青い日記帳 

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「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway」

東京都現代美術館で開催中の
「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」に行って来ました。



今年で11回目となるMOTアニュアル展。現代アートのグループ展で絶対的な安定感を誇り、また安心して人に勧めることの出来る展覧会です。

毎回毎回、統一感のある切れ味鋭い作家の選出には舌を巻いてしまいます。名の知れた作家を単にチョイスしただけの似たような展覧会とは一線を画する存在です。

「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway」出品作家:
池内晶子/椛田ちひろ/木藤純子/関根直子/冨井大裕/八木良太

以下展示順にざっくりとご紹介。


冨井大裕 「ball sheet ball」 2006年
アルミ板、スーパーボール

日常身近にあるものを常に斬新であっと驚く発想を用いて「作品」に昇華させる冨井さん。さながら彼の回顧展&新作展とも呼べるような作品数。

始め目にすると「なんだこれ?ただの○○じゃん」と思うのですが、それらをテンポ良く連続し見せられると、じわじわと「作品」としての味わいが心の片隅に湧きおこってきます。

ハンマー、鉛筆、スーパーボール、ストローetc…完成した「作品」の色へのこだわりも相当なものがあるように思えます。そして最後ダメ押しするかの如く東京都現代美術館4階展示室の壁にびっしりと画鋲が…名付けて「ゴールドフィンガー」凄過ぎる。。。

木藤純子さんの作品は地震の影響で一部展示出来ない状態となってしまったとのこと。嘗てそこに展示してあった作品がどのようなものであったか、まわりにある小作品から類推するしかありません。

自然をテーマに扱い非常に繊細でナイーヴな感性を表出させたような作品。桜の花びらが天井から舞い落ちるインスタレーション(「Snow child」)等、時計の針の進みが彼女の展示空間だけゆったりと流れているように感じられます。


線の迷宮II


関根直子さんは2007年に 目黒区美術館で開催された「線の迷宮<ラビリンス>II-鉛筆と黒鉛の旋律」で、ひとつ頭抜けた存在であった作家さん。

しかし、「線の迷宮」時よりも更にパワーアップした鉛筆画が。小さな作品ながら、あの広くて真っ白な東京都現代美術館の展示室の壁に掛けられてもまったく引けを取らぬばかりか、逆に鉛筆画で埋め尽くされたような感覚に襲われます。

毎度のことながら関根さんの作品の秘めたるパワーに圧倒されてしまいます。

池内晶子さんの作品は関根さんとは対照的に細い絹糸を結んだだけの非常にシンプルな作り。ところがところが、まぁ多分誰しもが口をあんぐりと開きしばし呆然としてしまうであろう作品を展示室に張り巡らせています。

展示室入口に「Knotted Thread」絹糸 と書かれたキャプション。一歩中へ入っても作品が何処にも見当たりません。ホワイトキューブの床に「ここから先立ち入り禁止」の印だけが…と思うが刹那、実は展示室中全体に絹糸を縫い合わせた作品が吊り下げられていること目が慣れると共に判明。



このチラシに使用されている作品の何十倍もの驚きが待ってます。
観てはいけないものを観てしまった感じすら。。。

まさにここでしか体験出来ない必見の作品です。

椛田ちひろさんの作品もその「正体」が分かるに従い、観てはいけないものを観てしまった感に苛まれる作品です。展示室の天井丈ほどあろう巨大なテトロン布に油性ボールペンで描いた「星がうるさくて眠れない

これまた大きなインクジェット紙に油性ボールペンで描いた「事象の地平線」。フォンタナを想起させますが、実際は似て非なるもの。

そこに何が描かれているかよりもまずは目の前に立ちはだかるかのような作品を如何にしてどれほどの時間をかけ、完成させたかに興味関心の中心がどうしても向かってしまいます。

因みに描かれているのはこんな感じのものです。


椛田ちひろ 「シュワルツシルトへの回答 24のメトリック」 2009
油性ボールペン / インクジェット紙

仮にこれが教室の黒板程の大きさだったとしたらどう思われます?

軽い脳震盪起こしそうです。

最後は八木良太さん。大きさのことなるビーチボールらしきボールにテカテカ光るニスのようなものが塗ってあります。。。と思いきやそのニスの正体は今となっては懐かしの「カセットテープ」のテープ。一度や二度ひっぱり出したことありますでしょ。あれです。


八木良太 「Sound sphere」 2010年 
ミクストメディア

しかもそのテープは録音済み。ボールを会場内に設置されたシンプルなマシーンの上に置くと巻かれたテープの音を再生し天井のスピーカーから「音」が流れる仕組み。

しかし、その「音」は既に録音された音とは別物。

目の前に存在するボールを認識する視覚と、そのボールから発せられる「音」を認識する聴覚が著しく乖離しいずれかないしはどちらも自分の身体の一部だとは思えなくなる摩訶不思議な空間です。

基本的に八木良太さんにはやられっぱなしです。


MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方
  
会期 2011年2月26日(土)〜5月8日(日)
休館日 月曜日 *ただし3月21日は開館, 翌22日は休館
開館時間 10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
会場 東京都現代美術館
主催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
協力 江口孔版株式会社、株式会社カシマ、コエドブルワリー、田中裕之建築設計事務所、日本特殊織物株式会社、株式会社益基樹脂、三菱鉛筆株式会社

【関連イベント】

・椛田ちひろ×林道郎 対談
4月17日(日)15:00〜
会場:東京都現代美術館ホワイエ
参加無料

・池内晶子 アーティストトーク
4月24日(日)15:00〜
会場:東京都現代美術館ホワイエ
参加無料 ※当初の4/9(土)より変更

・関根直子×黒澤雄太 対談
4月29日(金・祝)15:00〜
会場:東京都現代美術館講堂
参加無料

・冨井大裕×近藤恵介
彫刻と絵画をめぐるワークショップ
5月1日(日)14:00〜
会場:東京都現代美術館講堂
定員30名(事前申込制)参加無料
申込み方法はこちら


Twitterやってます。
@taktwi


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JUGEMテーマ:アート・デザイン


「MOTアニュアル」は、当館が、日本/東京の新しい美術をグループ展形式で紹介するものとして、1999年より行っているシリーズ企画です。
11回目となる本年は、「Nearest Faraway 世界の深さのはかり方」を副題に、6人の作家により構成します。
いたるところでさまざまな価値観の転換期をむかえているような現代にあって、美術の世界も例外ではありません。
本展では、身近にある素材といわば端的に手仕事と呼べるような技法を用いて、自身の足元、そのよって立つところをあらためて問うような制作を続けている作家たちを紹介します。彼ら/彼女らの素材や技法の選択は意図的にシンプルでありながら、それによって生み出される作品の数々は、私たちを遠いところへはこんでいくような、広い射程をもっています。身の回りの物事をてがかりに、「見ること」や「聞くこと」あるいは「時間」や「空間」といった、ふだんは前提とされている事象の成り立ちが、作家それぞれの仕方で、あらためて問われ、見出されていくのです。

本来的に未知である世界の深さや豊かさに触れるような、彼ら/彼女らの独自の方法=術のしなやかな強靭さ。それはまた、近視眼的になり待つことができなくなったといわれる私たちの時代において、美術がもつ一つの可能性でもあるでしょう。6人の術によってひらかれる6つの場が、見慣れた世界の風景を変えるささやかな契機となれば幸いです。

出品作家: 池内晶子|椛田ちひろ|木藤純子|関根直子|冨井大裕|八木良太

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