青い日記帳 

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2010年 展覧会ベスト10

寅年もあと3日。
バタバタと慌ただしい年の瀬です。

一年の締めくくりとして、例年恒例の今年拝見した展覧会のベスト10を発表させて頂きます。毎年毎年素人の分際で恐縮ではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。



今年は公私共に何かと忙しく例年に比べ足を運べた展覧会少なくなってしまいました。また拝見したにも関わらず、記事としてブログにまとめることが出来なかった展覧会も多くあります(特に10月以降)

三井記念美術館の「円山応挙展」やサントリー美術館の「その名は蔦屋重三郎」展等など。とにかく展覧会鑑賞&ブログ更新に関しては反省しきりの一年です。

「ベスト10」と称し、順位を付けてはいますが、ここにあげたベスト10以外の展覧会も含めいずれも素晴らしく、甲乙つけ難いものが多くかなり悩みました。それでも毎年恒例の縁起もの。これやらないと年を越せないので僭越ながら発表させて頂きます。

王冠22010年 私が観た展覧会ベスト10王冠2

1位「長谷川潾二郎展」(長谷川りん二郎展)

平塚市美術館:2010年4月17日(土)〜6月13日(日)

熱海MOA美術館に「又兵衛絵巻と北斎・広重風景版画の名作」展を観に行った帰りに、時間があったので平塚で途中下車し何の期待もせずに拝見。午前中に見た極彩色の又兵衛が霞んでしまうほど、一種独特で奇異な、これまで観たことも触れたこともない世界観で描かれた長谷川りん二郎の作品。一枚一枚拝見して行くうちにじわじわとボディーブローのように効いてくる「痛み」「疼き」。このまま現世に戻れなくなってしまうのではないかと思わせる程。安部公房の小説の世界観に近いものが。「はせがわりんじろ」という作家の名前、忘れることなし。また観たいけど…3年後くらいでいいかな。まだ心の中ザラザラしているので。

2位「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎

川村記念美術館:2010年4月10日(土)〜7月19日(月・祝)

川村記念美術館が所蔵する16点のコーネル作品が小箱ならぬ小部屋に瀟洒な雰囲気と共にえもいわれぬバランスで配置された空間はまさに宝箱のようだった。それに加えコーネル芸術を深く敬愛する高橋睦郎の奏でる詩が見事に調和し更にプレミア感溢れるここでしか味わえない独特で贅沢な空間に仕立てられていた。高橋氏と親交の深い半澤潤氏が会場デザインを手掛けたこともそれに一役買っていた。フランス綴じ、テキスト活版印刷の特製図録が会期中に売り切れてしまったのは必然の結果。昨年の「マーク・ロスコ展」同様、川村記念美術館でしか成立し得ない展覧会。同時期に国立西洋美術館の「カポディモンテ美術館展」にコーネルが恋したパルミジャニーノ「貴婦人の肖像(アンテア)」が来ていたという誂えたような邂逅もあった。

3位「オルセー美術館展 2010

国立新美術館:2010年5月26日(水)〜8月16日(月)

印象派イヤーの今年、最も盛り上がった展覧会であり、自分自身もわくわくさせてもらった展覧会。生来お祭り好きなのでこうした派手なイベント的な盛り上がりは大好き!ブログ記事も最も多く書いたのが「オルセー美術館展」だった(以下関連記事参照)。本場パリ・オルセー美術館へ行けばいいじゃないかと仰る方もいらっしゃいますが、あそこの印象派〜ポスト印象派が展示されている空間本当に観難く行っただけでげんなりしてしまいます。国立新美術館の広々とした空間で拝見出来たのは幸運なことでした。都合5回は通ったかな、この展覧会。「ポスト印象派」に焦点を絞っていたのも良。大好きなセザンヌやナビ派誕生の記念碑的な作品である、ポール・セリュジエ「護符(タリスマン)、愛の森を流れるアヴェン川」がじっくり堪能出来たし。今年の猛暑に打ち勝った唯一の展覧会。

【関連記事】
速報「オルセー美術館展 2010」
「オルセー美術館展 2010
「オルセー美術館展2010」×「美人時計」
「オルセー美術館展 2010−ポスト印象派」開催!!
「オルセー美術館展」iPhoneジャケット
パリ・オルセー美術館

4位「マネとモダン・パリ

三菱一号館美術館:2010年4月6日(火)〜7月25日(日)

