青い日記帳 

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「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」

国立新美術館で開催中の
「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」に行って来ました。


公式サイト:http://www.ntv.co.jp/washington/

大震災と放射能の影響で予定されていた展覧会が次々と中止・延期となる中、アメリカ合衆国の首都、ワシントンD.C.のワシントン・ナショナル・ギャラリーより、印象派とポスト印象派の傑作(日本初公開作品約50点を含む全83点)を紹介する「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」が当初の予定通りスタートしました。拍手

19世紀末から20世紀にかけて銀行家、実業家としてアメリカ屈指の財を築き、1890年代末にはジョン・ロックフェラー、ヘンリー・フォードらと並んでアメリカ合衆国を代表する大富豪となったアンドリュー・メロンの壮大な夢と情熱により創設されたアメリカ屈指の美術館。(1941年完成)

美術館の名前に自分の名前を付けないことをコレクション寄贈の条件としたアンドリュー・メロン。コレクターの鏡です。 

早速展覧会を観て行きましょう。会場構成は至ってシンプル。

第1章:印象派登場まで
第2章:印象派
第3章:紙の上の印象派
第4章:ポスト印象派以降



ギュスターヴ・クールベ「ルー川の洞窟」1864年 奥に見えるのがポスターにも使用されているエドゥアール・マネ「鉄道」です。

コローやデュプレなどバルビゾン派の作品から展覧会は滑り出し最初に迎える山がこのクールベの「ルー川の洞窟」。大変精神性の高い作品であり、浮かれてやって来た心を鎮める効果大。

ベックリンの「死の島」を想起させる一枚でもあります。

そして贅沢にも5点も貸出してもらったマネ。三菱一号館美術館の「マネ展」とはダブりありません。その中の一枚「オペラ座の仮面舞踏会」


エドゥアール・マネ「オペラ座の仮面舞踏会
1873年 油彩・カンヴァス
National Gallery of Art, Washington
Gift of Mrs. Horace Havemeyer in memory of her mother-in-law, Louisine W. Havemeyer

全身黒でまとめ上げた紳士淑女の前に踊り子。「マネの黒」がより一層踊り子の露出した肌を際立たせそこにある見えない壁をいやがうえにも意識させます。

そうそう、以前こちらの記事→「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」の犬たち。でご紹介したエドゥアール・マネ「キング・チャールズ・スパニエル犬」もこの一角にお行儀良く座っています。

第1章の最後にひっそりと3点展示されている、若くしてこの世を去ったフレデリック・バジールの作品にも注目です。

多くの方のお目当ては第2章に集中しているでしょう。


ドガ、モネコーナー
3点のドガに6点のモネ。とりわけモネの「日傘の女性、モネ夫人と息子」やドガの「舞台裏の踊り子」はワシントン・ナショナル・ギャラリーの顔とも呼べる一枚です。


ルノワールも6点出品されています。
右「踊り子」1874年、左「アンリオ夫人」1876年頃

ルノワールが1874年に描いた「モネ夫人とその息子」と前述のモネ「日傘の女性、モネ夫人と息子」を見比べるなんてことも出来ちゃいます。


メアリー・カサット「青いひじ掛け椅子の少女
1878年 油彩・カンヴァス
National Gallery of Art, Washington
Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon

カサットやベルト・モリゾといった印象派の女性画家の作品にも注目です。印象派の作品をいち早くアメリカ大陸に紹介しもたらす大きなきっかけを作った女性こそメアリー・カサットです。

そしてこの「青いひじ掛け椅子の少女」奥行きとボリューム感がありつつもやわらかなやさしさに包まれたような幸福感を得ることの出来る優品です。今回の展覧会に出ているモリゾ、カサットの作品悪くありません。

第3章はマネからロートレックまでの画家たちが手掛けた水彩画やパステル、版画をまとめて展示するコーナーとなっています。

何でもこうした紙作品は、一つの作品につき15回しか貸し出さないという決まりがワシントン・ナショナル・ギャラリーにあるそうです。その貴重な1回が今回。心して見なければなりません。(こういう作品って現地では観られませんからね)


アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「アンバサドゥールの粋な人々
1893年 油彩(精油)、黒炭・厚紙に貼られた網目紙
National Gallery of Art, Washington
Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon

思えば学生時代、ロートレックの版画作品に意味も分からず熱を上げ片っ端から見まくった記憶があります。でもこちらはこれでも油彩。そう滅多に観られる作品ではありません。高橋明也先生監修の『もっと知りたいロートレック 生涯と作品』も発売になるので再度勉強しなくちゃ。

因みに第3章のイチオシは誰が何と言おうと文句なしにセザンヌの水彩画「ゼラニウム」です。セザンヌの水彩画はまさに「神」誰も真似出来ません。遥か昔ロンドンで目にしたセザンヌの水彩画に衝撃を受けた記憶が六本木で甦ります。

さて最後の第4章がとんでもない空間となっています。まずセザンヌが6点もしかも時代も様式も描かれているモノもそれぞれ違う作品が並んでいる姿はまさに圧巻の一言。


セザンヌコーナー。これは問答無用で凄い!!

