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「パウル・クレー展」

東京国立近代美術館で開催中の
「パウル・クレー展 −おわらないアトリエ」に行って来ました。


パウル・クレー展 −おわらないアトリエ
http://klee.exhn.jp/

パウル・クレーは日本で非常に人気の高い作家で、これまでも毎年のようにどこかの美術館でクレー展開催されて来ました。

《1990年以降に日本で行われた主なクレー展》

1990年「パウル・クレー展:没後50年記念」(伊勢丹美術館ほか)
1993年「パウル・クレーの芸術」(Bunkamuraほか)
1995年「パウル・クレー展:クレー家秘蔵」(石川県立美術館ほか)
1997年「パウル・クレー:子供の領分」(ニューオータニ美術館)
1998年「パウル・クレー:喜怒哀楽」(ニューオータニ美術館)
2002年「旅のシンフォニー:パウル・クレー展」(神奈川県立近代美術館ほか)
2006年「パウル・クレー:創造の物語」(川村記念美術館ほか)
2006年「パウル・クレー展ー線と色彩」(大丸ミュージアム・東京ほか)
2009年「パウル・クレー:東洋への夢」(千葉市美術館ほか)

しかし意外なことに国立系の美術館でのクレー展はこの「パウル・クレー展 −おわらないアトリエ」が初めてとなります。(京都国立近代美術館より東京国立近代美術館へ巡回)

国立美術館での開催だからといわけではないのでしょうが、今回のクレー展はこれまでのものとひと味もふた味も違ったものとなっています。

デートで気軽に「子どもの絵のような」クレーの作品をぼんやり観て愉しむ。のではなく、眼鏡の度数上げ「子どもには決して描けない」クレー作品の秘密を探る展覧会となっています。


「ベルンのアトリエでのパウル・クレー」 1939年、
撮影:フェリックス・クレー パウル・クレー・センター(ベルン)、
遺族寄贈 Zentrum Paul Klee, Bern

「パウル・クレー展 −おわらないアトリエ」のコンセプトとして担当学芸員の三輪健仁氏は、「クレー作品は物理的にどのように作られたのか?」を検証することだと講演会で仰っていました。

一見複雑でこれまでのクレー展的な楽しさをあまり感じない展示室もこのコンセプトを知っていればすんなりとクレー独特の技法中心に観ていくことが出来るはずです。そして今までとは違った側面からクレーの魅力を感じ取れるかと。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:現在/進行形−アトリエの中の作品たち
2:プロセス1 写して/塗って/写して−油彩転写の作品
3:プロセス2 切って/回して/貼って 切断・再構成の作品
4:プロセス3 切って/分けて/貼って 切断・分離の作品
5:プロセス4 おもて/うら/おもて 両面の作品
6:過去・進行形“特別クラス”の作品たち


2〜5までが、「クレー作品は物理的にどのように作られたのか?」を検証するメインの章。それらを挟み込むように別レベルの「特別クラス」の優品が待っています。


パウル・クレー「花ひらいて

各章にグルーピングされた作品たちを観ればクレーが何をしたかったのかが自ずと分かってくるような展示となっています。それらに合うように展示会場の作りをしているのもこの展覧会の大きな特徴、魅力のひとつです。(観づらいなんて言ってはいけません。)

(参照)
パウル・クレー展 —おわらないアトリエ:フクヘン。
「パウル・クレー展」東京国立近代美術館:はろるど・わーど


パウル・クレーの制作手法ごとに分けられた会場は一見迷路のようにも見えますが、建築家の西澤徹夫さんと担当学芸員が綿密に打ち合わせを重ねて出来たものです。
上は、建築家の西澤さんによるイメージスケッチ。「行ったり戻ったりする経験が、クレーの創作のプロセス、絵と絵の関係と呼応すること。」というメモ書きがあります。


会場内に現われた各セクション毎の「島」俯瞰すると、まるでクレー作品のようにも見えてきます。白い壁紙のように思えて実はそれぞれ「島」毎に淡い色彩が施されていたりもします。


パウル・クレー「腰かける子ども

さて、よくクレーの作品を「子どもが描く絵のようだ」と評したもの見かけたりします。果たして本当に子どもの描く絵とパウル・クレーの作品は同じ(似ている)のでしょうか。

答えは「No」です。

三輪健仁氏曰く「クレーの場合、具象的なイメージを持って描き始めたのではなく、線や色彩から入り、あるタイミングで具象的なイメージと結像するのであって、『はじめにイメージありき』では決してない。

この言葉は衝撃でした。有名な「忘れっぽい天使」や↑の「腰かける子ども」「嘆き悲しんで」など果たしてどのような順序で描かれたのでしょうか?


