, 1956

セクション2:デューラーは、当時の有名人の姿を後世に伝えることも芸術の重要な役割だと認識していました。また、当時の農民や傭兵たちの風俗を記録した小型の版画も多数制作されています。道徳的な教訓が暗示されているものや、当時の謝肉祭劇に取材したもの、あるいは純粋に風俗版画として楽しめるものなどです。


アルブレヒト・デューラー「聖家族」1492/93年 ペン、褐色インク
29.0×21.4cm ベルリン国立版画素描館
©bpk/ Kupferstichkabinett,SMB/ Jörg P. Anders

セクション3:デューラーは非常に多くの素描を残しています。風景素描を初め、動物や植物などの自然研究にも熱心でした。デューラーがこうして写実描写の技を磨いたのには、聖母子や受難伝などの宗教場面を表現するのに、現実的な舞台設定が鑑賞者に強い説得力を与えると確信していたからです。実際、人文主義者たちからインスピレーションを得た古代神話やルネサンス的な新しい主題も、写実的な舞台背景に表されているからこそ、強いメッセージを発するものとなっています。このセクションでは、自然描写が精綴に衰現されたデューラー版画芸術の完成度の高さに驚くことでしょう。なかでも「三大銅版画」として世に名高い、西洋版画の金字塔であるエングレーヴィング三点も一堂にご覧いただけます。

1972年に国立西洋美術館で『デューラーとドイツ・ルネッサンス』展を開催して以来となる今回の「デューラー展」にはとんでもない大きさの作品も!



木版49枚を合わせてこしらえた持ち運び可能な凱旋門!その大きさ3m四方(341.0×294.1cm)《マクシミリアン1世の凱旋門》1515-17年(1559年印刷)

「な〜んだ、版画展か、パス!」と思っていた方、展覧会は行ってみないと分かりません。そして足を運んでみるとこんな大物に出逢えることしばしば。
三つの門には皇帝の生涯を記念する重要な出来事やハブスブルク家の系図、親戚の胸像などが表され、凱旋門の最上部クーポラ部には、当時理解されていたエジブト象形文字に囲まれるマクシミリアンの神格化された肖像が掲げられています。


アルブレヒト・デューラー「マクシミリアン1世の凱旋門」1515-17年(1559年印刷)
木版(49枚)341.0×294.1cm
メルボルン国立ヴィクトリア美術館
©National Gallery of Victoria, Felton Bequest, 1956

精緻な版画、意外とラフな筆致の素描。単眼鏡片手に一枚一枚観ているとアッと言う間に時間が過ぎてしまいます。肩も凝ります。展覧会の中間にこの巨大な作品が鎮座。「マクシミリアン1世の凱旋門」だけは双眼鏡が必要かと。

「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」は2011年1月16日までです。

国立西洋美術館の本気が垣間見られる上質な展覧会です。是非!

[関連企画]
「黙示録―デューラー/ルドン」展
デューラーの版画「黙示録」連作(1498年)に焦点を当て、その革新性と後世への影響をたどる展覧会です。
会期:2010年10月23日(土)−12月5日(日)
会場:東京藝術大学大学美術館展示室2(東京・上野公園)



[関連シンポジウム]
「デューラー受容史500年」
日時:2010年11月13日(土)10:00−18:00
会場:明治学院大学白金校舎
主催:明治学院大学、国立西洋美術館
協力:ドイツ語圏美術史研究連絡網
お問い合わせ:明治学院大学文学部芸術学科共同研究室 03-5421-5380
※一般聴講可。事前申し込み不要。無料で聴講いただけます。

[関連講演会]
2010年11月14日(日)14:00〜15:30
勝國興(同志社大学名誉教授)
「デューラー研究家 前川誠郎」
2010年11月28日(日)14:00〜15:30
越宏一(東京藝術大学名誉教授)
「デューラーの版画芸術―様式的展開」
2010年12月12日(日)14:00〜15:30
青山愛香(獨協大学准教授)
「デューラーの遍歴時代」
2011年1月9日(日)14:00〜15:30
秋山聰(東京大学准教授)
「デューラーにおける名声のメカニズム」


この展覧会の図録(カタログ)には木版49枚から成る「マクシミリアン1世の凱旋門」のA3額絵がおまけとして付いてきます。(額絵のみの販売は無し)



超充実の中身。bunkamuraの「ブリューゲル版画展」の図録も大変中身が濃くお買い得感ありましたが、こちらもそれに匹敵する一冊。佐藤直樹氏、新藤淳氏、秋山聡氏この三人による版画をも凌駕するような詳細なテキストには畏れ入りました。



アルブレヒト・デューラー版画・素描展 宗教/肖像/自然
会期:2010年10月26日(火)〜2011年1月16日(日)
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分〜午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(*ただし、2011年1月3日・10日は開館、12月28日(火)〜2011年1月1日(土)、1月4日(火)・11日(火)は休館)
※2011年は1月2日(日)から開館します。
主催:国立西洋美術館、朝日新聞社、メルボルン国立ヴィクトリア美術館
後援:オーストラリア大使館、ドイツ連邦共和国大使館
観覧料金:一般850円(600円)、大学生450円(250円)
※ ( )内は20名以上の団体料金
※ 高校生以下および18歳未満の方は無料
問い合せ先番号(ハローダイヤル:03-5777-8600)


注:会場内の写真は内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

この記事のURL
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アルブレヒト・デューラー(1471-1528)は、画家を志す若者たちのための芸術理論書「絵画論」の草稿で、美術に最も重要なのは「宗教・肖像・自然」であると述べました。本展覧会は、これらの主題が実際の制作でどのように視覚化されたかを見ることで、デューラーの芸術哲学に迫ろうというものです。デューラーはドイツ・ルネサンスを代表する画家ではありますが、それ以上に版画家として重要な役割を果たしました。当時、印刷術とともに発展していた版画芸術で、彼は極めて先進的な作品を遺しています。
本展は、オーストラリア、メルボルン国立ヴィクトリア美術館からの105点を中心に、国立西洋美術館の版画49点、さらにベルリン国立版画素描館からの3点の素描を加えた計157点からなります。今回、日本で初めて公開されるメルボルンのコレクションは、19世紀末に英国人バーロウ卿が収集した質の高いものとして知られています。この機会に、デューラーによる線描の芸術をご鑑賞ください。

展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

凱旋門と凱旋車に驚いてきました。マキシミリアン一世は版画というメディアを利用してたのですね。
現在の政治家がblogやtwitterを利用するように・・・。
とら | 2010/11/08 5:45 PM
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