青い日記帳 

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「展覧会の仕掛け人に聞く」(前篇)

美術館や博物館で開催される展覧会のほとんどに日本の場合、新聞社やテレビ局の文化事業部が関わっているのはご存じの通り。大規模展となるとマスメディアの文化事業部が主体となり企画から運営まで担当しています。

そんな「展覧会の仕掛け人」であるマスメディアの文化事業担当者に展覧会にまつわるお話を聞いてみようと思い立ったのが今月初め。取材の許可をまず出してくださったのが今回邪魔した東映株式会社。http://www.toei.co.jp/

映画のみならずテレビ番組「相棒」「フェイク 京都美術事件絵巻」それに「仮面ライダー」等など東映さんが手掛ける作品には必ずと言ってよいほどお世話になっていますが、展覧会を企画・運営していたことはあまり知られていないかもしれません。

何故に東映さんが展覧会を手掛けることになったのか?その辺の経緯も含め東映株式会社事業推進部 展博事業室室長のアイリーン近藤さんにお話を伺って来ました。


東映株式会社事業推進部 展博事業室室長アイリーン近藤さん

Tak「よろしくお願い致します。早速ですが、まず東映さんが展覧会を開催するに至った経緯といいますか、どうして映画会社が展覧会を主催なさっているのかお聞かせ下さい。」

アイリーンさん「東映が最初に企画した展覧会は今から約25年前の1984年に開催された『黄金のファラオ展』です。国立カイロ博物館より「プスセンネス1世の黄金のマスク」をはじめとする海外初出展作を含む約60点の作品が、国内10会場を巡回し期間中約150万人もの方々にご覧になって頂きました。

元々は映画のキャンペーンの一環として発案された展覧会でしたが、展覧会を準備している途中で肝心の映画が頓挫し公開されなくなってしまいました。しかしもう既にエジプト政府から貸出し許可が出ていましたので、これはもうやるしかないと決断し開催へ漕ぎ付けました。

Tak「エジプトから当時、ファラオのマスク等所謂国宝級の作品を借りてくるのは大変なことですよね?しかも初めての展覧会で。」

アイリーンさん「はい。エジプトから展覧会に展示出来るようなモノを借りて来るのはとても難しいことです。今思うと、よく開催出来たなと思います(笑)怖いもの知らずだったのかもしれません。まだ当時早稲田大学の講師であった吉村作治先生が協力して下さいました。


黄金のファラオ展
開催期間:1984年10月〜1985年10月
会場数:10会場(東京展は西武美術館)

我々には積み重ねてきた展覧会開催へのノウハウがゼロの状態でしたので、自分たちがとにかく足繁く現地へ赴き、カイロ博物館の担当者と膝を突き合わせて交渉してくるしか手段はありませんでした。そのスタイルは現在まで継承されています。

この展覧会の成功により社内でもCI的にも文化支援面でも良いということで、展覧会事業を継続させようという流れになりました。またエジプト政府、カイロ博物館からも信頼を得ることができ、『黄金のエジプト王朝展』(1990年)『古代エジプト文明と女王』(1994年)とエジプトものを開催することが出来ました。

Tak「(開催展覧会一覧を見ながら)それでもこの時期はまだ主催者の欄に「東映」の文字が登場していませんね。」

アイリーンさん「そうですね。主催ではなくあくまでも展覧会の黒子役に2005年頃までは徹していました。でもその間に開催した展覧会でも最初の「黄金のファラオ展」同様、なるべくFAXやメールに頼らずフットワーク軽快に現地へ我々が行って直接交渉するスタイルは変わりませんでした。



2005年から2006年にかけ開催した『プノンペン国立博物館所蔵「大アンコールワット展」壮麗なるクメール王朝の美』『ドイツ・ヒルデスハイム博物館所蔵「古代エジプト展」永遠の美』『世界遺産・ペルセポリスの栄華「ペルシャ文明展」煌めく7000年の至宝』からは主催者として東映も名を出すようになりました。