三菱一号館美術館の記念すべきオープニング展に相応しい内容の展覧会。マネが冠になっていますが、実は「都市化」が影の大きく重要なテーマでもありました。近代化のお題目の下、変りゆくパリの街並みを捉えた写真と共にマネの作品が展示してあった点などひとつとってみても、この展覧会を我が子のように大事に作り上げた担当者の心意気が伝わって来ました。明治期にコンドルの設計により建てられた三菱一号館を当時のままの姿で復元したといった話題性ばかり先行してしまい、肝心の展覧会の内容についてはあまり語られていなかったのが残念。特にmixiの美術館・博物館コミュでは残念な意見が多くmixiから遠ざかる要因ともなりました。

『美術史家に聞く』第三回:高橋明也先生(前篇)
『美術史家に聞く』第三回:高橋明也先生(後篇)

5位「諸国畸人伝

板橋区立美術館:2010年9月4日(土)〜10月11日(月・祝)

板橋区立美術館がまたやってくれた!と思わず小躍りしてしまった展覧会。江戸絵画ブームの中、伊藤若冲だけが大きくクローズアップされていますが、彼を上回る「畸人絵師」がまだまだこんなにもいたのかと。チラシに自ら「絵師10人、驚愕の不協和音。」と銘打つだけのことあり。まさにごった煮状態。夢に出て来そうな、一度見たら絶対に忘れられない超個性派揃いの展覧会でした。そうそう、中村芳中が好きなんです。彼の展覧会開催してくれないでしょうか。

6位「ブリューゲル版画の世界

Bunkamuraザ・ミュージアム:2010年7月17日(土)−8月29日(日) 

見慣れている観ありますが、日本では約20年ぶりの開催となったピーテル・ブリューゲル(1525/30−1569)の版画展。展覧会の監修者であり、明治大学名誉教授の森洋子先生のライフワークの集大成のような完成度の高い展覧会でした。ヒエロニムス・ボスが描いた怪物たちを想起させる「七つの罪源シリーズ」(傲慢、激怒、怠惰、貪欲、大食、嫉妬、邪淫)や「七つの徳目シリーズ」(信仰、希望、愛徳、正義、剛毅、賢明、節制)を中心にバラエティーに富んだブリューゲルの版画の世界がBunkamuraの展示スペース一杯に展開されました。図録の出来も非常に良く、コーネル展除けばこれが今年のナンバー1図録でしょう。

【関連記事】
「ブリューゲル版画の世界展」七つの罪源ポストカード
「ブリューゲル版画の世界」開催記念特別講演会&フィギュア

7位「セーヌの流れに沿って

ブリヂストン美術館:2010年10月30日(土)〜2010年12月23日(木)

海外のコレクションに頼ることなく、日本国内にある作品だけで作り上げられた展覧会。約130点にも及ぶ展示作品全てが国内にある作品とは思えないほどの充実ぶり。何よりも企画・構成が素晴らしいからこそ。「セーヌ川」を描いたのは何も印象派の画家だけではなく、日本人画家も山ほどいたこと、そしてそれぞれが関連し合っていること等など。テーマを絞ったことによって見えてくるものが多かった展覧会。学芸員さんと美術館の地道な努力の結晶。

尚、東京展は終了してしまいましたが、ひろしま美術館にて来年開催されます(2011年1月3日〜2月27日)

8位「南宋の青磁

根津美術館:2010年10月9日(土)〜11月14日(日)

新創オープンした根津美術館初の特別展。「南宋の青磁 宙(そら)をうつすうつわ」地上には存在しない色調で身をまとった焼き物たちの共演。(もしかしたら「饗宴」の文字の方がぴったりくるかも。)遠く中国浙江省で13世紀に作られた青磁、女性的な美しさで室町時代の日本人を虜にした「砧青磁」が一堂に会した展覧会。焼き物の知識ゼロの自分でもその目の前に広がる得も言われぬ美しい色合いの青磁たちを前にし、涙流しそうになったほど美しかった。 明眸皓歯。超贅沢な展覧会でした。

インタビュー:根津美術館ミュージアムショップ

9位「伊藤若冲 アナザーワールド

千葉市美術館:2010年5月22日(土) 〜 6月27日(日)

若冲とフェルメールはどうしても譲ることがまだまだ出来そうにありません。とりわけこの展覧会は「白黒若冲」をこれでもか〜と集め贅沢に展示公開。動植綵絵も良いけど、墨絵の若冲の魅力また別の魅力があります。その自由闊達さに憧れたりもします。「象と鯨図屏風」を初めて実見した展覧会でもありました。

「伊藤若冲 アナザーワールド」(後期)
辻惟雄氏講演会「伊藤若冲の魅力」

10位「バルビゾンからの贈りもの

府中市美術館:2010年9月17日(金)〜11月23日(火・祝日)

