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「レンブラント展」

国立西洋美術館で開催中の
「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」展に行って来ました。


展覧会公式サイト

いきなりですが、以下の2つの作品をまずはご覧あれ。


レンブラント・ファン・レイン(1606-69)
三本の十字架
第3ステート、1653年
大英博物館/ⓒThe Trustees of the British Museum


レンブラント・ファン・レイン(1606-69)
三本の十字架
第4ステート、1653年
アムステルダム、レンブラントハイス/ⓒThe Rembrandt House Museum, Amsterdam

同じ作品(ステート違い)でありながら、まるで別の作品のように見えます。これは、第3ステートから第4ステートに進行する際に大幅に改変が施されたことを意味します。

画像からですと、単に明暗の違いしか観て取れませんが、実際には随所にかなりの改変がなされています。そしてそれによりこの作品の主題までもが変わってしまうことに。

驚いてはいけませんよ、第3ステートでは死んでいたキリストが、第4ステートではまだ生きているように改変されているのです。こうなると単なる刷り増しでは断じてありません。


展覧会の図録にはその点について比較画像入りで変更点やそれによる主題の変化等詳細に綴られています。今回の図録は間違いなく「買い」でしょう。

「レンブラント展」カタログ通信販売について(PDF)

また、国立西洋美術館シニア・キュレーターで今回の「レンブラント展」の監修者でもある幸福輝氏が上梓された新刊には、上記の版画や「百グルデン版画」等の詳細で丁寧な解説に加え、ドライポイント、エングレーヴィングといった版画の技法・用語も分かりやすく端的な用語解説も。


もっと知りたいレンブラント―生涯と作品
幸福 輝(著)

一般的な絵画すらフィーリングでしか観られない自分が、何も知識無しに版画を鑑賞するのは無謀なこと。今回は熊澤氏の本も含め、3冊をそれなりに精読。

最初に観に行った時に「これは少し勉強していかないと勿体ない」と強く感じ、そうした次第。そして今日あらためて西美で対面。まぁそれでもどれだけ読み解けたのか、レンブラントの成さんとしたことに近づけたのか不安ではありますが、前回に比べると遥かに楽しめたことは事実です。


レンブラント・ファン・レイン「放蕩息子の帰還」1636年
アムステルダム、レンブラントハイス

注:会場内の画像はプレス内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

左はエッチング、そして右が珍しいもので何と銅版原板です。勿論版画ですから「反転」しています。左右比べてみれば一目瞭然。

こうした銅版原板と共に版画作品が日本で観られるとはまさか思いもしませんでした。今後いくらレンブラントハイスといえども中々貸してくれないでしょう。それは、他の版画や油彩画も同じ。

大げさなようですが、もしかして日本で観られる最後の大規模な「レンブラント展」になってしまうかもしれません。保険料も半端なく上がるでしょうし、そもそも…



また今回の「レンブラン展」ではステートの違いによる改変だけでなく、技法や紙による差異を示すために世界中の美術館やコレクターから作品を借り集め、同じ作品を数点並べ展示しています。

とりわけレンブラントが用いた和紙に注目し展示構成されているのが大きな特徴のひとつです。レンブラントは版画の明暗表現をより際立たせるために普通の紙の他に、ヴェラム(子牛の皮)や和紙(雁皮紙)を用いています。

和紙特有の淡い色合いが、白い一般的な紙に刷られた版画にはない独特のあたたかさを加えています。江戸時代、出島から船でオランダまで和紙が運ばれそれをレンブラントが使用していた。夢物語のような本当の話です。



今回の「レンブラント展」が見逃せないもうひとつの大きな理由に油彩画の充実があげあれます。これまた世界中の名だたる美術館やプライベートコレクションから約15点の作品が公開されています。

レンブラントの油彩画をこれだけの数揃えるだけでも大変なことです。しかも「レンブラントなら何でもいい!」というわけではありません。「光と、闇と、レンブラント」とキャッチーで秀逸なコピーが示すよう、レンブランとの明暗表現の特徴を表わす作品だけをセレクト。


レンブラント・ファン・レイン(1606-69)
ヘンドリッキェ・ストッフェルス」1652年
ルーヴル美術館/ⓒ 2006 Musée du Louvre/ Angèle Dequier

フェルメールもそうですが、レンブラントもまた画像ではまるで良さが伝わらないのが残念です。この「ヘンドリッキェ・ストッフェルス」など、黒く淀んだような背景から女性像が次第に浮かびあがってくるかのように描かれています。