多分、きっと印象派を求めてこの展覧会にいらっしゃる方にとっては「何これ?」とスルーされると思うのである程度混雑してもここはきっと問題ないのではないかと。しかも今回ゆったりとした展示で作品の位置も若干高めに掛けてあります。


ポール・セザンヌ「赤いチョッキの少年
1888-1890年 油彩・カンヴァス
National Gallery of Art, Washington
Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon, in Honor of the 50th Anniversary of the National Gallery of Art

それ以降の画家に「自由」の翼を与えたセザンヌ。

構図が破綻している?少年の左腕が長すぎる?腰から下半身にかけてどうなっているのか分からない?「だから何だ。」赤いチョッキの少年に観えるではないですか。正確無比に描くなら写真に任せればいいこと。セザンヌは「絵描き」なのです。

滅茶苦茶頑固な。

セザンヌお好きでない方もご安心あれ、ポスト印象派のスーラ、ゴーギャン、ロートレック、そしてこの人の作品もちゃんと来日していますから。


フィンセント・ファン・ゴッホ「自画像」1889年、「薔薇」1890年

注:会場内の画像は全て主催者の許可を得て撮影したものです。

息つく暇もまばたきする暇もないあっと言う間の83点。

これだけ質の高い西洋絵画コレクションをまとめて観られる機会、現在の日本の状況を鑑みるとそう簡単にありません。(中国も気になるし…)

観られるうちに観ておく。これ大事なことです。

会場はゆったりし、現地ナショナル・ギャラリーにいる感じの展示をこころがけたそうです(壁紙の色や幅木等)。木谷節子さんに伺ったところ、あちらよりも観る環境は断然上だそうです。

「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」 は9月5日までです。混雑必至です。お早めに〜その後、京都へ巡回します。

因みにワシントン・ナショナル・ギャラリーでは、常設展示作品として66点の作品が決められているそうです。謂わば美術館の顔。その常設コレクションから今回日本に9点もやって来ています。これはまさに破格の対応。色んな意味も含めて観に行っておかないとね。


ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」 
会期:2011年6月8日(水)−9月5日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00から18:00まで 
※金曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前まで。
会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木)
   http://www.nact.jp/
主催:国立新美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社
後援:外務省、アメリカ大使館
協賛:大日本印刷、日本興亜損保
協力:全日本空輸、日本貨物航空、日本通運、JR東日本、BS日テレ、シーエス日本、ラジオ日本、J-WAVE、文化放送、tvk
企画協力:NTVヨーロッパ
The exhibition was organized by the National Gallery of Art, Washington

一般お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/washington/


ワシントンナショナルギャラリー展公式Twitter
ワシントン犬 (washingtonken) on Twitter

公式サイト内にあるコラム
木谷節子のワシントン、ちょっとのぞき見

「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」の音声ガイドナレーターは俳優の勝村政信さん。(テーマソング担当、アンジェラ・アキさんのボーナストラック入りです!)
http://www.ntv.co.jp/washington/guide/index.html

【音声ガイドインタビュー記事】
インタビュー:音声ガイド(前篇)
インタビュー:音声ガイド(後篇)
http://www.adaudioguide.com/index.html

そうそう、こんなメールサービスもあるそうです。

日テレARTめ〜る

Twitterやってます。
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2524

JUGEMテーマ:アート・デザイン


アメリカの首都、ワシントンD.C.に位置し、今年で開館70周年を迎えるワシントン・ナショナル・ギャラリーは、12世紀から現代に至るまでの西洋美術コレクション約12万点を所蔵する、世界有数の規模と質を誇る美術館です。本展では、同館でも特に質が高いことで知られる印象派とポスト印象派の作品の中から、日本初公開の約50点を含む全83点を紹介します。同館の心臓部とも言えるこれらの作品が、これほどの点数でまとまって貸し出されるのは極めて稀なことです。
クールベやコローらバルビゾン派、写実主義を導入部とし、印象派の先駆者といわれるブーダンやマネを経て、モネ、ルノワール、ピサロ、ドガ、カサットら印象派に至り、セザンヌ、ファン・ゴッホ、ゴーギャン、スーラなど、それぞれの表現によって印象派を乗り越えていったポスト印象派に続きます。アメリカが誇る珠玉のコレクションの数々をお楽しみください。

展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(8)

この記事に対するコメント

放射能列島でヨーロッパの所蔵作品が来なくなった中、ワシントン・ナショナル・ギャラリーはこんなにもスゴイ作品を貸し出してくれて、私は大興奮で参りました。
ところが驚いたことに、版画などの「紙の部屋」を除いてほとんどすべての作品が左に傾いて展示されていたのです!
(僅かな傾きですが絵画展示ではもっとも気にされることです。)

私はめまいがして、結局鑑賞を続けられなく、京都市美術館を後にしました。
あなたの時はどうでしたか?
キュレーターの方がご病気なのかもしれません…。

修正されたらもう一度行きたいものです。
reno | 2011/10/10 12:19 PM
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