青い日記帳 

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「ヴィジェ・ルブラン展」

三菱一号館美術館で開催中の
「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展 華麗なる宮廷を描いた女性画家たち」に行って来ました。



まずは展覧会の構成から

1:プロローグ
2:貴婦人のたしなみ
3:フランス王妃、マリー・レクジンスカの「中国風居室」
4:「女性の世紀」とその再評価
5:フランスにおける外国人、外国におけるフランス人
6:王立絵画彫刻アカデミーの女性画家たち
7:ラビーユ=ギアールとヴィジェ・ルブラン
8:フランス革命とヴィジェ・ルブランの亡命
9:新しい時代


展覧会タイトル「ヴィジェ・ルブラン展」となっていますが、ルブランを含む18世紀のフランスで華々しく活躍をした女流画家を紹介する内容となっています。

本国フランスでは印象派の画家たち同様名の通った画家でも、日本ではほとんど知られていない画家ばかり。新しい発見が沢山ある展覧会です。特に女性の方におススメの展覧会。


注:会場内の画像は内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

今でこそ男女平等、否我が家などでは明らかに「女性」の権限が強かったりしますが、フランスで女性が社会に活動の場を見出したのは18世紀に入ってからのこと。

今回の展覧会の主役ヴィジェ・ルブラン(1755-1842)が活躍したのも丁度その時期となります。ルブランのライバルであったラビーユ=ギアール(1748-1803)を対抗軸に据え、18世紀「女性の世紀」に華々しく活躍した女流画家を丁寧に紹介しています。


エリザベト=ソフィ・シェロン 「自画像
ルーヴル美術館 (絵画部門)

但し先ほども書いたように、初めて目にする名前ばかり。そこでキャプションの他にその画家を紹介するボードが用意されています。これは非常に助かります。


クリックで拡大。

また、音声ガイドでは大地真央さんがナビゲーターを務めています。ヴィジェ・ルブランや王妃マリー=アントワネット役に扮したセリフも。展覧会担当学芸員が、人気画家ヴィジェ・ルブランの夫についての紹介等これで完璧。

そうそう、いつもお世話になっている、とらさんが「ベルばらで読み解くルブラン展」として早々とこの展覧会の魅力をご紹介されてます。


・マリー=アントワネット作曲の歌曲を特別収録
(ソプラノ歌手:唐澤まゆ子さん 展覧会コラボCD「アート・オブ・マリー・アントワネット」より)
・BGMには、王妃の友人ランバル公妃に捧げられたハープの名曲
(ハープ演奏:摩寿意英子、フルート演奏:太田里子)



ルイ15正妃であるマリー・レクジンスカが描いた「中国風居室」

マリー・レクジンスカはポーランド王である父親から絵画の手ほどきを受け、フランスに嫁いでからは静物画家のウードリーに絵を学んだ本格的技量の持ち主。

こうした王侯貴族だけでなく、18世紀のパリには他国からも多くの女流画家がやってきたそうです。ルイ14世統治下の文化重視政策により、異国の画家たちにとってパリはとても「居心地の良い」場所と認識された証でしょう。


ロザルバ・カリエラ「薬剤師アントワーヌ=ルネ・プーラン
パリ 個人蔵(C.P.D.H.S)

ロザルバ・カリエラもそんなひとり。文化先進国であるイタリア、ローマから1970年、王立銀行の天井画制作の為にパリに招聘されたそうです。

当然、そんな彼女に肖像画を描いて欲しい人は沢山いたはずです。ロザルバ・カリエラは優しい色合いのパステル画を得意としたそうで、彼女の影響で後のパリでパステル画の隆盛をみることになったと言っても過言ではないそうです。

肖像画が多い今回の展覧会の中で「第6章:王立絵画彫刻アカデミーの女性画家たち」にあったこちらの静物画はひと際目を惹く存在感がありました。


アンヌ・ヴァレイエ=コステル 「青い花瓶の花
ナンシー美術館蔵 (フランス)© Ville de Nancy, P. Buren

活けられた数多の花の中で白に近い薄ピンク色で描かれているのは、ピエール・ド・ロンサールでしょうか。全体的に花々が柔らかなトーンであるのに対し、青い花瓶がそれとは対照的にずんとした存在感を見せています。