吉田秀和「クレーの跡をたどる」
『芸術新潮』1961年12月号

「忘れっぽい天使」の場合、とりわけ線が大変重要なファクターとなっています。そう、この展覧会ではクレーが線と如何に格闘したかも大きな見所のひとつです。

※今回の展覧会に「忘れっぽい天使」は出展されていません。

早々に観に行き、また三輪氏から貴重なお話を伺う機会に恵まれたにも関わらず、中々まとめること出来ませんでした。他にも書きたいことやまほどあるのですが、ひとまずこの辺で。

そろそろ、クレー作品を「子どもの描くような絵」だなんて評するのだけはやめて欲しいな。この展覧会を観てある程度クレーのやりたかったこと理解出来れば間違ってもそんなこと口にしないんだけど……

約170点のクレー作品から構成される展覧会。うち90点以上が日本初公開作品です。(切断・分離作品、多いものでは一枚の作品を6分割もしちゃったそうです。クレーったら…)

混雑していようと何だろうと観に行くべき展覧会であること間違いありません。「パウル・クレー展」は7月31日までです。お見逃しなく!


公式サイト:http://klee.exhn.jp/
パウル・クレー展 −おわらないアトリエ

会場:東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/

会期:2011年5月31日(火)〜7月31日(日)
開館時間:午前10時〜午後5時
(7月の金・土曜日は午後8時まで開館。)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし7月18日[月・祝]は開館)
主催:東京国立近代美術館、日本経済新聞社
後援:スイス大使館
協賛:NEC、損保ジャパン、大日本印刷、東レ、りそな銀行
協力:パウル・クレー・センター、スイス インターナショナル エア ラインズ、日本航空、スイス政府観光局
助成:スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団

Twitterやってます。
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2564

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スイス生まれの画家パウル・クレー[Paul Klee, 1879-1940]は、長らく日本の人々に愛され、これまでにも数多くの展覧会が開催されてきました。それらの展覧会では作品の物語性や制作上の理念が詩情豊かに詠われ、多くの人々にクレーの芸術の魅力を伝える役割をはたしました。

国立近代美術館で初となる今回のクレー展では、今までの展覧会成果を踏まえた上で、これまでクローズアップされてこなかった「クレーの作品は物理的にどのように作られたのか」という点にさまざまな角度から迫ります。この観点から作品を見てみるならば、視覚的な魅力を体感できるのみならず、その魅力がいかなる技術に支えられているのか、ということまでもが明らかになるでしょう。

具体的な「技法」と、その技法が探究される場である「アトリエ」に焦点を絞り、クレーの芸術の創造的な制作過程を明らかにしようする本展において、鑑賞者は、ちょうど画家の肩越しに制作を垣間見るような、生々しい創造の現場に立ち会うことになるでしょう。

スイスのパウル・クレー・センターが所蔵する作品を中心に、ヨーロッパ・アメリカ・国内所蔵の日本初公開作品を数多く含む約170点で構成されます。
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パウル・クレー おわらないアトリエ 東京国立近代美術館     2011年5月31日〜7月31日 梅雨明け十日とか言いますが、ほんとに暑い日曜日、家にいてはたまらないので、日曜美術館も見ずに早くから出かけました。頼んでいたエアコンは明日来る予定なの
パウル・クレー 東京国立近代美術館 | すぴか逍遥 | 2011/07/20 3:45 PM
実は2回目になる、パウル・クレー おわらないアトリエ。 この線と色彩のバランス感覚は唯一絶対のもの。 会場に入るとまずはクレーの自画像。 どれも線に味があっていい按配。 ・庭園建築のプラン 線ももちろんなのだけども、この作品については色彩の魅力が俄