青い日記帳 

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割り切り「リュート」


ヨハネス・フェルメール
窓辺でリュートを弾く女」(「リュートを調弦する女」)
Woman with a Lute near a Window
NYメトロポリタン美術館所蔵。

ドイツ・フランクフルトにあるシュテーデル美術館で開催中の展覧会
Senses and Sins
(Dutch Painters of Daily Life in the Seventeenth Century)
で鑑賞したこの絵のレポートです。嬉しい


この絵のコンディションが好かったなら。もしくは並程度であったなら。もっと、もっと注目される作品となっていたことは想像に難くありません。観るたびに同じような感想をまず持ちます。それくらいくの絵の状態は芳しくありません。

 初めて観た時のまず最初の印象からして「状態が悪い」でした。くどいようですが、それがこの絵の唯一で最大の欠陥・欠点として重く十字架のごとくこの作品につきまといます。メトロポリタンでも、大阪でも、そしてドイツでも。

 光の表現を真骨頂とするフェルメールの作品において、致命的ともいえるマイナス要素となってしまいます。画中に描かれた女性がまるで「もっと光をちょうだい!」と光を求めるかのように窓の方向(左方向)へ身を乗り出している姿がけな気でもあり、哀れでもあります。

 「心なき身にもあはれは知られけり
             鴫立つ沢の秋の夕暮れ」

西行法師の歌にある「あはれ」=「しみじみとした感情」を異国の地で思い浮かばせてしまう作品です。

 黄色いアーミン柄の“いつもの服”を着ていますが、他の作品に描かれた同じ服の色調に比べ鮮やかさに欠けています。例えばこちら
 女性の顔から右肩にかけて光があたっているのは、このコンディションからもとてもよく見て取ることができるのですが、この絵が描かれた当時はもっと、もっと明るく、暗部とのコントラストも見事だったはずです。

 同じく画面右下に置かれた椅子。「地理学者」にも同じものが、同じ位置に描かれていますが、較べて見ると(今回比べて見ろといわんばかりに並べて展示してありました。残酷)まるで別物のように見えます。

 光があたっている表現
 光があたっていない表現
こうはっきりと割り切って見るのが、得策なのかもしれません。

 「割り切って見る」この作品を鑑賞するにあたっての、うまいやり方がそれなのだと、今回初めて気が付きました。

 コンディションが悪いのをいくら嘆いてみても、元通りになるわけでもなく、否定的、悲観的に観ても得られる感想は貧しいものになってしまいます。

 それならいっそうのこと「割り切って見る」
すると、自分の目の前にかかっていた覆いも自然と取り除かれ、視界もクリアになります。
今まで気が付かなかった、真珠のイヤリングの大きさや、机の脚の不思議な点など、色々と新たな発見がありました。

マイナス点ばかり嘆いていても、何も新しい発見がありません。
せっかく、本物の作品と対面しているのですから、他の作品と比較するのではなく、コンデションの悪いのを悲しむのではなく、前向きに観てこそ良さが発見できるのだと思いました。

Senses And Sins: Dutch Painters Of Daily Life In The Seventeenth Century
Senses And Sins: Dutch Painters Of Daily Life In The Seventeenth Century
フェルメール | permalink | comments(8) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

そんなに状態が悪いとは初めて知りました。
修復は難しいのですかね…?

レオナルドダビンチの最後の晩餐はそれはもう見るも無残でしたが修復したようですよね。そういう訳にはいかないのでしょうか?(ごめんなさい。よくわからないで書いてます。)

週末にベルリンとアールデコをはしごして見る予定です。Takさんお勧めの美術展なのでとっても楽しみです。こちらのブログでしっかり予習してから行きますね。
mizuiro | 2005/04/26 10:33 PM
@mizuiroさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

詳しくは専門家ではないので
分からないのですが、痛んでいることは確かです。

修復するとなると今とは全く違った
雰囲気の作品になってしまうので
賛否あるかと思います。

>週末にベルリンとアールデコをはしごして見る予定です。
この二つをじっくり観るだけでかなり満足かと思います。
プラス、博物館の本館や法隆寺館をご覧になれば
お腹いっぱいになるはずです。

ステーション・ギャラリーも悪くないですよ。
Tak管理人 | 2005/04/26 11:13 PM
Tak様
こんばんは。
ここ数日PCの調子が悪くてコメントを書き込むことができませんでした。(この記事は携帯から読みました)
「窓辺でリュートを弾く女」たしかに状態はよくないですね。
でもどことなくソフトフォーカスが入ったようなやわらかさを私は感じます。
じわじわとにじみでるような光を感じるのです。
千露  | 2005/04/27 10:02 PM
@千露さん
こんばんは。

携帯からご覧いただけたなんて!感激!!
頑張って描いている甲斐があります。

この絵の悪い点ばかり見ていたのですが
今回目が覚めました!
好きになりました!!
これからは応援にまわります。
Tak管理人 | 2005/04/27 10:22 PM
Takさん、私もシュテーデルでフェルメール5枚見てきましたよ!ギリギリセーフでした。
自分自身意外だったのですが、5枚の中でこの「窓辺でリュートを弾く女」が一番美しいと感じました。
記事TBさせていただきます。
フンメル | 2005/05/07 6:32 PM
@フンメルさん
こんばんは。
コメント&TBありがとうございました。

シュテーデルギリギリでしたね!
でも行かれて満足されたのでは?
「窓辺〜」は良い作品ですよ。
私も好きです。

後ほどうかがいます!!
Tak管理人 | 2005/05/08 12:02 AM
N.Y.でフェルメールを何点か見ることができましたので、フェルメールは、まだまだ素人ですが、TBさせていただきました。
ak96 | 2005/09/30 6:36 AM
@ak96さん
こんばんは。

TBありがとうございます。
フェルメールに関する記事のTBは
ことのほか嬉しく感じます。
自分の狭い見方が他の方の記事を参考にすることにより
広がるような気がします。
Tak管理人 | 2005/09/30 10:31 PM
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