青い日記帳 

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「運慶展」

神奈川県立金沢文庫で開催中の
神奈川県立金沢文庫80年 特別展「運慶−中世密教と鎌倉幕府−」に行って来ました。



運慶ほど名の知れた仏師は他には存在しないにも関わらず、現存する運慶作、もしくは運慶作ではないかと推定される仏像は僅か10数点ほど。

ビックネームに反比例し、実際に運慶の作品を実際に目にしたことは片手で十分足りる程度しかありません。30数点しか現存作品がないとされるフェルメール同様、一点でも現物と対峙出来ればそれこそ「有難い」ことなのです。

そんな運慶の手掛けた仏像が、金沢文庫に7点も集結しているのはまさに奇蹟。監修者の山本勉先生をして「これほど充実した『運慶展』が実現するとは、少し前まで誰が想像しただろう?」と言わしめているのです。

展示替えもありますが、10数点しか現存しない運慶の真作が何と7点も金沢文庫にお出ましになっているのです。後々になって「観ておけば良かった」「どうして行かなかったのだろう」と激しく悔やむ系の展覧会です。混雑しているとかちょっと遠いとか全く関係なし。とにかく行かねばなりません。

仏さまのありがたさ、歳を重ねるほど身に沁みて来るものです。今はまだそんな時期ではないにしても、誰しもが至る境地であります。

クリックで拡大

1:重文「毘沙門天立像」文治五年(1189)神奈川・浄楽寺所蔵
(展示期間:1月21日(金)〜2月27日(日))
2:重文「不動明王立像」文治五年(1189)神奈川・浄楽寺所蔵
(展示期間:1月21日(金)〜2月27日(日))
3:重文「厨子入大日如来坐像」鎌倉時代初期 栃木・光得寺所蔵
4:重文「大日如来坐像」鎌倉時代初期 東京・真如苑所蔵
(展示期間:2月8日(火)〜3月6日(日))
5:重文「帝釈天立像」正治三年(1201)頃 愛知・滝山寺所蔵
6:重文「大威徳明王坐像」建保四年(1216)神奈川・光明院所蔵(神奈川県立金沢文庫保管)

以上に加え、チラシ表面に据えられている現存する運慶作品の中で最初に造られた、国宝「大日如来坐像」安元二年(1176)奈良・円成寺所蔵を加えた合計7点の運慶仏が金沢文庫2階展示室に勢揃いしています。

また、東大寺所蔵の重文「東大寺続要録」といった、運慶の作品に付帯資料や、運慶が一種憧れを抱いていた「中世密教」との関わりを示すもの等をお世辞にも広いとは言えない展示室に盛り沢山の内容で展開しています。


重文「大威徳明王坐像」建保四年(1216)神奈川・光明院所蔵(神奈川県立金沢文庫保管)

六面六臂六脚で、神の使いであるスイギュウにまたがっている姿で表現される」大威徳明王像。欠損部分が多いにも関わらず、この異常なまでの迫力。

仏像は約束事の固まりです。決まり切った型が厳然と存在します。その制約だらけの中にあっても造り手の個性は生きて来るものだということ、この小さな仏像からも学ぶこと出来ます。

平成19年に実施された保存修理の際に像内納入品の奥書(これらも展示されています)から、運慶の最晩年の作品であることが判明した、大変貴重な仏像でもあります。単眼鏡必携で!



また、今回の「運慶展」のハイライトは奈良・円成寺所蔵の国宝「大日如来坐像」、栃木・光得寺所蔵重文「厨子入大日如来坐像」(厨子から出して展示されています)、東京・真如苑所蔵の重文「大日如来坐像」(展示期間:2月8日〜)の3体の大日如来像が揃って展示されることです。

勿論、この3体が揃うのは初めてのこと。造った運慶でさえ観たことない光景が金沢文庫の展示室で起こるのです。

東京・真如苑所蔵の重文「大日如来坐像」は以前何度もこのブログで紹介している通り、2008年にNYクリスティーズのオークションに出されあわや海外流出かと日本中を騒然とさせた運慶仏です。

クリスティーズのサイトにオークションの結果、画像、詳細な解説が掲載されています。
A Highly Important Wood Sculpture of Dainichi Nyorai

 鎌倉彫刻を切り開いた巨匠、運慶の作と見られ、2004年に初めて紹介された木造大日如来座像(個人蔵)が3月18日、米ニューヨークで開かれるクリスティーズ社の競売に出品されることが分かった。
 売却の際に国への申し出が必要な重要文化財などに指定されていなかった。落札予定価格は約1億6000万〜2億1000万円。日本側から入札がない場合、彫刻史上、一級の重要作品が海外に流出する恐れがある。
(2008年2月11日 読売新聞)
結局、12億5千万円というとてつもない金額で落札し、一応事なきを得た何かと曰くつきの仏像でもあります。→海外流出回避!運慶作仏像を三越が落札。

