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「空海と密教美術展」

東京国立博物館(トーハク)で開催中の
「空海と密教美術展」に行って来ました。


公式サイト:http://kukai2011.jp/

今年2011年最大規模の仏教美術展。仏像ファンは元より、曼荼羅、書、密教法具等々見所は語り尽くせないほどあります。

空海、最澄はたまた密教に関する展覧会これまでも数多く開催されてきましたが、今回はその集大成と言っても過言ではない程の質、規模で弘法大師空海が日本にもたらした密教世界を優品と共に紹介しています。

展覧会の見どころ

1: 密教美術1200年の原点−その最高峰が大集結します。
1: 展示作品の98.9%が国宝・重要文化財で構成されます。
3: 全長約12mの「聾瞽指帰(ろうこしいき)」をはじめ、現存する空海直筆の書5件を各巻頭から巻末まで展示します。
 国宝「聾瞽指帰」 展示期間:
  上巻 7月20日〜8月21日 下巻 8月23日〜9月25日
 国宝「灌頂歴名」 展示期間:7月20日〜8月21日
 国宝「風信帖」 展示期間:8月23日〜9月25日
 国宝「大日経開題」 展示期間:7月20日〜8月21日
 国宝「金剛般若経開題残巻」 展示期間:8月23日〜9月25日
4: 東寺講堂の仏像群による「仏像曼荼羅」を体感できます。
5: 会場全体が、密教宇宙を表す"大曼荼羅"となります。


東寺:仏像曼陀羅展示風景
(撮影:@yukitwi)

仏像曼荼羅

注:展示室内の画像はプレス内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

東寺講堂には大日如来を中心に21体の仏像が安置されています。規則性をもって群像が配置される様子は、まさに「立体曼荼羅」とよぶにふさわしいものです。空海が承和6年(839)の完成を見ることはできませんでしたが、尊像の選択と配置には空海の思想が反映されています。諸像は、奈良時代に東大寺などで活躍したのと同系統の工房によって製作されました。乾漆を併用する技法にその伝統がうかがえる一方、しなやかで肉感的な身体表現は、空海が請来した曼荼羅の尊像にみられる新しい表現です。

東寺:仏像曼陀羅展示風景

「空海と密教美術展」展示構成

第1章 空海―日本密教の祖
第2章 入唐求法―密教受法と唐文化の吸収
第3章 密教胎動―神護寺・高野山・東寺
第4章 法灯―受け継がれる空海の息吹


仏像曼陀羅は「第3章 密教胎動―神護寺・高野山・東寺」のリスト内に記されていますが、会場では最後の展示空間に8体で東寺講堂の様子を再現したスペースに展示されています。(ガラスケース無し、1体毎に360度ぐるりと拝見出来るようになってます)

第1章は出品作品こそ少なく一見地味に思えますが、とんでもないものがいくつも出ています。「空海と密教美術展」初めから飛ばします!


国宝「聾瞽指帰(ろうこしいき)」(巻頭) 空海筆 
平安時代・8〜9世紀 和歌山・金剛峯寺蔵 
展示期間[上巻:7月20日〜8月21日、下巻:8月23日〜9月25日] ※写真は上巻

展示替えを上手く利用すれば前期、後期で全巻通して拝見することができるまたとないチャンス。若き日の空海が唐に渡る前に仏教の優位性について記した書。後世上下巻物とされたことから現在やや弓なり状の形態に。

書に関してはまるで明るくありませんが、豪快且つ闊達さがケース越しに伝わってきます。若き日の空海の持て余らさんばかりのエネルギーを書にぶつけたようにすら感じられます。

また、第1章では絵巻物の優品として名高い、重文「弘法大師行状絵詞」巻第三・巻第四・巻第五 巻第三・巻第四 祐高筆、巻第四・巻第五 久行筆 12巻のうち3巻 南北朝時代・14世紀 京都・東寺が公開されています。

「弘法大師行状絵詞」展示期間:巻五(〜8/7)、巻三(8/9〜8/28)、巻四(8/30〜)
有名な渡海入唐の場面は巻第三です。また観に行かなきゃ!

「第2章 入唐求法―密教受法と唐文化の吸収」に不思議な面持ちの仏像が佇立して来場者を待っています。これは事前に画像で拝見した時からとても気になっていた仏像です。


国宝「兜跋毘沙門天立像」唐時代・8世紀 京都・東寺

これまで目にしたことのない特異な姿、お顔をした仏像。口がわずかに開き歯が見えていたりします。不気味さとは違う異様さ。しかし観れば観るほどクセになる容姿。

身体には鎖を編んで作られた金鎖甲をまとっています。腕もまた然り。肌の露出の極めて少ない仏像でもあります。日本で作られたものでなく、どうやら唐から持ち運んできた仏像のようです。少し前傾体勢になっているのも気になるところ。

しかし、クセのあるものって観ているうちに離れ難くなるある種の毒性をはらんでいます。前半の仏像では断トツでこれが好き。

「第3章 密教胎動―神護寺・高野山・東寺」実質この章が最も見応えある構成となっています。


国宝「五大力菩薩像」3幅
平安時代・10世紀 和歌山・有志八幡講十八箇院
(8月7日まで)

「五大力菩薩像」のメンバーは金剛吼・竜王吼・無畏十力吼・ 無量力吼・雷電吼の5菩薩。和歌山・有志八幡講十八箇院に伝わる「五大力菩薩像」は2菩薩を火災で失い現在、金剛吼・竜王吼・無畏十力吼菩薩の3菩薩。それにしてもどうです!この迫力!!

