青い日記帳 

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「花鳥の美」

出光美術館で開催中の
「花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術」展に行って来ました。



花鳥画の展覧会だと勘違いして観に行ってしまいましたが、よくよくチラシを拝見すると「自然の豊かさを存分に伝える草花や鳥たちの姿は、古くから書画の主題や工芸の意匠として愛されてきました。」と初めにしかっり謳われています。

絵画がメインではないのかとがっかりすること勿れ。出光美術館の「蔵」からあんなもの、こんなもの引っ張り出し、実にバラエティー豊かな展示となっています。


青磁象嵌蒲柳鷺唐子文浄瓶」朝鮮・高麗時代

ひょろりとした柳の側を数羽の鷺が舞い遊ぶ姿が描かれた青磁。愛らしい唐子の姿もさることながら、擬人化に近い様子で描かれている鷺を目で追っていると描かれた世界に入り込んでしまいそうな感覚に。

青磁の肌の色と相まってすーとした涼しげな印象も与えてくれます。思わずチョコミントのアイスを想起したなんてことは内緒内緒。


伝王立本「鳳凰図」朝鮮 朝鮮王朝時代

この展覧会では、身近な鳥から仙界に憩う瑞鳥、鳳凰までを取り上げている点が非常にユニーク。出光美術館のコレクションからすれば、もっとピンポイントに的を絞っての展示構成も可能だったはずですが、今回は敢えてそれを避けるかのように振り幅を広くとっています。

出光美術館の「花鳥の美」と6月8日よりサントリー美術館でスタートする開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」II不滅のシンボル 鳳凰と獅子 併せて観られる幸せ。「鳳凰と獅子展」と掛け持ちしていま一度観に行こうと思案中(出光美術館の展覧会は6月19日まで)。


野々村仁清 重要文化財「色絵鳳凰文共蓋壺」江戸時代

テーマを伝説の霊鳥「鳳凰」に絞り、あらためてこの仁清の壷を拝見すると、これまでとはひと味違った印象が。普段は色味ばかり気にしてしまうのこのお宝も、今回は意匠をじっくり堪能。

展覧会によって同じ作品でも見え方、感じ方変わるものです。

さてさて、「花鳥の美」の構成は以下の通りです。

1:花鳥が出逢う水辺
2:文様の美を競う
3:富貴花の展開
4:幻想世界に迎えられた鳥たち
5:人々に愛された花鳥の主題


田能村竹田の「春園富貴図」(これ良かった!)や谷文晁の「枯木山鳩図」に混じりこんな絵がひょこりと展示されていると思わず笑みがこぼれます。


立林何帠「鶏図」江戸時代

尾形乾山の弟子であった立林何帠(たてばやしかげい)が描いたニワトリ。垂らし込みを用いた後方の鶏の描き方に琳派に属する絵師であったこと感じさせますが、全体的にはとても力強くともすれば横柄な態度にも見える2羽。

一度さっと観たあと二度目にこの絵の前に立った際に何故だか変に惹かれるものありました。こう見えて構図はかなり考えられているようで後方の鶏右足をあげているのを、両足とも地面に付けてしまうと全体のバランス一気に崩れてしまい絵として成り立たなくなります。

目に見えない「斜めのライン」で成立している作品。
面白いな〜〜

鳥好きなのでついついトリネタばかりになってしまいましたが、最後に身近に咲いている花が描かれたゴージャスな屏風でも。


狩野永納「遊鶴図屏風」(右隻)
展示期間〜5月22日

鶴や力強い松に目を奪われがちですが、右隅にひっそり咲いているシャガ《シャガ(射干、著莪、学名:Iris japonica)は、アヤメ科アヤメ属の多年草。》に注目。作品の展示もシャガの花の時季も終ってしまいましたが…

