青い日記帳 

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「ギッター・コレクション展」

千葉市美術館で開催中の
「帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展」に行って来ました。



とある方から「今日は千葉市美術館へ河野元昭先生の講演会を聴きに伺います」とのメールを頂き、この展覧会まだ記事に書いていないこと判明。。。千葉市美術館さんゴメン。昨年行ったのに放っておいて。

アメリカ在住の日本美術(江戸絵画)コレクターというと、まずはジョー・プライス氏の名前が頭に思い浮かびます。2006年に東京国立博物館で開催されたプライスコレクション 「若冲と江戸絵画」展を拝見したのがつい最近のことのように思えます。

そのプライス氏同様、日本美術の美しさに魅了されたアメリカ、ニューオリンズ在住のカート・ギッター氏(とその奥様であるイエレン女史)のコレクションの中から江戸絵画を中心に構成された展覧会です。

展覧会はアメリカ人であるギッター氏の見た日本美術という視点から以下の6つのセクションにより構成されています。因みにギッター氏はレーザー治療を専門とする眼科医だそうです。(1963年から2年間ほど日本に滞在)

1:若冲と奇想の画家たち
2:琳派の多彩
3:白隠と禅の書画
4:自然との親しみ
5:理想の山水
6:楽しげな人生



クリックで拡大

伊藤若冲、曾我蕭白、円山応挙、長澤蘆雪、池大雅、俵屋宗達、渡辺始興、酒井抱一、鈴木其一、中村芳中、神坂雪佳、白隠、中原南天棒、呉春、椿椿山、与謝蕪村、谷文晁、浦上玉堂、山口素絢、祇園井特等など。

今では名を馳せる存在となった江戸時代の絵師がずらり作品リストに掲載されています。これだけの名前が勢ぞろいしていると何かこちらも身構えてしまいますが、そんな心配は杞憂でした。

会場全体に漂ういい意味でのゆるーい雰囲気。

それはきっと個人コレクターの特質がもろに展覧会に反映されたものなのでしょう。ギッター氏について詳しいことは存じ上げませんが、もしTwitterでもやっていらしたら上手く絡んでもらえ、意気投合し「よし、飲みに行きましょう!」なんて展開にすぐなれるような気がしました。


伊藤若冲「寒山拾得図」1761年

2007年に森美術館で開催された「日本美術が笑う展」で拝見した作品もちらほらと。恥ずかしがり屋かはたまた人嫌いなのか、こんなやる気なさそうな「寒山拾得図」若冲以外で描く人いないでしょうね。

どことなく村上隆氏に似ている「達磨図」(チラシに使用されている作品)迫力及び筆さばきには思わずゴクリ。


俵屋宗達「鴨に菖蒲図」17世紀前期

多分、今日行われた河野元昭先生の講演会でこの作品について激賞されたこと想像に難くありません。

菖蒲と鴨との位置関係がイマイチ曖昧ではありますが、一目見て置く価値の十分にある作品だと思います。


長澤蘆雪「月に竹図」寛政後期

日本美術の持つ「純粋で、シンプルで、素朴な」美しさに惹かれたギッター氏。「とりわけ墨線の持つ多様な表現に魅せられ、最初、禅画をコレクションの中心に据え」蒐集を始めたそうです。

プライス氏がNYで若冲が墨だけで描いた「葡萄図」に一目惚れし日本美術蒐集の道へ踏み行ったのと同様、ギッター氏も墨の持つシンプルでありながら、広大な広がりを内包する水墨の世界にすっかり魅了されたのでしょう。

蘆雪の「月に竹図」などきっと相当お気に入りの一点だと思われます。

こうした名の知れたメジャー級の作家の作品にはちょっと首を傾げるようなアヤシイものも数点含まれていましたが、それも個人コレクションならではの味わい。

逆に「熊野参詣曼陀羅図」のゆるく、金沢百枝先生が観たら「中世的で好き!」と喜びそうな作品や、金地の屏風に色紙が貼り付けられた桃山期の「松に桜流水図」等など作者不詳の作品に、とても興味深いものが揃っていたのが印象的でした。

それでは最後に「今日の一枚


鈴木其一「蓬莱山図」1844-58年頃

長寿の仙人が住んでいると言われるありがたーい蓬莱山を描いた作品。岩に打つ付ける荒々しい浪には、補陀落渡海信仰の残像を垣間見ること出来ます。

ところが島全体は何だか「さるのこしかけ」が折り重なったようなヘンテコな形。更に島に自生する松の木も変色した「しめじ」のよう。。。其一って真面目なきっぱりとした絵を描くイメージありましたが、こんなユーモラスなものもあるのですね。

「ギッター・コレクション展」は1月23日までです。

まだご覧になられていない方是非是非。面白い展覧会でしたよ〜

中原南天棒「托鉢僧行列図」1923年

開館15周年記念 
帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展

千葉市美術館
会期:2010年12月14日(火)〜2011年1月23日(日)
開館時間
日〜木曜日 10:00〜18:00
金・土曜日 10:00〜20:00
※入場受付は閉館の30分前まで


千葉市美術館
住所:〒260-8733 千葉県千葉市中央区中央3-10-8
電話:043-221-2311
http://www.ccma-net.jp/
アクセス
JR「千葉駅」徒歩約15分
京成「千葉中央駅」徒歩約10分

わかりやすい 千葉市美術館 への道(PDF)
千葉駅東口よりバスを利用するのも便利です。
現金払いに限り100円で乗車できます。

巡回先の静岡県立美術館のチラシはがらりと趣変わり黒ベース。


今年は酒井抱一生誕250年を記念し抱一展あちこちの美術館で開催されます。

「酒井抱一・琳派の華」
2011年1月22日(土)〜3月21日(月・祝)
畠山記念館
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/index.html

ツイッターやってます。
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2377

JUGEMテーマ:アート・デザイン


 アメリカ・ニューオーリンズのギッター・コレクションは、個性溢れる日本美術コレクションのひとつとして知られています。
 カート・ギッター博士は、1963年から65年までの日本滞在を機に、日本美術の蒐集を始めました。日本美術の持つ「純粋で、シンプルで、素朴な」美しさ、とりわけ墨線の持つ多様な表現に魅せられた彼は、コレクションの中心に禅画を据えました。そして、妻のイエレン女史とともに文人画、円山四条派、琳派、浮世絵、奇想の画家へと幅を広げ、円山応挙、伊藤若冲、俵屋宗達、酒井抱一など江戸時代を代表する画家たちの一大コレクションを築き上げました。2005年に、ハリケーン「カトリーナ」でアメリカ南東部は甚大な被害を受けましたが、ギッター・コレクションは奇跡的にもこの被害から守られたのです。
 この展覧会は、ギッター・イエレン夫妻の所蔵する日本美術コレクションの中から、江戸絵画を中心とする優品を選りすぐり、日本で初めて本格的にその全容を紹介するものです。アメリカ人の見た日本美術という視点から、「若冲と奇想の画家たち」「琳派の多彩」「白隠と禅の書画」「自然との親しみ」「理想の山水」「楽しげな人生」という六つのセクションに分けて構成いたします。若冲をはじめとした個性的な画家たちの卓越した画力、琳派の瀟洒なデザイン、禅画のユーモア溢れる画風と豊かなイマジネーション、そして山水画、花鳥画、浮世絵に見られる自然や日常生活へのあたたかなまなざしは、われわれに改めて江戸絵画の奥深さに気づかせてくれることでしょう。
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