落札後、東京国立博物館で展示されじっくり拝見したのですが、3体揃いは是非とも拝んでみたい!混雑覚悟の上で再度2月8日以降、金沢文庫へお邪魔したいと思ってます。

そうそう、奈良・円成寺所蔵の国宝「大日如来坐像」の目、よーく見てきて下さい。自分も指摘されるまで気付かなかったのですが、白目と黒目の間(黒目の縁取り)に朱(赤)が入れられています。(栃木・光得寺所蔵重文「厨子入大日如来坐像」でははっきりと見て取れます。)

最後に「今日の一点


重文「舞楽面 陵王」鎌倉時代初期 神奈川・瀬戸神社所蔵

運慶作(運慶派)の可能性濃厚な舞楽面。

舞楽面にはちょっとうるさく、とりわけ蘭陵王の面は数多く見てきたつもりですが、これほど頭上の龍が威勢よくせり出し、脚を突っぱねている姿のものは初めてお目にかかりました。→舞楽三番

単純に「凄い!」の一言です。

「運慶展」は3月6日までです。

ある意味フェルメール作品が7点集まるよりも貴重で稀有な展覧会。これを見逃したら泣きます。確実に。おじいちゃん・おばあちゃんになってから後悔しない為にも行くべし!

神奈川県立金沢文庫80年 特別展
「運慶−中世密教と鎌倉幕府−」

会期:平成23年1月21日(金)〜3月6日(日)
開館時間:午前9時〜午後4時30分(入館は午後4時まで)
土・日曜日と祝日は午後5時閉館(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜日



神奈川県立金沢文庫
〒236-0015 神奈川県横浜市金沢区金沢町142
http://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/kanazawa.htm
アクセス
・京浜急行「金沢文庫駅」東口より徒歩12分
・JR根岸線「新杉田駅」接続 シーサイドライン「海の公園柴口駅」より徒歩10分




金沢文庫前の隧道を抜けると、浄土曼荼羅に基づいて配置された浄土式庭園が美しい称名寺があります。カワセミが飛んでました!

おまけ
昨年、東京国立博物館で開催された「東大寺大仏展」に出品されていたこちらの作品。運慶のてによるものとの説が有力だそうです。見ておいて良かった〜


重源上人坐像」奈良・東大寺所蔵

Twitterやってます。
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2387

JUGEMテーマ:アート・デザイン


仏師運慶は、最もよく知られる日本の芸術家の一人です。その卓越した技量による力強い作風は、鎌倉という新時代に相応しいものとしてよく知られています。しかし、その高名さとは対照的に、運慶の真作は数えるほどしか残っていません。本展覧会では、その数少ない運慶の仏像を一堂に会します。そして「中世密教」と鎌倉幕府の関係から、運慶作品の制作背景の秘密に迫ります。
展覧会 | permalink | comments(4) | trackbacks(6)

この記事に対するコメント

2004年のオークションではどこが競り落とすのかドキドキしていましたが、新興宗教団体と聞いてガックリしたのも思い出です。もう出てこないと思った。真如苑が落としたとはつい最近知りました。
でも、この展覧会ではちゃんと出品しているんですね。
大日如来のお顔に魅了され、運慶展があれば是非!!と
望んでいましたが、2月の帰国はどうあがいても無理。
あああああああ、悔しいです(涙)
OZ | 2011/01/27 5:16 AM
奈良の園成寺に昨年2月に行って来ましたが,

みぞれ交じりのとても寒い日,交通も不便で参りましたが,

横浜で見れるのは大チャンスですね。

浄楽寺にも昨秋行きました。

こちらも素晴らしかったですよ。

mixiですがもしよろしければ,以下をご覧下さい。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1611441604&owner_id=7720240

わん太夫 | 2011/01/27 10:00 AM
アドバイスのおかげで品川からさくっと行くことができました〜ありがとうございます^^
大日如来は勿論ですが、あの舞楽面はほんとすごかったですね!目が離せませんでした...
noel | 2011/01/27 10:08 AM
はじめまして。

29日(土)に金沢文庫に行こうと思っています。
円成寺の大日如来は一度拝観したことがありますが、
塔のガラス越しであまりよく観られなかったので、
今回は少し興奮気味です。

滝山寺は訪問したことがないので楽しみにしています。

yumechigai | 2011/01/27 1:43 PM
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