肩や肘、そして手などは茫漠ともやもやした感じの筆使いですが、光があたっている顔(特に瞳)は並々ならぬ集中力が払われていること感じさせます。

隣りのご婦人が的確なこと仰っていました「この人(←多分レンブラントのこと)って大事な部分だけはちゃんと描くけどあとは雑なのね。」

まぁ雑かどうかは別として…言い得て妙です。まさに。


レンブラント・ファン・レイン(1606-69)
書斎のミネルヴァ」1635年
個人蔵(ニューヨーク)

油彩画と版画で構成される「レンブラント展」

願わくば油彩画で一日。版画で一日かけそれぞれ時間をかけてじっくりと楽しみたい展覧会です。尚、油彩画を観る上でレンブラントの画家としての生涯を頭に入れておくことは大事なこと。いつ描かれたかによってかなり作品が違ってきます。

開催時間が地震と停電の影響で普段と違っています。必ず国立西洋美術館のホームページで時間を確認してからお出かけ下さい。
http://www.nmwa.go.jp/
ハローダイヤル(03-5777-8600)


レンブラント 光の探求/闇の誘惑

会期:2011年3月12日(土)〜6月12日(日)
会場:国立西洋美術館(東京・上野公園)
〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
http://www.nmwa.go.jp/

休館日:毎週月曜日《ただし、5月2日(月)は開館》
主催:国立西洋美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社
後援:オランダ王国大使館
特別協賛:木下工務店

展覧会公式サイト

名古屋市美術館へ巡回。
2011年6月25日(土)〜9月4日(日)


Kadokawa Art Selection
レンブラント 光と影のリアリティ
熊澤 弘(著)

先月開催したオフ会では当日販売分の売上全てを義援金として醵出して下さった熊澤氏がお書きになられた『レンブラント 光と影のリアリティ』。文庫本とは思えない充実ぶり。

詳しくはこちらで紹介しています。

おまけその1:

限定コラボ「チーズケーキ“レンブラント”」

パティスリー ル ラピュタ(patisserie Le LAPUTA)の河田シェフが、レンブラントの生れ故郷でありオランダ・レイデンのチーズをイメージし作ったレンブラント展限定チーズケーキ。

ゴーダチーズにクミンシードが入ったレイデンチーズに香ばしい胡桃の食感も加えられたチーズケーキです。

おまけその2:

「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」展音声ガイドナビゲーターは辰巳琢郎さん。音声ガイド初挑戦の辰巳さん、17世紀当時の音楽にのせ展覧会をナビゲート。

【音声ガイドインタビュー記事】

インタビュー:音声ガイド(前篇)
インタビュー:音声ガイド(後篇)

Twitterやってます。
@taktwi


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2462

JUGEMテーマ:アート・デザイン


レンブラントには「光と影の巨匠」という形容が与えられ、光の探求や陰影表現がこの画家にとって重要なテーマであることが繰り返し語られてきました。しかし、あまりに広く人口に膾炙したためでしょうか、この形容は、逆に、レンブラントが試みた明暗表現の真の革新性を理解させることを困難にしてしまったようです。「黒い版画」、「淡い色の紙」、「キアロスクーロ」 という三つの言葉を中心にして構成されるこの展覧会は、レンブラントが1647年頃からその版画制作のために使い出す和紙に関する議論を出発点としています。レンブラントがなぜ和紙を使うようになったのか、異なる版画用紙の使用はステートの変化とどのような関係にあったのかといった問題を最初の枠組みとし、これにふたつ目の枠組み、すなわち、レンブラントはどうして夜景や暗闇の描写を繰り返したのか、どのようにして差し込む光や反射する光を描こうとしたのか、光や影は物語を構成する上でどのような役割を果たしたのか、といったより大きな問題を重ね合わせることで、レンブラント版画の、そして、レンブラント芸術の「光と影」の真の意味を再検討したいと思います。また、数はそれほど多くはありませんが、版画と深い関わりをもつ絵画と素描も展示され、版画で見られる明暗表現が、色彩をもつ絵画においてさらにどのような錯綜した試みにつながるのかを確認していきます。本展において展示される多くの和紙刷り版画を通じ、レンブラントの時代の日蘭交流の一端を広く知ってもらうのも、本展開催の大きな意義のひとつでしょう。


展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

おはようございます。
Cosも先日行ってきました。和紙と西洋紙との対比がすごく面白くて、そればっかり見てきました‖^o^‖
Cos | 2011/04/09 8:22 AM
トラックバックさせていただきました。
もっとじっくり見たかったです。ここを参考に展覧会巡りを
計画させていただいています。これからも楽しみにしております。
akinari | 2011/05/10 5:06 PM
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