青い日記帳 

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「江戸の人物画」

府中市美術館で開催中の
「江戸の人物画 姿の美、力、奇」展に行って来ました。


前期:3月19日(土)-4月17日(日)
後期:4月19日(火)-5月8日(日)
展示予定表-PDF)

当初、3月19日より始まる予定だったこちらの展覧会も地震と計画停電の影響で一週間ずれ込んでのスタートに。それでも丁度前期3週間、後期3週間と上手い具合に収まり無事開幕。

「花」「動物」「風景」と江戸時代に描かれた作品を毎年テーマを決め開催している美術ファンの間では非常に評価の高い展覧会。今回はいよいよ「人物」が俎上に。


円山応挙「布袋図
名古屋市博物館

会場入っていきなり大きな作品が出迎えてくれます。「等身大の布袋図」だそうです。縦2メートルもあるこちらの作品。布袋さんというともうちょっと可愛らしい印象でしたが、この妙にリアルな(笑)布袋さんにはただただ圧倒されてしまいます。

展覧会の構成がまず何といっても秀逸。

・美の百様
・「迫真」のゆくえ
・聖の絵姿
・ポーズ考
・海の向こうの不思議とロマン
・人という営み
・かわいい


セクション名だけ見ていてもイマイチぴんとこないかと思いますが、大変よく考え抜かれたセクション分け&構成。普茶料理のコースを食べている気分。次から次へと手を変え品を変え実に様々な「人物画」が目の前にサーブされてくるよう。

充実したコース料理を実現可能にしているのは、勿論優れた「食材」である江戸絵画に他なりません。料理人の腕と良質な食材が見事に邂逅したからこそ、我々が「美味しい」展覧会に舌鼓を打てるのです。


長沢蘆雪「唐子睡眠図

蘆雪、蕭白、応挙に若冲。今や江戸時代を代表するスター級の絵師から研究者の間でも名の知られていない(資料の乏しい)絵師の作品まで、ありとあらゆるタイプの人物画が大集合しています。

よくよく考えてみるとこれは大変稀なことです。

例えばヨーロッパの同じ時代の人物画を思い出してみて下さい。丁度、渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで17世紀オランダ黄金時代の作品が公開されています。レンブラントにハルス、そしてフェルメール。ほぼ決まった形式の人物画です。

もしそこにこんな作品があったらどうでしょう?


志村榛斎「見立江口君図

普賢菩薩と関連のある作品んですので、一種の宗教画とも言えなくはないですが…これって美人を描きたいわけですからね、結局のところ。しかも6本の牙を生やす像の上にまるでコラージュ作品のように乗っている遊女。

こんな非現実的な作品当時のヨーロッパ人が観たらどんな感想持つのでしょう。

真面目に、写実的に、形式に則って描く西洋の人物画に対し、不真面目で、妄想的で、自由闊達に描く江戸時代の人物画。まだこの国に「理性的」とか「合理的」という言葉が存在しなかった実におおらかで、きままな人物像。


円山応挙「波上白骨座禅図

江戸絵画へ現代人が抱く想いは、単なるノスタルジックなものだけではなく多分に憧憬が多く含まれているのかと。忘れ失ってしまった、何ものにも縛られない心地よさが会場内に溢れています。

美術館前の桜も散り、前期展示は昨日で終了してしまいましたが、大幅に展示替えを行い後期が4月19日(火)から始まります。

幕末西洋の陰影・明暗表現、写実表現を取り入れんとしこんな作品も生れていました。


葛陂古馮「関羽像

今話題沸騰中の狩野一信を想起させるダークな背景に浮かび上がる人物像。髪の毛や顔、指の皺まで忠実に(といっても関羽見たことないだろうけど…)描いています。

また筆記体で記されたサインがあることなどから、明らかに葛陂古馮が遠くヨーロッパから運ばれ日本にやってきた(多分版画)を目にしていたことは確かです。

こんな「リアル」な人物画もあればゆる〜い人物画?も当然のようにあります。これこそ江戸絵画の懐の深さ!実に多種多様でバラエティー豊かなです。


仙儺想陝凧あげ図

反則だろ〜これ。
西洋絵画うんぬんの世界ではありません。

利便性や合理性ばかり追い求めた結果、生活を本来豊かにするはずである最も大事な「想像力」をどこかに置き忘れてきてしまった現代の日本人に強烈なカウンターパンチを浴びせてくれる展覧会です。

「江戸の人物画 姿の美、力、奇」は5月8日までです。
府中市美術館へ是非是非!!


「江戸の人物画 姿の美、力、奇」

会場:府中市美術館
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/index.html

会期:平成23年3月25日(金)〜5月8日(日)
開館時間:午前10時〜午後5時(入場は午後4時半まで)
休館日:月曜日、5月6日(金曜日)


「ぱれたんの屏風工房」ではお好きなデザインでオリジナル屏風が作れます。勿論無料です!こうしたきめ細やかなサービスも府中市美術館の素晴らし点です。

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描かれた「人のかたち」に注目しながら、江戸時代の絵画をご覧いただく展覧会です。美人画、中国の『三国志(さんごくし)』の登場人物や不思議な仙人、妖怪から骸骨まで、描かれた「人のかたち」は実にさまざま。また、一口に「美人画」などと言っても、その魅力はあまりに多様です。江戸時代の人物画は、私たちに、美しさや楽しみの多彩さ、そして、人を描くことの意味をも教えてくれるでしょう。

狩野派、やまと絵、浮世絵、文人画、円山四条派(まるやましじょうは)、洋風画、そして、今人気の伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪(いとうじゃくちゅう、そがしょうはく、ながさわろせつ)ら「奇想の画家」や、仙がい、白隠(はくいん)らの禅画まで、重要文化財3点を含む総数99点(前期56点、後期52点)の作品によって、江戸絵画の幅広い魅力をお楽しみいただきます。

曾我蕭白(そがしょうはく)の《美人図》(前期展示)、江戸前期の風俗画の名作として知られる《舞踊図》(重要文化財、前期展示)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の《付喪神図》(後期展示)、曾我蕭白(そがしょうはく)の《寒山拾得図》(重要文化財、後期展示)をはじめ、話題の作品の数々もどうぞお見逃しなく。

展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

凧あげ図。なんだか可愛くて気に入りました!(笑)
コンドル | 2011/04/19 8:22 PM
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