青い日記帳 

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『徒花図鑑』

芸術新聞社より刊行された齋藤芽生『徒花図鑑』を読んでみました。
http://www.gei-shin.co.jp/


徒花図鑑 齋藤芽生作品集

東京藝術大学大学美術館で開催された「異界の風景−東京藝大油画科の現在と美術資料−」展、上野の森美術館で開催された「VOCA展2010」(「密愛村 〜 Immoralville」)そして国立新美術館で開催された「アーティスト・ファイル2009」(「徒花園」、「徒花図鑑」他)等で必ず一度は目にしているであろう齋藤芽生の初めての画集が満を持して発売となりました。

画集の帯には滅多に人を褒めることのない美術業界のアウトロー、大竹伸朗氏の称賛の声や山下裕二先生の力強いプッシュも。またあおひーさんも自身のブログで齋藤についてべた褒め

一目観たら網膜の奥に焼きつき決して忘れることの出来ない齋藤芽生の作品。決して奇を衒っているわけではなく、ある意味今の時代に於いてストレート過ぎる表現で迫り来る迫力は画集となりB4サイズに収められてもほとんど衰えること無し。

女性初の東京藝術大学美術学部油画科常勤講師に就任したのは伊達や酔狂でもないこと数ページ目を通しただけでも理解できます。因みに齋藤芽生は1973年生まれ、まだ37歳です。末恐ろしい作家がいるものです。


「徒花図鑑」:「母不要」(ははいらず)、「他不見草」(ほかみずそう)

齋藤芽生の凄さはその画力だけではありません。文学的才能も兼ね備えているのです。自作に対し小難しい理屈を捏ねるようなことはせず、絵に現わした思いを情緒豊かに表現。テキスト部分だけ本にしても立派な文学として成立するはず。

↑の「他不見草」(ほかみずそう)にはたった2行ながらこんな情緒纏綿な表現が。

種子の時から四方鏡貼りの筐(はこ)で育つ。
一生、鏡に映った自分の姿だけを養分として咲く花。

さながら演歌に歌われているような、忘れられた場所、朽ちかけた物、打ちひしがれた人々……。画家は、それら息を潜め、しかし確実に存在する物語を、「花」「窓」「花輪」などのフォーマットに落とし込み、絵にしています。虚構の絵画世界は、しかし、細密に描かれることで、かつて見たことがあるような気配を纏っています。

徒花図鑑 齋藤芽生作品集目次

まえがき

花:
徒花図鑑、徒花園、毒花図鑑

窓:
晒野団地入居案内、晒野団地四畳半詣

旅:
地霊に宿られた花輪、名もなき東京人のための花輪、瑣事鑑、蜜愛村

高階秀爾「鮮烈な詩情の世界」
小泉晋弥「齋藤芽生の花・窓・旅の行方」

あとがき



「蜜愛村」

観てはイケナイものって逆に観たいものでもあります。齋藤芽生は我々が「観たいもの」を熟知しているかのようにモチーフを生活の中から選び抜き、執拗な細密描写により表現します。

繰り返しになりますが、この画集の魅力の半分を担っているのが彼女による文学性豊かなテキスト。暑い夏に齋藤芽生の画文一体となった世界観の虜になるのも悪くありません。

中島みゆきの世界観に似てるかな。

以下、作家の言葉です。

『徒花図鑑』は、私が思いつくままに空想を働かせ、それら空想のものたちがこの世に存在するかのように図像で網羅した、架空の博物誌です。

本書は、絵画と同時に日々書きためている作者の詩文も収録しています。まだ30代の作者があたかも幼い頃からのいままでの人生の旅路で拾い集め、再構成した、絵画と言葉を「図鑑」をお楽しみいただきたいと思います。


尚、ブックデザインは、自身も熱心な齋藤ファンである名久井直子氏が担当されています。印刷もとても美しく齋藤の世界観を忠実に再現。独特の印刷臭がこれまたたまりません。全てが齋藤の超現実的な作品世界へ誘う道先案内人を果たしているかのようです。

超お勧めの一冊です。騙されたと思って是非!!


徒花図鑑 齋藤芽生作品集(裏表紙)

知る人ぞ知る奇想の画家・齋藤芽生さんの初作品集がいよいよべ一ルを脱ぎます。
擬人化した植物に女の皮肉を込めた「徒花図鑑」、団地の窓枠を愛の祭壇に見立てた「晒野団地四畳半詣」、旅先でのスケッチを組み合わせた「地霊に宿られた花輪」……。その作風は、レオ・レオニの『平行植物』を彷彿とさせる架空の“博物図譜”といった趣向。



レオ・レオニ 『平行植物 新装版』


齋藤芽生(さいとうめお)
1973年東京都に生まれ。1996年東京藝術大学美術学部油画科卒業。1998年東京藝術大学大学院修士課程油画専攻修了。2001年東京藝術大学大学院後期博士課程油画専攻修了。現在、東京藝術大学美術学部油画科常勤講師(女性初)。2010年「VOCA展2010」にて佳作賞と大原美術館賞を受賞。個展・グループ展多数開催。


初の作品集『徒花図鑑』の出版を記念した展覧会、齋藤芽生「密愛村掘前徒觝路」が東京南青山のギャラリー・アートアンリミテッドで開催中です。

ギャラリー・アートアンリミテッド
http://www.artunlimited.co.jp/current/

東京都港区南青山1-26-4 03-6805-5280
7月9日〜8月6日 
休廊:日・火

Twitterやってます。
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2563

JUGEMテーマ:アート・デザイン


人は時代に流され、多くのことを忘れていきます。例えば、演歌に歌われているような情念の世界は、無機質になりつつある21世紀には無縁のようにも感じられます。けれども画家は、それら息を潜め、しかし確実に存在する物語を見つめます。忘れられた場所、朽ちかけた物、打ちひしがれた人々……。物語は、「花」「窓」「花輪」などのフォーマットに落とし込まれ、絵となります。架空のものとして描かれる絵画世界は、しかし、細密に描かれることで、かつて見たことがあるような犁で朖瓩鯏擦辰討い泙后

本書は、絵画と同時に日々書きためている作者の詩文も収録しています。まだ37歳の作者があたかも幼い頃からのいままでの人生の旅路で拾い集め、再構成した、絵画と言葉を「図鑑」として仕立て上げた、画集であり詩文集です。

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この記事に対するコメント

こんにちは。
おかげさまで素晴しい本との出会いができて嬉しく、
ありがとうございます。
勝手にリンクさせていただきました。
すぴか | 2011/07/23 3:21 PM
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徒花図鑑 斎藤芽生著 2011年7月10日 初版第1刷発行 芸術新聞社 「あだばなずかん」 さいとう めお 著 徒花図鑑 表・裏の表紙です。 この本の紹介のあったtakさんのブログ2011.07.17 『徒花図鑑』を見たのは7月20日の日、衝撃が走りすぐアマゾ
徒花図鑑 斎藤芽生著 | すぴか逍遥 | 2011/07/23 3:25 PM