青い日記帳 

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『野兎の眼』

羽鳥書店より刊行された松本典子さんの写真集『野兎の眼』を紹介します。


松本典子『野兎の眼』羽鳥書店

写真集『野兎の眼』は14歳だった少女を10年かけ撮り続けた厖大な量の少女の成長の記録=写真の中から91枚を厳選し収録しています。

柔らかな表紙をパラパラとめくり一通り目を通してみると、少女が大人に変化していく様子と共に、彼女が暮らす我々とはまるで違う奈良の奥吉野の村里にまみえた自然の情景が織り込まれています。

それにしても「写真集」とりわけ女性の姿をとったものを手元に置きしげしげと目を通したのは、果たして何年ぶりでしょう。

かろうじて断片的に記憶に留まっている学生時代に目にした「写真集」の記憶と、この『野兎の目』を比べると(本来比べるべき対象ではないかと思うのですが…)だいぶ様相が違います。

可愛らしくカメラ目線でポーズを取る女の子の写真や、グラビアアイドルの如き写真は一切ありません。それにも関わらず強く「女性」を感じ、伝える写真集となっています。カメラマンが同性いうこともあり一般的なエロさは全くありません。

が、その代わりに「恐ろしさ」に似た感情がページをめくるごとに伝わってきます。

「これから10年写真を撮らせて」と村の秋祭りで偶然出会った14歳の少女に躊躇わず声をかけ、承諾もらい本当に10年間、彼女が「大人」になるまで撮り続けたそうです。

一人の奥吉野に暮らす少女を女性カメラマンが10年の歳月を費やし寄り添い写真を撮り続けてたという暴挙とも呼べる快挙。一枚一枚の写真に重みがあるのはそこに一因があること疑うすべもありません。



奥吉野の自然、風景、そして日常の断片を織り交ぜながら構成展開される104ページの写真集。目にする人、目にする年齢により感じ方の深度はそれぞれ幅の広いものになろうかと。

しかしながら、ひとつだけ言えることは中学3年生の少女が24歳の母親に成長する生の証、足跡をこうした形で手の中で拝見できることの驚きはこれまで味わったことのない類のものです。

見てはいけないもの、禁忌に触れてしまったかのような思いに一瞬駆られましたが、後々反芻してみると奥吉野の自然の営みを点在させつつ、見事なまでにぶれない姿勢で貫き通す「過去の存在」となりかけている懐かしい景色に出逢えることができます。

大事な大事な宝物となる写真集です。

松本典子さんの写真展これを機に開催してほしいな〜

松本典子
写真家。1970年、東京生まれ。自由の森学園高等学校、和光大学人文学部芸術学科卒。
インターメディウム研究所修了。第14回写真「ひとつぼ展」グランプリ受賞。
写真集『うさぎじま』(早川書房、2007年)、写真絵本『うさぎ うさぎ こんにちは』(『こどものとも 0.1.2』福音館書店、2011年3月)。


http://www.microcosmos.jp/
奥吉野の村の秋祭りで出会った14歳の少女を、10年かけて撮り続けた91枚の写真。まっすぐなまなざしを持った少女が、思春期をへてやがて大人になり母となる過程を、吉野の風景や日常の断片とともに鮮やかに映しとる。

【イベント情報】
『野兎の眼』刊行記念トークセッション
松本典子×飯沢耕太郎 「10年かけて見つめてきたもの」
2011年4月30日(土) 19時〜
ジュンク堂書店池袋本店(4階喫茶) 入場料1,000円(ドリンク付) 定員40名
電話予約: ジュンク堂書店池袋本店 Tel 03-5956-6111


松本典子『野兎の眼』羽鳥書店



鴻池朋子『焚書 World of Wonder

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