Tak「ところでメール等の方がやり取り素早く、楽じゃないですか?」

アイリーンさん「勿論メールも使いますが、直接自分たちで現地へ出かけて面と向かって話をしてくることでメールやFAXでは築けない信頼関係を得ることが出来ます。これが実はとても大事なのです。東映は、他社さんに比べれば明らかに“Underdog”ですので、展覧会開催となると名刺の力に頼れません。そこで大事なのがお互いの信頼関係となるわけです。

今では、こうして得た信頼により大使館からも展覧会開催についてのオファーが舞い込むようになりました。

Tak「なるほど〜他に東映らしさのようなものありますか?」

アイリーンさん「東映の主催する展覧会には歴史やロマンを感じさせるものにターゲットを絞っています。また企画段階で女性像に焦点をあて作り上げることも多いですね。1995年開催の『フランス国立博物館展「ナポレオンとジョゼフィーヌ」」や1996年の『パリ市立博物館展 ヴェルサイユの栄光と終焉「王妃マリー・アントワネット」』等がそうです。



またいくら貴重な美術品を借りて来て単に展示するだけでなく、会場全体にストーリーラインがある、そう物語が聞こえてきそうな展覧会作りを目指しています。この点はまさに映画と同じ感覚です。展覧会にも映画同様にファンタジーが必要だと考えています。

そして、これまた映画と同じく日本全国の方々になるべく展覧会を観てもらいたいとの理由から東映主催の展覧会は巡回先が多いのも特徴のひとつです。10か所以上巡回した展覧会もあります。

Tak「ありがとうございました。」

ひとまずインタビュー記事前篇はここまで。

後篇ではまだ記憶に新しい、2009年〜2010年にかけ全国5会場で開催された「トリノ・エジプト展」についての具体的なお話をまとめていきたいと思います。またこれから先、東映さんが企画している展覧会についても。

さて、現在東京国立博物館で開催中の話題の展覧会「手塚治虫のブッダ展」も東映さんが主催しています。

原点回帰を目指したわけではないそうですが2011年5月28日(土)より全国ロードショースタートした映画「手塚治虫のブッダ -赤い砂漠よ!美しく-」のコラボ展となっています。


手塚治虫のブッダ展公式サイト
http://www.budda-tezuka.com/

海外から多くの作品をこれまで借り、展覧会を開催して来られた、アイリーンさんは一方的に日本がレンタルするだけでなく、これからは日本の文化等をもっともっと海外に紹介して行きたいとの思いがここ数年強くなってきたそうです。

この映画や「手塚治虫のブッダ展」がそのきっかけになればと思われているそうです。日本で成功した暁には映画のみならず、展覧会もそのまま海外で開催できると良いですね。


「手塚治虫のブッダ展」会場風景

これまで経済的な関係が主だった海外の日本に対するイメージを払拭し、新たな「Japan」を文化面で積極的にアピールして行くことが、後の繁栄につながるはずだと。

東映さん自身、今後の展覧会事業の遠大なる一里塚となるであろう展覧会。新たな一歩をトーハクで踏み出しています。


特別展「手塚治虫のブッダ展」

会期: 2011年4月26日(火)〜6月26日(日)
会場: 東京国立博物館 本館特別5室(上野公園)
開館時間: 2011年4月26日(火)〜4月30日(土) 10:00〜16:00
(入館は閉館の30分前まで)
2011年5月1日(日)〜6月26日(日) 9:30〜17:00
(入館は閉館の30分前まで。土・日・祝日は18:00まで)
※4/26〜6/26の会期中、金曜日の夜間開館は行いません
休館日:2011年5月16日(月)、5月23日(月)、6月13日(月)、6月20日(月)、6月21日(火)

主催: 東京国立博物館、東映、TBS
協力: 手塚プロダクション、日本通運、財団法人全日本仏教会、ニトリ、カラーキネティクス・ジャパン
後援: 文化庁、読売新聞社

展覧会ホームページ
http://www.budda-tezuka.com/


映画ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/buddha

「手塚治虫のブッダ展」 | 弐代目・青い日記帳

これまでのインタビュー関連記事まとめてあります。
インタビュー記事まとめ

【参考】
新聞社の展覧会と著作権・所有権
──朝日新聞社文化事業部「山内 健」


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@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2515

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