8月9日からは豊前五郎為広筆、和歌山・普賢院所蔵の「五大力菩薩像」が登場!これでやっと5菩薩揃うかと思いきや、展示替えあり5菩薩揃いで拝見出来ません…どこかのアイドルグループに会うよりも遥かにレア。早々容易く5菩薩様は拝めないのね。。。

迫力と言えば、こちらも。

国宝 両界曼荼羅図(高雄曼荼羅) 平安時代・9世紀 京都・神護寺
胎蔵界(〜7/31)、金剛界(8/2〜8/15)

「これ持って来たのか!」と見知らぬおじさんがかなり大きな声でつぶやいでいましたが、そのお気持ちよーーくわかります。だってこれ現存する最古の両界曼荼羅図ですからね。

何が描かれているのかほとんど判別できませんが、下から覗きこむように拝見すると金泥で描かれた数多の仏の姿が浮かび上がってきます。それプラス「心の眼」で観ましょう。会場内の丁寧な解説と共に。

今回の展覧会、仏像がメインで取り上げられていますが、実はそれよりも曼荼羅図が観られるという方が価値あったりします。

国宝「両界曼荼羅図」(高雄曼荼羅)京都・神護寺
胎蔵界(〜7/31)、金剛界(8/2〜8/15)

重文「両界曼荼羅図」(血曼荼羅)和歌山・金剛峯寺
胎蔵界(8/16〜9/4)、金剛界(9/6〜)

国宝「両界曼荼羅図」(西院曼荼羅)京都・東寺
胎蔵界(〜8/21)、金剛界(8/23〜)


それぞれ3つの曼荼羅図、胎蔵界と金剛界全て観ようとすると最低何回行けばいいのかな?自分、この曼荼羅図の展示替えに合わせてとにかく観に行きます。幾ら暑かろうが、混雑しようが、並ぼうが。

さて、さてここから先は仏像メインでご紹介して参りましょう〜


国宝「蓮華虚空蔵菩薩坐像(五大虚空蔵菩薩のうち)」、国宝「業用虚空蔵菩薩坐像(五大虚空蔵菩薩のうち) 」平安時代・9世紀 京都・神護寺

濃密な会場を辿りこの二体が置かれている場所まで来るとホッと一安心。切れ長の細い目に相反するかのような丸いお顔が一層心を和ませてくれます。

仏像のことはよく知りませんが、面と向かいまず心を預けられる存在であるかどうかは大事なことではないかと。元々5体一組の菩薩様だそうです。でも5体も菩薩様いらしたらホッと心和ませぬやもしれません。ここは2体くらいが丁度よろしいかと。

それにしても真っ直ぐ前から拝見した容姿頭と両膝奇麗な二等辺三角形を成しています。バランスの良い仏像だからこそ得られる安心感。


手前:重文「千手観音菩薩立像」平安時代・10世紀 香川・聖通寺
奥:国宝「薬師如来坐像」平安時代・9世紀 大阪・獅子窟寺

醍醐寺、東寺、金剛峯寺など空海と深い所縁のある大きなお寺の仏像だけでなく、こうした「地方」のお寺からも密教仏の優品が来ているのもこの展覧会のスゴイところです。

とりわけ、香川・ 聖通寺の「千手観音菩薩立像」はどっしりと安定感のある身体に「千手」がバランスよく配置され手にするモノもそれぞれ興味をそそります。ガイコツの串刺しのようなモノは一体何だったのか答えは出ませんでしたが…

そうそう、頭の上に立つもう一人の菩薩さまにも注目です。

見応えある醍醐寺コーナーもスゴイ!!

中央奥:国宝「薬師如来および両脇侍像」 平安時代・延喜13年(913)
その前には:重文「五大明王像」5躯 平安時代・10世紀
全て京都・醍醐寺

不動明王を中心に、降三世明王、金剛夜叉明王、軍荼利明王、大威徳明王が控えているこの空間はお見事。


重文「五大明王像」大威徳明王

明王の乗る水牛が立っているパターンは大変珍しいとのこと。確かに記憶にないかも。しかもこんな「中世的」で金沢百枝さんが思わずキャーと飛びつきそうな可愛らしい水牛は…

そう、醍醐寺の重文「如意輪観音菩薩坐像」これとっても良い仏像でした。欲しい…

こんなものでは到底まとめたことにならない、とんでもない内容の展覧会。まだまだ紹介しきれていないもの沢山あります。お目当てのもの幾つもきっとあるはず。

会期中、作品の展示替があります。展示作品リストをご覧ください。
展示作品リストへ

こちらとにらめっこしながら是非!