今回の展覧会に「人物画」(肖像画)や「静物画」が多いことに理由があることを知ったのは展覧会を観たあとのことでした。

王立絵画アカデミーでは女性画家に男性モデルによるデッサンの授業を行わせず、結果として当時最も権威のあった「歴史画」を描くことが事実上出来なかったことがその一番の要因だそうです。

アカデミーによる女性画家への様々な「差別」が、後の時代「人物画」(肖像画)や「静物画」の需要とポジションをグイッと押し上げたとすれば何とも皮肉なことです。

さて、さて7章に入りやっと主役であるルブラン作品の登場を迎えます。でもその前に見覚えのあるこちらの作品も。


マリー=ガブリエル・カペ「自画像」 1783年頃
国立西洋美術館蔵

上野、国立西洋美術館のミュージアムショップで常にポストカードの売り上げベスト3に名を連ねている大人気のこちらの作品。三菱一号館美術館の高橋明也館長が嘗て西美にいらした頃、推挙し購入した作品です。普段見慣れた西美のやや暗い展示室で拝見するのと、どう違って観えるか。これも今回の展覧会の見逃せないポイントのひとつです。

このカペの「自画像」を西洋美術館のために高橋館長がパリで購入した10年前まで実は今回の「ルブラン展」の構想は遡るのだそうです。1点の魅力ある作品の存在が少しずつですが膨らみ形を形成し今の展覧会があると思うと何とロマンある話ではないですか。

大きなメジャー美術館からまとめて作品を借りてくる展覧会と、こうして一から作り上げる展覧会。後者のような展覧会を如何に多く開催しているかでその美術館の真価が問われると言っても過言ではありません。

展覧会作りというものの不思議さ、楽しさ。そして何よりも1点の作品がもつ力、人を動かし、これだけのものに結実していく力を目の当たりに出来る展覧会でもあります。

見逃せないと言えば、額縁も!例えばポスター、チラシに用いられているマリー=アントワネットの額縁は大変凝ったまた可愛らしいデザインとなっています。


エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン「フランス王妃、マリー=アントワネット
パリ 個人蔵(C.P.D.H.S) Photo : Art Go, Florent Dumas

マリー=アントワネットの肖像画だけでなく、ルブランはヴェルサイユ宮殿の王族(「オルレアン公爵夫人、ルイーズ・マリー・アデライード・ド・ブルボン=パンチエーヴル」)から身近な家族(「エチエンヌ・ヴィジェ、画家の弟」)まで様々な人物の肖像画を数多く残しています。

また革命以降亡命先で描いた作品にも注目です。


エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン「ジョヴァンニ・パイジエッロ」1791年
ヴェルサイユ宮殿美術館蔵(ルーヴル美術館より寄託)
© RMN (Château de Versailles) / Christian Jean / Jean Schormans / distributed by AMF

最後に「今日の一枚


ジャン=オノレ・フラゴナールとマルグリット・ジェラール?「盗まれた接吻
サンクトペテルブルク エルミタージュ美術館蔵
Photograph © The State Hermitage Museum /Vladimir Terebenin, Leonard Kheifets, Yuri Molodkovets

出展元の美術館をご覧になってもお分かりの通り、世界の名だたる美術館もしくは個人蔵の作品から構成された展覧会です。現在の日本の状況を鑑みるとこの先これほどの展覧会が開催出来るかどうか、甚だ疑問です。

今、開催している西洋美術の展覧会は無理をしてでも行っておくことを強くお勧めします。老婆心ながら。


「マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン」展は5月8日までです。
お出かけ前には必ず開催日、時間の確認をお忘れなく!http://mimt.jp/

それとこちらも要チェック!「丸の内サロン」に高橋館長が連載している記事も必読です!