地方美術館のコレクションどのような目標を立てそれぞれ集めていらしゃるのでしょうか。府中市美術館は開館以来、武蔵野を描いた風景画に重点を置き積極的に蒐集して来たそうです。10年間の間に集めた武蔵野を描いた風景画展だけでもある意味立派なものですが、それに加え贅沢にもバルビゾン派の作品と並べて展示しようという試み。こうすることによって「繋がり」が見えてくるもの。地元に密着したコレクションと大風呂敷広げずバルビゾン派限定で構成された展覧会のまとまりの良さはピカイチでした。

次点:「大正イマジュリィの世界」渋谷区立松濤美術館

こちらの展覧会は2011年1月23日(日)まで開催しています。

※ギャラリーでの個展やイベント系の展覧会はランキングから除外しました。

以下、ベスト10入り惜しくもしなかったものの二重丸を付けた展覧会を列挙しておきます。いずれも甲乙付け難し!
「長谷川等伯展」
「村山槐多展」
「浮世絵の死角」
「奥村土牛展」
「ルーシー・リー展」
「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」
「ウィリアム・ケントリッジ展」
「レゾナンス 共鳴」
「鴻池コレクション扇絵名品展」
「横山裕一展」
「友永昭三の世界」
「鍋島展」(サントリー美術館)
「誕生!中国文明展」
「アール・ヌーヴォーのポスター展」
「香水瓶の世界」
「古賀春江の全貌」
「ネイチャーセンス」
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」

ご参考までに2004年〜2008年までのベスト10はこんな感じでした。
2004年 展覧会ベスト10
2005年 展覧会ベスト10
2006年 展覧会ベスト10
2007年 展覧会ベスト10
2008年 展覧会ベスト10

2009年 展覧会ベスト10

TBやリンクは各記事同様大歓迎です。
ブログをお持ちの方、ベスト10でなくとも今年ご覧になった展覧会で印象に残っているものでも何でも結構です。記事書かれたら是非TB送って下さい。

こちらの記事もあわせてどうぞ。
プロが選ぶ「2010年 ベスト展覧会」
かみさんが選ぶ「2010年 展覧会ベスト10」

例年以上に、美術館・博物館関係者、主催者、その他もろもろ、多くの方に大変お世話になった一年でした。素人個人ブロガーとして身に余る光栄。来年も少しでもお役に立てれば「展覧会好き」として嬉しい限りです。

展覧会の記事は少な目でしたが、新機軸としてインタビュー記事を増やしたことは今年の大きな特徴のひとつです。こちらも聞き手である自分が如何せん素人故、上手く答え引き出せているかどうか不安ではありますが…

インタビュー:ミュージアムショップ「オルセー美術館展」
インタビュー:山種美術館ミュージアムショップ
インタビュー:根津美術館ミュージアムショップ
インタビュー:ブリヂストン美術館ミュージアムショップ
インタビュー:ARATAさん(特別展「隅田川」オリジナルグッズ)


ブリヂストン美術館カフェ「ジョルジェット」
山種美術館カフェ「椿」
根津美術館カフェ「NEZUCAFE」
原美術館「カフェ ダール」

インタビュー:音声ガイド(前篇)

美術館・博物館:入場フリーショップ、カフェ一覧


そして何よりも今年もまたまた「仲間」に支えられた一年でした。来年はどうなることやら…まぁのんびりと続けて行けたらと思っています。どうぞ来年も宜しくご愛顧のほどお願い申し上げます。

ブログにコメント書いて下さっている方には大変申し訳ないのですが、今年途中からお返事を書くのを止めました。ある一人の心無い人物によるコメントが、返事を書くモチベーションを大きく低下させたのが原因です。一人の愚者の所為で他のコメントを書いて下さる方にご迷惑をおかけするのは忍びないことであると痛感していますが…

直接質問等ある方はメールかTwitterでお願いします。

Twitterでブログに書けない細かな情報もつぶやいています。
@taktwi

尚、TBやリンクは他の各記事同様大歓迎です。また、Twitterでもあれこれつぶやいちゃって下さい。この記事のTwitter用短縮URL →http://bit.ly/f9pCpv 

ついでにフォローも!

ブログをお持ちの方、今年ご覧になった中で印象に残っている展覧会、まとめ記事書かれたらTB送って下さると嬉しいです。宜しくお願いします!