「空海と密教美術展」は9月25日までです。

展覧会用に作られた「空海と密教美術」展ジュニアガイド(A3、4枚)(PDF, 7.0MB)の出来栄えがすこぶる良く、これで予習してから行かれると、中々馴染みの薄い密教の世界もより身近に。そして曼荼羅等の見方も分かります。

「ジュニア」でなくてもパソコン上からダウンロードできます。便利便利。
ジュニアガイドのページへ

「曼荼羅って、なんだろう?」(ジュニアガイドのページへ)

「仏像曼荼羅」人気No1は?(投票のページへ)
仏像曼荼羅の人気投票を行います。あなたはどの仏像が一番好きですか?


「空海と密教美術」展

会期:2011年7月20日(水)〜9月25日(日)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間:9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜日は20:00まで、土・日・祝日は18:00まで開館)
休館日:月曜日(ただし8月15日(月)、9月19日(月)は開館)
主催:東京国立博物館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
後援:文化庁
特別協力:総本山仁和寺、総本山醍醐寺、総本山金剛峯寺、総本山教王護国寺(東寺)、総本山善通寺、遺迹本山神護寺
協力:真言宗各派総大本山会、南海電気鉄道
協賛:あいおいニッセイ同和損保、きんでん、大日本印刷、トヨタ自動車、非破壊検査

展覧会ホームページ http://kukai2011.jp/

ミュージアムショップおススメグッズ

高野杉団扇
高野杉を用い、国宝「風信帖」から空海直筆の「風」を使用してる団扇。あおぐとかすかに杉の香りが。プラスチックの団扇にないしなやかさがあります。

Twitterやってます!
@taktwi

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JUGEMテーマ:アート・デザイン


弘法大師空海(こうぼうだいし くうかい)は、延暦23年(804)、密教を求めて唐に渡り、2年という短期間のうちにその奥儀(おうぎ)をきわめます。奥深い密教の教えは、絵画などを用いなければ理解できないと空海自身がいうように、密教では造形作品が重視されます。この展覧会では空海が中国から請来(しょうらい)した絵画、仏像、法具、また空海の構想によってつくられた教王護国寺(東寺)講堂諸像など、空海ゆかりの作品、さらに空海の息吹が残る時代に造られた作品を中心に、密教美術の名品を展示します。現存する空海自筆の書5件を、各巻頭から巻末まで展示するので、書家としての空海も存分にご堪能いただけることでしょう。出品作品は99点で、98.9%が国宝または重要文化財という、質、規模ともにこれまでにない展覧会です。
展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(5)

この記事に対するコメント

空海って、あまりにミラクルな活躍ぶりに、これほどのモノが残っていなかったら伝説上の人になりかねませんね。
唐に渡って長安の青龍寺に密教の第一人者・恵果を訪ねたときに、ひと目で自分の法を継ぐ者と認められ、数多くの経典や仏像仏具を持ち帰った。その一覧表の写しや唐からの伝来品が残っているから、伝説ではなく、史実になるというわけです。
東寺講堂も何度か焼けているのに、そこに安置された、空海が発案した立体曼荼羅の仏像群が現存するのは奇跡です。
平安京の中心部にあった建造物で、そのままの敷地が残っているのも東寺だけなんですから、まさに弘法大師への篤い信仰ゆえ、大事にされたモノたちが残り、今回東博に結集できたのです。
兜跋毘沙門天は、間近に見られる今回の陳列に、あらためてそのボリューム感あふれる衣裳の装飾や、なによりあのアーモンド目に魅了されました。四天王像からも、密教を広めようとするあの時代のエネルギーが伝わってきます。
360度どこからでも仏像を見ることのできる、千載一遇のチャンス。見逃す手はありません。
若き日の自筆本・聾瞽指帰が全巻広げてあり、これもまた感動です。

blue moment | 2011/07/25 1:52 AM
こんにちは、

こんにちは。時々訪問させていただいて、興味深く読ませていただいています

「空海と密教美術展」は私も行きました。躍動的な動きの持国天と、対照的な金剛菩薩像の精神性を感じる表現が、特に印象に残りました。

私は最近ロシアのペテルブルグに行き、エルミタージュ美術館に行きました。
まず、宮殿装飾などの写真と所蔵のルネサンス絵画についてみた感想などをブログに書いてみました。ご覧になっていていただけるとうれしいです。

よろしかったらブログに感想などなんでも結構ですので、コメントをいただけると感謝致します。

dezire | 2011/07/25 2:53 PM
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