ヴィジェ・ルブラン展を楽しむ秘密その1
〜高橋明也さん(三菱一号館美術館館長)

昨年、三菱一号館美術館館長である高橋明也氏へ行ったロングインタビューもこちらにまとめてあります。秘蔵写真も掲載してます!是非ご一読下さい。

高橋明也館長
『美術史家に聞く』第三回:高橋明也先生(前篇)
『美術史家に聞く』第三回:高橋明也先生(後篇)



三菱一号館美術館「Café 1894」インタビュー記事
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2379


こちらは、いつも以上に華やかでノーブルな雰囲気のミュージアムショップ。

「マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン」展
―華麗なる宮廷を描いた女性画家たち―
会期:2011年3月1日(火)〜5月8日(日)
会場:三菱一号館美術館(東京・丸の内)


三菱一号館美術館
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2
http://mimt.jp
アクセス
・JR「東京」駅(丸の内南口)JR「有楽町」駅(国際フォーラム口)から徒歩5分
・東京メトロ千代田線「二重橋前」駅(1番出口)から徒歩3分
・都営三田線「日比谷」駅(1番出口)から徒歩3分

【三菱一号館美術館次回展】


三菱一号館美術館コレクション<>
もてなす悦び — ジャポニスムのうつわで愉しむお茶会


会期:2011年6月14日(火)〜8月21日(日)
主催:三菱一号館美術館、産経新聞社
19世紀末の欧米では、万国博覧会の開催を機に、日本に対する関心が急速に高まりはじめ、「ジャポニスム」の現象が広い範囲で起こりました。本展は、この流れのなかで、イギリスやアメリカ合衆国などで創り出された美しい日常的な品々が、どのようにして欧米の人々の暮らしに深く入り込み、豊潤な生活文化を育んでいったかを探ろうとする試みです。ミントンやロイヤルウースターなどの陶磁器、ティファニーをはじめとする銀器やガラス作品、優雅なティー・ガウンにくわえて、当時の陶磁器制作を今に伝える水彩素描や版画集『レスタンプ・オリジナル』など、約250点から構成される予定です。

【カフェ担当者インタビュー記事】
ブリヂストン美術館カフェ「ジョルジェット」
山種美術館カフェ「椿」
根津美術館カフェ「NEZUCAFE」
原美術館「カフェ ダール」

カフェ以外に音声ガイドやミュージアムショップ担当者へのインタビュー記事もあります。
インタビュー記事まとめ

Twitterやってます。
@taktwi



マリー・アントワネットの宮廷画家-ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの生涯


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2452

JUGEMテーマ:アート・デザイン


音楽の都ウィーンからフランスに嫁いだマリー=アントワネットは、同じ年に生まれた一人の女性画家エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブランと意気投合し、王妃の肖像画家として重用しました。彼女が描く、華やかで最新流行のドレスをまとった肖像画は、王妃のみならず、ヴェルサイユの宮廷の女性たちをも瞬く間に魅了し、ヨーロッパ中にその名を馳せていったのです。
ヴィジェ・ルブラン(1755-1842)は、フランス革命の足音が迫る中、絶対王政最後の華やかな宮廷を活写し、革命で断頭台の露と消えた王妃マリー=アントワネットのイメージを決定づけた重要な画家です。その卓越した技量や作品数の多さにも拘らず、回顧展はかつて一度だけアメリカで開催されたのみで、我が国はおろか、祖国のフランスでさえ実現されたことがありません。
本展は、我が国で初めて本格的にヴィジェ・ルブランの画業を展覧すると同時に、彼女のライバルであり、対照的な運命をたどったラビーユ=ギアール(1748-1803)をはじめ、18世紀フランスで華々しく活躍した女性画家たちの創造の成果を広く概観する、極めて野心的な試みでもあります。三菱一号館美術館で、ロココの時代の女性画家たちの創造性豊かな世界をご堪能ください。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(6)

この記事に対するコメント

こんにちは。
拙記事を紹介していただき、ありがとうございました。
あの記事を書いた後、とんでもないことが起こり、美術館関係者も美術愛好者も先の見通しのたたない状況になってしまいました。
確かに今回のように外国からの有名作品を沢山展示するような展覧会も難しくなってくるかもしれません。
事態が早期に収束に向かうことを祈っています。
とら | 2011/03/30 5:17 PM
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ヴィジェ・ルブラン展 三菱一号館美術館 | すぴか逍遥 | 2011/04/25 11:57 PM