追記:@MorilynManroeさんが、「2010年に皆さんが観た美術、アート、それから...」をトゥギャってくれました。素晴らしい〜〜

http://togetter.com/li/84664

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2359

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この記事に対するコメント

毎年、展覧会を見た後につけている満足度でマイベストを順不同で決めていました。
今年はその満足度をふまえつつ、満足度が高いものだけじゃないベスト10を順位つきで決めてみました。

1位 09/24 「上村松園展」@東京国立近代美術館(〜10/17)
2位 03/20 「木田安彦の世界」展@汐留ミュージアム(〜3/22)
3位 05/08 「山本容子のワンダーランド」展@埼玉県近代美術館(〜5/16)
4位 10/24 「朝倉摂」展@BunkART StudioNYK全館(〜11/7)
5位 05/30 「星新一展」@世田谷文学館(〜6/27)
6位 11/23 「古賀春江の全貌」展@神奈川県立近代美術館・葉山(〜11/23)
7位 06/19 「ロトチェンコ+ステパーノワ」展@東京都庭園美術館(〜6/20)
8位 04/18 「歌川国芳」展@府中市美術館(〜5/9)
9位 12/23 「杉野宣雄展」@日本橋三越本店本館7階ギャラリー(〜12/26)
10位 01/31 「「エレメント」構造デザイナーセシル・バルモンドの世界」展@東京オペラシティーアートギャラリー(〜3/22)

あれも入れたい、これも入れたいと結構苦労するものですね。
ともみすと | 2010/12/30 1:18 AM
tak様
今年もおかげさまで毎朝楽しいひとときがすごせました。
ありがとうございました。
来年もお忙しいことと思いますが、楽しいブログを続けてください。よろしくお願いいたします。
どうぞ良いお年を!!
ヨッコ | 2010/12/30 7:22 AM
■はじめまして。
私は門外漢の人間ですが、友人に勧められて貴サイトを知り、ほぼ一年以上経ちました。
「リンク」に貼りまして、ひそかに、ほぼ毎日覗いております。
私のサイトは「短詩系」に特化した、ささやかなものです。
私は京都の田舎暮らしですので首都圏には行く機会も少なく、
このサイトで、せめてもの美術館めぐりと蒙を啓いてもらっています。
こういう地方にも愛読者が居ることをお知らせしたく一筆しました。
美術館カフェも行く機会があればコーヒーの一杯でも呑んでおりますが、この記事のカフェの紹介も面白く拝見いたしております。
では、お元気で無事ご越年されますよう。来年も、よろしく。
sohya | 2010/12/30 7:29 AM
私も青磁、好き。青が好きなもので。器の展覧会、いいですよね。ルーシー・リーも色使いやツルンとした形が素敵でした。
海 | 2010/12/30 8:27 PM
こんにちは
1位にあげられている展示は気になっていたけど観にいけなかったので、ちょっと悔いが残ります。
それにしても2010年も良い展覧会が多かったですね。こちらの記事にもだいぶお世話になりました。
これだけの人気ブログだと色々あるかと思いますが、応援しております。また来年もよろしくお願いします^^
21世紀のxxx者 | 2010/12/31 12:08 AM
こんにちは
コメントとTB有り難うございました。
私の美術館の訪問は,Takさんのそれと比べて,質,量ともにとても及ばないのに,有り難うございました。
美術館の訪問だけではなく,画像も含めてその成果を丹念にブログにまとめておられるところがすごいと感心いたします。
いつも美術館巡りの参考にさせていただいております。

今年はいろいろと有り難うございました。
来年も何とぞよろしくお願いいたします。
どうかよいお年をお迎え下さい。
フランツ | 2010/12/31 5:56 PM
こんばんは
りんじろーが筆頭にいるのを見て、「なぜわたしはすっとばしてしまったか」と大晦日にアタマかかえてます。
今年は、いえ、今年も本当にお世話になりました。
いい展覧会をいっぱい教わり、ありがたかったです。
ブリヂストン、NHK、それらの2011年度予定を見て、今からとても楽しみになってます。
遊行七恵 | 2010/12/31 9:15 PM
こんばんは。

今年は大変お世話になりました。

Takさんのブログは毎回読ませていただいています。
特に美術館の展示方法など見せる側についての記事が興味深く、とても参考になります。

レオナルド展ではお招きいただき、有難うございました。
お陰で珍しい体験をすることが出来、刺激になりました。

来年もTakさんの記事を楽しみにしています。
どうぞよいお年をお迎え下さい。
chariot | 2010/12/31 9:26 PM
あけましておめでとうございます。

昨年も、いろいろと楽しい&興味深い記事をたくさんありがとうございました。また、展覧会に限らず、ミュージアムグッズやイヤホンガイド、カフェなどの特集記事も、takさんならではだなあと楽しみました。

今年も一層のご活躍をお祈りしております。
かんべえ | 2011/01/01 8:48 PM
あけましておめでとうございます

あらためて昨年を振り返ると
Takさんから広がるアートの世界に
どっぷりつからせていただきました

今年もどうぞよろしくお願いいたします
えいぜと | 2011/01/05 4:34 AM
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