こちらは今年、上野公園内で撮影したシャガ。

上野公園で見つけた「シャガ」

小さきものはみなうつくし。

日本、中国、韓国の絵画・工芸品に施された花鳥の美。西洋美術の静物画とは明らかに一線を画するものがあります。自然に対する接し方の違いは今更謂う必要もなし。

そして更に日本人の情緒に訴えかけるものは1000年前に清少納言が記した「うつきしきもの」であることをあらためて認識出来た展覧会でもありました。
 うつくしきもの瓜にかきたるちごの顔。雀の子の、ねず鳴きするにをどり来る。二つ三つばかりなるちごの、急ぎてはひ来る道に、いとちひさき塵(ちり)のありけるを目ざとに見つけて、いとをかしげなるおよびにとらへて、大人などに見せたる、いとうつくし。頭は尼そぎなるちごの、目に髪のおほえるをかきはやらで、うちかたぶきてものなど見たるも、うつくし。 
 大きにはあらぬ殿上童の、装束きたてられてありくもうつくし。をかしげなるちごの、あからさまにいだきて遊ばしうつくしむほどに、かいつきて寝たる、いとらうたし。 
 雛の調度。蓮の浮葉のいとちひさきを、池より取りあげたる。葵とちひさき。なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし。 
 いみじう白く肥えたるちごの二つばかりなるが、二藍の薄物など、衣長にてたすき結ひたるがはひ出でたるも、またみじかきが袖がちなる着てありくもみなうつくし。八つ、九つ、十ばかりなどの男児の、声はをさなげにてふみ読みたる、いとうつくし。
 にはとりの雛の足高に、白うをかしげに、衣みじかなるさまして、ひよひよとかしかましう鳴きて、人のしりさきに立ちてありくもをかし。また親の、ともに連れて立ちて走るも、みなうつくし。かりのこ。瑠璃の壺。
『枕草子』うつくしきもの に描かれた世界展」なんて開催してくれたらな〜〜日本人が古来大事にしてきた自然を愛でてやまない気持ち。こんな時だからこそいま一度見直してみるのも決して悪くないかと。

「花鳥の美」展は6月19日までです。


柿右衛門「色絵花鳥文蓋物」江戸時代

花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術

会場:出光美術館
http://www.idemitsu.co.jp/museum/
会期:2011年4月23日(土)〜6月19日(日)
開館時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
毎週金曜日は午後7時まで(入館は午後6時30分まで)

Twitterやってます。
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2510

JUGEMテーマ:アート・デザイン


花鳥は、日本・東洋の美術作品の中で、最も愛された主題です。四季折々の変化を見せる豊かな自然の下で、幾多の花が、各々の美を競わせながら華やぎある風情を伝えてきました。
花を愛でる歴史は、古くから著名な詩歌に詠まれつづけられてきました。その発展と相まって絵画の主題や工芸の意匠として取り上げられ、定着していったことが作品から理解できます。一方、こうした色とりどりの花を求めて集ったさまざまな鳥たちの姿も、花と共に愛でられるようになると、花鳥の主題は、瑞々しい自然の様相と生命の輝きを象徴するテーマとして人々の間で認識されてゆきました。
本展では「花鳥の美」と題し、出光コレクションより絵画・工芸の優品、約80件を厳選して特集展示いたします。色彩豊かな花園に満ちあふれる優美さや、日常では簡単に見ることのできない鳥たちが一つの空間に集い戯れる幻想的な絵画の世界をはじめ、草花の特徴と個性的な造形を参考に意匠の面白味を追求した工芸など、華麗で普遍的な美の魅力に迫ります。
日本・東洋美術における花鳥の意匠が織りなす不思議な魅力と、その変遷や大いなる広がりをご堪能いただきます。

展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

チケットがあるのですが、気をつけないと
すぐ19日になってしまいますね(汗・汗)!

それにしても、野々村仁清「色絵鳳凰文共蓋壺」、
素敵ですね〜。
というか、仁清がこんなものを作っていたなんて
ちょっと驚き。。

この実物をみるだけでも価値がありそうです。

Takさんのコメント、いつもながら鑑賞の予習復習に(?)、活用させていただいています。
感謝感謝です!

「写楽展」も「ストーリーで楽しむ「写楽」in大歌舞伎 」で予習。
本当によかったです。
emicy | 2011/05/29 12:16 AM
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